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監査法人で英語は使う?USCPAが3年で担当した英語業務の実態

この記事でわかること

  • 監査法人でUSCPAが英語を使うかどうかの結論と、担当クライアント・チームで英語の量がどう変わるか
  • 英語を使う業務を「読む・書く・聞く・話す」の4技能に分けた場面別・頻度別の一覧表
  • 日系国内企業・日系グローバル企業・外資系日本法人・米国上場企業の4分類ごとの英語比率
  • スタッフ1年目からシニア・マネージャーまで、年次で英語の関わり方がどう変わるか
  • 入所時に英会話が苦手だった筆者が、2年目に米国子会社の往査を任されるまでにやったことと、困った場面
  • 英語ができると開ける道(海外赴任・US
    IPO部門・転職)と、英語に自信がない人の入所前後の準備

著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。

最終更新日:2026年8月29日

「USCPAで監査法人に入ると、英語はどのくらい使うのか」「英会話が苦手でも監査法人でやっていけるのか」と気になっている方に向けた記事です。

結論から言うと、監査法人で英語を使うかどうかは担当するクライアントとチームで決まり、日系企業の国内監査ならほぼゼロ、外資系企業や海外子会社を含む案件なら毎日使います。ただしUSCPAは「英語ができる人」として英語案件に配属されやすく、最初に必要になるのは英会話ではなく、英文の資料とメールを読み書きする力です。

筆者は入所時に英会話に自信がありませんでしたが、面接で英語案件を希望したことで外資系クライアントを含むチームに配属され、2年目には米国子会社の往査で現地チームとのやり取りを英語で担当しました。

この記事では、監査法人での英語の使い方を業務・クライアント・年次の3つの軸で整理し、筆者がBIG4の3年間で実際に使った英語と困った場面を具体的に書きます。

監査法人に入る方法そのものは「USCPAで監査法人に入る方法|採用要件・4つの入り方・選考対策」で扱っているので、本記事は「入った後に英語をどう使うか」に絞ります。

目次 閉じる

監査法人でUSCPAは英語を使う?結論は「担当先次第、ただし英語案件に寄せられる」

監査法人での英語の使用頻度は、担当クライアントが日系の国内企業か、海外子会社を持つ日系企業か、外資系の日本法人か、米国上場企業かで決まる。USCPAは採用時点で「英語で会計ができる」と見なされるため、外資系・海外関連の案件に配属される確率が高く、結果として英語を使う場面は日本の公認会計士より多くなる。

まず、監査法人の仕事で英語がどこに出てくるかを、頻度と技能で一覧にします。

英語を使う場面 頻度(英語案件の場合) 主に使う技能 難易度の体感
英文の財務諸表・会計方針・契約書を読む 毎日 読む 低〜中(USCPAの試験英語で対応可)
海外本社・グループ監査チームからの指示書(Group Audit
Instructions)を読む
監査開始時と四半期ごと 読む 中(監査固有の表現が多い)
海外子会社のレポーティングパッケージを検討する 決算期 読む 中
クライアントの外国人経理責任者へ英文メールで資料依頼・質問をする 週数回 書く 中(定型化できる)
海外の監査チーム(コンポーネント監査人・グループ監査人)とメールで調整する 週数回 書く・読む 中
監査調書を英語で作成する 海外チームがレビューする案件で常時 書く 中〜高
マネジメントインタビュー・会議に英語で参加する 月数回 聞く・話す 高
海外子会社への往査で現地スタッフに質問する 年1〜2回 聞く・話す 高
英語での監査報告・クロージングミーティング 期末 聞く・話す 高(シニア以上が中心)

この表で押さえてほしいのは、頻度が高い場面ほど「読む・書く」で、頻度が低い場面ほど「聞く・話す」という構造です。

監査は文書で証拠を残す仕事なので、口頭でのやり取りより、資料とメールと調書に英語が集中します。

英会話に自信がなくても、読む力と書く力があれば英語案件の8割は回ります。

USCPAの学習で身につく英語がどこまで通用するかは後述しますが、少なくとも「英文の財務諸表と会計方針を読む」段階は、試験勉強で鍛えた力がそのまま使えます。

まだUSCPAの学習を始めていない方は、監査法人への就職・転職も含めた資格の使い道をアビタスの無料説明会で確認してから、学習計画を立ててください。

監査法人で英語を使う業務は具体的に何?4技能別に整理

監査法人で英語を使う業務は、①英文資料の読解
②英文メールと英文調書の作成 ③会議・インタビューでの聞き取り
④質問・説明の発話の4つに分かれ、実務で先に必要になる順は読む→書く→聞く→話すである。USCPA試験で鍛えられるのは①だけで、②以降は入所後に身につける。

4技能それぞれで、何を相手に・何を英語で扱うのかを具体化します。

読む:英文財務諸表・会計方針・グループ監査の指示書

英語案件で最初に触れるのは、クライアントや海外の監査チームが作った英文の文書です。

読む文書 誰が作るか 読む目的 USCPA試験との重なり
英文財務諸表・注記 クライアント(外資系日本法人・海外子会社) 数値と開示の検討 高い(FARの用語がそのまま)
グループ会計方針(Group Accounting Manual) 海外本社 日本法人の処理が方針に沿っているかの確認 高い(US GAAP・IFRSの論点)
グループ監査の指示書 海外のグループ監査チーム 何をどこまで監査するか、報告期限、様式の確認 中(監査固有の表現はAUDより実務寄り)
英文契約書(リース・ライセンス・販売契約) クライアント 収益認識・リースの論点検討 中(法律英語が混じる)
海外子会社のレポーティングパッケージ 海外子会社 連結上の数値・調整の検討 高い
海外の監査チームからのレビューコメント グループ監査人 指摘への対応 低い(実務でしか出ない)

グループ監査の指示書は、監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」に基づいてグループ監査人が構成単位の監査人に送る文書で、監査の範囲・重要性の基準値・報告様式・期限が英語で書かれています。

日本法人が海外グループの一部である案件では、この指示書の読み違えがそのまま監査の手戻りになるため、1年目に最初に「精読しろ」と言われる英文がこれでした。

英文財務諸表の読み方は「財務諸表(財務三表)の英語表記|英文BS・PL・CFの読み方」で、会計用語の英語は「会計英単語100選|BS・PL・仕訳の英語を優先度順に整理」で整理しています。

書く:英文メール・英文調書・海外チームへの報告

読むことの次に必要になるのが、英語で書く場面です。

書く文書 相手 内容 定型化のしやすさ
資料依頼メール クライアントの外国人経理責任者 必要資料のリスト、期限 高い(依頼リストは毎年ほぼ同じ)
質問メール クライアント 残高の増減理由、取引の背景 中(質問の型はある)
海外監査チームへの報告メール グループ監査人 手続の進捗、発見事項 中
英文の監査調書 海外チームのレビュアー 手続の内容・結果・結論 中(法人のテンプレートがある)
発見事項・修正仕訳のサマリー グループ監査人・クライアント 金額、内容、修正の要否 高い(様式が決まっている)

英文メールは、過去のメールと法人のテンプレートを元に書けるため、英会話より先に対応できるようになります。

筆者は1年目に、前任者が送った資料依頼メールを保存して、件名・宛先・依頼リストを差し替えて使い回していました。

英文調書は法人のテンプレートに沿って手続と結論を埋める形で、自由に文章を書く場面は少なく、「Procedures
performed」「Results」「Conclusion」の3項目に短い文で書けば足ります。

監査調書とメールで使う表現は「監査の英語表現|BIG4の現場で実際に使う用語と型」でまとめています。

聞く・話す:マネジメントインタビュー・往査・会議

最も難しく、最も遅く必要になるのが、口頭の英語です。

場面 誰と 何を 対応の工夫
マネジメントインタビュー 外国人のCFO・経理部長 事業環境、内部統制、不正リスクの質問 質問項目を事前に英語で作り、答えをメモに落とす
往査での現地スタッフへの質問 海外子会社の経理担当 残高の根拠、証憑の所在 質問リストを事前送付し、当日は確認だけにする
海外監査チームとの電話・Web会議 グループ監査人のシニア・マネージャー 進捗、論点、期限 議題を事前に文書化し、結論をメールで再確認する
クロージングミーティング クライアント経営層+海外本社 監査結果の説明 シニア以上が話し、スタッフは記録

口頭の英語で大事なのは、話す前に文書で準備し、話した後に文書で確定することです。

監査は「言った・言わない」を残せない仕事ではないので、会議の結論は必ずメールで書き起こして相手に送ります。

この運用なら、聞き取れなかった部分をメールで確認でき、英会話の精度が監査の精度に直結することを避けられます。

クライアントの種類で英語の量はどう変わる?4分類で比較

監査法人での英語の量は、担当クライアントが日系国内企業(英語ゼロ)、海外子会社を持つ日系企業(海外チームなら多い)、外資系日本法人(毎日)、米国上場企業(毎日+US
GAAP・PCAOB基準)のどれかでほぼ決まる。USCPAが配属されやすいのは後ろの3つである。

「監査法人で英語を使うか」への答えが人によって違うのは、この4分類のどこにいるかが違うからです。

クライアントの種類 英語の量 使う技能 具体的な業務 USCPAの配属されやすさ
日系の国内企業(海外拠点なし) ほぼゼロ ― 日本語の資料、日本語の調書、日本人の担当者 低い(公認会計士が中心)
海外子会社を持つ日系企業(国内チーム) 少ない 読む 海外子会社の英文パッケージを親会社側で確認する程度 中
海外子会社を持つ日系企業(海外チーム) 多い 読む・書く・聞く・話す 海外子会社の現地監査人への指示、往査、英文の報告 高い
外資系企業の日本法人 多い(毎日) 読む・書く+会議 海外本社の指示書に沿った監査、英文調書、外国人経理責任者との会議 高い
米国上場企業・US IPO準備企業 非常に多い 読む・書く・聞く・話す US GAAP、PCAOB基準、US-SOX対応、英文開示のレビュー 非常に高い

出典:筆者の在籍経験と、USCPAどこのブログ「USCPAが監査法人で働くのに英語力はどれくらい必要?」(2026年5月)の分類を参考に整理

USCPAどこのブログの運営者は、BIG4で通算50社ほどの外資系企業の往査に行った一方、日系のメーカー・ホテル・地方銀行の監査では英語を使う場面が全くなかったと書いています。

筆者の経験も同じで、同じ法人・同じ部署でも、チームが変われば英語の量は「毎日」から「ゼロ」まで振れます。

BIG4は法人によって外資系クライアントの部門の作り方が違うので、配属の仕組みは「BIG4監査法人の違いを比較|規模・年収・働き方・USCPA採用」で確認してください。

USCPAが英語案件に寄せられる理由

USCPAが英語案件に配属されやすいのは、採用側から見て次の理由があるからです。

理由 採用側の見方
試験が全科目英語 英文の会計・監査の文書を読める証明になる
US GAAPを学んでいる 外資系・米国上場企業の処理を理解できる
公認会計士は日本基準の監査に回したい 日本基準の法定監査で署名するのは公認会計士の役割で、英語案件はUSCPAに任せた方が人員配置が合理的
新卒USCPA採用枠の位置づけ 一部の法人ではグローバル対応力を見込んだ採用枠として運用されている

面接で「英語を使う仕事がしたいか」と聞かれたら、この配属方針を前提にした質問だと考えて構いません。

面接での英語の扱いは「監査法人の面接対策と志望動機の作り方|頻出質問15と例文」で解説しています。

年次で英語の関わり方はどう変わる?スタッフからマネージャーまで

英語を使う業務は、スタッフ1〜2年目は「読む・書く」が中心、シニア(3〜5年目)で海外チームとの調整と会議が加わり、マネージャー以上でクライアント経営層と海外本社への説明が中心になる。英会話が本格的に必要になるのはシニア以降で、それまでに読む・書く力を固めれば間に合う。

年次ごとに、英語で何を任されるかを整理します。

年次 役割 英語で任される業務 必要になる技能
スタッフ1年目 実証手続の担当 英文資料の読解、資料依頼メール、英文調書の下書き 読む・書く
スタッフ2年目 担当科目の拡大、インチャージ補佐 海外子会社のパッケージ検討、往査への同行、海外チームとのメール 読む・書く+聞く
シニア(3〜5年目) 現場主査 海外監査チームとの調整会議、マネジメントインタビュー、指示書への回答 4技能
マネージャー(6年目〜) 複数案件の管理 クライアント経営層・海外本社への説明、報告書のレビュー、海外赴任者の受け入れ 話す・書く(交渉)
シニアマネージャー以上 案件責任 海外パートナーとの折衝、提案書 話す(交渉・営業)

この表から分かるのは、入所直後に英会話ができなくても、業務が止まらないことです。

1年目に任される英語は「読んで、決まった型で書く」仕事で、会議で発言する場面は少なく、あっても議事録係です。

年次が上がるほど口頭の英語が増えるため、シニアになる前の2年間で「会議の大筋を追う」「短い質問ができる」段階まで慣らしておくと、その後が楽になります。

1年目の仕事の全体像は「監査法人1年目の仕事内容|USCPA新人の1年間と3年間の変化」で、年次ごとの年収は「監査法人の年収カーブ|スタッフ〜パートナーの職階別相場と実体験」で解説しています。

監査法人で必要な英語力はどれくらい?TOEICの目安と技能別の水準

監査法人の英語案件で必要な英語力は、TOEICで言えば入所時700点前後、英語案件を安定して任されるには800〜900点が目安である。ただし実務で問われるのはスコアではなく、会計・監査の文脈で英文を読み書きできるかで、USCPA試験の英語は「読む」には十分だが「書く・聞く・話す」には足りない。

TOEICの点数は法人の採用ページや転職エージェントの求人票で目安として示されることがありますが、法人・部門・時期で異なるため、応募時に要確認です。

水準 TOEICの目安 できること 監査法人での位置づけ
最低ライン 600〜700点 英文財務諸表と会計方針を辞書を引きながら読める 日系企業中心の案件なら問題なし。外資系案件は読む業務から
標準 700〜800点 英文メールを自分で書ける。指示書を読んで手続を組める 外資系案件のスタッフとして回る
英語案件を安定して任される 800〜900点 会議の大筋を追える。質問と確認が英語でできる 海外チームとの調整を任される
上限なし 900点以上 交渉・説明ができる 海外赴任・US IPO部門の候補

USCPAどこのブログでは、BIG4の外資系クライアント中心の部署で英語案件を多く任されていたのはTOEIC900点以上の人だったと書かれています。

ただし同じ記事が強調するとおり、スコアより「会計・監査の文脈で英語を扱えるか」が実務では重要で、TOEIC900点でも監査用語に慣れていなければ指示書は読めず、逆に700点台でも監査英語に慣れていれば十分に回ります。

USCPA試験の英語で足りるもの・足りないもの

USCPA合格者が入所後に戸惑うのは、「試験の英語」と「実務の英語」のずれです。

技能 USCPA試験で鍛えられるか 実務で追加で必要になるもの
会計用語を読む ○(FAR・AUDでほぼ網羅) 業種固有の用語(製造業のBOM、金融のポジション用語など)
監査用語を読む ○(AUDで基本は網羅) グループ監査の指示書に出る実務表現(component、scoping、clearance、sign-offなど)
英文契約書を読む △(REGの商法で一部) 契約書特有の言い回し、defined termsの追い方
メールを書く ×(試験に英作文はない) 依頼・質問・催促・お礼の定型表現
調書を書く × 法人のテンプレートに沿った手続・結論の書き方
会議で聞く・話す × 数字を口頭で伝える表現、聞き返し方、結論の確認の仕方

2024年の新試験制度で英作文(Written
Communication)が廃止されたため、現行のUSCPA試験は読解のみで、書く・聞く・話すは一切問われません。

試験に合格した時点で読む力は十分にあり、残り3技能は入所後の実務で身につけるものと割り切ってください。

USCPA試験に必要な英語力は「USCPAの英語力|TOEIC何点から?600点台でも受かる理由」で、TOEICとの関係は「USCPAとTOEIC|転職に効くのはどっち?4象限で判断する」で解説しています。

筆者の体験|英会話が苦手だった1年目から米国子会社の往査を任されるまで

筆者は留学経験がなく、入所時は英会話に自信がなかったが、面接で「英語を使う案件を希望する」と伝えて外資系クライアントを含むチームに配属された。1年目は英文資料の読解と資料依頼メール、2年目に海外子会社の連結パッケージの検討と米国子会社の往査を担当し、英語の量は1年目「週に数時間」から2年目「ほぼ毎日」に増えた。

3年間で英語を使った場面の推移

筆者がBIG4の3年間で英語をどう使ったかを、年次ごとに整理します。

年次 担当クライアント 英語を使った業務 できたこと 困ったこと
1年目(4〜12月) 日系製造業(国内)+外資系日本法人1社 外資系クライアントの英文の会計方針・英文財務諸表の読解、資料依頼メール、英文調書の下書き 会計方針を読んで日本法人の処理と照合する。前任者のメールを元に依頼メールを書く 海外本社からの指示書の実務表現(scoping、clearance)が分からず、先輩に1つずつ聞いた
1年目(1〜3月) 同上+期末 海外監査チームからのレビューコメントへの回答 指摘の意味を読み取り、日本語で先輩に相談して英文で返す 返信に1通1時間かかった
2年目 外資系日本法人+海外子会社を持つ日系企業 海外子会社の連結パッケージの検討、現地監査人への質問メール、米国子会社への往査(約1週間) 質問リストを事前に送り、往査当日は確認と追加質問に絞った 現地コントローラーの早口が聞き取れず、聞き返してメモに書いてもらった
3年目 同上(インチャージ補佐) 海外監査チームとの進捗会議、マネジメントインタビューの同席、英文の発見事項サマリー 会議の議題と結論を文書化して回す 会議中の即答が難しく、「確認して今日中にメールする」で切り抜けた

英語の量は、1年目は週に数時間、2年目からはほぼ毎日でした。

2年目の米国子会社の往査で分かったこと

2年目に日系企業の米国子会社への往査に加わったのは、「USCPAだから英語案件を任せやすい」と上司が判断したからで、資格が配属に直接効いた場面です。

往査で筆者が担当したのは、売掛金と棚卸資産の実証手続と、現地の経理担当者へのヒアリングでした。

往査の工程 やったこと 英語で困った場面と対処
出発2週間前 質問リストと必要資料リストを英語で作り、現地に送付 会計用語は書けたが、「いつまでに」「誰が」の依頼表現が硬すぎると先輩に直された
現地1〜2日目 資料の受領と照合、証憑の閲覧 現地の証憑の略語(PO、GRN、BOLなど)が分からず、担当者に一覧を書いてもらった
現地3〜4日目 経理担当者・コントローラーへのヒアリング 早口の説明が追えず、「Could you write down the key
points?」と頼んでメモに残してもらった
現地5日目 発見事項の整理、現地監査人との打ち合わせ 数字の桁を口頭で伝えるのに慣れておらず、画面を見せながら話した
帰国後 英文の調書と発見事項サマリーの作成、日本のチームへの報告 調書はテンプレートに沿って書けた。ここは試験英語が活きた

この往査で分かったのは、英語で困ったのは「話す」ことより「日本語で考えた会計の論点を英語に変換する瞬間」だったことです。

会計用語そのものは知っていても、「この仕訳の相手勘定は何か」「この差異はいつ解消するか」を口頭で聞く言い回しが出てこず、その場で紙に書いてから話しました。

逆に、事前に英語で作った質問リストの範囲は問題なく進み、準備した文書の分だけ英会話の負担を減らせると実感しました。

3年目に転職して感じた「監査法人の英語」の価値

3年目にコンサル会社へ転職した際、面接で評価されたのは英会話の流暢さではなく、「海外子会社の監査で、現地とやり取りしながら論点を整理した経験」でした。

監査法人で身につけた英語は、話す力より「英文の会計文書を読んで論点を見つけ、英語で文書に残す」力で、これが転職市場で「英語で会計ができる」と評価される中身です。

転職の経緯は「監査法人からの転職先7選|3年で辞めた私の選択と判断軸」と「USCPAでコンサルに転職|監査法人3年から移った筆者の体験談」で書いています。

英語ができるとキャリアはどう変わる?開ける道と使わない選択肢

監査法人で英語案件の経験を積むと、海外赴任(2〜3年のグローバルモビリティ)、US
IPO・PCAOB監査部門、外資系企業やFASへの転職といった道が開ける。一方で日系企業の国内監査に絞れば英語を使わずに働くこともでき、USCPAだからといって英語案件を強制されるわけではない。

英語を使う経験がキャリアにどう効くかを、道ごとに整理します。

開ける道 英語の使い方 前提になる経験 備考
海外赴任(BIG4のグローバルモビリティ) 現地法人での監査、日系企業の海外子会社の担当 シニア前後で英語案件の実績があること 期間・派遣先・応募条件は法人ごとに異なるため要確認
US IPO・PCAOB監査部門 US GAAP、PCAOB基準、US-SOXを英語で扱う USCPA+英語案件の経験 USCPAが最も直接的に効く部門
外資系企業の経理・FP&A 本国へのレポーティング、英語での会議 外資系クライアントの監査経験 転職先として人気が高い
FAS・会計アドバイザリー 財務DD、クロスボーダーM&Aの資料 監査経験+英語 英語案件の単価が高い
海外就職 現地の監査法人・企業 英語案件の実績+USCPAのライセンス ビザ要件は国ごとに異なる

英語を使わない選択肢もあります。

日系の国内企業を担当するチームに入れば、USCPAでも英語をほとんど使わずに監査経験を積めます。

ただし、その場合は「USCPAならではの配属」というメリットを手放すことになるため、英語が苦手なら「今は読む・書くまで、聞く・話すはシニアまでに」と段階を決める方が、キャリアの選択肢は広く保てます。

海外赴任の道は「海外駐在への近道としてのUSCPA|駐在候補に選ばれる3条件」で、外資系への転職は「USCPAで外資系企業に転職|評価される理由・職種・年収・選考」で解説しています。

英語に自信がない人はどう準備する?入所前後の優先順位

英語に自信がない人が監査法人に入る前後にやるべきことは、①監査・会計用語の英語を実務レベルで押さえる
②英文メールの型を持つ ③英文調書のテンプレートに慣れる
④会議は「準備と文書化」で補う、の順である。英会話スクールに通うより、実務で出る英語から順に潰す方が効く。

優先順位と、それぞれのやり方を整理します。

優先度 やること 具体的な方法 時期
1 監査・会計用語を実務表現まで広げる USCPAの教材の用語に加え、グループ監査で出る表現(component、materiality、scoping、clearance、sign-off、roll-forward)を覚える 入所前〜1年目
2 英文メールの型を持つ 資料依頼・質問・催促・お礼の4パターンのテンプレートを作り、前任者のメールを保存する 1年目
3 英文調書のテンプレートに慣れる 法人の英文調書のサンプルを読み、「手続・結果・結論」の書き方を覚える 1年目
4 英文財務諸表・注記を速く読む 担当クライアントの前期の英文財務諸表を通読する 配属直後
5 会議は準備と文書化で補う 議題を事前に文書化し、結論をメールで確定する運用を癖にする 2年目〜
6 聞く・話すを慣らす 海外チームとの電話に同席する、往査の質問リストを声に出して練習する 2年目〜シニア

英会話スクールやオンライン英会話は無駄ではありませんが、監査法人で必要な英語は範囲が限られているので、実務で出る場面から順に潰す方が短期間で効きます。

会計英語の基礎は「仕訳の英語|Debit/Creditの考え方と英文仕訳20例」から、監査の実務表現は「監査の英語表現|BIG4の現場で実際に使う用語と型」で学べます。

英語案件を多く扱う法人・部門を選びたい方や、英語を使う配属を前提に転職先を探したい方は、会計人材に特化した転職エージェントで「英語を使う案件の比率」を法人ごとに聞くのが早道です。

MS-Japanに登録すれば、BIG4・準大手それぞれの英語案件の実態や、英語力の目安を求人ベースで確認できます。

エージェントの選び方は「USCPA向け転職エージェントおすすめ比較|失敗しない選び方」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1.
英会話ができないと監査法人に入れませんか?

入れます。

採用面接で見られるのは、TOEICのスコアや海外経験といった「英文を読める根拠」と、コミュニケーション力で、英語面接を課す法人は一部です。

筆者も入所時は英会話に自信がなく、面接では「読む・書くは問題ないが、話すのはこれから」と正直に伝えて採用されました。

入所後しばらくは、英会話が必要な業務は回ってきません。

まず読む・書くで成果を出し、聞く・話すはシニアまでに慣らす、という段階的な考え方で十分です。

Q2.
USCPAだと必ず英語案件に配属されますか?

必ずではありませんが、確率は高いです。

法人は「USCPA=英語で会計ができる」と見て、外資系・海外子会社関連のチームに配属する傾向があります。

面接や配属面談で「英語を使う案件を希望するか」と聞かれることが多く、希望しないと伝えれば日系企業中心のチームに入ることもできます。

ただし、英語案件を避けると、USCPAならではの評価や海外赴任・US
IPO部門といった道は狭まります。

Q3.
監査法人で英語はTOEIC何点あれば足りますか?

入所時は700点前後、英語案件を安定して任されるには800〜900点が目安です。

ただしTOEICはビジネス一般の英語を測る試験で、監査で必要な会計・監査の専門英語とは分野が違います。

TOEIC900点でもグループ監査の指示書が読めない人はいますし、700点台でも監査英語に慣れていれば十分に回ります。

法人が採用時に示す目安は部門や時期で変わるため、応募前に求人票かエージェントで確認してください。

Q4.
USCPA試験の英語は実務でどこまで通用しますか?

「読む」は通用しますが、「書く・聞く・話す」は別に身につける必要があります。

USCPA試験は読解のみで、2024年の新制度から英作文も廃止されているため、合格しても英文メールや調書を書いた経験はゼロの状態です。

会計・監査用語を英語で理解している点は大きな武器なので、入所後はメールの型と調書のテンプレートを覚えることに集中してください。

Q5.
英文の監査調書は毎回書くのですか?

海外の監査チームがレビューする案件では、調書を英語で作成するのが基本です。

外資系日本法人の監査や、日系企業の海外子会社を海外チームが監査する場合が該当します。

日系企業の国内監査では調書は日本語で、英文調書を書く場面はほぼありません。

英文調書は法人のテンプレートに沿って手続・結果・結論を短い文で書く形式で、自由な英作文力は求められません。

Q6.
英語ができる公認会計士とUSCPAでは、どちらが英語案件を任されますか?

どちらも任されますが、配属の優先順位はUSCPAが高い傾向があります。

日本基準の法定監査で署名できるのは公認会計士だけなので、法人は公認会計士を日本基準の監査に厚く配置し、英語案件はUSCPAに任せる方が人員配置として合理的だからです。

筆者のチームでは、海外子会社のパッケージ検討や往査はUSCPAと英語が得意な公認会計士が担当し、日本基準の複雑な論点は公認会計士が中心でした。

資格ごとの役割の違いは「USCPAと日本の公認会計士の違い|どっちを取るべき?」で解説しています。

Q7.
監査法人で英語を使った経験は転職でどう評価されますか?

「英語で会計の文書を読み、論点を整理し、英語で文書に残した経験」として評価されます。

転職市場で見られるのは英会話の流暢さより、外資系や海外子会社の監査で何を担当したかです。

筆者がコンサルへ転職した際も、評価されたのは米国子会社の往査で現地とやり取りしながら論点を整理した経験でした。

外資系企業の経理・FAS・コンサルは、この経験を「英語×会計」の即戦力として見ます。

USCPAの転職市場での評価は「USCPAの転職市場価値|評価される業界・されない業界の実態」で整理しています。

まとめ:監査法人の英語は「担当先次第」、USCPAは読む・書くから始めれば足りる

この記事の要点を再掲します。

  • 監査法人で英語を使うかは担当クライアントとチームで決まる。日系国内企業ならゼロ、外資系・海外子会社関連なら毎日
  • USCPAは英語案件に配属されやすい。法人は「英語で会計ができる」と見て外資系・海外関連のチームに寄せる
  • 英語を使う業務は読む→書く→聞く→話すの順に必要になる。頻度が高いのは英文資料・メール・調書で、会議と往査は年次が上がってから
  • 必要な英語力はTOEIC700点前後から、英語案件を安定して任されるには800〜900点が目安。ただしスコアより監査・会計の文脈で英文を扱えるか
  • USCPA試験の英語で足りるのは「読む」だけ。メール・調書・会議の英語は入所後に身につける
  • 筆者は英会話が苦手な状態で入所し、1年目は英文資料とメール、2年目に海外子会社のパッケージ検討と米国子会社の往査を担当。困ったのは会話より「会計の論点を英語に変換する瞬間」で、準備した文書の分だけ負担が減った
  • 英語案件の経験は海外赴任・US
    IPO部門・外資系やFASへの転職に効く。英語を使わない選択肢もあるが、USCPAならではの道は狭まる

英会話が苦手でも、監査法人で英語を使う仕事は始められます。

まず担当クライアントの前期の英文財務諸表を通読し、資料依頼メールの型を1つ作るところから始めてみてください。

USCPAおすすめスクール
ランキングTOP3

no.

1

アビタス

総合評価

4.7
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受講料624,800円〜
(実質10万円台)
教材特徴日本語テキスト+英語問題集、図解豊富で初学者OK
講義形式日本語講義、
スモールユニット形式
サポート期間5年間(業界最長)
合格祝い金社会人20万円、
学生15万円
単位取得簡単(業界最短)

ポイント

  • 日本のUSCPA合格者の
    95%がアビタス受講生
  • 社会人でも短期合格できるコンパクト教材設計
  • 合格お祝い金とリスキリング補助金で
    実質10万円台
  • AICPA公認の唯一の日本校で
    最新試験情報を直接入手
  • 5年間サポート期間で安心、
    USCPA+プログラムで合格後もサポート

no.

2

TAC

総合評価

3.5
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受講料400,000円〜485,000円
教材特徴オリジナルテキスト+Becker問題集、ボリュームあり
講義形式正統派黒板スタイル講義
サポート期間3年間
合格祝い金なし
単位取得やや困難(時間がかかる)

ポイント

  • 長年の資格試験指導ノウハウを活かした
    正統派学習スタイル
  • Becker問題集が使用可能で
    実践的な学習ができる
  • REG・TCP(税務科目)の評判が特に良好
  • 質問回答が迅速で的確なサポート体制
  • 教育訓練給付制度対象講座で
    受講料の一部支給

no.

3

CPA会計学院

総合評価

2.8
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受講料396,000円
教材特徴オリジナルテキスト+U World問題集、BARのみ対応
講義形式日本語講義(会計知識前提)
サポート期間2年間(延長可能)
合格祝い金10万円
単位取得やや困難

ポイント

  • 受講料が比較的安価で費用を抑えて
    学習開始可能
  • 合格お祝い金10万円でコスト負担を軽減
  • リスキリング補助金対象講座で
    受講料大幅軽減
  • 日本の公認会計士試験指導実績を活かした
    会計基礎解説
  • 新設校ならではの最新設備と学習環境

PR USCPA/米国公認会計士 国際資格 アビタス
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