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管理会計の英語まとめ|論点別の頻出英単語と差異分析

この記事でわかること

  • 管理会計の英語(managerial accounting / management
    accounting)の使い分けと、財務会計との対比で覚える英単語の全体像
  • 原価の分類・原価計算・CVP分析・予算・差異分析・業績評価・意思決定の7論点別に整理した頻出英単語約130語の対応表
  • 日本語の管理会計用語と1対1にならない要注意語(限界利益・直接原価計算・操業度差異・原価企画など)
  • 差異分析で必須のfavorable(F)/unfavorable(U)という、日本語にない概念と書き方
  • 外資系のFP&A会議で実際に飛び交うbridge・walk・run
    rate・LEなどの実務語と、筆者がコンサルで指摘された失敗例

著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。

最終更新日:2026年8月30日

「管理会計の英語は何と言うのか」「英語の予算会議で出てくる用語が分からない」「限界利益や操業度差異は英語でどう言うのか」と困っている方に向けて、管理会計の英単語を論点別に整理した記事です。

結論から言うと、管理会計はmanagerial
accountingまたはmanagement
accountingで、どちらも正しく、米国の教科書はmanagerial、英国系とIMA(米国管理会計士協会)の資格名はmanagementを使う傾向があります。そして実務で本当に必要なのは名称ではなく、原価の分類・CVP・差異分析の3領域の語彙と、日本語にないfavorable
/ unfavorableという表現です。

管理会計の英語が財務会計より難しく感じられるのは、財務諸表のように決まった様式がなく、会社ごとに呼び方が揺れるためです。

一方で、教科書に載る中核の用語は限られており、論点ごとに整理すれば約130語で会話と資料が回ります。

筆者はBIG4監査法人で原価計算の監査を経験し、現在のコンサル会社では外資系企業のFP&A(財務企画)支援に入っています。英語の予算会議に出た初期に、日本の経理の感覚で資料を作って指摘された経験があります。

この記事では、AICPAのBARブループリント、IMA(Institute of Management
Accountants)の公表資料、米国の標準的な管理会計テキストの用語を土台に、論点別の対応表、要注意語、実務フレーズを解説します。

英文会計の基礎は「英文会計入門|USCPAの前に押さえる5つの土台と学習順序」、財務会計側の語彙は「会計英単語100選|BS・PL・仕訳の英語を優先度順に整理」で扱っているので、本記事は「管理会計」に絞ります。

管理会計は英語で何と言う?managerialとmanagementの違い

管理会計の英語はmanagerial accountingとmanagement
accountingの2つで、意味に差はない。米国の大学の科目名・教科書はmanagerial
accountingが多く、英国系の実務・IMAの資格名(Certified Management
Accountant、CMA)・IFAC等の国際的な文書はmanagement
accountingを使う傾向がある。対義語は財務会計=financial
accounting、また原価計算に特化した領域はcost
accountingと呼ぶ。

まず、名称と隣接領域の関係を整理します。

英語 日本語 位置づけ
Managerial accounting 管理会計 米国の教科書・大学科目で主流
Management accounting 管理会計 英国系・IMA(CMA)・国際機関で主流
Cost accounting 原価計算 管理会計のうち原価の測定に特化した領域
Financial accounting 財務会計 外部報告目的。GAAPに準拠
Financial planning & analysis (FP&A) 財務企画・経営企画 予算・予測・業績分析を担う実務の職種名
Controlling / Controllership 管理会計・経理統括 欧州系企業やSAPの文脈で使われる

日本語の「管理会計」に最も近い実務の職種名は、現在ではFP&Aです。

外資系企業の求人でmanagement
accountantという肩書はあまり見かけず、FP&A Analyst、FP&A
Managerという名称が一般的です。

財務会計との違いを英語で説明する型

面接や英語の会議で「管理会計とは何か」を説明する場面は意外に多いため、対比の型を持っておくと便利です。

観点 財務会計 管理会計
利用者 External users(investors, creditors) Internal users(management)
準拠 GAAP / IFRS No prescribed rules
対象期間 Historical(past) Forward-looking(future)
頻度 Quarterly / annually Monthly, weekly, or on demand
単位 Entity-wide Segment, product, department
監査 Audited Not audited

Managerial accounting provides internal users with forward-looking
information for planning and control, whereas financial accounting
reports historical results to external users under GAAP.

この1文を覚えておくと、面接でも会議でも使えます。

英文会計を体系的に学ぶ順番は「英文会計入門|USCPAの前に押さえる5つの土台と学習順序」で解説しています。教材の比較は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」に整理しました。実物を確認したい場合はアビタスの無料説明会(アビタスの無料説明会で最新情報を確認する)でテキストのサンプルを見ることができます。

原価の分類と原価計算の英語は?よく使う用語一覧

原価の分類はcost classification。製造原価の3要素はdirect
materials(直接材料費)、direct labor(直接労務費)、manufacturing
overhead(製造間接費)で、頭文字からDM・DL・MOHと略される。変動費はvariable
cost、固定費はfixed cost、準変動費はmixed(semi-variable)
cost。原価計算の方法は、個別原価計算=job-order
costing、総合原価計算=process costing、活動基準原価計算=activity-based
costing(ABC)、標準原価計算=standard costing。

原価の分類

日本語 英語 補足
直接材料費 Direct materials (DM) 製造原価の3要素
直接労務費 Direct labor (DL) 同上
製造間接費 Manufacturing overhead (MOH) factory overhead、burdenとも
加工費 Conversion costs DL+MOH
基礎原価 Prime costs DM+DL
製品原価 Product costs 棚卸資産に集計される原価
期間原価 Period costs 発生した期に費用計上
販売費及び一般管理費 Selling, general and administrative expenses (SG&A) 期間原価
変動費 Variable cost 操業度に比例
固定費 Fixed cost 操業度に関係なく一定
準変動費・混合費 Mixed cost / Semi-variable cost 高低点法などで分解
段階的固定費 Step cost / Step-fixed cost 一定範囲ごとに増える
直接費 Direct cost 個別に跡付け可能
間接費 Indirect cost 配賦が必要
管理可能費 Controllable cost 責任会計で使う
管理不能費 Uncontrollable cost 同上
機会原価 Opportunity cost 意思決定で使う
埋没原価 Sunk cost 意思決定で無視する
差額原価 Differential cost / Incremental cost 案の比較で使う
回避可能原価 Avoidable cost 撤退判断で使う
標準原価 Standard cost 差異分析の基準
実際原価 Actual cost 同上
予定配賦率 Predetermined overhead rate MOHの配賦に使う
配賦基準 Allocation base / Cost driver ABCではcost driver
原価作用因 Cost driver ABCの中心概念
原価計算単位 Cost object 原価を集計する対象

原価計算の方法

日本語 英語 補足
個別原価計算 Job-order costing 受注生産
総合原価計算 Process costing 大量見込生産
組別・等級別原価計算 Operation costing / Hybrid costing 中間形態
活動基準原価計算 Activity-based costing (ABC) 活動単位で配賦
活動基準原価管理 Activity-based management (ABM) ABCを管理に使う
標準原価計算 Standard costing 差異分析とセット
全部原価計算 Absorption costing / Full costing 外部報告用。固定MOHを製品原価に含める
直接原価計算 Variable costing 内部管理用。固定MOHは期間原価
完成品換算量 Equivalent units of production (EUP) process costingの中心
先入先出法 FIFO method EUPの計算方法
平均法 Weighted-average method 同上
仕損・減損 Spoilage / Shrinkage normalとabnormalを区別
正常仕損 Normal spoilage 製品原価に含める
異常仕損 Abnormal spoilage 期間費用として処理
連産品 Joint products 分離点まで共通
分離点 Split-off point 連産品の分岐点
副産物 By-products 主産物に対して
結合原価 Joint costs 分離点までの原価

日本語の「直接原価計算」がvariable
costingになる点は、必ず引っかかります。

direct
costingという語も存在しますが、米国では古い呼び方とされ、現在の教科書はvariable
costingを使います。

「直接」という日本語につられてdirect costingと言うと、direct
cost(直接費)と混同されるおそれがあります。

原価計算の論点はUSCPAのBARでも出題されます。学習の位置づけは「USCPA BAR頻出論点まとめ|3エリア別の出題傾向と型」で解説しています。

CVP分析・予算の英語は?計算式とセットで覚える

CVP分析はcost-volume-profit
analysis(損益分岐点分析はbreak-even analysis)。限界利益はcontribution
margin(CM)、限界利益率はcontribution margin
ratio、損益分岐点売上高はbreak-even point in sales
dollars、安全余裕率はmargin of safety、営業レバレッジはoperating
leverage。予算はbudget、予算編成はbudgeting、変動予算はflexible
budget、ローリング予測はrolling
forecastである。日本語の「限界利益」をmarginal
profitと訳すと通じにくいため、contribution marginを使う。

CVP分析

日本語 英語 計算式・補足
CVP分析 Cost-volume-profit (CVP) analysis 原価・営業量・利益の関係
損益分岐点分析 Break-even analysis CVPの一部
限界利益 Contribution margin (CM) Sales − Variable costs
単位あたり限界利益 Unit contribution margin Unit price − Unit variable cost
限界利益率 Contribution margin ratio CM ÷ Sales
変動費率 Variable cost ratio 1 − CM ratio
損益分岐点(数量) Break-even point in units Fixed costs ÷ Unit CM
損益分岐点(金額) Break-even point in sales dollars Fixed costs ÷ CM ratio
目標利益達成点 Target profit volume (Fixed costs + Target profit) ÷ Unit CM
安全余裕率 Margin of safety (ratio) (Actual sales − BEP sales) ÷ Actual sales
営業レバレッジ Degree of operating leverage (DOL) CM ÷ Operating income
売上高構成 Sales mix 複数製品のCVPで使う
感度分析 Sensitivity analysis 前提を動かす分析

Contribution
marginは「貢献利益」と訳されることもありますが、日本の実務で言う「限界利益」と同じものです。

英語圏でmarginal
profitと言うと経済学のmarginal(限界)概念と混ざるため、会計の会議ではcontribution
marginを使ってください。

予算と予測

日本語 英語 補足
予算 Budget 承認された計画値
予算編成 Budgeting / Budget planning
総合予算 Master budget 各予算の集合
営業予算 Operating budget 販売・生産・費用
財務予算 Financial budget 資金・設備投資
販売予算 Sales budget 出発点
生産予算 Production budget
現金予算 Cash budget 資金繰り
予算貸借対照表 Budgeted balance sheet 見込B/S
固定予算 Static budget 当初の操業度で固定
変動予算 Flexible budget 実際の操業度に組み替え
ゼロベース予算 Zero-based budgeting (ZBB) 前年度を前提にしない
増分予算 Incremental budgeting 前年度+α
継続予算・ローリング予測 Rolling budget / Rolling forecast 期間をずらして更新
予測・見込 Forecast / Latest estimate (LE) LEは実務の略語
予実対比 Budget-to-actual comparison
着地見込 Full-year outlook / Landing
年初来累計 Year-to-date (YTD)
年換算 Run rate / Annualized

flexible
budget(変動予算)は差異分析の前提となる重要語です。

実際の操業度に予算を組み替えることで、「売れなかったから予算未達」なのか「効率が悪かったから未達」なのかを切り分けられます。

差異分析の英語は?favorable/unfavorableという日本語にない概念

差異はvariance。差異分析はvariance
analysis。最も重要なのは、差異に必ずfavorable(F、有利差異)またはunfavorable(U、不利差異)を付ける習慣で、日本語の「+/−」や「△」では通じない。価格差異=price
variance、数量差異=quantity(usage) variance、賃率差異=labor rate
variance、時間差異=labor efficiency variance、予算差異=spending
variance、操業度差異=volume variance、能率差異=efficiency
variance。

差異の名称

日本語 英語 計算の型
差異 Variance 実際と標準(予算)の差
有利差異 Favorable variance (F) 利益にプラス
不利差異 Unfavorable variance (U) 利益にマイナス
材料価格差異 Materials price variance (実際単価 − 標準単価)× 実際数量
材料数量差異 Materials quantity (usage) variance (実際数量 − 標準数量)× 標準単価
労務賃率差異 Labor rate variance (実際賃率 − 標準賃率)× 実際時間
労務時間差異 Labor efficiency variance (実際時間 − 標準時間)× 標準賃率
変動製造間接費予算差異 Variable overhead spending variance
変動製造間接費能率差異 Variable overhead efficiency variance
固定製造間接費予算差異 Fixed overhead budget (spending) variance 実際発生額 − 予算額
固定製造間接費操業度差異 Fixed overhead volume variance 予算額 − 配賦額
売上高差異 Sales variance
販売価格差異 Sales price variance
販売数量差異 Sales volume variance
売上構成差異 Sales mix variance
市場占有率差異 Market share variance
市場規模差異 Market size variance

価格差異は実際数量を掛け、数量差異は標準単価を掛ける、という組み合わせは英語でも日本語でも同じです。

英語の答案・資料では、金額の後に必ず(F)または(U)を付けます。

The materials price variance was $3,200 U, driven by higher steel
prices.

日本語の資料をそのまま英訳して「−3,200」と書くと、有利なのか不利なのかが読み手に伝わりません。

これは符号の問題ではなく、「不利差異は原価が予算より多い=金額はプラスだが利益にはマイナス」という二重構造があるためです。

差異を説明する動詞とフレーズ

日本語 英語 例文
差異を分析する analyze / break down the variance Let’s break down the variance by product line.
掘り下げる drill down We need to drill down into the labor variance.
要因分解する bridge / walk Can you prepare a bridge from budget to actual?
主因である be driven by 〜 The gap is driven by lower volume.
一時的要因 one-off / one-time item Excluding one-off items, we are on track.
未達である miss the budget / fall short of budget We missed the budget by $1.2 million.
上振れる beat / exceed the budget Revenue beat the forecast by 5%.
注意喚起する flag I flagged the overhead variance to the controller.
予定通り on track We are on track for the full year.

bridgeとwalkは、日本人が最も知らないのに最も使われる語です。

予算と実績の差を「価格の影響+数量の影響+為替の影響」のように棒グラフで分解した資料を、英語ではbridge
chartまたはwalk chartと呼びます。

日本語で「ブリッジを作って」と言われる会社もありますが、由来を知らないまま使っている人も多い語です。

業績評価と意思決定の英語は?責任会計・設備投資の用語

業績評価はperformance
evaluation。責任センターはresponsibility centerで、cost
center(原価センター)、profit center(利益センター)、investment
center(投資センター)に分かれる。指標は、投下資本利益率=return on
investment(ROI)、残余利益=residual income(RI)、経済的付加価値=economic
value added(EVA)、バランスト・スコアカード=balanced
scorecard。設備投資の評価は、正味現在価値=net present
value(NPV)、内部収益率=internal rate of return(IRR)、回収期間=payback
period。

業績評価・責任会計

日本語 英語 補足
責任会計 Responsibility accounting
原価センター Cost center 原価のみ責任
収益センター Revenue center 収益のみ責任
利益センター Profit center 収益と原価
投資センター Investment center 利益と投下資本
投下資本利益率 Return on investment (ROI) Operating income ÷ Invested capital
残余利益 Residual income (RI) Operating income − (Invested capital × 必要利益率)
経済的付加価値 Economic value added (EVA) NOPAT − (資本 × WACC)
資本コスト Cost of capital / Hurdle rate 最低要求利益率
内部振替価格 Transfer price グループ内取引の価格
市価基準 Market-based transfer price
原価基準 Cost-based transfer price
交渉価格 Negotiated transfer price
バランスト・スコアカード Balanced scorecard 財務・顧客・内部プロセス・学習と成長
重要業績評価指標 Key performance indicator (KPI)
ベンチマーキング Benchmarking
品質原価 Cost of quality 予防・評価・内部失敗・外部失敗

意思決定・設備投資

日本語 英語 補足
意思決定 Decision making
関連原価 Relevant costs 意思決定で考慮する原価
無関連原価 Irrelevant costs 埋没原価など
内製か外注か Make-or-buy decision
特別注文の受諾 Special order decision
事業の継続か撤退か Keep-or-drop decision
追加加工の可否 Sell-or-process-further decision 連産品
制約条件 Constraint / Bottleneck
制約理論 Theory of constraints (TOC)
スループット Throughput
設備投資の意思決定 Capital budgeting
正味現在価値 Net present value (NPV)
内部収益率 Internal rate of return (IRR)
回収期間法 Payback period
割引回収期間法 Discounted payback period
収益性指数 Profitability index (PI)
加重平均資本コスト Weighted average cost of capital (WACC)
原価企画 Target costing 目標価格から逆算
カイゼン原価計算 Kaizen costing 日本発の概念で英語でもKaizen
ライフサイクル・コスティング Life-cycle costing
リーン会計 Lean accounting

target costing(原価企画)とkaizen
costing(カイゼン原価計算)は日本発の手法で、英語でもそのまま使われます。

米国の管理会計テキストでは、日本の自動車産業の事例とともに紹介されることが多い用語です。

USCPAとUSCMAのどちらでこの領域を学ぶかは「USCPAとUSCMAの違い|どちらを取るべきか12項目で比較」で比較しています。

筆者がFP&Aの現場で指摘されたことは?英語で通じなかった資料

筆者はコンサル会社で外資系企業のFP&A支援に入っている。英語の予算会議に初めて出たとき、日本の経理の感覚で作った資料が通じなかった経験が3つある。①勘定科目別の差異表を出したが「ドライバーで分けてほしい」と言われた、②差異にF/Uを付けず「−」表記で出した、③「限界利益」をmarginal
profitと訳して聞き返された、の3つである。いずれも単語力ではなく、資料の作法の違いだった。

ここからは筆者の実体験です。

①勘定科目別の差異表が使われなかった

支援に入った当初、月次の予実差異を勘定科目別に並べた表を作りました。

日本の経理では標準的な形式ですが、FP&Aマネージャーからは「これはaccounting
view(会計の見方)で、business
view(事業の見方)ではない」と言われました。

求められていたのは、差異を価格・数量・ミックス・為替といった要因(driver)で分解した表でした。

観点 筆者が作った表 求められた表
行の単位 勘定科目(材料費・労務費・経費) 要因(price / volume / mix / FX / one-off)
目的 どの科目がずれたかを示す なぜずれたかを説明する
使われ方 経理内部の確認 経営会議での説明
英語の呼び名 account-level variance variance bridge / walk

「どの科目か」ではなく「なぜか」を軸に組み替えるのが、英語の予算資料の作法です。

これに気づいてから、bridgeの形式で作り直したところ、そのまま経営会議の資料になりました。

②F/Uを付けなかった

同じ時期に、差異を「△1,200」のようなマイナス表記だけで出したところ、「これはfavorableなのかunfavorableなのか」と確認が入りました。

原価の差異は、金額がプラスでも利益にはマイナスになるため、符号だけでは方向が伝わりません。

表記 伝わるか 理由
△1,200 × 伝わらない 日本語のマイナス記号。英語圏では意味が固定されない
(1,200) △ 部分的 括弧はマイナスを示すが、有利・不利は不明
1,200 U ○ 伝わる 不利差異と明示
1,200 F ○ 伝わる 有利差異と明示

以降、差異を出すときは必ず金額の後に(F)か(U)を付けるようにしました。

③marginal
profitが通じなかった

会議中に「限界利益率が下がっている」と言いたくてmarginal profit
ratioと表現したところ、相手に聞き返されました。

正しくはcontribution margin ratioです。

日本語 通じにくい英語 通じる英語
限界利益 Marginal profit Contribution margin
粗利率 Gross profit ratio Gross margin (%)
予実差異 Budget difference Variance / Budget-to-actual variance
経費 Expense(文脈による) Operating expenses (OPEX)
設備投資 Equipment investment Capital expenditure (CAPEX)
販管費 Selling and admin cost SG&A

日本語の会計用語を直訳すると、意味は伝わっても「その業界の言い方ではない」と受け取られます。

監査の現場で使う言い回しは「監査の英語表現|BIG4の現場で実際に使う用語と型」、監査法人での英語の使用頻度は「監査法人で英語は使う?USCPAが3年で担当した英語業務の実態」でまとめています。

管理会計の英語をどう身につける?3つの実践方法

定着には、①用語を論点別に整理した対応表を1枚持つ、②英語の管理会計テキストか予備校教材で1論点を英語のまま解く、③実際の英語の予算資料・決算説明会資料でフレーズを拾う、の3つが有効。特に②は、USCPAのBARやUSCMAの教材がそのまま使える。日本語で理解済みの論点を英語でもう一度解くだけなので、負担は小さい。

進め方を整理します。

方法 やること 所要時間の目安 効果
①対応表を持つ 本記事の7論点の表を手元に置き、会議前に該当箇所を見る 初回30分 単語が出てこない状態を防ぐ
②英語で1論点解く CVP分析と標準原価差異を英語の問題で解く 各2〜3時間 計算と用語が結びつく
③実物で拾う 米国企業の決算説明会資料(earnings presentation)でbridge
chartを見る
1社1時間 実務のフレーズが入る

②で最初に解くべきなのは、CVP分析と標準原価差異の2つです。

この2論点の語彙は管理会計の会話の大半を占め、ここを英語で処理できるようになると、会議の内容がほぼ追えるようになります。

管理会計を体系的に英語で学ぶなら、USCPAのBAR(ビジネス分析・報告)か、IMAのUSCMAが教材として使えます。USCPAの講座は各校で教材の作り込みが違うため、比較してから選ぶことをおすすめします。観点は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」に整理しました。

教材の実物を見たい場合は、アビタスの無料説明会(アビタスの無料説明会で最新情報を確認する)でテキストのサンプルを確認できます。必要な英語力の目安は「USCPAの英語力|TOEIC何点から?600点台でも受かる理由」を参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. managerial accountingとmanagement
accountingはどちらを使えばよいですか?

どちらも正しく、意味の違いはありません。米国の大学の科目名や教科書はManagerial
Accountingが多く、英国系の実務、IMA(米国管理会計士協会)の資格名Certified
Management Accountant(CMA)、IFACなど国際機関の文書はmanagement
accountingを使う傾向があります。米国企業とのやり取りが中心ならmanagerial
accounting、欧州系やグローバルな文書ならmanagement
accountingを選べば違和感がありません。なお、職種名としてはFP&A(Financial
Planning & Analysis)が最も一般的です。

Q2. 限界利益はmarginal profitではないのですか?

会計の場面ではcontribution
marginを使ってください。marginalは経済学の「限界(1単位追加したときの変化)」を連想させ、会計の会話では通じにくい語です。限界利益率はcontribution
margin ratio、単位あたり限界利益はunit contribution
marginです。なお、日本語では「貢献利益」と訳す教科書もありますが、実務で言う限界利益と同じものを指します。損益分岐点の計算式(固定費÷単位あたり限界利益)は英語でも同じなので、語だけ置き換えれば通じます。

Q3. 差異のfavorable /
unfavorableはどう判定しますか?

利益への影響で判定します。実際の収益が予算より多い、または実際の原価が予算より少ない場合がfavorable(F)、その逆がunfavorable(U)です。原価の差異では「実際
−
標準」がプラスなら原価超過なのでUになります。金額の符号ではなく利益への向きで決まる点に注意してください。英語の資料では金額の直後に(F)または(U)を付けるのが標準で、USCPAの試験でも選択肢がこの形式で提示されます。日本語の「△」表記をそのまま持ち込むと、方向が伝わりません。

Q4. 直接原価計算はdirect costingで通じますか?

通じますが、現在の米国の教科書と実務ではvariable
costingが標準です。direct costingは古い呼び方とされ、direct
cost(直接費)との混同を招きます。対する全部原価計算はabsorption
costing(またはfull
costing)です。両者の違いは固定製造間接費の扱いで、absorption
costingは製品原価に含め、variable
costingは期間原価とします。外部報告(GAAP)ではabsorption
costingが必須で、variable
costingは内部管理目的にのみ使える点も、英語で説明できるようにしておくと役立ちます。

Q5. bridgeやwalkとは何を指しますか?

予算と実績、あるいは前年と当年の差を要因ごとに分解して示した図表のことです。棒グラフの間を要因が階段状につなぐ形になるため、bridge
chart(橋)またはwalk
chart(歩み)と呼ばれます。ウォーターフォールチャート(waterfall
chart)もほぼ同義です。会議では”Can you prepare a bridge from budget to
actual?“のように依頼されます。日本の経理でよく作る勘定科目別の差異表とは発想が違い、価格・数量・ミックス・為替・一時要因といったドライバーで分解する点が特徴です。

Q6. USCPAの試験で管理会計はどの科目に出ますか?

選択科目のBAR(Business Analysis and
Reporting)に、財務分析・予算・差異分析・CVP・原価計算・NPV/IRRといった論点が含まれます。必須科目のFAR・AUD・REGには管理会計はほとんど出ません。管理会計を本格的に学びたい場合は、IMAのUSCMA(米国公認管理会計士)のほうが範囲が広く、Part
1が原価計算・内部統制・技術、Part
2が財務分析・意思決定・リスク管理という構成です。BARの出題傾向は関連記事で詳しく整理しています。

Q7.
英語の予算会議で最低限押さえるべき単語は何個ですか?

30語程度で会議は追えます。優先順位は、budget / forecast / actual /
variance / favorable / unfavorable / contribution margin / gross margin
/ fixed cost / variable cost / OPEX / CAPEX / headcount / run rate / YTD
/ bridge / driver / drill down / one-off / on track / miss / beat / flag
/ allocation / cost center / KPI / breakeven / top-line / bottom-line /
LEの30語です。このうちheadcount(人員数)、run
rate(年換算のペース)、top-line(売上)、bottom-line(最終利益)は教科書に載りにくい実務語なので、意識して覚える価値があります。

まとめ

管理会計の英語について、要点を整理します。

  • 管理会計はmanagerial accountingとmanagement
    accountingの両方が正しい
    。米国の教科書は前者、IMA(CMA)や英国系は後者。実務の職種名はFP&A
  • 製造原価の3要素はDM・DL・MOH。加工費=conversion
    costs、基礎原価=prime costs
  • 直接原価計算はvariable costing(direct
    costingは古い呼び方)、全部原価計算はabsorption costing
  • 限界利益はcontribution margin。marginal
    profitは通じにくい
  • 差異には必ず(F)または(U)を付ける。日本語の「△」表記では有利・不利が伝わらない
  • 価格差異は実際数量を掛け、数量差異は標準単価を掛けるという組み合わせは英語でも同じ
  • bridge / walk / driver / run rate /
    LE
    など、教科書に載らない実務語が会議では頻出する
  • 英語の予算資料は「どの科目がずれたか」ではなく「なぜずれたか(driver)」で組み立てる

管理会計の英語は、財務会計と違って決まった様式がないぶん、会社ごとの言い回しの揺れがあります。

だからこそ、論点別に中核の用語を押さえておくと、初めて入る会社でも会話に追いつけます。

まずはCVP分析と標準原価差異の2論点だけ、英語の問題を解いてみてください。この2つの語彙が入るだけで、英語の予算会議の見え方が変わります。

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PR USCPA/米国公認会計士 国際資格 アビタス
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