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キャッシュフロー計算書の英語|3区分と間接法の表現

この記事でわかること

  • キャッシュフロー計算書の英語表記(statement of cash flows)と、cash
    flowsが複数形になる理由・略語(SCF)の使い方
  • 3区分(営業・投資・財務)の英語と、区分見出しで使う「Net cash provided
    by」「Net cash used in」の使い分け
  • 間接法(indirect
    method)の調整項目を英語で並べた対応表と、符号(括弧書き)の読み方
  • 利息・配当の区分がUS
    GAAP・IFRS・日本基準で違う
    という、英文CF計算書で最初に確認すべき論点の比較表
  • 非資金取引・現金及び現金同等物・restricted
    cashなど、注記まわりで必要な英語と、筆者が監査で見た誤訳・符号ミスの実例

著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。

最終更新日:2026年8月30日

「キャッシュフロー計算書は英語で何と書くのか」「間接法の調整項目を英語でどう並べるのか」「英文のCF計算書で利息がなぜ営業活動に入っているのか」と検索している方に向けて、キャッシュフロー計算書の英語を整理した記事です。

結論から言うと、キャッシュフロー計算書は英語でstatement of
cash flows(複数形)、3区分はoperating / investing / financing
activitiesで、区分の合計行はプラスならNet cash provided
by、マイナスならNet cash used
inと書き分けます。そして日本人が英文CF計算書を読むときに最初につまずくのは単語ではなく、利息・配当の区分がUS
GAAP・IFRS・日本基準で違うという構造の差です。

CF計算書は財務三表のなかで最も定型的で、単語さえ分かれば読める部分が多い表です。

一方で、基準ごとの区分ルールの違いを知らないと、同じ会社の営業CFが基準によって変わる理由が分からず、比較を誤ります。

筆者はBIG4監査法人で3年間、日本の子会社が米国・欧州の親会社に提出する英文パッケージのCF計算書を見てきました。そこで最も多かった指摘は、単語の誤訳ではなく符号と区分でした。

この記事では、FASB Accounting Standards Codification(ASC 230)、IAS
7、連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準を一次情報に、表記、3区分、間接法の型、基準差、実務での注意点を解説します。

財務三表全体の英語表記は「財務諸表(財務三表)の英語表記|英文BS・PL・CFの読み方」、基本語彙は「会計英単語100選|BS・PL・仕訳の英語を優先度順に整理」で扱っているので、本記事は「CF計算書」に絞ります。

キャッシュフロー計算書は英語で何と書く?表記と略語

キャッシュフロー計算書の英語はstatement of cash flowsで、cash
flowsは必ず複数形になる。米国企業の10-Kでは複数期間を並べるためconsolidated
statements of cash flows(statementsも複数形)と表記されるのが通例。cash
flow statementという言い方も英国系や日常会話では通じるが、US
GAAP・IFRSの基準書上の名称はstatement of cash
flowsである。略語はSCF、またはCFS。

まず、表記のバリエーションを整理します。

表記 使われる場面 補足
Statement of Cash Flows ASC 230・IAS 7の正式名称 最も無難。cash flowsは複数形
Consolidated Statements of Cash Flows 米国企業の10-K・連結財務諸表 3期分を並べるためstatementsも複数形
Cash Flow Statement 英国系の実務・日常会話 通じるが基準書の名称ではない
SCF / CFS 社内メール・監査調書 文脈が明らかな場合のみ

cash
flowsが複数形になるのは、資金の流れが営業・投資・財務の3本あるためと説明されます。

一方、単数のcash
flowは「キャッシュフロー」という概念そのもの、あるいは特定の1本の流れを指し、free
cash flow(フリー・キャッシュフロー)のように使います。

なお、フリー・キャッシュフローはUS
GAAP・IFRSのいずれにも定義がなく、non-GAAP
measure(非GAAP指標)
として扱われる点は覚えておくと役に立ちます。

英文会計の学び方の全体像は「英文会計入門|USCPAの前に押さえる5つの土台と学習順序」で解説しています。教材の中身から選びたい場合は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」、実物を見たい場合はアビタスの無料説明会(アビタスの無料説明会で最新情報を確認する)でテキストのサンプルを確認できます。

3区分の英語と「provided
by / used in」はどう使い分ける?

3区分はCash flows from operating
activities(営業活動によるキャッシュフロー)、investing
activities(投資活動)、financing
activities(財務活動)。各区分の合計行は、金額がプラス(資金の増加)ならNet
cash provided by 〜、マイナス(資金の減少)ならNet cash used in
〜と書き分ける。両方あり得る場合はNet cash provided by (used in)
〜と併記する。この書き分けは日本語のCF計算書にない習慣で、日本人が最も書けない部分である。

区分の見出しと合計行の型を並べます。

日本語 英語
営業活動によるキャッシュ・フロー(区分見出し) Cash flows from operating activities
投資活動によるキャッシュ・フロー(区分見出し) Cash flows from investing activities
財務活動によるキャッシュ・フロー(区分見出し) Cash flows from financing activities
営業活動によるキャッシュ・フロー(合計・プラス) Net cash provided by operating activities
投資活動によるキャッシュ・フロー(合計・マイナス) Net cash used in investing activities
どちらもあり得る場合 Net cash provided by (used in) financing activities
現金及び現金同等物の増減額 Net increase (decrease) in cash and cash equivalents
現金及び現金同等物の期首残高 Cash and cash equivalents at beginning of period (year)
現金及び現金同等物の期末残高 Cash and cash equivalents at end of period (year)
為替変動による現金及び現金同等物への影響額 Effect of exchange rate changes on cash and cash equivalents

provided byは「〜によって供給された」、used
inは「〜で使われた」で、符号そのものを言葉で表しています。

投資活動は設備投資が中心なので通常マイナスとなり、used
inが定型です。

営業活動は通常プラスなのでprovided byが定型ですが、赤字企業ではused
inになります。

各区分に何が入るか

区分の中身は3基準でおおむね共通ですが、代表的な項目の英語を押さえておくと、英文CF計算書はほぼ読めるようになります。

区分 代表的な項目(日本語) 英語
営業 税引前当期純利益 Income before income taxes / Profit before tax
営業 減価償却費 Depreciation and amortization
営業 売上債権の増減額 (Increase) decrease in accounts receivable
営業 棚卸資産の増減額 (Increase) decrease in inventories
営業 仕入債務の増減額 Increase (decrease) in accounts payable
営業 法人税等の支払額 Income taxes paid
投資 有形固定資産の取得による支出 Purchases of property, plant and equipment
投資 有形固定資産の売却による収入 Proceeds from sales of property, plant and equipment
投資 子会社株式の取得による支出 Payments for acquisition of subsidiaries, net of cash acquired
投資 投資有価証券の取得による支出 Purchases of investment securities
財務 短期借入金の純増減額 Net increase (decrease) in short-term borrowings
財務 長期借入れによる収入 Proceeds from long-term debt
財務 長期借入金の返済による支出 Repayments of long-term debt
財務 配当金の支払額 Dividends paid
財務 自己株式の取得による支出 Purchases of treasury stock

「収入」はProceeds from 〜、「支出」はPurchases of
〜またはPayments for 〜、「返済」はRepayments of
〜が定型です。

このProceeds / Purchases / Payments /
Repaymentsの4語を押さえると、投資・財務区分の行はほぼ書けます。

貸借対照表・損益計算書の科目名は「財務諸表(財務三表)の英語表記|英文BS・PL・CFの読み方」に一覧があります。

間接法(indirect
method)の英語と符号はどう読む?

間接法はindirect method、直接法はdirect
method。間接法は税引前当期純利益から出発し、非資金項目を足し戻し(add
back)、運転資本の増減(changes in working
capital)を加減して営業CFを算出する。英文では、資産の増加と負債の減少が括弧書き(マイナス)、資産の減少と負債の増加がプラスになり、行の名称は「(Increase)
decrease in 〜」のように両方を併記するのが標準である。

間接法の調整項目を、日本語・英語・符号の3列で整理します。

調整項目(日本語) 英語 符号の考え方
減価償却費 Depreciation and amortization + 非資金費用を足し戻す(add back)
のれん償却額・減損損失 Amortization of goodwill / Impairment loss + 同上
貸倒引当金の増減額 Provision for credit losses / Increase in allowance for credit
losses
+ 繰入額は非資金
退職給付に係る負債の増減額 Increase (decrease) in net pension liability +/− 負債の増加は+
受取利息及び受取配当金 Interest and dividend income − 営業利益に含まれない収益を控除
支払利息 Interest expense + 後で実際の支払額を別行で控除
固定資産売却損益 Loss (gain) on sales of property, plant and equipment +/− 投資区分に振り替えるため損は+、益は−
売上債権の増減額 (Increase) decrease in accounts receivable 資産の増加は−(現金が入っていない)
棚卸資産の増減額 (Increase) decrease in inventories 同上
前払費用の増減額 (Increase) decrease in prepaid expenses 同上
仕入債務の増減額 Increase (decrease) in accounts payable 負債の増加は+(現金を払っていない)
未払費用の増減額 Increase (decrease) in accrued expenses 同上
小計 Subtotal 日本基準の様式に特有
利息及び配当金の受取額 Interest and dividends received 実際の受取額
利息の支払額 Interest paid 実際の支払額
法人税等の支払額 Income taxes paid 実際の支払額

英語の行名は「(Increase) decrease in
〜」のように括弧を先に置くのが標準で、括弧内が金額をマイナス表示するケースを示します。

売上債権の増加は「まだ現金が入っていない」ので営業CFのマイナス、仕入債務の増加は「まだ現金を払っていない」ので営業CFのプラスです。

日本語の様式では「売上債権の増減額(△は増加)」と注記しますが、英語では行名そのものが符号を説明しています。

add
back・changes in working capitalという言い方

実務の会話で頻出するのが、add backとchanges in working
capitalです。

表現 意味 使い方
add back 足し戻す We add back depreciation because it is a non-cash expense.
non-cash item 非資金項目 Impairment losses are non-cash items.
changes in working capital 運転資本の増減 Operating cash flow decreased due to changes in working
capital.
reconcile A to B AをBに調整する The indirect method reconciles net income to operating cash
flow.
cash conversion 利益の現金化 Cash conversion was below 80% this year.

reconcileという動詞は、CF計算書の説明で必ず使います。

ASC 230もIAS
7も、間接法を「純利益を営業活動によるキャッシュフローに調整(reconcile)する方法」と説明しています。

利息・配当はどの区分に入る?US
GAAP・IFRS・日本基準の比較

英文CF計算書を読むときに最初に確認すべきなのは、利息と配当の区分である。US
GAAP(ASC
230)は受取利息・受取配当・支払利息をすべて営業活動、支払配当を財務活動に固定する。IFRS(IAS
7)は選択を認め、受取利息・受取配当は営業か投資、支払利息・支払配当は営業か財務のいずれかを継続適用する。日本基準は2つの方法を認め、①受取利息・受取配当金・支払利息を営業、支払配当金を財務とする方法と、②受取利息・受取配当金を投資、支払利息・支払配当金を財務とする方法から選ぶ。この違いにより、同じ会社でも基準によって営業CFの金額が変わる。

3基準の比較を表にします。

項目 US GAAP(ASC 230) IFRS(IAS 7) 日本基準
受取利息 営業(固定) 営業または投資(選択・継続適用) 営業または投資(方法の選択)
受取配当金 営業(固定) 営業または投資(選択・継続適用) 営業または投資(方法の選択)
支払利息 営業(固定) 営業または財務(選択・継続適用) 営業または財務(方法の選択)
支払配当金 財務(固定) 営業または財務(選択・継続適用) 財務(いずれの方法でも財務)
法人税の支払 営業(固定) 原則営業。投資・財務に明確に紐づく場合はそちら 営業
直接法・間接法 直接法を推奨するが間接法が実務の大半。直接法採用時は間接法による調整表の開示が必要 直接法を推奨。間接法も可 どちらも可。実務は間接法が大半
現金同等物 取得日から3ヵ月以内に満期が到来する短期投資が目安 通常3ヵ月以内 取得日から3ヵ月以内に満期が到来する短期投資
使途制限のある現金 restricted cashを含めた合計で増減を表示(ASU 2016-18) 現金同等物の定義に該当するかで判断 拘束預金は原則として現金同等物に含めない

出典:FASB ASC 230(Statement of Cash Flows)、ASU 2016-18「Restricted
Cash」、IAS 7「Statement of Cash
Flows」、企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」。

この表で最も実務に効くのは、US
GAAPが「支払利息=営業活動」で固定されている点です。

日本企業がIFRSで支払利息を財務活動に区分している場合、US
GAAPベースに組み替えると営業CFが支払利息の分だけ減ります。

英文の決算資料で「営業CFが同業他社より低い」と見えるときは、まず区分方針(会計方針の注記)を確認するのが定石です。

USGAAPとIFRSの差異全体は「USGAAPとIFRSの違い|10の論点と2027年に広がる差」で整理しています。

注記まわりで必要な英語は?非資金取引と現金同等物

CF計算書の本体だけでなく、注記の英語も押さえておく必要がある。頻出は、非資金取引=noncash
investing and financing activities、補足情報=supplemental disclosures of
cash flow information、現金及び現金同等物=cash and cash
equivalents、使途制限のある現金=restricted cash、当座借越=bank
overdrafts。US
GAAPは利息の支払額と法人税等の支払額を、間接法採用時に補足情報として開示することを求めている。

注記で使う語を整理します。

日本語 英語 内容
補足情報 Supplemental disclosures of cash flow information 利息・法人税等の支払額など
非資金取引 Noncash investing and financing activities 現金を伴わない重要な取引
現物出資による資産取得 Assets acquired in exchange for equity 非資金取引の例
ファイナンスリースによる資産取得 Right-of-use assets obtained in exchange for lease liabilities 非資金取引の例
株式交換による企業結合 Business combination through share exchange 非資金取引の例
現金及び現金同等物 Cash and cash equivalents 取得日から3ヵ月以内に満期が到来する短期投資
使途制限のある現金 Restricted cash US GAAPでは合計に含めて表示(ASU 2016-18)
当座借越 Bank overdrafts IFRSでは現金同等物に含める場合がある
現金及び現金同等物の調整表 Reconciliation of cash, cash equivalents and restricted cash B/Sの各行との突合表
期首残高・期末残高 Beginning balance / Ending balance roll-forwardの両端

非資金取引(noncash investing and financing
activities)は、日本語の様式では「重要な非資金取引」として注記される項目です。

新リース基準の適用後は、使用権資産の計上が非資金取引の代表例として毎期記載されるようになりました。

リース会計の考え方は「リース会計をわかりやすく|新基準の考え方と3基準の違い」で解説しています。

筆者が監査で見た誤りは?英文CF計算書の実例3つ

筆者はBIG4監査法人で3年間、日本の子会社が作る英文CF計算書をレビューする場面を見てきた。実際に指摘された誤りは、①区分合計をすべてNet
cash provided byで統一してしまう、②「(Increase) decrease in
inventories」の符号を日本語様式の△表記のまま持ち込む、③支払利息の区分を親会社の基準に合わせず日本基準のまま提出する、の3つが典型だった。単語の誤訳より、符号と区分の誤りのほうがはるかに多い。

ここからは筆者の実体験です。

①投資活動もprovided
byにしてしまう

最初に担当した3月決算の子会社では、3つの区分の合計行がすべてNet
cash provided by 〜
で統一されていました。

投資活動は設備投資でマイナスなので、正しくはNet cash used in
investing activitiesです。

親会社のレビュアーからは「数字を見ずに行名だけ読むと逆に読める」と指摘されました。

区分 当初の表記 修正後 理由
営業活動(プラス) Net cash provided by operating activities 同左 正しい
投資活動(マイナス) Net cash provided by investing activities Net cash used in investing activities 資金が流出しているため
財務活動(年により変動) Net cash provided by financing activities Net cash provided by (used in) financing activities 期によって符号が変わるため併記

日本語のCF計算書には「収入・支出」を行名で区別する習慣がないため、ここは翻訳では気づけません。

②符号の持ち込みミス

別の会社では、日本語の様式にある「棚卸資産の増減額(△は増加)」をそのまま英訳し、Increase
(decrease) in
inventories
という行名でマイナス表示していました。

英語の慣行では、資産項目は括弧を先に置いて(Increase) decrease
in
inventories
とし、括弧が付いた側がマイナスであることを示します。

項目 誤った行名 正しい行名 判断基準
棚卸資産 Increase (decrease) in inventories (Increase) decrease in inventories 資産は増加がマイナス
売上債権 Increase (decrease) in accounts receivable (Increase) decrease in accounts receivable 同上
仕入債務 (Increase) decrease in accounts payable Increase (decrease) in accounts payable 負債は増加がプラス

「資産は括弧が先、負債は括弧が後」と覚えると、迷いません。

このルールを1行のメモにして経理部に共有したところ、翌期以降この指摘はなくなりました。

③区分方針を親会社に合わせていない

3年目に担当した会社は、日本基準で支払利息を営業活動、受取利息を投資活動に区分していましたが、米国親会社への提出時にそのまま出していました。

US
GAAPでは受取利息も営業活動なので、組替(reclassification)が必要でした。

金額は小さかったものの、営業CFと投資CFの両方がずれるため、親会社側の連結で差異が出ます。

項目 子会社の当初区分 US GAAPでの区分 対応
受取利息 投資活動 営業活動 組替
受取配当金 投資活動 営業活動 組替
支払利息 営業活動 営業活動 変更なし
支払配当金 財務活動 財務活動 変更なし

このときの学びは、英文の財務諸表を作る作業は翻訳ではなく、相手の基準への組替が本体だということでした。

監査の現場で使う言い回し全般は「監査の英語表現|BIG4の現場で実際に使う用語と型」でまとめています。監査法人で英語をどの程度使うかは「監査法人で英語は使う?USCPAが3年で担当した英語業務の実態」を参照してください。

CF計算書の英語をどう定着させる?実物で確認する3ステップ

定着の近道は、単語帳ではなく実物の英文CF計算書を読むこと。①米国企業の10-KをSEC
EDGARで開き、Consolidated Statements of Cash
Flowsの3区分の行名を写す、②日本企業の英文決算短信・英文有価証券報告書で同じ表を開き、行名を突き合わせる、③会計方針の注記で利息・配当の区分を確認する、の3ステップで、単語と構造が同時に入る。いずれも無料でできる。

進め方を整理します。

ステップ やること 所要時間の目安 確認するポイント
①米国企業の10-K SEC EDGARで1社を開き、CF計算書の行名を書き出す 1時間 provided by / used inの使い分け、括弧の位置
②日本企業の英文開示 同業の日本企業の英文開示で同じ表を開く 1時間 日本語様式との行の対応、小計の有無
③会計方針の注記 Cash and cash equivalentsの定義と利息・配当の区分を読む 30分 3ヵ月ルール、restricted cashの扱い

②で「日本基準の様式にはSubtotal(小計)があるが、US
GAAPの様式にはない」ことに気づけると、両者の構造の違いが理解できます。

日本基準のCF計算書は、営業区分に小計を置き、その下に利息・配当・法人税等の実際の受払額を並べる独特の様式です。

USCPAのFARでは、CF計算書は「貸借対照表の増減と損益計算書から間接法の営業CFを算定する」形式でTBS(記述式問題)にも出題される頻出論点です。学習の位置づけは「USCPA FAR頻出論点10|連結・リース・政府会計の優先順位」を参照してください。

英語での会計学習をこれから始めるなら、USCPAの講座がそのまま英文会計の教材になります。教材と用語集の比較は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」に整理しました。実物を確認したい場合は、アビタスの無料説明会(アビタスの無料説明会で最新情報を確認する)でテキストのサンプルを見ることができます。必要な英語力の目安は「USCPAの英語力|TOEIC何点から?600点台でも受かる理由」が参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. cash flow statementとstatement of cash
flowsはどちらが正しいですか?

どちらも通じますが、基準書の正式名称はstatement of cash flowsです。US
GAAPのASC 230もIFRSのIAS
7も、この名称を使っています。米国企業の年次報告書では複数期間を並べるため、Consolidated
Statements of Cash Flowsとstatementsも複数形にするのが通例です。cash
flow
statementは英国系の実務や日常会話で広く使われており、誤りではありませんが、財務諸表の見出しとして書くならstatement
of cash flowsを選ぶのが無難です。なお、cash
flowsが複数形になる点は、単数形で書くと違和感を持たれるので注意してください。

Q2. provided byとused
inは必ず使い分ける必要がありますか?

実務では使い分けるのが標準です。金額がプラスならNet cash provided by
〜、マイナスならNet cash used in
〜と書きます。期によって符号が変わる可能性がある区分は、Net cash
provided by (used in)
〜と併記するのが一般的で、米国企業の10-Kでもこの併記がよく見られます。3区分すべてをprovided
byで統一すると、行名と数字が矛盾して見えるため、レビューで指摘されやすい箇所です。日本語の様式にはこの区別がないため、意識して覚える必要があります。

Q3.
間接法と直接法は英語で何と言い、どちらが主流ですか?

間接法はindirect method、直接法はdirect methodです。ASC 230もIAS
7も直接法を推奨していますが、実務では圧倒的に間接法が主流で、米国企業・日本企業とも大半が間接法を採用しています。理由は、直接法は営業収入・仕入支出などの総額データを集計する必要があり、作成コストが高いためです。なお、US
GAAPでは直接法を採用した場合、純利益から営業CFへの調整表(間接法による調整)を別途開示することが求められるため、二重の作業になる点も採用が進まない理由の一つです。

Q4.
英文CF計算書の括弧はすべてマイナスという意味ですか?

金額欄の括弧はマイナスを表します。ただし行名にある括弧は意味が違い、「その項目が増加の場合と減少の場合の両方があり得る」ことを示しています。たとえば(Increase)
decrease in accounts
receivableは、売上債権が増加したらマイナス、減少したらプラスという意味です。資産項目は括弧が先(増加がマイナス)、負債項目は括弧が後(増加がプラス)という配置が標準で、この順序自体が符号のルールを説明しています。金額の括弧と行名の括弧を混同しないでください。

Q5.
英文CF計算書で支払利息が営業活動に入っているのはなぜですか?

US GAAP(ASC
230)では、支払利息を営業活動に区分すると定めているためです。受取利息・受取配当金も営業活動で、財務活動に入るのは支払配当金だけです。IFRS(IAS
7)では選択が認められ、支払利息を財務活動に区分することもできます。日本基準も2つの方法から選択できます。したがって、営業CFを企業間で比較するときは、まず会計方針の注記で区分方針を確認する必要があります。基準が違う企業の営業CFを、注記を見ずに単純比較するのは危険です。

Q6. restricted
cashは英文CF計算書でどう扱われますか?

US GAAPでは、ASU
2016-18により、現金及び現金同等物に使途制限のある現金(restricted
cash)を含めた合計額の増減を表示します。CF計算書の期首・期末残高はこの合計額となり、貸借対照表の複数の行との対応関係を示す調整表(Reconciliation
of cash, cash equivalents and restricted
cash)を開示します。IFRSでは現金同等物の定義に該当するかで判断し、日本基準では拘束預金は原則として現金同等物に含めません。基準ごとに扱いが違うため、期末残高がB/Sの現金預金と一致しない場合は、まずここを確認してください。

Q7.
USCPAの試験ではCF計算書はどのように出題されますか?

FAR(財務会計)の頻出論点で、多肢選択式に加えてTBS(記述式問題)でも1問まるごと出題されます。典型は、貸借対照表の2期比較と損益計算書を与えられ、間接法で営業活動によるキャッシュフローを算定する形式です。得点源にするには、非資金費用の足し戻し、運転資本の増減の符号、投資・財務区分への振り替え(固定資産売却損益など)の3つを型として押さえることが必要です。利息・配当の区分はUS
GAAPで固定されているため、選択肢を消す判断材料としてそのまま使えます。

まとめ

キャッシュフロー計算書の英語について、要点を整理します。

  • 正式名称はstatement of cash flows(cash
    flowsは複数形)。連結ではConsolidated Statements of Cash Flows
  • 3区分はoperating / investing / financing
    activities
    。合計行はプラスがNet cash provided by、マイナスがNet
    cash used in、変動する区分は併記
  • 収入はProceeds from、支出はPurchases of / Payments
    for、返済はRepayments of
    の4語で投資・財務区分はほぼ書ける
  • 間接法の行名は「資産は括弧が先、負債は括弧が後」。(Increase)
    decrease in inventories、Increase (decrease) in accounts payable
  • 利息・配当の区分は基準で違う。US
    GAAPは受取利息・受取配当・支払利息が営業で固定、IFRSと日本基準は選択制。営業CFを比較する前に会計方針の注記を確認する
  • 注記の必須語はnoncash investing and financing
    activities、supplemental disclosures、restricted cash
  • 英文の財務諸表作成は翻訳ではなく組替(reclassification)が本体。相手の基準での区分を先に確認する

CF計算書は財務三表のなかで最も定型的で、単語と符号のルールを覚えれば読み書きできる表です。

逆に、基準ごとの区分の違いを知らないまま数字だけを比べると、営業CFの水準を誤って評価します。

まずは気になる米国企業の10-Kを1社開いて、Consolidated Statements of
Cash
Flowsの行名を上から書き写してみてください。この記事の表と突き合わせるだけで、必要な語はほぼ揃います。

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