この記事でわかること
- 全科目合格の直後にやるべき7つのこと(順番つき)|合格証明の保存からライセンス・転職・次の学習まで
- 「ライセンスを取る・取らない」「転職する・しない」を決める判断基準
- 合格後に動くタイミング|20代・30代・実務経験の有無で変わる優先順位
- 合格後に伸ばすと市場価値が上がる3つの力(英語・実務・IT)
- 在学中に合格してBIG4→コンサルへ進んだ筆者が、合格直後にやったこと・やらなくて後悔したこと
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月28日
「USCPAに全科目合格した。次は何をすればいいのか」「ライセンスと転職、どちらを先に動くべきか」と考えていませんか。
結論から言うと、全科目合格後にやることは、①合格の記録を保存する
②ライセンス州の要件を確認する ③実務経験の証明者を決める
④転職エージェントに登録して市場価値を確認する
⑤履歴書・職務経歴書を更新する ⑥英語・実務・ITの次の一手を決める
⑦倫理試験とライセンス申請、の7つです。順番の鍵は「ライセンスの準備」と「市場価値の確認」を並行して始めることです。
合格はゴールではなく、キャリアを動かすための材料が揃った状態です。
筆者は在学中に全科目合格し、新卒でBIG4監査法人に入り、3年後にコンサルに移りました。
合格直後にやっておいてよかったことと、やらずに後悔したことの両方があります。
この記事では、7つのやることを順番と判断基準つきで整理し、筆者の実体験を添えます。
全科目合格後にやることは?結論は「記録・ライセンス準備・市場価値の確認を並行」
合格後の7つは、①記録の保存 ②ライセンス州の要件確認
③証明者の確保 ④エージェント登録 ⑤経歴書の更新 ⑥次の一手の決定
⑦倫理試験と申請、です。①〜③はライセンスの準備、④〜⑤は市場価値の確認で、この2系統を同時に走らせると合格後の1〜3ヵ月で次のキャリアが動き始めます。
全科目合格とは、USCPA試験の4科目(FAR・AUD・REG+選択1科目)すべてに合格し、州の会計士委員会(BOA)からライセンス申請の資格を得た状態です。
7つを時系列で整理します。
| 順番 | やること | 所要 | 目的 |
|---|---|---|---|
| ① | 合格の記録(スコアレポート・合格通知)を保存する | 当日 | 転職・ライセンス申請の証拠 |
| ② | ライセンスを取る州と要件を確認する | 1週間 | 単位・実務経験・倫理試験の要否を把握 |
| ③ | 実務経験の証明者を決めて打診する | 1〜4週間 | 実務経験が溜まった瞬間に申請できる状態に |
| ④ | 転職エージェントに登録して市場価値を確認する | 1週間 | 合格で開いた求人と年収帯を知る |
| ⑤ | 履歴書・職務経歴書・LinkedInを更新する | 数日 | 「USCPA全科目合格」を正確に記載 |
| ⑥ | 英語・実務・ITのどれを伸ばすか決める | 合格後1ヵ月以内 | 市場価値を上げる次の一手 |
| ⑦ | 倫理試験を受け、ライセンスを申請する | 実務経験が揃い次第 | 正式に「USCPA」を名乗る |
②③⑦がライセンス系統、④⑤⑥が市場価値系統で、どちらか一方を後回しにしないのが要点です。
合格直後は達成感で動きが止まりやすいのですが、この時期に④で市場価値を数字で見ておくと、次の判断が具体的になります。
USCPA・管理部門に特化したMS-Japanの無料登録は、「全科目合格」を登録した時点で開く求人の相場を確認する最も早い方法です。
①合格の記録を保存する|スコアレポートと合格通知は消える前に
最後の科目の合格が分かったら、その日のうちにスコアレポートと合格通知のPDFを保存してください。NASBAのサイト上の表示は永久ではなく、転職・ライセンス申請で提出を求められることがあります。
保存しておくべきもの:
- 各科目のスコアレポート(4科目分。合格日と点数が記載)
- 合格通知(Congratulatory
letter等):州や時期により形式が異なる - NTS(受験票)と受験予約の記録:受験履歴の証拠として
- 出願時の書類(学歴評価の結果、出願州の受理通知):ライセンス申請で再提出することがある
筆者は最後の科目の合格を確認した日に、全科目のスコアレポートをPDFで保存しました。
監査法人の入所手続きとライセンス申請の両方で提出したので、この作業は合格当日にやっておいて正解でした。
②ライセンスを取る州と要件を確認する|「取らない」判断もここで
合格後1週間以内に、ライセンスを取る州(受験州のままか、ワシントン州などに移すか)と、単位・実務経験・倫理試験の要否を確認してください。「ライセンスを取らない」判断も、要件を知った上で決めるべきです。
確認すること:
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験州でライセンスが取れるか | 日本の実務経験・日本在住で取れる州か。取れなければワシントン州などへの移行を検討 |
| 単位要件 | 150単位が必要か、ワシントン州の120単位+実務2年ルート(2025年11月〜)が使えるか |
| 実務経験要件 | 期間(1〜2年)、内容(会計関連の実務)、証明者の条件 |
| 倫理試験の要否 | AICPA倫理試験が必要な州か |
ライセンスを取るかどうかの判断基準は、「名刺・署名・海外・コンサルで肩書きとして使う場面があるか」です。
日本の監査法人・事業会社で働く限りは全科目合格で評価は十分ですが、取れる環境にいるうちに取っておくと、後で海外案件やコンサルに動くときに困りません。
要件と流れは「USCPAライセンス取得の要件と流れ|合格後にやること」で解説しています。
③実務経験の証明者を決めて打診する|合格時点で決めるのが最速
ライセンスの実務経験証明は、USCPAライセンスホルダーの署名が必要です。合格した時点で「誰に頼むか」を決めて打診しておくと、実務経験が要件に達した瞬間に申請できます。社内にいなければ社外・予備校ネットワークで探します。
証明者の探し方の順番:
- 社内(同部署→他部署)のホルダー
- 前職の上司・同僚
- 予備校の合格者ネットワーク・知人
- 取引先の監査法人・会計事務所のホルダー
筆者がやらずに後悔したのはここです。
監査法人に入ってから証明者を探したので結果的にすぐ見つかりましたが、合格時点で決めていれば、実務経験が1年に達した月に申請できました。
事業会社の経理にいる人ほど、この打診は早く始めてください。
証明者の探し方と依頼の仕方は「USCPAライセンスの実務経験要件とサインの依頼方法」で詳しく解説しています。
④転職エージェントに登録して市場価値を確認する|転職しなくても登録する
転職するかどうかに関わらず、合格後1週間以内に特化型エージェントに登録して、「全科目合格」で開く求人と年収帯を確認してください。市場価値を数字で知ることが、ライセンス・転職・現職残留のすべての判断の土台になります。
登録の目的は「転職すること」ではなく「相場を知ること」です。
| 状況 | 登録で分かること | その後の判断 |
|---|---|---|
| 現職に留まるつもり | 今の年収が市場より低いか高いか。社内異動で国際案件に行く価値 | 留まるなら異動の交渉材料に |
| 転職を考えている | 監査法人・FAS・外資系経理のどこに応募できるか、年収帯 | 応募先の優先順位を決める |
| 迷っている | 「合格で何が開いたか」が具体的に見える | 判断の材料が揃う |
登録時は「USCPA全科目合格(◯年◯月)」と正確に記載し、ライセンス取得予定があればその旨も書きます。
筆者は新卒で監査法人に入ったのでこの段階での登録はしませんでしたが、コンサルに転職するときに特化型エージェントで「監査3年+USCPA+英語」の相場を確認したことで、応募先と年収交渉の基準ができました。
相場を知らないまま転職活動を始めると、最初に紹介された求人が「相場」に見えてしまいます。
エージェントの選び方は「USCPA向け転職エージェントおすすめ比較|失敗しない選び方」で解説しています。
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⑤履歴書・職務経歴書・LinkedInを更新する|「合格」と「取得」を書き分ける
履歴書には「USCPA(米国公認会計士)試験
全科目合格(◯年◯月)」と書き、ライセンス取得後は「USCPA(ワシントン州ライセンス取得、◯年◯月)」に更新します。「USCPA取得」「USCPA保有」と書くとライセンス保持者と誤解され、経歴の正確性を問われることがあります。
書き方の整理:
| 状態 | 履歴書の表記例 | 注意 |
|---|---|---|
| 全科目合格・ライセンス未取得 | USCPA(米国公認会計士)試験 全科目合格(2026年8月) | 「取得」「保有」とは書かない |
| ライセンス取得後 | USCPA(米国公認会計士)ワシントン州ライセンス取得(2027年◯月) | 州名と取得年月を明記 |
| 科目合格の段階 | USCPA試験 FAR・AUD科目合格、残り2科目◯月受験予定 | 合格科目と予定を明記 |
英語のプロフィール(LinkedIn等)では、全科目合格は “Passed all four
sections of the US CPA Exam”、ライセンス取得後は “CPA (Washington
State)” のように書き分けます。
海外案件や外資系の採用担当者は、この書き分けを見て正確さを判断します。
科目合格の書き方は「USCPA科目合格の価値|履歴書に書ける?評価と書き方」で解説しています。
⑥次の一手を決める|英語・実務・ITのどれを伸ばすか
合格後に市場価値を上げる次の一手は、①英語(業務で使えるレベルへ)
②実務経験(監査・IFRS・海外子会社)
③IT・データ(システム統制・データ分析)、の3つです。合格後1ヵ月以内にどれを優先するか決めると、合格の勢いを次の成長につなげられます。
| 伸ばす力 | なぜ市場価値が上がるか | 具体策 |
|---|---|---|
| ①英語 | USCPAの需要は英語とセット。英語で会計を扱えることが評価の中心 | 英文の会計資料を読み続ける。海外拠点とのやり取りに手を挙げる。TOEIC・ビジネス英語の底上げ |
| ②実務経験 | 資格だけでは年収は上がらない。監査・IFRS・海外子会社の経験が年収を動かす | 監査法人の国際部門、IFRS導入プロジェクト、連結・海外子会社管理に関わる |
| ③IT・データ | 監査も経理もシステムとデータの評価に移行。AI時代に残る領域 | データ分析ツール、会計システム、内部統制のIT領域に触れる。CIAやシステム監査の資格も選択肢 |
筆者は合格後、監査法人で外資系クライアントの案件に積極的に手を挙げ、英語と国際案件の経験を同時に積みました。
これが3年後のコンサル転職で最も評価された点です。
合格直後の「何を伸ばすか」の選択が、3年後の市場価値を決めます。
AI時代の会計人材に求められる力は「USCPAはAIに代替される?会計士の将来性を現場から解説」で、次の資格の選択肢は「CIA資格とは|公認内部監査人の難易度・年収・USCPAの相性」で解説しています。
⑦倫理試験を受けてライセンスを申請する|実務経験が揃った月に
実務経験が要件に達したら、AICPAの倫理試験(州が求める場合)を受け、成績証明・実務経験証明・倫理試験の合格証・申請料を州のBOAに提出します。審査から発行まで1〜3ヵ月が目安です。
申請までの流れ:
- 実務経験が要件(1〜2年)に達したことを確認する
- 証明者に実務経験証明の様式へ署名してもらう
- AICPA倫理試験をオンラインで受験・合格する(ワシントン州など必須の州)
- 成績証明・実務経験証明・倫理試験の合格証・申請料をBOAに提出する
- 審査を経てライセンス発行。CPE(継続教育)の計画を立てる
筆者はBIG4で実務経験を積んだ後、同部署の先輩に証明を依頼し、倫理試験を自宅で受け、申請から発行まで約2ヵ月でした。
ライセンス取得後は3年ごとの更新とCPE(ワシントン州は120時間/3年)が必要になります。
更新とCPEは「USCPAとIFRS検定|どっちが実務で使える?」で解説しています。
合格後に動くタイミング|20代・30代・実務経験の有無で優先順位が変わる
20代・実務未経験なら④転職エージェント登録を最優先に(未経験採用枠があるうちに動く)、30代・実務経験ありなら②③のライセンス準備と⑥の次の一手を優先し、転職は市場価値を確認してから判断する、というのが目安です。
| 状況 | 最優先 | 理由 |
|---|---|---|
| 20代・実務未経験 | ④エージェント登録→監査法人・外資系への応募 | 未経験でUSCPAが評価されるのは一般に20代まで。動くなら早い方が選択肢が広い |
| 20代・実務経験あり | ④で市場価値確認→⑥次の一手 | 実務+USCPAで年収帯が上がる領域(FAS・外資系)を確認 |
| 30代・実務経験あり | ②③ライセンス準備+⑥ | 実務経験で勝負できる。ライセンスは肩書きとして効く |
| 30代・実務未経験 | ⑥実務経験を積む手段の確保 | 資格だけでは届きにくい。科目合格の段階から動いておくべきだった領域 |
合格後の最大の機会損失は、「合格したから一息つく」まま数ヵ月が過ぎることです。
特に20代は、未経験採用の枠が年齢で閉じていくため、合格した月に動くかどうかで選択肢の幅が変わります。
科目合格の段階での動き方は「USCPA科目合格で転職できる?企業の評価と求人実態」で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1.
全科目合格したら、まず何をすればいいですか?
合格当日にスコアレポートと合格通知をPDFで保存し、1週間以内に「ライセンスを取る州と要件の確認」と「転職エージェントへの登録(相場確認)」の2つを並行して始めてください。この2系統を同時に走らせると、合格後1〜3ヵ月で次のキャリアが具体的に動き始めます。
Q2.
ライセンスは取るべきですか?
「名刺・署名・海外・コンサルで肩書きとして使う場面があるか」で判断してください。日本の監査法人・事業会社で働く限りは全科目合格で評価は十分ですが、実務経験と証明者が揃っていれば手続きは難しくないため、取れる環境にいるうちに取っておくと後で困りません。
Q3.
転職するつもりがなくてもエージェントに登録する意味はありますか?
あります。登録の目的は「相場を知ること」で、現職の年収が市場より高いか低いか、社内異動で国際案件に行く価値があるかを判断する材料になります。相場を知らずに後で転職活動を始めると、最初に紹介された求人が相場に見えてしまうリスクがあります。
Q4.
履歴書に「USCPA取得」と書いていいですか?
ライセンスを取得するまでは書かないでください。全科目合格の段階では「USCPA試験
全科目合格(◯年◯月)」と書き、「取得」「保有」はライセンス取得後に使います。「取得」と書くとライセンス保持者と誤解され、経歴の正確性を問われることがあります。
Q5.
合格後に英語を伸ばす必要はありますか?
あります。USCPAの需要は「英語で会計を扱える」ことと一体で、監査法人の国際案件・外資系経理・海外子会社管理はすべて英語が前提です。合格後は試験英語から業務英語へ移行する段階で、英文の会計資料を読み続ける、海外拠点とのやり取りに手を挙げる、といった実務の中での底上げが効きます。
Q6.
30代で合格しました。転職は難しいですか?
実務経験次第です。経理・会計の実務経験があれば、USCPA+実務で監査法人・事業会社・FASへの転職は十分可能です。実務未経験の場合は資格だけでは届きにくいため、まず現職や異動で会計関連の実務を積む手段を確保し、その後に転職市場を見るのが現実的です。
Q7.
合格後に取るべき次の資格はありますか?
必須ではありませんが、目的に応じて選択肢があります。内部監査・内部統制に進むならCIA(公認内部監査人)、管理会計・FP&AならCMA、システム監査ならCISAなどがUSCPAと相性が良いです。ただし資格を重ねるより、まず英語・実務・ITのどれかを伸ばす方が市場価値には直結します。
まとめ|合格はゴールではなく材料が揃った状態。記録・ライセンス準備・市場価値確認を並行で
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 合格後の7つは①記録の保存 ②ライセンス州の確認 ③証明者の確保
④エージェント登録 ⑤経歴書更新 ⑥次の一手 ⑦倫理試験と申請 - ライセンス準備(②③⑦)と市場価値の確認(④⑤⑥)を並行させると、合格後1〜3ヵ月で次が動く
- 履歴書は「全科目合格」と「ライセンス取得」を書き分ける。「取得」はライセンス後
- 次の一手は英語・実務・ITのどれか。合格直後の選択が3年後の市場価値を決める
- 20代・未経験なら合格した月に動く。合格後に一息ついて数ヵ月過ぎるのが最大の機会損失
筆者が合格直後にやってよかったのは記録の保存と国際案件への志願、やらずに後悔したのは証明者の早期確保でした。
この7つを合格した週に始めれば、USCPAはキャリアを動かす材料として機能し始めます。
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