この記事でわかること
- 「会計士はAIに代替される」と言われる根拠(2013年のオックスフォード大学の研究など)と、10年以上経った現在の実態
- AIが実際に置き換えた会計・監査業務と、置き換えられていない業務の線引き(2026年8月時点)
- BIG4監査法人とコンサルの現場で、筆者がAIツールをどう使い、何が人の仕事として残ったか
- AI時代にUSCPAの価値が上がる領域と下がる領域|試験科目(ISC・BAR)との関係
- 「AIに代替されない会計人材」になるために、USCPA学習中から意識すべき3つのこと
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月28日
「会計士はAIに代替される職業と聞いたが、今からUSCPAを取る意味はあるのか」と不安になっていませんか。
結論から言うと、AIが代替しているのは記帳・仕訳・データ照合といった「処理」の業務で、会計判断・監査意見・経営者との対話・海外拠点との調整といった「判断と説明」の業務は、2026年時点でも人の仕事として残っています。USCPAの価値は「処理する人」から「AIの出力を検証し、判断し、説明できる人」へ移っており、資格の意味は消えるのではなく変わっています。
「会計士はAIで消える」という言説は2013年頃から繰り返されてきましたが、その間に会計士の需要は増え続けています。
筆者はBIG4監査法人で3年間、AIを含む監査ツールを実際に使って働き、現在はコンサルでAI導入を含む業務改善に関わっています。
この記事では、AI代替論の根拠と現場の実態、USCPAの価値が上がる領域と下がる領域、そして学習中から意識すべきことを、現場の視点で整理します。
会計士はAIに代替される?結論は「処理は代替、判断と説明は残る」
「会計士はAIに代替される」の根拠は、2013年のオックスフォード大学の研究(会計士・監査人の自動化確率94%)などです。しかし10年以上経った現在、代替されたのは処理業務で、会計士・USCPAの求人は増えています。代替論は「業務の一部」を「職業全体」と混同しています。
AI代替論の起点を整理します。
| 根拠 | 内容 | 現在から見た評価 |
|---|---|---|
| オックスフォード大学の研究(2013年) | 会計士・監査人(Accountants and Auditors)の自動化確率を94%と推計 | 「タスク単位の自動化可能性」を職業全体の消滅と読み替えた誤解が広がった。研究者自身も後に「職業の消滅を予測したものではない」と説明 |
| 野村総研の推計(2015年) | 日本の労働人口の49%がAI・ロボットで代替可能。経理事務が代替可能職種に含まれる | 「経理事務」の処理業務が対象。会計判断・監査意見は含まれない |
| 生成AIの普及(2023年〜) | 文書作成・要約・コード生成が実用化。会計・監査でも分析・文書化に導入 | 処理業務の自動化が加速。同時に「AIの出力を検証する人」の需要が増加 |
出典:Frey & Osborne “The Future of
Employment”(2013)、野村総合研究所(2015)、日本公認会計士協会「公認会計士業務とAI」
ポイントは、代替されたのは「業務の一部」であって「職業」ではないということです。
会計士の仕事は、仕訳を切ることではなく、その仕訳が正しいかを判断し、経営者や利害関係者に説明することです。
AIは前者を高速化しましたが、後者の責任を負うことはできません。
USCPAの価値が「意味ない」と言われる文脈全体は「USCPAは本当に意味ない?やめとけと言われる5つの理由と真実」で整理しています。
AI時代の会計キャリアの実例は、合格者のキャリアデータを持つ予備校の説明会でも確認できるので、迷っている方はアビタスの無料説明会で「合格者がどんな業務に就いているか」を聞いてみてください。
AIが実際に置き換えた業務・置き換えていない業務|2026年時点の線引き
AIが置き換えたのは、仕訳入力・請求書処理・残高照合・全件データ分析・文書の下書きです。置き換えていないのは、会計処理の判断・見積もりの妥当性評価・監査意見・経営者との協議・海外拠点との調整・AIの出力の検証です。
筆者がBIG4とコンサルの現場で見た実態を、業務別に整理します。
| 業務 | AIによる代替の状況 | 人に残る部分 |
|---|---|---|
| 仕訳入力・請求書処理 | ほぼ自動化(OCR+AI仕訳) | 例外処理の判断、勘定科目の妥当性確認 |
| 残高照合・突合 | 自動化が進む(全件照合) | 差異の原因分析と対応 |
| 監査のデータ分析 | 全件テストが可能に(異常検知) | 異常の意味の解釈、追加手続きの判断 |
| 監査調書・文書の下書き | 生成AIで下書き作成 | 内容の検証、専門的判断の記述、責任 |
| 会計処理の判断(収益認識・減損・リースなど) | 代替されていない | 基準の解釈、見積もりの前提の妥当性評価 |
| 監査意見の形成 | 代替されていない(法的にも人が責任を負う) | 全体の評価、経営者との協議、意見の表明 |
| 海外子会社・外資クライアントとの調整 | 翻訳は自動化 | 会計基準の差異の説明、交渉、信頼関係 |
| 内部統制の評価 | 一部自動化(ログ分析) | 統制の設計の妥当性判断、経営者への提言 |
筆者の体験|監査現場でAIツールを使って残ったもの
筆者がBIG4にいたとき、監査のデータ分析ツールが全件の仕訳から異常なパターンを抽出してくれました。
以前なら数日かかったサンプリングと突合が、数時間で終わります。
しかし、抽出された「異常」の大半は業務上の理由がある正常な取引で、どれが本当に問題かを判断し、クライアントの経理担当者に確認し、追加の手続きを決めるのは人の仕事でした。
生成AIが普及してからは、監査調書の下書きや英文の会計資料の要約にも使われています。
ただ、その下書きが会計基準に照らして正しいかを検証し、最終的に署名するのは監査人です。
AIは「作業の速度」を変えましたが、「判断の責任」の所在は変えていません。
監査法人の仕事の実態は「監査法人1年目の仕事内容|USCPA新人の1年間と3年間の変化」で解説しています。
AI時代にUSCPAの価値が上がる領域・下がる領域
価値が上がるのは、会計基準の解釈・見積もりの評価・国際案件・システムと会計をつなぐ領域(ISC・BAR)・AIの出力を検証する監査です。価値が下がるのは、日本基準の定型経理処理だけを担う領域で、ここはAIと低コスト化の両方から圧力を受けます。
| 領域 | AI時代の需要 | USCPAの位置づけ |
|---|---|---|
| 会計基準の解釈・判断(US GAAP・IFRS) | 上がる。基準の複雑化と国際化が進む | USCPAの学習内容(FAR・BAR)がそのまま武器 |
| 国際案件・海外子会社管理 | 上がる。翻訳は自動化されても、基準差異の説明と調整は人 | 英語×会計の証明として最も分かりやすい |
| 会計×IT・システム監査 | 上がる。AI・システムの統制評価が監査の中心に | 選択科目ISCが直結。ISC選択者の希少性は高い |
| 経営分析・FP&A | 上がる。AIの出力を経営判断につなげる役割 | 選択科目BARが直結 |
| AIの出力を検証する監査 | 新たに発生。AIが作った仕訳・文書の検証 | 会計と監査の両方を知る人材が必要 |
| 日本基準の定型経理処理 | 下がる。AI化と外注化が進む | USCPAの優位性は小さい。簿記で足りる領域 |
2024年のUSCPA新試験制度(CPA
Evolution)で選択科目にISC(情報システムと統制)が新設されたのは、会計士の仕事がシステムとデータの評価に移っているという試験側の認識の表れです。
AI時代を意識してUSCPAを取るなら、選択科目の選び方にもこの視点を入れてください。
選択科目の選び方は「選択科目はどれ?BAR・ISC・TCPの選び方」で解説しています。
「AIに代替されない会計人材」になるために|学習中から意識する3つのこと
①仕訳を暗記するのではなく「なぜその処理か」を説明できるようにする
②英語で会計を扱える状態にする
③システム・データの仕組みに触れる(ISCを選ぶ、監査ツールを使う)、の3つを学習中から意識すると、AI時代の会計人材としての土台ができます。
USCPAの学習は、やり方次第で「AIに代替される人」にも「AIを使う人」にもなり得ます。
| 意識すること | なぜ効くか | USCPA学習での具体策 |
|---|---|---|
| ①処理より「判断の理由」 | AIは処理はできても、基準の趣旨から判断の理由を説明する責任は負えない | FARの論点を「仕訳を覚える」ではなく「なぜこの処理になるか」で理解する。TBSの記述で説明する練習 |
| ②英語で会計を扱う | 翻訳は自動化されるが、海外拠点と会計基準の差異を議論するのは人 | 英語の問題文をそのまま読む習慣。合格後も英文資料を読み続ける |
| ③システム・データの仕組み | 監査も経理も、AIとシステムの統制評価が中心になる | 選択科目でISCを検討する。監査法人ではデータ分析ツールに早く触れる |
筆者がコンサルに移ってから最も求められたのは、「会計を知っていて、システムとデータの話が分かり、英語で海外拠点と話せる」という組み合わせでした。
3つとも、USCPAの学習の延長線上にあります。
USCPAを「暗記して合格する資格」として通過するか、「判断の理由を説明できる人材になる過程」として使うかで、AI時代の価値は大きく変わります。
USCPAと英語力の掛け算は「USCPA×英語力で年収を上げる掛け算戦略|4段階と実例」で解説しています。
AI代替論で見落とされている3つの事実
①会計士の数は減っておらず求人は増えている
②AIが普及するほど「AIの出力を検証する人」が必要になる
③AI化のコストは大企業以外では進みにくい、の3つが、代替論で見落とされている点です。
| 見落とされている事実 | 内容 |
|---|---|
| ①求人は増えている | 監査法人はUSCPA合格者の採用を継続し、US GAAP・IFRS対応、海外子会社管理の求人は増加傾向。AI普及後の10年で会計士の需要は減っていない |
| ②検証する人が必要 | AIが仕訳や文書を作るほど、「その出力が正しいか」を会計基準に照らして検証する人の責任が増す。監査意見は法的に人が負う |
| ③AI化は一様に進まない | 全件データ分析やAI仕訳は大企業・BIG4では進むが、中堅企業・会計事務所では人が処理する業務が多く残る。移行期には両方を分かる人が必要 |
「AIに代替される」と「AIを使いこなす人が求められる」は、同じ現象の裏表です。
代替論を理由にUSCPAを見送る判断は、「AIで仕事が減る側」に自分を置く判断でもあります。
USCPAの将来性と需要の全体像は「USCPAの将来性と需要|人手不足の実態をデータで解説」で解説しています。
AI時代にUSCPAを取るべきか|判断の基準
「日本基準の定型経理を続ける」ならUSCPAの優位性は小さく、AI化の影響も受けやすい領域です。「国際案件・会計判断・システムと会計・AIの検証」に向かうなら、USCPAはAI時代にむしろ価値が上がる資格です。判断基準は資格ではなく、どの領域に行くかです。
AI代替論で迷っている人向けに、判断の基準を整理します。
- 今いる(または行きたい)領域がどこか:定型処理の領域なら、USCPAよりまず業務のAI化・自動化スキルを優先する判断もある
- 国際案件・会計判断・システムに向かうか:向かうなら、USCPAはAI時代の土台として機能する。選択科目でISCかBARを検討する
- AIを「脅威」ではなく「道具」として使う姿勢があるか:監査法人でもコンサルでも、AIツールを早く使いこなす人ほど判断の仕事に早く移れる
「AIに代替されるから取らない」ではなく、「AIに代替されない領域に行くために取る」という位置づけなら、USCPAはAI時代でも意味のある投資です。
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よくある質問(FAQ)
Q1.
会計士はAIに代替される職業と聞きました。本当ですか?
一部は本当で、一部は誤解です。2013年のオックスフォード大学の研究で会計士・監査人の自動化確率が94%とされたのが代替論の起点ですが、これはタスク単位の自動化可能性で、職業の消滅を予測したものではありません。実際に代替されたのは仕訳入力・照合などの処理業務で、会計判断・監査意見・経営者との協議は2026年時点でも人の仕事として残り、会計士の求人は増えています。
Q2.
今からUSCPAを取っても、合格する頃にはAIに仕事を取られていませんか?
処理業務はさらに自動化されますが、USCPAで学ぶ会計判断・監査・国際会計基準の知識は、AIの出力を検証し判断する側の仕事に直結します。監査意見は法的に人が責任を負う仕組みで、AIが普及するほど検証する人の需要は増えます。合格後に処理業務ではなく判断・国際・システムの領域に向かえば、AIはむしろ追い風です。
Q3.
AI時代に有利なUSCPAの選択科目はどれですか?
ISC(情報システムと統制)が最も直結します。AI・システムの統制評価が監査の中心に移っており、ISC選択者は監査法人のIT監査やシステム関連の案件で希少性が高いです。経営分析・FP&Aに進むならBARも有効です。ただし選択科目は自分の得意分野と行きたい領域で選ぶのが基本で、AIだけを理由に決める必要はありません。
Q4.
経理の仕事はAIでなくなりますか?
仕訳入力・請求書処理・照合などの定型処理はAI化が進み、その部分の人員は減る傾向です。一方、会計処理の判断、決算の開示、海外子会社の管理、監査対応、経営への数字の説明は残ります。日本基準の定型処理だけを担う経理はAIと外注化の両方から圧力を受けるため、判断・国際・システムの領域にスキルを広げることが重要です。
Q5.
監査法人ではAIをどう使っていますか?
全件の仕訳データから異常なパターンを抽出するデータ分析ツール、監査調書や文書の下書きを作る生成AI、内部統制のログ分析などが使われています。ただし、抽出された異常の意味を判断し、クライアントに確認し、追加手続きを決め、最終的に監査意見を形成するのは人です。AIは作業の速度を変えましたが、判断の責任の所在は変えていません。
Q6.
日本の公認会計士とUSCPAでは、AIの影響に違いがありますか?
基本的な構図は同じで、処理は代替され判断は残ります。違いがあるとすれば、USCPAは国際案件・海外子会社管理・US
GAAP/IFRS対応という「翻訳が自動化されても人が残る領域」に強く、AI時代に価値が上がる領域との相性が良い点です。日本の会計士は法定監査の独占業務があるため、監査意見の責任という面で制度的に守られています。
Q7.
AIを使いこなすために、USCPA以外に学ぶべきことはありますか?
データ分析の基礎(Excel・SQL・BIツールなど)と、AIツールを業務で試す習慣が有効です。ただし、AIツール自体は数年で変わるため、変わらない土台である会計基準の理解と判断力を先に固める方が長期的には効きます。USCPAの学習を「なぜその処理か」を説明できる形で進めることが、AI時代の最も確実な準備です。
まとめ|AIは「処理」を代替し、「判断と説明」を残した。USCPAの意味は消えず、変わった
最後に、この記事の要点をまとめます。
- AI代替論の根拠(自動化確率94%)はタスク単位の推計で、職業の消滅を予測したものではない。10年以上経って会計士の求人は増えている
- AIが代替したのは仕訳・照合・データ分析・文書の下書き。残ったのは会計判断・監査意見・経営者との協議・海外拠点との調整・AIの出力の検証
- USCPAの価値が上がるのは会計判断・国際案件・会計×IT(ISC)・経営分析(BAR)・AIの検証、下がるのは日本基準の定型処理
- 学習中から判断の理由・英語で会計・システムの仕組みの3つを意識すると、AIを使う側の土台ができる
- 判断基準は資格ではなくどの領域に行くか。AIに代替されない領域に行くための資格として、USCPAは今も機能する
AIは会計士の仕事を消したのではなく、会計士に求められるものを「処理」から「判断と説明」に移しました。
USCPAをその移動の土台として使えるかどうかは、資格ではなく、学び方と行き先で決まります。
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USCPAおすすめスクール
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ポイント
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正統派学習スタイル - Becker問題集が使用可能で
実践的な学習ができる - REG・TCP(税務科目)の評判が特に良好
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受講料の一部支給
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3
CPA会計学院
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| 受講料 | 396,000円 |
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| 講義形式 | 日本語講義(会計知識前提) |
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受講料大幅軽減 - 日本の公認会計士試験指導実績を活かした
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