この記事でわかること
- ライセンスに必要な実務経験の中身|「監査経験」でなくても経理・税務・財務で認められる州とその条件
- ワシントン州・グアムの実務経験要件(期間・時間・内容・証明者)|2026年8月時点
- 実務経験を証明(サイン)してもらう人の条件と、直属の上司でなくてもよい州の扱い
- 証明者の探し方(社内・社外・予備校ネットワーク)と、依頼するときの伝え方・用意する情報
- BIG4で先輩ホルダーに依頼した筆者の実例と、事業会社の経理で証明者に困った知人の対処法
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月28日
「USCPAのライセンスに必要な実務経験は、監査でないとダメなのか」「サインしてくれるUSCPAが周りにいない」と困っていませんか。
結論から言うと、ワシントン州とグアムでは、日本の事業会社の経理・財務・税務でも実務経験として認められ、証明者(サインする人)はUSCPAライセンスホルダーであれば直属の上司でなくても、社外の人でも構いません(ワシントン州)。証明者は「探せば見つかる」もので、合格時点から動けば事業会社勤務でも確保できます。
実務経験の要件は、ライセンス取得で最も「人によって状況が違う」部分です。
筆者はBIG4監査法人で監査の実務経験を積み、同じ部署の先輩ホルダーに証明してもらってワシントン州のライセンスを取りました。
一方、事業会社の経理にいる知人は「社内にホルダーがいない」ところから始めて、社外の証明者を確保しています。
この記事では、実務経験の要件と証明者の条件、そして依頼の実際を、両方の実例を交えて整理します。
ライセンスの実務経験要件とは?結論は「州が定める会計関連の実務を一定期間」
実務経験要件とは、ライセンス取得のために州のBOA(会計士委員会)が求める「会計に関わる実務を一定期間(多くは1〜2年)行い、資格を持つ証明者にその事実を証明してもらう」要件です。期間・内容・証明者の条件は州ごとに違います。
要件を分解すると、確認すべきことは4つです。
| 確認項目 | 内容 | なぜ重要か |
|---|---|---|
| ①期間・時間 | 1年(2,000時間目安)か2年か。フルタイム換算か | 自分の職歴で足りているかが決まる |
| ②内容 | 監査限定か、経理・税務・財務・アドバイザリーも可か | 事業会社の経理で取れるかが決まる |
| ③場所 | 米国内の経験に限るか、日本の経験でも可か | 日本在住者が取れるかが決まる |
| ④証明者 | 直属の上司限定か、社外のホルダーでも可か。USCPAに限るか | 証明者を探せるかが決まる |
多くの州は「②監査中心」「③米国内」「④直属の上司がUSCPA」を求めており、日本の事業会社にいる人にはほぼ不可能な条件です。
日本在住者がライセンスを取るなら、この4項目が緩いワシントン州かグアムに絞られる、というのが実態です。
ライセンス全体の要件と流れは「USCPAライセンス取得の要件と流れ|合格後にやること」で解説しています。
自分の職歴が要件を満たすかは、受験の出願州を決める段階で確認しておくと手戻りがありません。
アビタスの無料説明会では出願州とライセンス州をセットで相談できるので、受験前に「自分の職歴で取れる州」を聞いておくのが確実です。
ワシントン州とグアムの実務経験要件|日本の経理でも認められる
ワシントン州は、会計・監査・税務・経理・財務・アドバイザリーなど会計に関わる実務を1年(2,000時間目安)または2年(2025年11月改定の120単位ルート)、証明者はUSCPAホルダーなら直属外・社外でも可です。グアムも日本の監査以外の実務を認めており、日本在住者はこの2つが現実的です。
2026年8月時点の要件を整理します(要件は改定されるため、申請前に必ず各州BOAの公式情報で確認してください)。
| 項目 | ワシントン州 | グアム |
|---|---|---|
| 期間 | 1年(150単位ルート・大学院ルート)または2年(120単位ルート、2025年11月20日改定) | 1年が目安(要確認) |
| 時間の目安 | 1年=2,000時間 | 要確認 |
| 内容 | 会計・監査・税務・経理・財務・アドバイザリーなど会計に関わる実務。監査法人以外の事業会社でも可 | 日本の企業で積んだ監査以外の実務(経理など)も可 |
| 場所 | 日本の実務でも可 | 日本の実務でも可 |
| 証明者 | USCPAライセンスホルダー。直属の上司である必要はなく、社外の人でも可 | CPAによる証明(条件は要確認) |
| 他州合格からの移行 | 可(合格実績をワシントン州に移してライセンス取得) | 可(要確認) |
出典:アビタス公式「各州受験資格について」、USCPAどこのブログ(2026年1月)、USCPA取得ナビ、ワシントン州BOA
ワシントン州で特に重要なのは、「証明者が直属の上司である必要がない」点です。
これにより、社内にホルダーがいない事業会社の経理でも、社外のホルダーに証明を依頼してライセンスを取れます。
ワシントン州の受験資格から見た詳細は「ワシントン州のUSCPA|受験資格とライセンス要件・更新まで解説」で、グアムは「USCPAグアム出願のメリット・デメリット|見込み受験と注意点」で解説しています。
実務経験として認められる仕事・認められない仕事
認められるのは、経理(仕訳・決算・連結)、財務、税務申告、監査、内部監査、会計アドバイザリー、FP&Aなど「会計の知識を使って行う業務」です。認められにくいのは、営業・一般事務・会計と無関係なシステム開発など、会計知識を主として使わない業務です。
ワシントン州の基準を前提に、職務別に整理します(最終判断はBOAが行うため、迷う場合は申請前に確認してください)。
| 職務 | 認められる可能性 | 補足 |
|---|---|---|
| 監査法人の監査業務 | 高い | 最も分かりやすい |
| 事業会社の経理(仕訳・決算・連結・開示) | 高い | 日本基準の経理でも可 |
| 財務(資金管理・予算・FP&A) | 高い | 会計知識を使う業務として認められやすい |
| 税務(申告・税務コンサル) | 高い | 税理士法人・会計事務所の実務も含む |
| 内部監査・内部統制(J-SOX) | 高い | 会計と統制の知識を使う |
| 会計アドバイザリー・FAS | 高い | デューデリジェンス、IFRS導入支援など |
| 経理部門のシステム担当(会計システム) | 中 | 会計知識をどの程度使うかで判断 |
| 営業・マーケティング・一般事務 | 低い | 会計知識を主として使わない |
ポイントは、「監査法人にいたか」ではなく「会計の知識を使う業務を一定期間やったか」です。
事業会社の経理で1〜2年働いた人は、ワシントン州の要件を満たす可能性が高いと考えてください。
不安がある場合は、業務内容を英語で説明できるように整理しておくと、証明者にもBOAにも伝えやすくなります。
証明者(サインする人)の条件|直属の上司でなくてもいい
ワシントン州の証明者の条件は「USCPAライセンスホルダーであること」だけで、直属の上司でも、同僚でも、社外の知人でも構いません。ただし証明者は「あなたがその実務を行ったことを知っている」立場である必要があり、面識のない人に依頼するのは現実的ではありません。
証明者の条件を整理します。
| 条件 | ワシントン州 | 多くの他州 |
|---|---|---|
| 資格 | USCPAライセンスホルダー(Active) | 同左、または州のCPA |
| 関係 | 直属の上司でなくてよい。社外でも可 | 直属の上司を求める州が多い |
| 知っているべきこと | 申請者の実務内容と期間を確認できること | 直接監督していること |
「社外でも可」は、あくまであなたの実務内容を確認できる人という前提です。
具体的には次のような人が現実的な証明者です。
- 同じ会社・同じ部署のホルダー:最も依頼しやすい。監査法人ならほぼ確実にいる
- 同じ会社の別部署のホルダー:業務内容を説明して確認してもらう
- 前職の上司・同僚のホルダー:前職の経験を証明してもらう場合
- 社外の知人・予備校の合格者ネットワークのホルダー:業務内容を資料で説明し、確認してもらう
- 取引先の監査法人・会計事務所のホルダー:自社の経理業務を直接見ている立場なので、事情によっては依頼できる
証明者には、あなたの実務内容を確認した上で、州の様式(Experience
Affidavitなど)に署名してもらいます。
証明者に「嘘を書く」負担をかけないためにも、実務内容は正確に、証明できる範囲で伝えるのが原則です。
証明者の探し方と依頼の仕方|用意する情報と伝え方
探す順番は、①社内(同部署→他部署) ②前職
③予備校の合格者ネットワーク・知人
④取引先のホルダー、です。依頼するときは、実務内容・期間・時間の概算、州の様式、証明者に必要な情報(ライセンス番号など)を先に整理して、相手の負担を最小にしてください。
探す順番
- 社内で探す:人事や経理部門に「USCPAホルダーはいるか」を聞く。監査法人・会計事務所ならほぼいる。事業会社でも経理・財務・内部監査にいることがある
- 前職を当たる:前職の上司・同僚にホルダーがいれば、前職の経験を証明してもらえる
- 予備校の合格者ネットワーク:アビタスなど予備校には合格者のコミュニティやスタディグループがあり、証明者を紹介し合う例がある
- 知人・取引先:監査を受けている監査法人の担当者、顧問の会計事務所などにホルダーがいれば、業務内容を直接知っている立場として依頼できる場合がある
依頼するときに用意する情報
| 用意するもの | 内容 |
|---|---|
| 実務内容の一覧 | 担当業務を英語で箇条書き(例:monthly closing, consolidation, tax filing support) |
| 期間と時間 | 在籍期間、週あたりの勤務時間、会計業務の割合。1年=2,000時間の目安との対比 |
| 州の様式 | ワシントン州BOAの実務経験証明の様式(最新版を公式サイトから) |
| 証明者に必要な情報 | 証明者のライセンス番号・州・有効期限。事前に確認できるか聞く |
| 依頼文 | 目的(ライセンス申請)、頼みたいこと(様式への署名)、所要時間(15〜30分程度)、期限 |
伝え方の例
依頼の要点は「何のために・何を・どれくらいの負担で」を先に伝えることです。
「ワシントン州のUSCPAライセンス申請のため、実務経験の証明をお願いできないでしょうか。様式は用意しており、私の業務内容と期間をまとめた資料も添付します。ご確認と署名に15〜30分ほどいただければと思います。」
このように、証明者の作業を最小にした状態で依頼すると、快く受けてもらいやすくなります。
筆者の実例と、事業会社の知人の対処法
筆者はBIG4の監査部門にいたので、同じ部署にホルダーの先輩が複数いました。
依頼したのは、同じチームで監査を一緒にやっていた先輩で、業務内容を直接知っている立場だったため、様式と期間の一覧を渡して署名までは1週間で終わりました。
一方、事業会社の経理にいる知人は、社内にホルダーが一人もいませんでした。
彼が取ったのは、予備校の合格者コミュニティで同じ業界のホルダーを探し、業務内容を英語の資料にまとめて説明した上で証明を依頼する方法です。
面識がない状態から始めたため、オンラインで2回打ち合わせをして業務内容を確認してもらい、署名まで約1ヵ月かかりました。
「社内にいない」は諦める理由にはならず、「時間がかかる」に変わるだけです。
合格時点から動けば、実務経験が溜まる頃には証明者が確保できています。
合格後の全体の動きは「USCPA全科目合格後にやること7つ|ライセンス・転職・次の一手」で解説しています。
実務経験でつまずく3つのパターンと対策
つまずくのは、①受験州が日本の実務を認めない
②実務経験の期間・内容が足りるか分からない
③証明者を探し始めるのが遅い、の3つです。①はワシントン州への移行、②は業務内容の英語での整理、③は合格時点で動くことで解決します。
| つまずき | 何が起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| ①受験州で日本の実務が認められない | 合格したのにライセンスが取れず、州を移す手続きが発生 | 最初からワシントン州で受験する。既に他州なら合格実績を移す |
| ②要件を満たすか分からない | 経理の業務が「会計関連」に当たるか不安で申請が止まる | 業務内容を英語で箇条書きにし、会計知識を使う業務の割合を明確にする。迷う場合はBOAに確認 |
| ③証明者を探すのが遅い | 実務経験が溜まったのに証明者がおらず、申請が数ヵ月遅れる | 全科目合格した時点で「誰に頼むか」を決め、事前に打診しておく |
3つとも、受験の出願州を決める段階と、全科目合格の時点で動いておけば避けられます。
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よくある質問(FAQ)
Q1.
監査法人の経験がなくてもライセンスは取れますか?
取れます。ワシントン州とグアムは、事業会社の経理・財務・税務・内部監査など、会計の知識を使う実務を認めています。「監査法人にいたか」ではなく「会計関連の実務を一定期間やったか」が基準で、日本基準の経理でも問題ありません。ただし他の多くの州は監査経験や米国内の経験を求めるため、州選びが重要です。
Q2.
実務経験は全科目合格の前の分も含められますか?
州によりますが、ワシントン州では合格前の実務経験も認められる扱いです(申請前に最新の公式情報で確認してください)。既に経理で数年働いている人は、合格した時点で実務要件を満たしている可能性があり、証明者さえ確保できればすぐに申請できます。
Q3.
証明者は直属の上司でないとダメですか?
ワシントン州は直属の上司である必要はなく、社外のUSCPAライセンスホルダーでも構いません。ただし、あなたの実務内容と期間を確認できる立場であることが前提です。他の多くの州は直属の上司による証明を求めるため、日本在住で社内にホルダーがいない人はワシントン州が現実的です。
Q4.
社内にUSCPAホルダーがいません。どうすればいいですか?
社外で探してください。前職の上司・同僚、予備校の合格者ネットワーク、知人、取引先の監査法人・会計事務所のホルダーが候補です。業務内容を英語の資料にまとめ、オンラインで確認してもらった上で証明を依頼する方法で、事業会社の経理でも取得した例があります。合格時点から動けば1〜2ヵ月で確保できます。
Q5.
証明者に頼むとき、何を渡せばいいですか?
州の証明様式(最新版)、担当業務の英語の箇条書き、在籍期間と会計業務の時間の概算(1年=2,000時間の目安との対比)、証明者に必要な情報(ライセンス番号など)の確認依頼、の4点です。証明者の作業を15〜30分で終わる状態にしてから依頼すると、快く受けてもらいやすくなります。
Q6.
パートタイムや週数日の勤務でも実務経験になりますか?
時間換算で判断されることが多く、ワシントン州は1年=2,000時間が目安です。パートタイムの場合、実際の時間を積み上げて2,000時間に達するまでの期間が「1年分」と扱われる可能性があります。個別の扱いは州のBOAに確認してください。
Q7.
実務経験が要件に足りない場合はどうなりますか?
足りるまで待つか、州を変えるかの2択です。ワシントン州の2025年11月改定で「120単位+実務2年」「150単位+実務1年」など複数ルートになったため、単位と実務経験の組み合わせで自分に合うルートを選べます。合格実績は有効期限内であればライセンス申請まで待てるので、実務経験を積みながら準備してください。
まとめ|実務経験は「会計関連ならOK」、証明者は「探せば見つかる」
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 実務経験要件は期間・内容・場所・証明者の4項目で州ごとに違う。日本在住者はワシントン州かグアムが現実的
- ワシントン州は会計関連の実務(経理・財務・税務・監査など)を1〜2年、日本の実務でも可、証明者は社外のUSCPAホルダーでも可
- 認められるのは会計知識を使う業務。監査法人でなくても事業会社の経理で取れる
- 証明者は社内→前職→予備校ネットワーク→取引先の順で探し、業務内容の英語資料・様式・期間の概算を用意して負担を最小にして依頼する
- つまずきは受験州の選択・要件の不安・証明者探しの遅れ。受験前の州選びと合格時点の行動で回避できる
実務経験の証明は、要件を知り、証明者を早めに確保すれば難しい手続きではありません。
全科目合格した日に「誰に頼むか」を決めることから始めてください。
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予備校の比較は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」をどうぞ。
USCPAおすすめスクール
ランキングTOP3
no.
1
アビタス
総合評価

| 受講料 | 624,800円〜 (実質10万円台) |
| 教材特徴 | 日本語テキスト+英語問題集、図解豊富で初学者OK |
| 講義形式 | 日本語講義、 スモールユニット形式 |
| サポート期間 | 5年間(業界最長) |
| 合格祝い金 | 社会人20万円、 学生15万円 |
| 単位取得 | 簡単(業界最短) |
ポイント
- 日本のUSCPA合格者の
95%がアビタス受講生 - 社会人でも短期合格できるコンパクト教材設計
- 合格お祝い金とリスキリング補助金で
実質10万円台 - AICPA公認の唯一の日本校で
最新試験情報を直接入手 - 5年間サポート期間で安心、
USCPA+プログラムで合格後もサポート
no.
2
TAC
総合評価

| 受講料 | 400,000円〜485,000円 |
| 教材特徴 | オリジナルテキスト+Becker問題集、ボリュームあり |
| 講義形式 | 正統派黒板スタイル講義 |
| サポート期間 | 3年間 |
| 合格祝い金 | なし |
| 単位取得 | やや困難(時間がかかる) |
ポイント
- 長年の資格試験指導ノウハウを活かした
正統派学習スタイル - Becker問題集が使用可能で
実践的な学習ができる - REG・TCP(税務科目)の評判が特に良好
- 質問回答が迅速で的確なサポート体制
- 教育訓練給付制度対象講座で
受講料の一部支給
no.
3
CPA会計学院
総合評価

| 受講料 | 396,000円 |
| 教材特徴 | オリジナルテキスト+U World問題集、BARのみ対応 |
| 講義形式 | 日本語講義(会計知識前提) |
| サポート期間 | 2年間(延長可能) |
| 合格祝い金 | 10万円 |
| 単位取得 | やや困難 |
ポイント
- 受講料が比較的安価で費用を抑えて
学習開始可能 - 合格お祝い金10万円でコスト負担を軽減
- リスキリング補助金対象講座で
受講料大幅軽減 - 日本の公認会計士試験指導実績を活かした
会計基礎解説 - 新設校ならではの最新設備と学習環境




