この記事でわかること
- 外資系経理の職階(スタッフアカウンタント→シニア→アカウンティングマネージャー→コントローラー→ファイナンスディレクター→CFO)と、各職階の仕事・年収・昇進の目安
- 外資系経理の月次業務の中身(営業日5日以内のクローズ、本社レポーティングパッケージ、US-SOX、法定決算・税務の二重管理)と、日系経理との違い
- 外資系経理からの3つの昇進ルート(コントローラー系・FP&A系・APAC/本社系)と、それぞれで求められるもの
- USCPAが外資系経理のどの場面で効くか(本社に伝わる資格・US
GAAPの適用・監査対応・昇進要件)と、効かない場面 - 監査法人3年目から外資系メーカーに入り5年でコントローラーになった同僚Wの年次別の仕事と、出産前に外資系経理へ移り時短で昇格した同期Pの働き方
- 日系経理・監査法人から外資系経理に入る準備と、会社の規模別の注意点(小規模日本法人の一人経理、レイオフ)
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月30日
「外資系経理はどんな職階で、どう昇進していくのか」「日系の経理と何が違うのか」「USCPAは外資系経理でどこまで効くのか」と調べている方に向けた記事です。
結論から言うと、外資系経理はスタッフアカウンタント→シニアアカウンタント→アカウンティングマネージャー→コントローラー→ファイナンスディレクター→CFOという職階で、職務(ジョブ)ごとに採用・評価されるため、職務が空けば年次に関係なく昇進できます。仕事の中心は営業日5日以内の月次クローズと本社への英文レポーティングで、日系経理との最大の違いは「日本の法定決算より本社への月次報告の方が重い」ことです。USCPAは本社に伝わる資格としてUS
GAAPの適用・監査対応・昇進要件で効き、日本の税務・日次の記帳では効きません。
筆者は監査法人で米国系メーカーの日本法人の経理チームを3年間担当し、同僚Wは監査法人3年目にその種の外資系メーカーへ移って5年でコントローラーになりました。同期Pは出産前に外資系経理へ移り、時短のままアカウンティングマネージャーに昇格しています。
この記事では、転職エージェントの公開求人と2人の実例をもとに、外資系経理の職階・仕事・年収・昇進ルート・USCPAの効き方を整理します。
外資系企業への転職全般(職種横断・選考・働き方の違い)は「USCPAで外資系企業に転職|評価される理由・職種・年収・選考」で扱っているので、本記事は「外資系経理のキャリア」に絞ります。
外資系経理の職階と仕事・年収|スタッフからCFOまで
外資系経理の職階は、①スタッフアカウンタント(仕訳・消込・固定資産、年収500〜700万円)
②シニアアカウンタント(月次クローズの担当科目統括・本社パッケージ作成、600〜800万円)
③アカウンティングマネージャー(月次決算の統括・部下の管理・監査法人対応、800〜1,100万円)
④コントローラー(日本法人の経理責任者・US-SOX統括・本社報告、1,100〜1,600万円)
⑤ファイナンスディレクター(経理+FP&A+財務の統括、1,400〜2,000万円)
⑥日本法人CFO(1,500万円以上)である。職務ごとに採用・評価され、職務が空けば年次に関係なく昇進する。
職階ごとに整理します。
| 職階 | 英語表記 | 主な仕事 | 年収の目安 | 到達の目安 |
|---|---|---|---|---|
| ①スタッフアカウンタント | Staff Accountant / GL Accountant / AP・AR Accountant | 仕訳の起票、売掛・買掛の消込、固定資産、経費精算、月次クローズの担当科目 | 500〜700万円 | 経理未経験〜3年 |
| ②シニアアカウンタント | Senior Accountant | 担当科目の統括、月次クローズの進行、本社レポーティングパッケージの作成、US-SOXのテスト対応、スタッフのレビュー | 600〜800万円 | 経理・監査3年〜 |
| ③アカウンティングマネージャー | Accounting Manager | 月次決算の統括、部下の管理、日本の法定決算・税務申告の統括、監査法人対応、本社との調整 | 800〜1,100万円 | 5〜8年 |
| ④コントローラー | Controller / Financial Controller | 日本法人の経理責任者。月次決算の最終レビュー、US-SOXの統括、本社への報告、内部統制、キャッシュ管理 | 1,100〜1,600万円 | 8〜12年 |
| ⑤ファイナンスディレクター | Finance Director | 経理・FP&A・財務の統括。事業リーダーとの連携、中長期計画、人員計画 | 1,400〜2,000万円 | 12年〜 |
| ⑥日本法人CFO | CFO / Head of Finance | 日本法人の財務全般の責任者。本社CFOへの報告、経営会議 | 1,500万円以上 | ― |
年収は転職エージェント各社の公開求人と筆者の周囲の実例をもとにした目安で、企業規模・業界(製薬・IT・金融は高い)・英語力で変わります。
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コントローラーは「締める」と「見通す」の両方を担う職階で、経理のキャリアの1つの到達点です。
外資系経理の職階で理解しておくべきことが2つあります。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 職務ごとに採用・評価される(ジョブ型) | 「シニアアカウンタント」として採用されたら、その職務で評価される。職務を上げるには社内公募か転職 |
| 職務が空けば年次に関係なく昇進する | 前任者の退職・異動で職務が空くと、年次より「その職務ができるか」で決まる。同僚Wは5年でコントローラー |
ジョブ型の働き方の詳細は「USCPAで外資系企業に転職|評価される理由・職種・年収・選考」で解説しています。
外資系経理の求人票は「Senior Accountant」「Accounting
Manager」のように職階が明記され、必須要件も具体的です。
MS-Japanに登録して求人票を並べておくと、自分の経験がどの職階の要件に当たるかが分かり、この後の「仕事の中身」を自分の職階に引き寄せて読めます。
外資系経理の月次業務|営業日5日のクローズと本社レポーティング
外資系経理の月次業務は、①本社の締め日に合わせた営業日5日以内の月次クローズ
②本社の会計基準(US
GAAP・IFRS)での英文レポーティングパッケージの作成・送付
③本社・APACからの質問への即答
④US-SOX(内部統制)のテスト対応、が中心で、日本の法定決算(日本基準)と税務申告は四半期・年次に別途行う。日系経理と違い「日本の決算より本社への月次報告の方が重い」のが外資系経理の構造である。
月次のサイクルを整理します。
| 営業日 | 業務 | 担当職階 |
|---|---|---|
| 月末〜1日目 | 売上・仕入の締め、仕訳の起票、消込 | スタッフ |
| 2〜3日目 | 引当金・減価償却・経過勘定の計上、部門間振替、本社基準(US GAAP)での調整仕訳 |
スタッフ〜シニア |
| 3〜4日目 | 試算表の確認、前月・予算との差異分析、異常値の原因確認 | シニア〜マネージャー |
| 4〜5日目 | 本社レポーティングパッケージ(英文)の作成、本社システムへの数値登録、コントローラーの最終レビュー | シニア〜コントローラー |
| 5日目 | 本社への送付(締め) | コントローラー |
| 6〜10日目 | 本社・APACからの質問への回答、差異の説明、次月の予算・見込みの更新(FP&Aと連携) | シニア〜コントローラー |
| 随時 | US-SOXの統制テスト対応、監査法人対応、日本の法定決算・税務の準備 | 全職階 |
日系経理との違いです。
| 比較項目 | 日系経理 | 外資系経理 |
|---|---|---|
| 最も重い締め | 四半期・年次の法定決算と開示 | 毎月の本社レポーティング(営業日5日以内) |
| 会計基準 | 日本基準(IFRS採用は一部) | 本社基準(US GAAP・IFRS)+日本の法定決算は日本基準で別途 |
| 会計方針 | 自社で決める | 本社の会計方針マニュアル(英文)に従う |
| 報告先 | 経理部長・CFO・取締役会 | 本社・APACのファイナンス部門(英語) |
| システム | 自社のERP | 本社指定のERP+本社の連結システム(数値を登録) |
| 内部統制 | J-SOX | US-SOX(米国上場親会社の場合)+J-SOX(日本で上場している場合) |
| 監査 | 日本の監査法人 | 本社の監査人(BIG4)のグループ監査の一部として日本の監査チーム+本社の監査チームのレビュー |
| 時差 | なし | 本社との会議が早朝・夜に入る |
筆者が監査で担当した米国系メーカーの日本法人では、経理チームの月次の集中度は日本の法定決算より高く、「本社の締め日に遅れる」ことが最大のリスクとして扱われていました。
同僚Wは「監査法人では『見る側』だったが、事業会社では『締める側』。締め日の厳しさと、本社からの質問に即答する速さが最初はつらかった」と話しています。
事業会社経理全般の仕事と1日は「事業会社経理の仕事内容|USCPAが監査法人との違いを解説」で解説しています。
US-SOXと本社レポーティングで使うもの
外資系経理で日常的に触れるものを整理します。
| 項目 | 内容 | USCPAとの関係 |
|---|---|---|
| 本社の会計方針マニュアル | 収益認識・リース・引当金・固定資産などの処理を英文で定めたもの | US GAAPの知識で読める |
| レポーティングパッケージ | 本社の様式に沿ったBS・PL・CF・注記相当の英文資料。本社の連結システムに登録 | 英文の財務諸表の作成経験になる |
| US-SOX | 米国上場親会社の内部統制報告制度。日本法人の統制が本社の評価範囲に入る場合、統制のテストと証拠の保管が必要 | AUDの内部統制の知識で対応できる |
| 本社の監査チームのレビュー | グループ監査の一部として本社の監査人が日本法人の数値・統制をレビュー | 監査法人の見方を知っていると対応が速い |
| 移転価格・グループ内取引 | 本社との取引価格の文書化。税理士と協業 | REG(米国税務)は直接は使わない |
外資系経理からの昇進ルート|コントローラー系・FP&A系・APAC/本社系
外資系経理からの昇進ルートは、①コントローラー系(経理を極めて日本法人の経理責任者→ファイナンスディレクター)
②FP&A系(経理からFP&Aに移り、予算・分析・事業提言でファイナンスディレクター・CFOへ)
③APAC/本社系(シンガポール等の地域統括や本社のファイナンス部門へ異動)の3つで、CFOへ最も近いのは②FP&A系、経理の専門性で上がるのは①、海外で働くなら③である。
3ルートを比較します。
| ルート | 流れ | 求められるもの | 到達点 | 向く人 |
|---|---|---|---|---|
| ①コントローラー系 | シニア→アカウンティングマネージャー→コントローラー→ファイナンスディレクター | 正確な決算、US-SOX・監査対応、部下の管理、本社との信頼 | コントローラー(1,100〜1,600万円)→ファイナンスディレクター | 経理の専門性で上がりたい人。同僚Wの道 |
| ②FP&A系 | 経理(シニア)→FP&Aアナリスト→FP&Aマネージャー→ファイナンスディレクター→CFO | 分析力、事業理解、Excelモデリング、経営層へのプレゼン(英語) | ファイナンスディレクター→日本法人CFO | 経営に近づきたい人。CFOへの最短ルート |
| ③APAC/本社系 | 日本法人の経理・FP&A→APAC統括(シンガポール等)→本社(米国・欧州) | 英語での交渉・調整、複数拠点の管理、海外勤務の意思 | APACのファイナンス責任者、本社のポジション | 海外で働きたい人 |
アガルートキャリアは「FP&Aの組織は経理と並列してCFO傘下に置かれることが多く、大きな会社ではCFOの下にFP&AやFinance全体を統括するFinance
Directorや経理を統括するFinance
Controllerが置かれる」と整理しています。
hr-agencyも「英語を使う経理(英文経理)からFP&Aへ進む道は求人市場でもよく見られるルート」で、「FP&Aで経営に近い経験を積むと、経営企画やCFOといった上位のポジションへの道が開ける」としています。
経理からFP&Aへ移る方法
| 方法 | 内容 | 現実性 |
|---|---|---|
| 社内公募 | 外資系はFP&Aの欠員を社内公募することが多い。経理で予実分析・本社への差異説明を担当していると通りやすい | 最も多い |
| 経理とFP&Aの兼務 | 小規模な日本法人では経理がFP&Aを兼ねる。兼務の実績を次の転職でFP&Aとして売る | 中 |
| 転職 | 経理でFP&Aとの連携実績を作り、他社のFP&Aアナリストに転職 | 中(未経験のFP&A採用は少ない) |
Apexの外資系経理キャリアガイドは、面接で「FP&Aとどのように連携していましたか?」と聞かれることが多く、「経理とFP&Aの橋渡しができる人材は非常に重宝される」としています。
経理にいるうちに「予実分析」「本社への差異説明」「FP&Aへの数値提供」を担当しておくと、FP&Aへの移行が現実的になります。
FP&Aの仕事の詳細は「事業会社経理の仕事内容|USCPAが監査法人との違いを解説」で、CFOへの道は「USCPAでCFOになるには|4つのルートと年収・必要な経験」で解説しています。
USCPAは外資系経理のどこで効くか|効く場面と効かない場面
USCPAが外資系経理で効くのは、①本社の人事・CFOに「会計ができる」と伝わる(採用・昇進)
②本社の会計方針(US GAAP)を読んで適用できる
③本社の監査チーム・日本の監査法人への対応
④コントローラー以上の職務要件に「CPA」が入ることがある
⑤US-SOXの統制設計・テストの5つで、効かないのは日本の税務・日次の記帳・ERPの操作・社内調整である。
効く場面と効かない場面を整理します。
| 効く場面 | 内容 | 効き方 |
|---|---|---|
| ①採用・昇進での認知 | 本社の人事・CFOが「CPA」を理解している | 同僚Wは本社CFOに「USCPAなら大丈夫」と言われた |
| ②US GAAPの適用 | 本社の会計方針マニュアルを読み、日本の取引に適用する | FAR・BARの知識が直接使える |
| ③監査対応 | 本社の監査チームのレビュー・日本の監査法人への説明 | 監査法人出身なら「監査の見方」で対応が速い |
| ④職務要件 | コントローラー・ファイナンスディレクターの求人に「CPA (USCPA/JCPA) preferred/required」と書かれることがある |
ライセンス取得で条件を満たす |
| ⑤US-SOX | 統制の設計・テスト・文書化 | AUDの内部統制の知識 |
| 効かない場面 | 理由 | 補い方 |
|---|---|---|
| 日本の税務(法人税・消費税・移転価格) | REGは米国税務 | 顧問税理士と協業 |
| 日次の記帳・消込・支払 | 定型業務 | 実務で覚える |
| ERP・本社システムの操作 | 会社ごとに違う | 入社後に習得 |
| 社内調整(営業・物流との締め日の交渉) | 資格と無関係 | 関係づくり |
USCPAは外資系経理で「入口(採用)」と「上(コントローラー以上)」で効き、真ん中(シニア〜マネージャーの日常業務)では実務経験が効く、というのが実態です。
ライセンスの取得は、コントローラー以上を目指す人には職務要件を満たす意味があります。
ライセンスの取り方は「USCPAライセンスの取得方法と要件」で解説しています。
同僚Wと同期Pの実例|5年でコントローラー、時短でマネージャー
同僚Wは監査法人3年目に米国系メーカーの日本法人にシニアアカウンタントとして入り、1年目に月次クローズのGL担当と本社パッケージ、2年目に法定決算とUS-SOXの主担当、3年目にアカウンティングマネージャー、5年目に前任者の退職でコントローラーになった(年収1,300万円超)。同期Pは監査法人3年目に外資系メーカーの経理に入り、1年半後に産休育休、時短で復帰して本社レポーティングとUS-SOXを担当し、時短のままアカウンティングマネージャーに昇格した。
同僚Wの年次別の仕事
| 年次 | 職階 | 担当した仕事 | 年収 | 昇進のきっかけ |
|---|---|---|---|---|
| 転職前 | 監査法人3年目 | 外資系日本法人2社の監査。US GAAPの会計方針とレポーティングパッケージの検討 |
監査法人3年目の水準 | ― |
| 1年目 | シニアアカウンタント | 月次クローズのGL担当(引当金・固定資産)、本社パッケージの作成、US-SOXのテスト対応、スタッフ2名のレビュー | 約15%増 | ― |
| 2年目 | シニアアカウンタント | 日本の法定決算と税務申告の主担当(税理士と協業)、US-SOXの統制文書の整備、本社の監査チームの窓口 | 同 | ― |
| 3年目 | アカウンティングマネージャー | 月次決算の統括、部下4名の管理、監査法人対応の統括、本社との調整 | 900万円台 | 前任マネージャーのAPAC異動で職務が空いた |
| 4年目 | アカウンティングマネージャー | 会計システムの入れ替えプロジェクトで経理側のリーダー、FP&Aへの数値提供の仕組み化 | 同 | ― |
| 5年目 | コントローラー | 日本法人の経理責任者。月次の最終レビュー、US-SOX統括、本社CFOへの報告、キャッシュ管理 | 1,300万円超 | 前任コントローラーの退職。本社CFOが「USCPAなら大丈夫」と判断 |
同僚Wの5年間で分かるのは、昇進のきっかけがどちらも「前任者の異動・退職で職務が空いた」ことで、そのときに「その職務ができる」と判断される準備(法定決算・US-SOX・システム・部下の管理)ができていたことです。
同期Pの働き方
| 時期 | 同期Pの状況 |
|---|---|
| 監査法人3年目 | 外資系クライアント担当。「事業会社で長く働きたい」と外資系メーカーの経理へ転職(シニアアカウンタント) |
| 転職1年半後 | 産休・育休を10ヵ月取得 |
| 復帰1年目 | 時短(7時間)+リモート中心。本社レポーティングパッケージとUS-SOXの資料作成を担当 |
| 復帰2年目 | 時短のままアカウンティングマネージャーに昇格 |
| 本人の言葉 | 「外資系は職務が明確なので、時短でも役割が変わらなかった。本社レポーティングは時間の長さではなく正確さと期限で評価される仕事」 |
同期Pの例で分かるのは、外資系経理の本社レポーティング・US-SOXは「時間の長さではなく正確さと期限」で評価される仕事で、時短勤務と相性がよいことです。
同僚Wの転職の経緯は「USCPAで外資系企業に転職|評価される理由・職種・年収・選考」で、同期Pのライフイベントとの両立は「女性のUSCPAキャリア|出産・育児・転職とどう両立するか」で書いています。
外資系経理に入る準備と、会社の規模別の注意点
外資系経理に入る準備は、①US
GAAPまたはIFRSでの決算・レポーティングの経験を作る(監査法人なら外資系クライアント、日系経理なら海外子会社・IFRS)
②英語で決算の流れを説明できるようにする ③英文レジュメで実績を数値化する
④USCPAで本社への認知を補強する、の4つである。注意点は、小規模な日本法人では一人経理で業務範囲が広く昇進先がないこと、本社の方針で組織再編・レイオフがあること、派遣・契約社員の比率が高い会社があることの3つである。
準備を整理します。
| 準備 | 監査法人出身者 | 日系経理出身者 |
|---|---|---|
| ①US GAAP・IFRSの経験 | 外資系クライアントの担当(レポーティングパッケージ・会計方針の検討) | 海外子会社管理・IFRS適用会社での連結・開示 |
| ②英語で決算を説明 | 監査で見た月次クローズの流れを英語で説明できるようにする | 自社の決算の流れを英語で説明できるようにする |
| ③英文レジュメ | 「Reviewed US GAAP reporting packages of 2 foreign subsidiaries」のように実績を動詞と数値で |
「Reduced month-end close from 10 to 7 business days」のように |
| ④USCPA | 全科目合格またはライセンス | 同左 |
会社の規模別の注意点です。
| 会社の規模 | 経理の体制 | 注意点 |
|---|---|---|
| 大規模な日本法人(数千人) | 経理・FP&A・財務が分かれ、各職階が揃う | 昇進先が明確。競争もある |
| 中規模(数百人) | 経理チーム5〜10名。コントローラー+マネージャー+スタッフ | 同僚W・同期Pの例。職務が空けば昇進しやすい |
| 小規模(数十人) | 一人〜数人の経理。経理・FP&A・総務を兼務 | 業務範囲は広いが昇進先がない。次の転職で「幅」を売る |
| 本社の方針で組織再編 | 全規模 | レイオフ・拠点統合のリスク。経理は営業より影響を受けにくいが、APACへの機能集約で日本法人の経理が縮小する例も |
| 派遣・契約社員の比率 | 全規模 | スタッフ層を派遣・契約で回す会社がある。正社員の職務かを求人票で確認 |
外資系経理の求人は「Senior Accountant」「Accounting
Manager」「Controller」と職階が明記され、必須要件も「US
GAAPでの月次クローズ経験3年」のように具体的です。
会計人材に特化したMS-Japanに登録しておけば、外資系経理の各職階の求人を並べて、自分の経験で応募できる職階と、その会社の規模・経理体制・正社員かどうかを担当者と確認できます。
登録時に「監査法人で外資系クライアント◯年(または海外子会社・IFRSの経理◯年)、US
GAAPのレポーティング経験あり、シニアアカウンタント以上を希望」と具体的に伝えると、該当する求人が早く出てきます。
エージェントの選び方は「USCPA向け転職エージェントおすすめ比較|失敗しない選び方」で、英文レジュメの書き方は「USCPAの履歴書・職務経歴書の書き方|資格欄の正式表記と例文」で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1.
外資系経理はどの職階から入れますか?
経験で決まります。
経理未経験〜3年ならスタッフアカウンタント、監査法人・経理3年以上ならシニアアカウンタント、5〜8年でマネジメント経験があればアカウンティングマネージャーが目安です。
監査法人3年目の同僚W・同期Pはシニアアカウンタントで入りました。
外資系はジョブ型なので、入った職階で評価され、上の職務が空いたときに「できるか」で昇進が決まります。
Q2.
外資系経理の年収はいくらですか?
スタッフ500〜700万円、シニア600〜800万円、アカウンティングマネージャー800〜1,100万円、コントローラー1,100〜1,600万円、ファイナンスディレクター1,400〜2,000万円が目安です。
同僚Wは転職時約15%増、3年目に900万円台、5年目のコントローラーで1,300万円超でした。
企業規模・業界・英語力で変わり、賞与と株式報酬の比率が高い点は日系と違います。
Q3.
日系経理から外資系経理に移れますか?
移れます。
海外子会社管理・IFRS適用会社での連結や開示の経験があり、英語で決算の流れを説明できれば、シニアアカウンタントで応募できます。
日本基準のみの経理から移る場合は、まず海外子会社やIFRSの業務を担当して「本社基準でのレポーティング」に近い経験を作ってからが現実的です。
Q4.
外資系経理で日本の税務はどうしていますか?
顧問税理士と協業するのが一般的です。
外資系経理は本社基準(US
GAAP・IFRS)での月次報告が中心で、日本の法定決算・税務申告は四半期・年次に別途行い、税務は税理士に委託しつつ経理が窓口になります。
USCPAのREGは米国税務のため日本の税務には直接効きませんが、税務申告の流れを理解する必要はあります。
Q5.
コントローラーになるには何が必要ですか?
月次決算の統括、日本の法定決算・税務、US-SOX、監査対応、部下の管理、本社との信頼の6つを一通り担当した実績です。
同僚Wは5年でこの6つを経験し、前任者の退職で職務が空いたときに「できる」と判断されました。
求人票に「CPA (USCPA/JCPA)
preferred/required」と書かれることがあり、USCPAのライセンスは職務要件として効きます。
Q6.
経理からFP&Aに移るにはどうすればいいですか?
社内公募が最も多い道です。
経理にいるうちに予実分析・本社への差異説明・FP&Aへの数値提供を担当し、「経理とFP&Aの橋渡しができる」実績を作ってから、社内公募か転職でFP&Aに移ります。
FP&Aは分析力・事業理解・英語でのプレゼンが求められ、CFOへの最短ルートです。
Q7.
外資系経理はレイオフのリスクがありますか?
あります。
本社の方針で組織再編・拠点統合が起き、APACへの機能集約で日本法人の経理が縮小する例もあります。
ただし経理は日本法人がある限り必要な職務で、営業・マーケティングより影響を受けにくく、日本の労働法上は退職パッケージを提示しての合意退職が一般的です。
常に市場価値を保ち、「転職で職位を上げる機会」と表裏一体と理解しておくことが現実的です。
まとめ:外資系経理は「本社への月次報告」が仕事の中心、USCPAは入口と上で効く
この記事の要点を再掲します。
- 外資系経理の職階はスタッフ→シニア→アカウンティングマネージャー→コントローラー→ファイナンスディレクター→CFO。ジョブ型で、職務が空けば年次に関係なく昇進する
- 仕事の中心は営業日5日以内の月次クローズと本社への英文レポーティング。日系経理との最大の違いは「日本の法定決算より本社への月次報告の方が重い」こと
- 昇進ルートはコントローラー系・FP&A系・APAC/本社系の3つ。CFOへ最も近いのはFP&A系で、経理にいるうちに予実分析・差異説明・FP&Aへの数値提供を担当しておく
- USCPAは採用・昇進での認知、US
GAAPの適用、監査対応、コントローラー以上の職務要件、US-SOXで効き、日本の税務・日次業務・ERP・社内調整では効かない - 同僚Wは監査法人3年→シニア→3年目マネージャー→5年目コントローラー(1,300万円超)。昇進のきっかけは「前任者の異動・退職で職務が空いたときに、できる準備があった」こと。同期Pは時短のままマネージャーに昇格
- 準備はUS
GAAP/IFRSの経験・英語で決算を説明・英文レジュメ・USCPAの4つ。小規模日本法人の一人経理、組織再編、派遣比率に注意
外資系経理は、「締める」力と「本社に伝える」力で評価される仕事です。
まず自分の経験がどの職階の要件に当たるかを求人票で確かめ、監査法人なら外資系クライアント、日系経理なら海外子会社・IFRSの業務で「本社基準でのレポーティング」に近い経験を作るところから始めてみてください。
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| 単位取得 | やや困難 |
ポイント
- 受講料が比較的安価で費用を抑えて
学習開始可能 - 合格お祝い金10万円でコスト負担を軽減
- リスキリング補助金対象講座で
受講料大幅軽減 - 日本の公認会計士試験指導実績を活かした
会計基礎解説 - 新設校ならではの最新設備と学習環境




