この記事でわかること
- 「CFO候補」という求人の実態(何をする役職か、CFOとの違い、どのステージの企業が募集するか)と、2025年のスタートアップ資金調達環境(総額7,613億円・選別の進行)が求人に与える影響
- USCPA・監査法人経験者がスタートアップで評価される点(管理部門の立ち上げ・資金調達の実務・投資家対応)と、評価されない点(大企業型の経理しか知らない)
- ステージ別(シード・シリーズA・B・C以降)のCFO候補の年収・SO・仕事の中身と、監査法人・大企業からの転職で年収がどう変わるか
- スタートアップCFO候補の失敗パターン(資金ショート・経営者との対立・SOが紙切れ)と、企業を見極める8つのチェックポイント
- 筆者がコンサルで見たスタートアップの管理部門の実態と、BIG4からシリーズBのスタートアップにCFO候補として転職した後輩Oの実例
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月30日
「スタートアップのCFO候補ってどんな仕事?」「USCPAで20代からCFOを目指せる?」「年収は下がる?
SOで取り返せる?」と検索している方に向けて、スタートアップCFO候補というキャリアを整理した記事です。
結論から言うと、スタートアップの「CFO候補」は、管理部門を1〜3人で立ち上げ、資金調達・投資家対応・月次決算の仕組み化を担いながら、資金調達の成功と会社の成長に応じてCFOに昇格する役職で、USCPA・監査法人経験者は「上場企業の水準を知りつつゼロから作れる人」として評価されますが、年収は監査法人より下がることが多く(600〜1,000万円+SO)、SOの価値は上場・売却できるかで決まるため、企業のステージ・資金・経営者の3つを見極めてから飛び込む必要があります。
スタートアップCFO候補は「若くしてCFOの肩書に近づける」一方、「資金が尽きれば会社ごとなくなる」キャリアで、上場企業のCFOへの階段とはリスクの質が違います。
筆者はコンサルでスタートアップの管理部門構築や資金調達後の内部統制整備を支援しており、監査法人の後輩OはBIG4を4年で出てシリーズBのスタートアップにCFO候補として転職しています。
この記事では、スタートアップ資金調達の公開データ(Speeda『Japan
Startup Finance
2025』)、転職エージェント各社のCFO候補求人、筆者と後輩の実例を一次情報に、CFO候補の実態、評価される点、年収とSO、見極め方、実例を解説します。
CFOの全体像は「USCPAでCFOになるには|4つのルートと年収・必要な経験」、IPO準備企業は「IPO準備企業×USCPA|上場準備で評価される理由と年収・SO」で扱っているので、本記事は「スタートアップのCFO候補」に絞ります。
スタートアップの「CFO候補」とは?CFOとの違いと募集するステージ
スタートアップの「CFO候補」とは、CFOがまだいない、または経営者が兼務している企業が、管理部門の責任者として採用し、資金調達や上場準備の進捗に応じてCFOに昇格させる前提で置く役職である。仕事は経理・財務・法務・人事・総務を1〜3人で回す「管理部門の何でも屋」から始まり、資金調達の資料作成・投資家対応・月次決算の仕組み化・予算管理を担う。募集が多いのはシリーズA〜Bで、シードは経営者が兼務し、シリーズC以降は経験者のCFOを採用する傾向がある。
| 項目 | CFO候補 | CFO |
|---|---|---|
| 肩書 | 管理部門責任者、経営管理部長、財務責任者など(CFOの肩書はまだ付かない) | CFO(取締役・執行役員) |
| 役割 | 管理部門の立ち上げと運用、資金調達の実務、CFOになるための実績作り | 財務戦略、資金調達の主導、投資家・取締役会対応 |
| 人員 | 自分を含め1〜3人で経理・財務・法務・人事・総務 | 管理部門5〜20人を統括 |
| 昇格の条件 | 資金調達の成功、月次決算と予算管理の定着、経営者と投資家の信頼 | ― |
| 年収 | 600〜1,000万円+SO | 800〜1,500万円+SO |
| 求人が多いステージ | シリーズA〜B | シリーズB〜C以降、IPO準備期 |
ステージ別にCFO候補に求められること
| ステージ | 会社の状態 | CFO候補の仕事 | 求められる経験 |
|---|---|---|---|
| シード | 社員数人〜10人、資金は創業者・エンジェル・シードVC | 経営者が兼務。CFO候補の採用はまれ | ― |
| シリーズA | 社員10〜40人、VCから数億円を調達 | 月次決算の仕組み化、資金繰り、次回調達の準備、労務・法務の整備 | 会計の体系知識、少人数で動ける力 |
| シリーズB | 社員40〜100人、10億円前後を調達 | 資金調達の主導(VC・銀行)、予算制度、投資家への月次報告、管理部門の採用 | 資金調達の実務、監査法人・上場企業の水準の理解 |
| シリーズC以降 | 社員100人超、上場準備を意識 | 上場準備の開始(監査法人・主幹事選定)、内部統制、経験者CFOの採用または昇格 | IPO準備の経験 |
USCPA・監査法人経験者に最も合うのはシリーズA後半〜Bで、「上場企業の水準を知っている人が、ゼロから管理部門を作る」ことが求められます。
2025年のスタートアップ環境と求人への影響
| 環境の変化 | 内容 | CFO候補の求人への影響 |
|---|---|---|
| 資金調達総額 | 2025年は7,613億円(デット除く)で前年とほぼ横ばい。調達額の中央値は下がり、選別が進む | 「資金調達を成功させられる管理部門責任者」の価値が上がる一方、調達に失敗した企業のCFO候補は会社ごと消えるリスク |
| IPOの選別 | 2025年のIPOは65社、東証グロースの5年100億円ルール(2030年3月以後適用)で上場のハードルが上昇 | 「上場後に100億円に届く事業計画」を作れる財務が求められる |
| M&AによるEXIT | スタートアップの買収は高水準で推移 | 上場だけでなく、売却時の財務DD対応もCFO候補の仕事に |
出典:Speeda『Japan Startup Finance
2025』(2026年1月)、東京証券取引所の上場維持基準の見直し(2025年12月)、IPO件数の公開データ。2026年8月30日確認。
資金が選別される環境では、CFO候補の仕事の中心は「次の調達を成功させること」で、会計の正確さだけでは務まりません。
IPO市場の変化は「IPO準備企業×USCPA|上場準備で評価される理由と年収・SO」で扱っています。
USCPA・監査法人経験者はスタートアップでどう評価される?活きる点・活きない点
USCPA・監査法人経験者がスタートアップで評価されるのは、①上場企業の決算・内部統制・開示の水準を知っており、それをゼロから作れる
②監査法人・主幹事証券・投資家と会計の言葉で対等に話せる
③資金調達のDDで財務資料を整えられる、の3点で、評価されないのは「大企業型の分業された経理しか知らず、仕訳から労務までを自分で回せない」「投資家に事業を数字で語れない」場合である。
| 活きる点 | どう活きるか |
|---|---|
| 上場企業の水準を知っている | 月次決算・内部統制・開示を「上場後に困らない形」で最初から設計できる |
| 監査法人と話せる | 監査法人の選定・初年度監査・指摘対応で、経営者の代わりに交渉できる |
| 会計基準の体系知識 | 収益認識・SO・資本政策・のれんなど、スタートアップ特有の論点を処理できる |
| 英語(USCPA) | 海外投資家からの調達、海外展開時の会計・税務対応 |
| 数字への信頼 | 投資家・銀行が「会計士がいる会社」として財務資料を信頼する |
| 活きない点(準備が必要) | なぜ | どう補うか |
|---|---|---|
| 少人数で何でもやる経験 | 監査法人・大企業は分業されており、仕訳入力から給与計算・契約書チェックまで1人でやった経験がない | 転職前に会計ソフト・労務・法務の基礎を学ぶ。最初の半年は「何でもやる」と割り切る |
| 資金調達の実務 | VCとの交渉、資本政策、投資契約、SO設計は監査法人では経験できない | 書籍・講座で学び、経営者と一緒に1回目の調達を経験する |
| 事業を数字で語る力 | 監査は「正しいか」を見る仕事で、「どう伸ばすか」を語る仕事ではない | KPI・ユニットエコノミクスを経営者から学び、投資家向け資料を自分で作る |
| スピードと不確実性への耐性 | 監査法人は手続と締切が決まっている | 「完璧より速く」を意識する |
USCPAの知識は「上場後に困らない土台」を作るために活きるが、スタートアップで最初に求められるのは「明日の資金繰りと次の調達」という順番の違いを理解して入る必要があります。
事業会社経理との違いは「事業会社経理の仕事内容|USCPAが監査法人との違いを解説」、転職市場での評価は「USCPAの転職市場価値|評価される業界・されない業界の実態」で扱っています。
スタートアップCFO候補の年収とSOはいくら?監査法人・大企業からの転職での変化
スタートアップCFO候補の年収は、シリーズAで600〜800万円、シリーズBで700〜1,000万円、シリーズC以降で800〜1,200万円が目安で、これにSO(発行済株式の0.3〜1.5%程度)が付く。監査法人3〜5年目(600〜800万円)からの転職では年収が横ばい〜微減になることが多く、SOは上場・売却で数千万〜億単位になる可能性がある一方、EXITできなければゼロになる。
| ステージ | CFO候補の年収 | SOの付与(目安) | 監査法人3〜5年目(600〜800万円)からの変化 |
|---|---|---|---|
| シリーズA | 600〜800万円 | 0.5〜1.5% | 横ばい〜微減。SOの比率は高いが、EXITまでが遠い |
| シリーズB | 700〜1,000万円 | 0.3〜1.0% | 横ばい〜微増。最もバランスが良い |
| シリーズC以降 | 800〜1,200万円 | 0.2〜0.5% | 微増。SOの比率は下がるがEXITが近い |
| IPO準備期(N-2期以降) | 900〜1,500万円 | 0.2〜0.5% | 増。上場の確度が見える |
出典:転職エージェント各社のCFO候補求人(2026年8月時点)、筆者と後輩の実例。SOの比率は企業の資本政策と交渉で大きく変わります。
SOの期待値の考え方
| 前提 | EXIT時の時価総額50億円 | 100億円 | 300億円 | EXITできない |
|---|---|---|---|---|
| SO 0.5%(シリーズB CFO候補相当) | 約2,500万円相当 | 約5,000万円相当 | 約1.5億円相当 | 0円 |
| SO 1.0%(シリーズA CFO候補相当) | 約5,000万円相当 | 約1億円相当 | 約3億円相当 | 0円 |
※権利行使価格を差し引く前の概算。税制適格SOなら売却時に譲渡所得課税(約20%)。行使条件(ベスティング・EXIT後の在籍要件)で実際に得られる額は変わります。
スタートアップのEXIT確率は、シリーズBの企業でも3〜4割程度と見るのが現実的で、SO
0.5%の期待値は数百万〜1,000万円台と考えると、年収の横ばい〜微減を受け入れるかの判断がしやすくなります。
「SOで一発」を期待して入るのではなく、「CFOの実績を若くして作れる」ことを主な目的にし、SOはおまけと考える人が、結果的に続いています。
年収の全体像は「USCPAの年収はいくら?日本・米国の相場と筆者の推移を公開」、1,000万円への道筋は「USCPAで年収1000万円は可能?到達ルート4つと必要年数」で扱っています。
スタートアップCFO候補で失敗するパターンは?企業を見極める8つのチェックポイント
スタートアップCFO候補で失敗するのは、①資金ショートで会社が事業縮小・清算になる
②経営者が管理部門を軽視し、数字を隠す・使わない
③CFO候補のまま昇格せず、経験者CFOが上から来る
④SOの条件が曖昧で行使できない
⑤何でも屋のまま専門性が積めない、の5パターンで、転職前に「資金の残存期間(ランウェイ)」「経営者の管理部門への姿勢」「CFO昇格の条件」「SOの条件」を確認すれば大半は避けられる。
| 失敗パターン | 何が起きるか | 対処 |
|---|---|---|
| ①資金ショート | 次の調達に失敗し、事業縮小・清算。SOはゼロ、CFO候補の経歴は「途中」で終わる | ランウェイ(現金÷月次の純支出)が12ヵ月以上あるか、次回調達の見込みを確認 |
| ②経営者が管理部門を軽視 | 数字を隠す、経費を私的に使う、CFO候補の助言を聞かない | 面接で経営者に「なぜ今CFO候補が必要か」を聞き、投資家からの推薦かどうかを確認 |
| ③昇格しない | シリーズC以降で経験者CFOを上に採用され、CFO候補は経理部長のまま | 「どの条件でCFOに昇格するか」を入社前に明文化する |
| ④SOが紙切れ | 行使価格が高い、ベスティングが長い、EXIT後の在籍要件が厳しい | 付与数・行使価格・行使条件・税制適格の有無を書面で確認 |
| ⑤専門性が積めない | 労務・総務に追われ、財務の実績が作れない | 半年〜1年で管理部門の採用を進め、自分は財務・調達に集中する計画を経営者と共有 |
転職前の8つのチェックポイント
| チェック | 確認すること | 良いサイン | 注意サイン |
|---|---|---|---|
| ①ランウェイ | 現金残高と月次の純支出 | 12ヵ月以上 | 6ヵ月未満 |
| ②直近の調達 | 直近の資金調達の時期・額・投資家 | 1年以内に有力VCから調達 | 2年以上調達なし |
| ③投資家 | 主要VCの実績と支援姿勢 | 実績のあるVCがリード | 個人投資家のみ |
| ④経営者 | 管理部門への投資意欲、数字への向き合い方 | 「CFO候補に財務を任せたい」と明言 | 「経理をやってほしい」だけ |
| ⑤事業 | 売上成長率、ユニットエコノミクス、5年100億円に届くか | 月次で成長し、単位あたりの採算が見える | 売上がなく計画だけ |
| ⑥管理部門 | 現在の人員と採用計画 | 経理担当が1人以上いて、採用予定あり | 経営者が全部やっている |
| ⑦CFO昇格の条件 | 何を達成すればCFOになるか | 「次回調達を主導したらCFO」と明文化 | 「そのうち」 |
| ⑧SOの条件 | 付与数・行使価格・ベスティング・税制適格 | 書面で明示 | 「入ってから決める」 |
①②③が弱い企業は、どれだけ事業が魅力的でもCFO候補として入るのは危険で、資金がなければ管理部門を作る前に会社がなくなります。
転職先の見極めは「USCPAを活かせる転職先7選と転職のコツ|職種別の入り方を解説」で扱っています。
筆者が見たスタートアップの管理部門と、後輩OがシリーズBのCFO候補になるまで
筆者はコンサルでスタートアップの管理部門構築を支援する中で、「CFO候補が入る前」は経営者が会計ソフトを触り、資金繰りを頭の中で管理している企業が大半だった。監査法人の後輩Oは、BIG4を4年で出てシリーズBのSaaS企業(社員60人)にCFO候補として転職し、年収は約650万円から約750万円+SO
0.6%になり、2年後にシリーズCの調達を主導してCFOに昇格した。
筆者がコンサルで見た「CFO候補が入る前」のスタートアップ
| 場面 | 実態 | CFO候補が入って変わったこと |
|---|---|---|
| 月次決算 | 経営者か経理1人が会計ソフトで処理し、月次は翌月末以降に締まる | 翌月10〜15日で締まり、投資家への月次報告が定例化 |
| 資金繰り | 経営者が頭の中で管理。銀行口座の残高を見て判断 | 13週の資金繰り表を作り、ランウェイを毎月更新 |
| 資金調達の資料 | 経営者がピッチ資料を作り、財務は「売上計画」だけ | PL・BS・CFの計画と資本政策表を整備し、DDに耐える |
| 労務・法務 | 契約書の管理がなく、給与計算は外注 | 規程と契約管理を整備。上場準備の下地に |
| 投資家対応 | 経営者が1人で対応 | CFO候補が財務の質問に答え、経営者は事業に集中 |
コンサルの立場から見ると、CFO候補の最初の仕事は「経営者の頭の中にある数字を、投資家が信じられる形に出す」ことで、USCPAの会計知識はその「形」を作るのに直接活きます。
後輩Oの実例|BIG4
4年→シリーズB CFO候補→2年後にCFO
| 時期 | 役職 | 年収の目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| BIG4 1〜4年目(〜27歳) | 監査スタッフ〜シニア(USCPA) | 約450〜650万円 | IPO準備企業の監査を担当し、「作る側」に関心を持つ |
| 転職(28歳) | シリーズBのSaaS企業(社員60人)の経営管理部長(CFO候補) | 約750万円+SO 0.6%(税制適格、4年ベスティング) | 転職前に8つのチェックを確認。ランウェイ18ヵ月、有力VCがリード、CFO昇格の条件を「シリーズCの調達主導」と明文化 |
| 1年目 | 月次決算の翌月10日締め、13週資金繰り表、投資家への月次報告、経理・労務の採用2人 | ― | 最初の半年は仕訳入力から給与計算まで自分で処理 |
| 2年目 | シリーズCの資金調達(約15億円)を主導。VC・銀行との交渉、DD対応、資本政策 | 約850万円 | 財務DDで監査法人時代の経験が活き、投資家から「財務がしっかりしている」と評価 |
| 3年目(30歳) | CFOに昇格(執行役員)。上場準備の開始、監査法人の選定 | 約1,000万円+SO | 「CFOになれたのは調達を主導したから。監査法人の経験は、DDと監査法人選定で効いた」 |
Oの言葉で印象に残っているのは、「スタートアップで最初の半年は監査法人の経験が何も役に立たない気がしたが、調達のDDが始まった瞬間に、監査法人で見てきたことが全部つながった」という一言です。
Oは転職前に、8つのチェックポイントのうち特に「ランウェイ」「CFO昇格の条件」「SOの条件」の3つを書面で確認してから入社しました。
監査法人からの転職は「監査法人からの転職先7選|3年で辞めた私の選択と判断軸」、CFOの全体像は「USCPAでCFOになるには|4つのルートと年収・必要な経験」で扱っています。
スタートアップCFO候補を目指すなら、「資金・経営者・昇格条件」を先に見る
スタートアップCFO候補は、USCPAが20代後半〜30代前半でCFOの実績を作れる数少ないキャリアですが、資金が尽きれば会社ごとなくなるリスクと、年収の横ばい〜微減を受け入れる必要があります。
飛び込む前に、ランウェイ・直近の調達・投資家・経営者の姿勢・事業・管理部門・CFO昇格の条件・SOの条件の8つを確認し、特に資金と昇格条件は書面で確かめてください。
転職先の選び方は「USCPAを活かせる転職先7選と転職のコツ|職種別の入り方を解説」、エージェントは「USCPA向け転職エージェントおすすめ比較|失敗しない選び方」で扱っています。
スタートアップのCFO候補求人は、資金調達の直後に出ることが多く、企業のステージ・ランウェイ・SOの条件は求人票に書かれていないため、エージェント経由で確認するのが確実です。MS
Japanの無料登録で「CFO候補」「経営管理部長」「スタートアップ」を条件に会計人材の求人を見て、気になる企業の直近の調達と管理部門の体制を聞いておくと、本記事の8つのチェックポイントを自分で確かめられます。
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よくある質問(FAQ)
Q1.
USCPA合格直後でもスタートアップのCFO候補になれますか?
難しいです。
CFO候補には、上場企業の水準を知る監査法人・上場企業経理の経験(3年以上が目安)と、少人数で管理部門を回す力が求められ、合格直後で実務経験がない人は「経理担当」としての採用はあっても「CFO候補」としては採用されにくいです。
まず監査法人か上場企業の経理で3〜5年経験を積み、IPO準備企業の監査や上場企業の決算・開示を経験してから動くのが現実的です。
Q2.
スタートアップCFO候補の年収は監査法人より下がりますか?
横ばい〜微減になることが多いです。
監査法人3〜5年目(600〜800万円)からシリーズBのCFO候補(700〜1,000万円)への転職では、横ばい〜微増のケースもありますが、シリーズAでは微減、SO込みで判断する形になります。
SOの期待値は「EXIT確率×EXIT時の時価総額×付与率」で考え、「CFOの実績を若くして作れる」ことを主目的に、SOはおまけと考えると判断しやすくなります。
Q3.
SOはどのくらいもらえますか?
CFO候補で発行済株式の0.3〜1.5%程度が目安で、シリーズAほど高く、シリーズC以降ほど低くなります。
EXIT時の時価総額100億円でSO
0.5%なら約5,000万円相当(権利行使価格・税引前)ですが、EXITできなければゼロです。
税制適格SOかどうか、行使価格、ベスティング(権利確定までの期間)、EXIT後の在籍要件を書面で確認し、「入ってから決める」という企業は避けてください。
Q4.
CFO候補からCFOになるにはどのくらいかかりますか?
1〜3年が目安で、「次の資金調達を主導した」「上場準備を開始した」タイミングで昇格することが多いです。
後輩Oは2年目にシリーズCの調達を主導し、3年目(30歳)でCFOに昇格しました。
昇格の条件を入社前に明文化しておかないと、シリーズC以降で経験者CFOが上から採用され、CFO候補のまま経理部長になるケースがあります。
Q5.
会社が資金ショートしたらどうなりますか?
事業縮小・清算になれば、SOはゼロになり、CFO候補の経歴は「途中」で終わります。
ただし、資金繰り表の運用・調達の準備・管理部門の立ち上げの実績は、次のスタートアップや上場企業の経理財務で評価されます。
リスクを下げるには、転職前にランウェイ(12ヵ月以上)と直近の調達、投資家を確認し、資金が弱い企業には入らないことです。
Q6.
スタートアップCFO候補と上場企業のCFOへの道、どちらが良いですか?
目的次第です。
スタートアップCFO候補は20代後半〜30代前半でCFOの実績を作れる一方、資金リスクと年収の横ばいを受け入れる必要があります。
上場企業のCFOは到達に10〜15年かかりますが、年収と安定性が高く、上場企業の経理財務の実務が土台になります。
「早くCFOの実績を作り、次に大きい会社へ」という階段を考える人はスタートアップから、腰を据えて1社で上がる人は上場企業からが向いています。
CFOの全体像は「USCPAでCFOになるには|4つのルートと年収・必要な経験」で扱っています。
Q7.
資金調達の実務は監査法人では学べませんが、どう補えばよいですか?
転職前に資本政策・投資契約・SO設計・バリュエーションの基礎を書籍や講座で学び、転職後は経営者と一緒に1回目の調達を経験するのが現実的です。
DD対応・財務資料の整備・監査法人との調整は監査法人の経験がそのまま活き、VCとの交渉や資本政策の設計は経営者・投資家・弁護士から学びながら身につけます。
後輩Oも「最初の調達は経営者の横で見て学び、2回目は自分が主導した」と話しています。
まとめ:スタートアップCFO候補は「若くしてCFOの実績を作る」キャリア、資金と昇格条件を先に見る
この記事の要点を再掲します。
- スタートアップのCFO候補は、管理部門を1〜3人で立ち上げ、資金調達・投資家対応・月次決算の仕組み化を担い、調達の成功に応じてCFOに昇格する役職。募集が多いのはシリーズA〜B
- 2025年の資金調達総額は7,613億円で横ばい、選別が進行。CFO候補の仕事の中心は「次の調達を成功させること」
- USCPA・監査法人経験者が活きるのは上場企業の水準を知ってゼロから作れる・監査法人と話せる・DDに耐える資料を作れる点。活きないのは少人数で何でもやる経験と資金調達の実務
- 年収はシリーズA 600〜800万円、B
700〜1,000万円、C以降800〜1,200万円+SO
0.3〜1.5%。監査法人からは横ばい〜微減。SOはEXIT確率(3〜4割)で期待値を見る - 失敗は資金ショート・経営者の軽視・昇格しない・SOが紙切れ・専門性が積めない。転職前にランウェイ・調達・投資家・経営者・事業・管理部門・昇格条件・SO条件の8つを確認
- 後輩OはBIG4 4年→シリーズB CFO候補(SO
0.6%)→2年後にシリーズC調達を主導しCFOに。「調達のDDが始まった瞬間に監査法人の経験が全部つながった」
スタートアップCFO候補は、USCPAが20代後半でCFOの実績に手が届くキャリアですが、飛び込む前に「この会社は12ヵ月後に存在しているか」を数字で確かめる冷静さが必要です。
まずは気になるスタートアップの直近の資金調達と管理部門の体制を、エージェントや公開情報で調べるところから始めてみてください。
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