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監査法人からの転職先7選|3年で辞めた私の選択と判断軸

この記事でわかること

  • 監査法人からの転職先として現実的な7つの領域と、それぞれの仕事内容・年収水準・監査経験の活かしやすさ
  • 監査法人を辞める人の4つのきっかけと、離職率・組織内会計士数などのデータ
  • USCPA(米国公認会計士)が監査法人からの転職でどう評価されるか(日本の公認会計士との違い)
  • 筆者がBIG4監査法人を3年で辞めてコンサルを選んだ理由、候補にした3つの転職先の比較、転職活動の実際
  • 転職のタイミング(3年目・5年目・マネージャー前)の比較と、後悔しないための4つの判断軸

著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。

最終更新日:2026年8月28日

「監査法人からの転職先はどこがある?」「何年目で辞めるのが正解?」「監査しかやっていない自分に市場価値はある?」と検索している方に向けて、筆者自身の転職の記録を軸に整理します。

結論から言うと、監査法人からの転職先は大きく7つの領域があり、辞める時期と「監査経験のどこを売るか」の組み合わせで、選べる転職先と年収の伸び方が決まります。

筆者はUSCPAで新卒入所したBIG4監査法人を3年目に辞め、会計・業務系のコンサルティング会社に転職しました。

この記事では、転職エージェントの公開データ(MS-Japan・マイナビ会計士など)と日本公認会計士協会の統計を一次情報に、7つの転職先の比較、筆者が候補にした3つの転職先を比較した表、転職活動で実際に聞かれたこと、辞めるタイミングの判断軸まで解説します。

なお、この記事は「監査法人からどこへ転職するか」を扱います。「そもそも辞めるべきか」の整理は「監査法人を辞めたい|3年で辞めたUSCPAの意思決定プロセス」で、コンサル転職の詳細は「USCPAでコンサルに転職|監査法人3年から移った筆者の体験談」で扱っています。

目次 閉じる

監査法人からの転職先は?主な7つの領域と特徴

監査法人からの転職先とは、監査で身につけた「財務諸表を読む力・内部統制の知識・上場企業との折衝経験」を活かせる職種の総称で、FAS・コンサル・事業会社経理財務・経営企画/内部監査・ベンチャーCFO候補・税理士法人・金融の7つに大別できる。監査法人出身者の転職先はこの7領域でほぼ網羅される。

まず、7つの転職先を「仕事内容」「年収の目安」「監査経験の活かしやすさ」で一覧にします。

転職先 主な仕事内容 年収の目安(20代後半〜30代前半) 監査経験の活かしやすさ
① FAS(財務アドバイザリー) 財務デューデリジェンス、バリュエーション、M&A支援、事業再生 600〜1,000万円 高い。財務諸表分析がそのまま使える
② コンサル(会計・業務・IT・戦略) 決算早期化、内部統制構築、会計システム導入、IFRS導入、経営課題の解決 600〜1,000万円 中〜高。会計・内部統制の知識が武器。戦略系は別スキルが必要
③ 事業会社の経理・財務 決算、開示、連結、税務、資金管理 500〜800万円 高い。ただし「作る側」の実務は未経験扱い
④ 事業会社の経営企画・内部監査 予算管理、業績分析、M&A検討/内部統制評価、業務監査 500〜900万円 内部監査は非常に高い。経営企画は中
⑤ ベンチャー・IPO準備企業(CFO候補・管理部長候補) 上場準備、内部統制整備、資金調達、管理部門の立ち上げ 600〜1,000万円+ストックオプション 高い。上場準備は監査の裏返し
⑥ 税理士法人・会計事務所 税務顧問、税務申告、組織再編・M&Aの税務 500〜800万円 中。監査経験より税務経験が問われる
⑦ 金融(投資銀行・PEファンド・金融機関の経理) M&Aアドバイザリー、投資判断/金融機関の主計・決算 700〜1,500万円(IB・PEは上振れ大) IB・PEは英語・ファイナンスの追加スキルが必須。主計は高い

※年収は転職エージェント各社の公開求人と筆者の同期・元同僚の事例から、幅で示した目安です。個別の条件は求人ごとに確認してください。

転職エージェントのMS-Japanは、監査法人からの転職先を「会計事務所・コンサルティングファーム・一般企業・金融機関」の4つに分類しており、公認会計士の場合は資格との親和性からFASを選ぶ人が多いと解説しています(2025年5月公開のコラム)。

また、日本公認会計士協会の組織内会計士協議会によると、一般企業などで働く「組織内会計士」は2015年12月末の1,109人から2024年12月には2,496人に増えており、事業会社への転職は10年で2倍以上に広がっています。

7つの領域を、監査法人出身者がよく比較する軸で整理すると次のようになります。

  • 年収を上げたい:FAS・コンサル・金融(IB・PE)・ベンチャーCFO候補
  • 働き方を整えたい:事業会社の経理財務・内部監査・金融機関の主計部門
  • 経営に近づきたい:経営企画・ベンチャーCFO候補・戦略コンサル
  • 独立を見据えたい:税理士法人・中堅コンサル(M&A・事業再生・IPO支援を幅広く経験)

転職先ごとの詳しい評価は「USCPAを活かせる転職先7選と転職のコツ|職種別の入り方を解説」で、FASは「USCPAはFASで評価される?仕事内容・年収・未経験からの転職」で解説しています。

転職先の候補を具体的な求人で見比べたい方は、会計士・USCPA専門のMS-Japanの無料登録で非公開求人を含めて確認できます。

監査法人を辞める理由は?転職を考える4つのきっかけ

監査法人を辞める理由は「繁忙期の働き方」「監査以外の経験を積みたい」「昇格・評価の構造」「監査という仕事への違和感」の4つに集約される。離職率は年7%前後で、5年で約4割、10年で約7割が法人を離れると分析されている。

「辞めたい」と感じる理由は人によって違いますが、筆者の同期・元同僚の話を集めると、次の4つにほぼ収まります。

きっかけ 具体的な内容 出やすい時期
① 繁忙期の働き方 3月決算の4〜5月、四半期レビューの集中、深夜・休日の作業 2〜3年目(業務量が増え、責任も出てくる時期)
② 監査以外の経験を積みたい 「財務諸表を作る側」「経営判断に関わる側」をやりたい 3〜5年目(監査の全体像が見え、次が気になる時期)
③ 昇格・評価の構造 シニア→マネージャーの昇格競争、評価の不透明さ、法人内での将来像が描けない 5〜8年目(マネージャー昇格の前後)
④ 監査という仕事への違和感 「指摘する側」で価値を生んでいる実感が薄い、クライアントとの距離 1〜3年目(入所前のイメージとのギャップ)

公認会計士の転職日誌(転職エージェントのA-agent運営)は、監査法人の離職率を年平均7%、スタッフ9%・シニア12%と分析し、5年で約4割、10年で約7割が離職すると試算しています。

つまり、監査法人を辞めること自体は珍しくなく、「いつ・どこへ」が本当の論点です。

筆者の場合は②が中心で、①は入所前から想定していたので理由にはなりませんでした。

繁忙期の実態は「監査法人は激務?繁忙期の実態と年間の残業時間を実体験で解説」、1年目の仕事の中身は「監査法人1年目の仕事内容|USCPA新人の1年間と3年間の変化」で書いています。

「辞めたい」と「転職する」は分けて考える

辞めたい気持ちが強いときほど、転職先を決めずに退職しがちです。

しかし、監査法人からの転職は在職中に活動する方が圧倒的に有利です。

理由は3つあります。

  • 監査法人在籍中は「現職BIG4」というラベルで書類が通りやすい
  • 繁忙期を避ければ面接の時間は作れる(閑散期の7〜9月・1〜2月)
  • 内定を持った状態で退職交渉に入れるので、引き止めに流されない

「辞めたい」段階での整理の仕方は「監査法人を辞めたい|3年で辞めたUSCPAの意思決定プロセス」にまとめています。

USCPAは監査法人からの転職でどう評価される?日本の公認会計士との違い

USCPA(米国公認会計士)は、監査法人からの転職においてFAS・コンサル・事業会社・外資系ではほぼ日本の公認会計士(JCPA)と同等に評価される。差が出るのは税理士法人(税理士登録の可否)と、日本基準の監査に強く依存する職種の2つである。

USCPAで監査法人に入った人が転職で気にするのは、「JCPAと比べて不利にならないか」です。

筆者が転職活動をした際の実感と、採用側で中途採用面接に同席した経験から、領域別に整理します。

転職先 USCPAの評価 理由
FAS・会計コンサル JCPAとほぼ同等 見られるのは「BIG4で何年・どの業種・どの規模を担当したか」。資格の種類は入口の要件を満たせば差がつかない
事業会社の経理財務・経営企画 JCPAとほぼ同等。英語が要る会社では優位 資格より「上場企業の決算を監査した経験」を評価。US
GAAP・IFRS・英文開示がある会社ではUSCPAが直接効く
外資系企業・海外子会社管理 USCPAが優位 本国レポーティング、US
GAAP、英語での折衝が前提。USCPAは「英語で会計ができる」証明になる
内部監査・IPO準備企業 JCPAとほぼ同等 内部統制・監査手続きの知識が評価軸。資格の国籍は問われない
税理士法人・会計事務所 JCPAが優位 JCPAは税理士登録ができるが、USCPAは日本の税理士業務を行えない。税務経験も求められる
投資銀行・PEファンド どちらも「+α」が必要 資格より英語・ファイナンス・学歴・年齢が見られる。USCPAは英語面で多少のプラス

要するに、監査法人からの転職ではUSCPAかJCPAかより「監査法人で何を経験したか」が評価の中心です。

筆者の場合、1年目から外資系企業の日本法人の監査チームに配属され、英語のレポーティングパッケージや海外の監査チームとのやり取りを担当していました。

この「英語×国際案件」の経験がコンサル転職で最も評価され、USCPAという資格は「その経験を裏づけるもの」として機能しました。

USCPAの転職市場での評価は「USCPAの転職市場価値|評価される業界・されない業界の実態」、JCPAとの制度上の違いは「USCPAと日本の公認会計士の違い|どっちを取るべき?」で詳しく解説しています。

筆者が監査法人を3年で辞めてコンサルを選んだ理由と経緯

筆者は監査法人3年目に、FAS・事業会社経理・会計系コンサルの3つを候補にしたうえで、「英語×会計×システムの掛け算で市場価値を上げられる」という理由からコンサルを選んだ。年収は監査法人時代から1〜2割程度上がり、決め手は年収より「5年後にできる仕事の幅」だった。

ここからは筆者自身の転職の記録です。

同じ状況の方が判断材料に使えるよう、時期・候補・比較・面接内容をできるだけ具体的に書きます。

転職を考えたきっかけ

筆者がBIG4監査法人に新卒で入ったのは、大学在学中にUSCPAの全科目に合格していたからです(経緯は「アビタスUSCPA合格体験記|1発合格の学習記録つき」に書いています)。

入所後の3年間は、次のような経験を積みました。

年次 主な担当 身についたこと
1年目 外資系企業の日本法人、製造業の子会社 監査手続きの基礎、英語のレポーティング、海外チームとのやり取り
2年目 同じ外資系クライアントの主担当補佐、IPO準備企業の内部統制評価 内部統制(J-SOX)の全体像、クライアントとの折衝
3年目 上場企業の連結決算監査、シニアスタッフとして小規模チームの現場責任 連結の実務、チームのスケジュール管理、レビューする側の視点

3年目に「監査の仕事の全体像が一通り見えた」と感じたのがきっかけです。

監査は「クライアントが作った財務諸表を検証する」仕事なので、どれだけ経験を積んでも「作る側」「決める側」にはなれません。

このまま5年・10年と監査を続けた自分より、会計の知識を「作る側・変える側」で使う経験を早く積んだ方が、その後の選択肢が広がると考えました。

また、3年目に監査法人での実務経験をもとにワシントン州のライセンスを取得できたことも、「区切り」として背中を押しました。

候補にした3つの転職先と比較表

エージェントに登録したうえで、筆者は次の3つを候補にしました。

比較項目 A. FAS(BIG4系) B. 事業会社の経理財務(外資系) C. 会計・業務系コンサル(選択)
仕事内容 財務DD、バリュエーション US GAAPでの決算、本国レポーティング 決算早期化、会計システム導入、IFRS・内部統制の構築支援
監査経験の活き方 そのまま活きる 「読む側」から「作る側」への転換が必要 会計知識+クライアント折衝がそのまま活きる
英語 案件次第 毎日使う 外資系クライアント・海外パッケージ導入案件で使う
年収(提示レンジ) 監査法人3年目+2〜3割 監査法人3年目とほぼ同じ〜+1割 監査法人3年目+1〜2割
働き方 案件期間中は監査法人の繁忙期並み 決算期以外は落ち着く プロジェクト次第。平均すると監査法人と同程度
5年後の姿 M&A・事業再生の専門家 経理マネージャー、将来はCFO候補 会計×システム×英語で、事業会社の変革を支援する人材
不安だった点 監査と同じ「外から見る」仕事の延長になる 決算業務が中心で、英語以外の伸びしろが読めない 会計以外のスキル(システム・プロジェクト管理)を一から学ぶ必要

年収だけで見ればAのFASが最も高く、働き方だけで見ればBの事業会社が最も安定していました。

筆者がCを選んだ理由は、「会計ができる人」は監査法人出身者に大勢いるが、「会計とシステムの両方が分かり、英語で仕事ができる人」は圧倒的に少ないと、転職活動を通じて実感したからです。

面接をした複数の会社が、口をそろえて「会計の分かる人はいるが、システム側と会話できる会計士がいない」と言っていたのが決め手になりました。

転職活動の実際|時期・使ったエージェント・面接で聞かれたこと

転職活動の流れは次のとおりです。

時期 動き
3年目の6月 エージェント2社に登録(会計士・USCPA特化型1社、総合型1社)。職務経歴書の作成
7〜8月(閑散期) 書類応募6社、一次面接5社、最終面接3社
9月 3社から内定。Cのコンサルに決定
9〜10月 上司・パートナーに退職の意思を伝え、引継ぎ計画を作成
12月末 退職(四半期レビュー終了後)。翌1月入社

面接で共通して聞かれたのは、次の3つでした。

  • なぜ3年で辞めるのか:「監査の全体像が見えたので、作る側・変える側の経験を早く積みたい」と一貫して答えました。「激務だから」「人間関係」は一切言っていません
  • 監査で一番苦労した案件と、どう対処したか:外資系クライアントで海外チームと決算スケジュールがずれた案件を、具体的な数字と行動で説明しました
  • USCPAをどう活かすつもりか:「資格そのものより、英語で会計を扱ってきた3年間の実績を活かす」と、資格を前面に出さずに答えました

特化型エージェントは求人の精度が高く、総合型は年収交渉の材料(他社の提示額)として役立ちました。

エージェントの選び方は「USCPA向け転職エージェントおすすめ比較|失敗しない選び方」、職務経歴書の書き方は「USCPAの履歴書・職務経歴書の書き方|資格欄の正式表記と例文」で解説しています。

監査法人から転職を検討している方へ

筆者が転職活動で最初にやったのは、候補の3領域の求人票を並べて「自分の3年間がどこで一番評価されるか」を確かめることでした。

会計士・USCPA専門のMS-Japanは、FAS・コンサル・事業会社・外資系まで公認会計士の転職先を横断して求人を持っており、在職中の情報収集にも使えます。

登録して求人の条件を見るだけでも、「今の自分の市場価値」の目安がつかめます。

転職して良かった点・想定外だった点

3年で辞めた判断を、転職後の視点で正直に振り返ります。

項目 良かった点 想定外だった点
仕事の中身 決算早期化やシステム導入で「クライアントの業務が変わる」実感がある 会計以外(システムの設計、プロジェクト管理)を学び直す1年目は監査1年目より苦しかった
監査経験の活き方 内部統制・連結・開示の知識は毎日使う。監査の「証拠を確かめる癖」が品質面で評価された 「監査法人の常識」が事業会社では通じない場面が多い(スピード感、完璧さより実行)
年収 監査法人3年目から1〜2割上がり、その後の昇給幅も監査法人より大きい 転職直後の年収差は小さく、「年収のための転職」なら期待外れだった可能性がある
働き方 プロジェクト間に休みを取りやすい 繁忙期の集中度は監査法人とあまり変わらない
人脈 監査法人の同期・上司との関係は転職後も続き、案件で再会することもある 退職時に「3年は短い」と言われた。あと1年いればシニアとしての経験が加わったのは事実

総合すると、筆者にとっては正解の転職でしたが、「年収を上げたい」「働き方を楽にしたい」が目的の人には、同じ選択は勧めません。

コンサル転職の詳細な体験は「USCPAでコンサルに転職|監査法人3年から移った筆者の体験談」にまとめています。

監査法人からの転職のタイミングは?3年目・5年目・マネージャー前の比較

監査法人からの転職は「3年目(シニア昇格前後)」「5年目前後(シニア経験あり)」「マネージャー昇格前後」の3つが節目で、転職先の広さは3〜5年目が最も広い。1〜2年目は第二新卒扱いになりやすく、マネージャー以降は転職先が絞られる代わりに年収の上振れが大きい。

「何年目で辞めるか」で選べる転職先は変わります。

辞める時期 転職先の広さ 評価のされ方 向いている転職先
1〜2年目 狭い 「またすぐ辞めるのでは」と見られやすい。実務経験3年未満は第二新卒扱いになることも 会計事務所、ベンチャー、監査を活かさない職種への早期転換
3年目(シニア昇格前後) 広い 「一通りの監査手続きができる」と評価。ポテンシャル採用も残る FAS、コンサル、事業会社経理、外資系
5年目前後(シニア経験あり) 最も広い 「現場責任者の経験がある」と評価。即戦力採用の中心 FAS、コンサル、事業会社経理マネージャー候補、IPO準備企業
マネージャー昇格前後(7〜10年目) やや狭い 専門性と管理経験を評価。年収の上振れは大きい FAS・コンサルのマネージャー、事業会社の経理部長候補、CFO候補
シニアマネージャー以上 狭い ピンポイントの求人(CFO、部長職、パートナー候補) CFO、内部監査部長、コンサルのディレクター

公認会計士の転職日誌は、「一般に実務経験として認められるには3年以上の経験が必要」と解説し、1〜2年での転職は第二新卒のような扱いを受ける可能性を指摘しています。

一方、JMSC(MS-Japan)のコラムは、会計・財務の分野を目指すなら4〜5年程度は監査法人での実務を経験すべきだとしており、「3年」は転職先の広さと経験の厚みの、ちょうど境目です。

筆者が3年目を選んだ理由は、次の2つです。

  • シニアに上がると担当が増え、繁忙期に面接の時間が取れなくなる
  • 20代のうちに「会計以外のスキル」を学び直す時間を確保したかった

反対に、FASやコンサルで最初からマネージャー候補として入りたいなら、シニアを1〜2年経験してから動く方が提示条件は良くなります。

昇格ごとの年収の変化は「監査法人の年収カーブ|スタッフ〜パートナーの職階別相場と実体験」、法人側の採用時期は「監査法人の採用時期と転職タイミング|USCPAはいつ応募すべきか」で整理しています。

退職を伝える時期は繁忙期の3〜6ヵ月前

転職先が決まったら、退職の意思は早めに伝えます。

マイナビ会計士は、繁忙期直前の退職は業務が立ち行かなくなるため、繁忙期の半年前までに伝えることを勧めています。

MS-Japanも、退職予定の3〜6ヵ月前には伝えて引継ぎ期間を確保するよう案内しています。

筆者は9月末に伝えて12月末に退職しましたが、3月決算の期末監査(4〜5月)を避けた12月末は、法人側の人員調整がしやすい時期でした。

会計士業界は狭く、転職先の案件で元の法人のチームと会うことは珍しくないので、円満退職は次のキャリアの資産になります。

監査法人からの転職先の選び方|後悔しない4つの判断軸

監査法人からの転職先は、「監査経験のどこを売るか」「5年後にできる仕事」「年収と働き方の優先順位」「監査法人に戻れる余地」の4つの判断軸で選ぶと、転職後の後悔を減らせる。年収だけ・働き方だけで選ぶと、監査法人の恵まれた条件に気づいて戻るケースが実際にある。

7つの転職先から絞り込む際に、筆者が使った判断軸を整理します。

判断軸 問い 判断のポイント
① 監査経験のどこを売るか 財務諸表分析?内部統制?英語?業種知識? 自分の担当案件で「他の人より深い」ものを1つ決める。それが最も評価される転職先を選ぶ
② 5年後にできる仕事 転職先で5年働いたら、何ができる人になるか 「今の年収」より「5年後の選択肢の数」で比べる。監査の延長線上か、新しいスキルが乗るか
③ 年収と働き方の優先順位 年収・働き方・仕事内容のどれを最優先にするか 3つ全部を満たす求人は稀。優先順位を決めないと、条件のいい方に流される
④ 監査法人に戻れる余地 失敗したときに戻れるか、戻りたいか 非常勤や出戻りの実例は多い。「戻れる」と分かっていると、思い切った選択がしやすい

マイナビ会計士は、監査法人からの転職が初めての転職になるケースが多く、「自分がいかに恵まれていたか」の実感がないまま勢いで転職するとミスマッチが起き、監査法人に復帰する例もあると指摘しています。

筆者の周囲でも、事業会社に移って「決算しかやらせてもらえない」と1年で戻った人、ベンチャーで「経理から総務まで全部やる」環境に驚いて監査法人の非常勤に戻った人がいます。

逆に、転職先で「自分の市場価値はここだった」と気づいて活躍している人の共通点は、①の「何を売るか」が転職前から明確だったことです。

事業会社の仕事の実像は「事業会社経理の仕事内容|USCPAが監査法人との違いを解説」、内部監査は「内部監査への転職|USCPAとCIAどちらが有利?年収と入り方」、外資系は「USCPAで外資系企業に転職|評価される理由・職種・年収・選考」で解説しています。

転職先別の「向いている人」早見表

判断軸を当てはめると、転職先ごとに向いている人が見えてきます。

転職先 向いている人 向いていない人
FAS M&A・事業再生に興味があり、繁忙期並みの働き方を許容できる 働き方を整えたい
コンサル(会計・業務・IT) 会計以外のスキルを掛け算したい、クライアントと一緒に変える仕事がしたい 会計の専門性だけを深めたい
事業会社の経理財務 働き方を整え、腰を据えて1社の中で昇進したい 数年で次を考えたい、業務の変化が少ないと飽きる
経営企画・内部監査 経営に近い立場で数字を使いたい/監査の型をそのまま活かしたい 手を動かす実務が好き
ベンチャー・IPO準備 裁量と変化を楽しめる、CFOを目指したい 安定した組織・整った制度で働きたい
税理士法人 税務を身につけて独立したい(JCPAの場合) USCPAで税務経験がない(税理士登録ができないため)
金融(IB・PE) 英語・ファイナンスに強く、高年収を最優先にしたい ワークライフバランス重視

監査法人からの転職を成功させる進め方|在職中に動く5ステップ

監査法人からの転職は、①転職の目的を1つに絞る
②監査経験の棚卸し ③エージェントに登録して求人票で市場価値を確認
④閑散期に面接を集中させる
⑤内定を持って退職交渉、の5ステップを在職中に進めるのが最も失敗が少ない。

最後に、筆者の経験から「在職中に動く5ステップ」をまとめます。

ステップ やること 目安期間
① 目的を1つに絞る 年収・働き方・仕事内容・5年後の姿のうち、最優先を決める 1〜2週間
② 監査経験の棚卸し 担当業種・規模・論点(連結・IPO・内部統制・英語案件)を書き出し、数字を入れる 1〜2週間
③ エージェント登録・求人票で市場価値を確認 特化型1社+総合型1社に登録。7領域の求人票を並べて自分が評価される領域を確認 2〜4週間
④ 閑散期に面接を集中 7〜9月または1〜2月に書類応募・面接をまとめる 1〜2ヵ月
⑤ 内定を持って退職交渉 繁忙期の3〜6ヵ月前に上司へ伝え、引継ぎ計画を作る 3〜6ヵ月

このうち最も重要なのは③です。

求人票を見る前に転職先を決めると、「思い込みの市場価値」で動くことになります。

筆者の場合、求人票を並べた時点で「事業会社の経理財務は提示年収が監査法人とほぼ同じ」「コンサルは会計×システムの人材を明確に求めている」と分かり、候補の優先順位が変わりました。

在職中に、求人票を並べるところから始めてください。

監査法人からの転職先を横断して比較するなら、公認会計士・USCPAに特化したMS-Japanが、FAS・コンサル・事業会社・外資系・IPO準備企業の非公開求人まで扱っており、キャリアの整理から相談できます。

これからUSCPAを取得して監査法人を目指す段階の方は、まず「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」と「USCPAで監査法人に入る方法|採用要件・4つの入り方・選考対策」から読んでください。

よくある質問(FAQ)

Q1.
監査法人を3年で辞めるのは早すぎますか?

早すぎることはありません。

3年目はシニア昇格前後で、「一通りの監査手続きができる」と評価される時期であり、FAS・コンサル・事業会社・外資系のいずれにも門戸が開いています。

1〜2年目は第二新卒扱いになりやすく、5年目以降はシニア経験を武器に即戦力採用の中心になるので、3年目は「広さ」と「経験の厚み」の境目です。

筆者は3年目で辞めましたが、面接で「なぜ3年か」を一貫して説明できれば、不利になった実感はありませんでした。

Q2.
監査しか経験がなくても転職できますか?

できます。

監査法人からの転職先の多くは、「監査経験しかない」前提で採用しています。

FAS・コンサル・内部監査・IPO準備企業は監査経験をそのまま活かせますし、事業会社の経理財務も「上場企業の決算を監査した経験」を評価します。

ただし、「監査経験のどこが他の人より深いか」を担当案件の業種・規模・論点で具体的に語れることが条件です。

Q3.
USCPAは日本の公認会計士より転職で不利ですか?

FAS・コンサル・事業会社・外資系では、ほぼ同等に評価されます。

見られるのは資格の種類より「監査法人で何年・どの業種・どの規模を担当したか」で、US
GAAP・IFRS・英語を使う会社ではUSCPAが優位に働きます。

不利になるのは税理士法人(USCPAは日本の税理士登録ができない)と、日本基準の監査に強く依存する職種に限られます。

詳しくは「USCPAの転職市場価値|評価される業界・されない業界の実態」をご覧ください。

Q4. 転職で年収は上がりますか?

転職先によります。

FAS・コンサル・金融は監査法人3年目から1〜3割上がる提示が一般的で、事業会社の経理財務は同程度〜1割増、ベンチャーはストックオプション込みで判断します。

MS-Japanの成功事例では、BIG4監査法人(年収600万円)から事業再生コンサル(750万円)へ移った若手会計士の例が公開されています。

ただし、転職直後の差は小さく、差がつくのはその後の昇給カーブです。年収の全体像は「USCPAの年収はいくら?日本・米国の相場と筆者の推移を公開」で解説しています。

Q5.
転職活動はいつ始めるのがいいですか?

閑散期の7〜9月または1〜2月に面接を集中させるのが現実的です。

エージェント登録と職務経歴書の準備は、その1〜2ヵ月前(5〜6月・11〜12月)に済ませておきます。

退職は繁忙期(3月決算なら4〜5月)を避け、意思表示は3〜6ヵ月前が目安です。

筆者は6月に登録、7〜8月に面接、9月に内定、12月末に退職というスケジュールでした。

Q6.
監査法人を辞めて後悔することはありますか?

あります。

公認会計士の転職日誌の運営者は、4年半で監査法人を辞めて「後悔した4つのこと」を公開しており、マイナビ会計士も「恵まれていたと気づいて監査法人に復帰する例」を紹介しています。

筆者が想定外だったのは、会計以外のスキルを学び直す転職1年目が監査1年目より苦しかったこと、繁忙期の集中度が思ったほど変わらなかったことです。

後悔を減らすには、転職の目的を1つに絞り、求人票で市場価値を確認してから動くことです。

Q7.
転職に失敗したら監査法人に戻れますか?

戻れる可能性は高いです。

監査法人は慢性的な人手不足で、出戻り(アルムナイ採用)や非常勤での復帰は珍しくありません。

筆者の周囲にも、事業会社やベンチャーから1〜2年で監査法人に戻った人が複数います。

「戻れる」と分かっていると、思い切った転職先を選びやすくなるので、退職時に円満な関係を残しておくことが保険になります。

Q8.
転職エージェントは使うべきですか?

使った方がいいです。

監査法人からの転職先はFAS・コンサル・事業会社・外資系と幅広く、非公開求人が多い領域です。

会計士・USCPA特化型のエージェントは、求人票の精度と面接で聞かれる内容の把握に強く、総合型は年収交渉の材料になります。

筆者は特化型1社+総合型1社の併用で、書類6社・内定3社でした。選び方は「USCPA向け転職エージェントおすすめ比較|失敗しない選び方」を参照してください。

まとめ:監査法人からの転職は「何を売るか」と「いつ動くか」で決まる

この記事の要点を再掲します。

  • 監査法人からの転職先はFAS・コンサル・事業会社経理財務・経営企画/内部監査・ベンチャーCFO候補・税理士法人・金融の7領域。年収を上げたいならFAS・コンサル・金融、働き方を整えたいなら事業会社経理・内部監査
  • 辞める理由は「繁忙期・監査以外の経験・昇格構造・仕事への違和感」の4つ。離職率は年7%前後、5年で約4割が離職しており、辞めること自体は珍しくない
  • USCPAはFAS・コンサル・事業会社・外資系ではJCPAとほぼ同等に評価される。差が出るのは税理士法人のみ。評価の中心は「監査法人で何を経験したか」
  • 筆者は3年目にFAS・事業会社経理・会計系コンサルの3つを比較し、「会計×システム×英語」で市場価値を上げられるコンサルを選択。年収は1〜2割増で、決め手は5年後にできる仕事の幅
  • タイミングは3〜5年目が最も転職先が広い。1〜2年目は第二新卒扱い、マネージャー以降は絞られる代わりに年収の上振れが大きい
  • 転職先は「監査経験のどこを売るか」「5年後の姿」「年収と働き方の優先順位」「戻れる余地」の4軸で選び、在職中に求人票を並べるところから始める

監査法人での3年間は、どの転職先に行っても使える土台です。

ただし、その土台を「どこで、何として売るか」を決めるのは自分です。

まず求人票を並べて、自分の3年間が一番評価される場所を確かめるところから始めてみてください。

USCPAおすすめスクール
ランキングTOP3

no.

1

アビタス

総合評価

4.7
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受講料624,800円〜
(実質10万円台)
教材特徴日本語テキスト+英語問題集、図解豊富で初学者OK
講義形式日本語講義、
スモールユニット形式
サポート期間5年間(業界最長)
合格祝い金社会人20万円、
学生15万円
単位取得簡単(業界最短)

ポイント

  • 日本のUSCPA合格者の
    95%がアビタス受講生
  • 社会人でも短期合格できるコンパクト教材設計
  • 合格お祝い金とリスキリング補助金で
    実質10万円台
  • AICPA公認の唯一の日本校で
    最新試験情報を直接入手
  • 5年間サポート期間で安心、
    USCPA+プログラムで合格後もサポート

no.

2

TAC

総合評価

3.5
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受講料400,000円〜485,000円
教材特徴オリジナルテキスト+Becker問題集、ボリュームあり
講義形式正統派黒板スタイル講義
サポート期間3年間
合格祝い金なし
単位取得やや困難(時間がかかる)

ポイント

  • 長年の資格試験指導ノウハウを活かした
    正統派学習スタイル
  • Becker問題集が使用可能で
    実践的な学習ができる
  • REG・TCP(税務科目)の評判が特に良好
  • 質問回答が迅速で的確なサポート体制
  • 教育訓練給付制度対象講座で
    受講料の一部支給

no.

3

CPA会計学院

総合評価

2.8
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受講料396,000円
教材特徴オリジナルテキスト+U World問題集、BARのみ対応
講義形式日本語講義(会計知識前提)
サポート期間2年間(延長可能)
合格祝い金10万円
単位取得やや困難

ポイント

  • 受講料が比較的安価で費用を抑えて
    学習開始可能
  • 合格お祝い金10万円でコスト負担を軽減
  • リスキリング補助金対象講座で
    受講料大幅軽減
  • 日本の公認会計士試験指導実績を活かした
    会計基礎解説
  • 新設校ならではの最新設備と学習環境

PR USCPA/米国公認会計士 国際資格 アビタス
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