この記事でわかること
- 経理・会計職のTOEICは800点で打ち止めにすべき理由と、それ以上を目指すべき3つの例外
- スコア帯別に「開く求人」「必要な追加学習時間」を並べた費用対効果の逓減表
- 職種別の目標点(国内経理・連結・英文経理・外資系・海外駐在)と、そこで止めた場合に何を失うか
- 日本のTOEIC
L&R平均616点(2025年度公開テスト)を基準にした、自分の位置の測り方 - スコアの「賞味期限」と、転職活動から逆算した受験タイミング
- 800点の先にある壁(L&Rでは測れないスピーキング)と、そこへの移り方
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月30日
「経理でTOEICは何点あれば十分か」「800点と900点で扱いは変わるのか」「これ以上スコアを上げる意味はあるのか」と考えている方に向けた記事です。
結論から言うと、経理・会計職のTOEIC
L&Rは800点で打ち止めにして問題ありません。
理由は費用対効果の逓減です。600点から700点に上げるのに200時間前後、700点から800点に250時間前後、800点から900点には400時間以上が目安になる一方、求人票の英語要件は800点前後で頭打ちになるためです。
つまり、800点の先の400時間は、900点を取るより「話す訓練」か「会計の専門性」に投じたほうが回収が早いという判断になります。
例外は3つあります。①900点以上を昇進・駐在の要件にしている企業に在籍している
②新卒・第二新卒で職歴が薄く、スコアで差をつける必要がある
③商社など英語要件が突出して高い業界を狙っている場合です。
この記事では、IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)の公開データと転職エージェントの求人動向をもとに、スコア帯別の費用対効果と、打ち止めの判断基準を整理します。
USCPAとの役割の違いは「USCPAとTOEIC|転職に効くのはどっち?4象限で判断する」、英語力と年収の関係は「USCPA×英語力で年収を上げる掛け算戦略|4段階と実例」で扱っています。
まず自分の位置を知る|日本の平均は616点
TOEIC
L&Rの2025年度の公開テスト平均スコアは616点である。世界のデータにおける日本の平均は564点(リスニング313点・リーディング251点)で、公開テストは自主的に受験する層が中心のため平均が高く出る。この2つの数字を基準にすると、700点台で上位層、800点台で明確な差別化、900点台で希少という位置づけになる。
| 基準 | スコア | 位置づけ |
|---|---|---|
| 世界データにおける日本の平均 | 564点 | 全受験者の平均 |
| 2025年度 公開テスト平均 | 616点 | 自主的に受験する層の平均 |
| 経理求人で問われ始める水準 | 600〜700点台 | 連結・海外子会社管理 |
| 明確な差別化 | 800点台 | 外資系・英文経理の応募要件 |
| 希少性が出る水準 | 900点台 | 商社・駐在・交渉業務 |
出典:IIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS
2026」および2025年の世界データ(2026年8月30日確認)。
自分が「英語ができない」と感じていても、700点あれば上位層です。
問題はスコアそのものではなく、そのスコアで応募できる求人に、自分の行きたい仕事があるかという点になります。
スコア帯別の費用対効果|なぜ800点で打ち止めか
TOEICは高得点になるほど、100点上げるための学習時間が増える一方、求人票の要件は800点前後で頭打ちになる。500→600点は80〜150時間、600→700点は200時間前後、700→800点は250時間前後、800→900点は400時間以上が目安であり、投じた時間に対して開く求人の増え方が800点を境に鈍化する。
| スコア帯 | 追加学習時間の目安 | 新たに開く求人 | 費用対効果 |
|---|---|---|---|
| 〜500点 | ― | 英語要件のない求人のみ | ― |
| 500→600点 | 80〜150時間 | 「英語に抵抗がない」層として見られる | 高い |
| 600→700点 | 200時間前後 | 連結・海外子会社管理の求人 | 高い |
| 700→800点 | 250時間前後 | 外資系経理・英文経理の応募要件を満たす | 高い |
| 800→900点 | 400時間以上 | 商社・駐在・一部のハイクラス求人 | 低い(要件が頭打ち) |
| 900→満点 | 数百時間 | ほぼ増えない | 非常に低い |
800点までは「応募できる求人が増える」ことで投資が回収されます。
一方、800点を超えると求人の増加が鈍り、代わりに問われるのが「話せるか」に移ります。ここでL&Rのスコアを積んでも、面接の英語パートは通過できません。
800点の先の400時間を何に使うか
| 選択肢 | 効果 | 向く人 |
|---|---|---|
| TOEIC 900点を目指す | 求人はほぼ増えない | 昇進・駐在の要件がある人 |
| スピーキングの訓練 | 会議・面接で戦える | 外資系・駐在を狙う人 |
| TOEIC S&W(スピーキング&ライティング) | 話す力をスコアで示せる | 社内で証明が必要な人 |
| 会計の専門性(USCPA・簿記1級・IFRS) | 職種そのものが変わる | 年収を上げたい人 |
| 実務(英語案件に手を挙げる) | 経験として職務経歴書に書ける | すべての人 |
筆者の見解では、800点に到達した会計人の次の一手は「スピーキング」か「会計の専門性」です。
TOEICのスコアをさらに積むより、この2つのほうが職務経歴書の中身が変わります。
英会話の始め方は「会計英語のオンライン英会話比較|8社の違いと繁忙期の続け方」で扱っています。
職種別の目標点|どこで止めるか
目標点は職種で決まる。国内単体決算の経理なら求められないことが多く、連結・海外子会社管理で600〜700点台、英文経理・グローバル本社で700〜800点台、外資系経理で800点以上、海外駐在で800点以上+スピーキングが目安になる。自分の目指す職種の1段階上を目標にするのが現実的である。
| 職種 | 目標点 | 止めた場合に失うもの |
|---|---|---|
| 国内単体決算の経理 | 求められないことが多い | ― |
| 連結決算・海外子会社管理 | 600〜700点台 | 700点未満だと報告パッケージの読解に時間がかかる |
| 英文経理・グローバル本社 | 700〜800点台 | 800点未満だと一部求人の要件に届かない |
| 監査法人(外資系クライアント) | 700点台〜 | アサインの希望が通りにくい |
| 外資系企業の経理・財務 | 800点以上 | 800点未満は書類選考で機械的に落ちる場合がある |
| 海外駐在 | 800点以上+スピーキング | スコアだけでは選ばれない |
| FP&A・経営企画(外資系) | 800点以上 | 会議で議論に入れない |
出典:転職エージェント各社の公開求人(2026年8月時点)。求人ごとに基準は異なります。
業種で見ると、TOEICを応募要件に掲げる求人は商社が突出して多く、次いで電機・精密、メディカル・バイオが続きます。消費財・WEB・コンサルティングでも一定の割合で設定されています。
会計職に限れば、TOEICが要件になる求人=英語で会計の実務をする求人とほぼ一致します。
外資系経理の実像は「外資系経理のキャリアとUSCPA|職階別の仕事・年収・昇進の道」で扱っています。
スコアの「賞味期限」と受験タイミング
TOEICのスコア自体に失効の概念はないが、採用の場面では「2年以内のスコア」を求める企業が一般的である。したがって、転職を考えている人は「取得した時期」から逆算し、活動開始の3〜6ヵ月前に受け直す計画を立てておくのが安全である。
| 場面 | スコアの扱い |
|---|---|
| 転職の応募書類 | 2年以内を求める企業が多い |
| 社内の昇進要件 | 企業により有効期限を設定 |
| 資格手当 | 更新を求める企業がある |
| 履歴書への記載 | 取得年月を併記するのが通例 |
受験タイミングの設計は次のようになります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 転職活動の6ヵ月前 | 現在のスコアを確認。不足なら学習開始 |
| 3ヵ月前 | 受験(結果は約1ヵ月後) |
| 1ヵ月前 | 必要なら再受験 |
| 活動中 | 職務経歴書に取得年月とともに記載 |
「昔800点だった」は使えない場合があるという点に注意してください。
USCPAの学習に入ると1年以上TOEICに手が回らなくなるため、USCPAを始める前にスコアを作っておくと、転職時の再受験が楽になります。
900点を目指すべき3つの例外
費用対効果では800点で打ち止めが合理的だが、①勤務先が900点以上を昇進・駐在の要件にしている
②新卒・第二新卒で職歴が薄い
③商社など英語要件が突出して高い業界を狙っている、の3つに当てはまる場合は900点を目指す価値がある。いずれも「スコアが判断の直接の材料になる」場面である。
| 例外 | なぜ900点が必要か |
|---|---|
| ①社内の昇進・駐在要件 | 制度として点数が定められている。実力の議論の余地がない |
| ②新卒・第二新卒 | 実務経験で差をつけられないため、スコアが判断材料になる |
| ③商社・英語要件の高い業界 | 応募者全体の水準が高く、800点では差がつかない |
逆に、実務経験が3年以上ある経理職が900点を目指すのは、優先順位として低いと考えてください。
その400時間を連結や開示の実務経験、あるいはUSCPA・簿記1級に投じたほうが、職務経歴書の中身が変わります。
経理の資格の優先順位は「経理の転職に有利な資格ランキング|キャリア段階別の3つの順位」で整理しています。
800点の先の壁|L&Rでは測れないもの
TOEIC
L&Rはリスニングとリーディングのテストであり、話す力・書く力は測定されない。会計の実務で最も難しいのは「会議で数字の根拠を説明する」「監査人や本社と期限を交渉する」という場面で、これはL&Rのスコアがいくら高くても保証されない。800点を超えたら、測る対象を変える必要がある。
| 場面 | L&Rで測れるか | 必要なもの |
|---|---|---|
| 英文の報告パッケージを読む | 測れる | リーディング |
| 会議の内容を聞き取る | 測れる | リスニング |
| 英文メールを書く | 部分的 | ライティング |
| 会議で発言する | 測れない | スピーキング |
| 想定外の質問に即答する | 測れない | スピーキング+専門知識 |
| 期限や範囲を交渉する | 測れない | スピーキング+交渉力 |
筆者はTOEIC
700点台前半でUSCPAに合格し、監査法人で外資系クライアントを担当しましたが、電話会議では最初の半年、一言も発言できませんでした。
資料は読めるのに話せない。この状態を解決したのは、スコアを上げることではなく、事前に想定質問と回答を英語で用意して口に出す練習でした。
800点は「読める」ことの証明であって、「話せる」ことの証明ではありません。
話す力をスコアで示したいなら
社内の評価や昇進で「話す力」を示す必要がある場合は、TOEIC
S&W(スピーキング&ライティング)が選択肢になります。
| テスト | 測るもの | 使いどころ |
|---|---|---|
| TOEIC L&R | 聞く・読む | 求人の応募要件、書類選考 |
| TOEIC S&W | 話す・書く | 社内の評価、海外赴任要件 |
企業では内定者や新入社員のレベルチェック、研修の効果測定、海外赴任要件などでS&Wが活用されています。
L&Rが800点を超えたら、S&Wの受験を検討してみてください。
筆者と同期の実際|700点台と600点台からの違い
筆者はUSCPA合格時のTOEICが700点台前半で、そこから大きくスコアを伸ばしてはいません。伸ばす代わりに、英語案件を希望して実務で英語に触れる時間を増やしました。一方、同期Hは600点台から800点台まで伸ばし、転職で年収を上げています。どちらも「スコアを上げること自体」が目的ではなかった点が共通しています。
| 項目 | 筆者 | 同期H |
|---|---|---|
| USCPA合格時のスコア | 700点台前半 | 600点台 |
| その後の行動 | スコアは維持。英語案件を希望 | 英会話+英語案件を同時進行 |
| 3年目 | 外資系クライアント担当 | TOEIC800点台に更新 |
| 4年目 | コンサルへ転職(英語案件の経験が評価) | 日系グローバル企業の本社経理へ転職 |
| 年収の変化 | 転職で1〜2割増 | 約150万円増 |
同期Hのケースで効いたのは「600→800点」の200点でした。ここは求人の要件が変わる帯域だからです。
一方、筆者は700点台のまま実務経験を積む道を選びましたが、転職の面接ではTOEICのスコアを聞かれました。
USCPAを持っていてもTOEICは聞かれるというのが、日本の採用現場の実際です。
自分の場合にスコアと資格のどちらを優先すべきかは、アビタスの無料説明会(アビタスの無料説明会で最新情報を確認する)でUSCPAの学習量を把握したうえで、TOEICの残り時間と比べて判断すると整理しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1.
経理でTOEICは何点あれば十分ですか?
800点が実質的な上限です。
連結・海外子会社管理で600〜700点台、外資系経理・英文経理で800点以上が目安で、求人票の英語要件は800点前後で頭打ちになります。
それ以上のスコアが直接効くのは、社内の昇進・駐在要件で900点以上が定められている場合などに限られます。
Q2.
900点を取ると年収は上がりますか?
スコア単体では上がりません。
調査データでは高スコア層ほど平均年収が高い傾向が示されていますが、これは「英語を使う職種に就いているから年収が高い」という相関であり、スコアが直接年収を押し上げているわけではありません。
年収を動かすのは、そのスコアで応募できる職種に移ったかどうかです。
Q3.
800点から先は何をすればいいですか?
スピーキングか会計の専門性です。
800→900点に必要な400時間以上を、英会話の訓練かUSCPA・簿記1級・IFRS系の学習に投じたほうが、職務経歴書の中身が変わります。
話す力をスコアで示す必要があるなら、TOEIC
S&Wという選択肢もあります。
Q4.
TOEICのスコアに有効期限はありますか?
試験の運営上、スコア自体に失効の概念はありませんが、採用の場面では「2年以内のスコア」を求める企業が一般的です。
転職を考えているなら、活動開始の3〜6ヵ月前に受け直す計画を立ててください。
Q5.
USCPAの学習中にTOEICも受けるべきですか?
USCPAを始める前にスコアを作っておくのが現実的です。
USCPAの学習に入ると1年以上TOEICに手が回らなくなり、転職時に「古いスコア」しか手元にない状態になりがちです。
USCPAの英語教材でリーディング力は伸びるため、学習後に受け直すとスコアが上がっていることも多いという点も覚えておいてください。
Q6.
リスニングとリーディング、どちらを優先すべきですか?
会計の実務ではリーディングが先に効きます。
英文の報告パッケージ・監査指示書・開示資料を読む場面が多く、読解速度がそのまま仕事の速度になります。
ただし、日本の受験者はリーディングのほうが平均が低い傾向にあるため(2025年の世界データで日本はリスニング313点・リーディング251点)、伸びしろもリーディング側にあることが多いです。
Q7.
スコアが伸びません。どうすればいいですか?
目的を確認してください。
応募したい求人の要件を満たしているなら、そこで止めて構いません。
伸び悩んでいる時間を、英語案件への手挙げや会計の専門性に振り向けたほうが、キャリアは前に進みます。筆者自身、700点台のまま実務経験を積む道を選び、転職で年収を上げました。
まとめ:800点で止めて、次の400時間を実務と専門性へ
この記事の要点を再掲します。
- 日本のTOEIC
L&R公開テスト平均は2025年度で616点(世界データにおける日本の平均は564点)。700点台で上位層、800点台で差別化 - 経理・会計職は800点が実質的な上限。求人票の英語要件が800点前後で頭打ちになるため
- 費用対効果は逓減する。600→700点は200時間前後、700→800点は250時間前後、800→900点は400時間以上
- 職種別の目標は、連結・海外子会社管理で600〜700点台、英文経理で700〜800点台、外資系・駐在で800点以上
- 900点を目指す例外は3つ。①社内の昇進・駐在要件
②新卒・第二新卒 ③商社など英語要件の高い業界 - L&Rは「読める」ことの証明であって「話せる」ことの証明ではない。800点を超えたら測る対象をスピーキングに変える
- スコアは2年以内を求める企業が一般的。USCPAを始める前に作っておくと転職時に困らない
TOEICは「何点取るか」ではなく、「何点で止めて、次に何をするか」を決める試験です。
まずは応募したい求人を10件開き、英語要件に書かれている点数の最大値を確認してください。そこがあなたの打ち止め点です。
USCPAおすすめスクール
ランキングTOP3
no.
1
アビタス
総合評価

| 受講料 | 624,800円〜 (実質10万円台) |
| 教材特徴 | 日本語テキスト+英語問題集、図解豊富で初学者OK |
| 講義形式 | 日本語講義、 スモールユニット形式 |
| サポート期間 | 5年間(業界最長) |
| 合格祝い金 | 社会人20万円、 学生15万円 |
| 単位取得 | 簡単(業界最短) |
ポイント
- 日本のUSCPA合格者の
95%がアビタス受講生 - 社会人でも短期合格できるコンパクト教材設計
- 合格お祝い金とリスキリング補助金で
実質10万円台 - AICPA公認の唯一の日本校で
最新試験情報を直接入手 - 5年間サポート期間で安心、
USCPA+プログラムで合格後もサポート
no.
2
TAC
総合評価

| 受講料 | 400,000円〜485,000円 |
| 教材特徴 | オリジナルテキスト+Becker問題集、ボリュームあり |
| 講義形式 | 正統派黒板スタイル講義 |
| サポート期間 | 3年間 |
| 合格祝い金 | なし |
| 単位取得 | やや困難(時間がかかる) |
ポイント
- 長年の資格試験指導ノウハウを活かした
正統派学習スタイル - Becker問題集が使用可能で
実践的な学習ができる - REG・TCP(税務科目)の評判が特に良好
- 質問回答が迅速で的確なサポート体制
- 教育訓練給付制度対象講座で
受講料の一部支給
no.
3
CPA会計学院
総合評価

| 受講料 | 396,000円 |
| 教材特徴 | オリジナルテキスト+U World問題集、BARのみ対応 |
| 講義形式 | 日本語講義(会計知識前提) |
| サポート期間 | 2年間(延長可能) |
| 合格祝い金 | 10万円 |
| 単位取得 | やや困難 |
ポイント
- 受講料が比較的安価で費用を抑えて
学習開始可能 - 合格お祝い金10万円でコスト負担を軽減
- リスキリング補助金対象講座で
受講料大幅軽減 - 日本の公認会計士試験指導実績を活かした
会計基礎解説 - 新設校ならではの最新設備と学習環境




