この記事でわかること
- のれんの英語は「Goodwill」だけでよいのか、周辺で必ず一緒に出てくる英単語(PPA・bargain
purchase・reporting unit・impairment charge) - 引当金の英語がallowance・provision・reserve・accrualの4語に分かれる理由と、どれを選ぶかの判断表
- US GAAPの「provision」がIFRSと違う意味で使われる落とし穴(Provision
for income taxes=法人税等) - 貸倒・賞与・退職給付・製品保証・訴訟など、引当金の種類別の英語対応表と、米国基準では計上できない引当金
- のれんの会計処理を日本基準・US
GAAP・IFRSで比較した表と、筆者が監査法人で英文レポーティングパッケージを直された3つの実例
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月30日
「のれんは英語でGoodwillでいいとして、引当金はallowance?provision?reserve?」「英文の決算書でProvision
for income
taxesを見たが、これは引当金なのか」と迷っている方に向けて、のれんと引当金の英語表現を整理した記事です。
結論から言うと、のれんはGoodwillの一語でほぼ確定ですが、引当金は「allowance(資産から控除する評価性のもの)」「provision(負債として計上するもの、およびP/Lの繰入額)」「accrued
〜(確定に近い未払費用)」で使い分け、reserveは英文会計では原則として避けます。特にUS
GAAPのProvisionは「引当金の残高」ではなく「P/Lに計上する繰入額・費用」を指すことが多く、ここが日本人の最大の誤読ポイントです。
辞書サイトを引くと引当金の訳語としてallowance・provision・reserveが並列で出てきますが、実務ではこの3語は交換できません。
筆者はBIG4監査法人で、米国親会社に提出する英文のレポーティングパッケージを日本の子会社が作る場面を3年間見てきました。そこで最も多かった指摘が、まさにこの引当金の語の選び方でした。
この記事では、FASB Accounting Standards Codification(ASC 350・ASC
326・ASC 450・ASC 740)とIFRS(IAS 37・IFRS
9)を一次情報に、単語の使い分け、種類別の対応表、のれんの3基準比較、実務で直された表現を解説します。
英文会計の全体像は「英文会計入門|USCPAの前に押さえる5つの土台と学習順序」、基本語彙は「会計英単語100選|BS・PL・仕訳の英語を優先度順に整理」で扱っているので、本記事は「のれんと引当金」に絞ります。
のれんと引当金の英語はなぜ間違えやすい?3つの落とし穴
間違いの原因は3つある。①日本語の「引当金」が英語では資産の控除項目(allowance)と負債(provision)の2種類に分かれること、②同じprovisionという語がIFRSでは負債の名前、US
GAAPではP/Lの費用の名前として使われること、③日本語の会計書やWeb辞書がreserveを訳語として載せているが、英文会計ではreserveは推奨されないこと。のれん側の間違いは少なく、Goodwillの一語で足りる。
まず、なぜ引当金だけが難しいのかを整理します。
| 落とし穴 | 具体例 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| ①日本語1語=英語2種類 | 貸倒引当金=allowance for credit losses(資産の控除)/賞与引当金=accrued bonuses(負債) |
「引当金=provision」と一括変換すると、B/Sの表示区分がずれる |
| ②provisionの意味が基準で違う | IFRS:provision=負債(IAS 37)/US GAAP:provision for income taxes=法人税等(費用) |
英文P/Lの「Provision for income taxes」を「法人税等引当金」と読み、B/Sの項目だと誤解する |
| ③reserveの誤用 | reserve for bonus、depreciation reserve | ネイティブのレビュアーに「reserveは純資産の積立金を連想させる」と差し戻される |
日本語の「引当金」は、貸借対照表のどこに載るかを問わない包括的な言葉ですが、英語は載る場所ごとに語が違います。
この違いを最初に押さえておくと、以降の対応表が丸暗記ではなく理屈で入ります。
なお、英文会計をこれから学ぶ順番や、どの予備校教材が用語集を持っているかは「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」で比較しています。無料で全体像をつかみたい場合はアビタスの無料説明会(アビタスの無料説明会で最新情報を確認する)でも英文会計の入り方を聞けます。
引当金は英語でProvisionかAllowanceか?4語の使い分け早見表
引当金の英語は、①allowance=資産から控除する評価性引当金(貸倒引当金など)、②provision=IFRSでは時期または金額が不確実な負債、US
GAAPではP/Lに計上する繰入額・費用、③accrued 〜/〜 liability=US
GAAPで負債側の引当を表す一般的な言い方、④reserve=英文会計では原則使わない、の4つに整理できる。迷ったら「B/Sの資産側=allowance、B/Sの負債側=accrued
〜、P/Lの繰入額=provision」で選ぶ。
4語の性格を並べます。
| 英語 | 財務諸表上の位置 | 主な用例 | 日本語 | 使ってよいか |
|---|---|---|---|---|
| Allowance | 資産の控除項目(contra asset) | allowance for credit losses、allowance for doubtful accounts、valuation allowance |
貸倒引当金、評価性引当金 | ○ US GAAP・IFRSとも標準 |
| Provision | IFRS:負債/US GAAP:P/Lの費用 | provision for restructuring(IFRS)、provision for income taxes(US GAAP) |
引当金(IFRS)/繰入額・法人税等(US GAAP) | ○ ただし基準で意味が変わる |
| Accrued 〜/〜 liability | 負債 | accrued bonuses、warranty liability、asset retirement obligation |
賞与引当金、製品保証引当金、資産除去債務 | ○ US GAAPの負債側は基本これ |
| Reserve | (旧用法)資産の控除・純資産の積立金 | reserve for bad debts、depreciation reserve | 引当金、準備金・積立金 | △ 英文会計では避ける |
allowanceは「資産をいくら減らすか」を表す
allowanceは、売掛金や繰延税金資産といった資産の帳簿価額を、回収できない見込み分だけ減らすための控除項目です。
代表例が貸倒引当金で、US
GAAPでは2020年前後に適用が始まったCECL(現在予想信用損失、ASC
326)の導入以降、allowance for credit
lossesという表記が主流になりました。
古い教材にあるallowance for doubtful
accounts(貸倒引当金)も通じますが、英文の10-Kや米国親会社のフォーマットではallowance
for credit lossesが標準です。
もう一つ重要なのが、繰延税金資産の評価性引当額を指すvaluation
allowance(ASC 740)です。
これは日本語でも「評価性引当額」と訳されますが、負債ではなく繰延税金資産の控除項目である点を、英語でも日本語でも取り違えやすい論点です。
貸借対照表の科目全体の英語表記は「財務諸表(財務三表)の英語表記|英文BS・PL・CFの読み方」で一覧にしています。
provisionはIFRSとUS
GAAPで指すものが違う
IFRSのprovisionは、IAS
37が「時期または金額が不確実な負債」と定義する、B/Sの負債項目です。一方、US
GAAPのprovisionは、P/Lに計上する当期の繰入額・費用を指す使い方が圧倒的に多く、B/Sの負債名としてはほとんど使われません。
IAS
37は、provisionを次の3要件をすべて満たすときに認識すると定めています。
| 要件 | 英語 | 内容 |
|---|---|---|
| ①現在の債務 | present obligation (legal or constructive) | 過去の事象の結果として、法的債務または推定的債務がある |
| ②流出の可能性 | probable outflow of resources | 経済的便益の流出の可能性が高い(IFRSではmore likely than not=50%超) |
| ③信頼できる見積り | reliable estimate | 金額を信頼性をもって見積もることができる |
US GAAP側の対応規定はASC 450(Contingencies)で、loss
contingency(損失偶発事象)という言葉を使い、probable(可能性が高い)かつreasonably
estimable(合理的に見積可能)なときにaccrue(未払計上)します。
ここで英語の差が出ます。
| 場面 | IFRSの言い方 | US GAAPの言い方 |
|---|---|---|
| 訴訟の引当 | provision for legal claims | accrued litigation liability、loss contingency accrual |
| リストラ引当 | restructuring provision | restructuring liability、accrued restructuring costs |
| 貸倒の繰入額(P/L) | impairment loss on financial assets | provision for credit losses |
| 法人税等(P/L) | income tax expense | provision for income taxes |
US GAAPの財務諸表で「Provision for
〜」を見たら、まずP/Lの費用を疑うのが正解です。
Provision for income
taxesは「法人税等引当金」ではなく「法人税、住民税及び事業税(および法人税等調整額)」を意味する、損益計算書の一行です。
同様に、銀行の決算資料に出るProvision for credit
lossesは、貸倒引当金の残高ではなく当期の繰入額(P/L)を指します。
US
GAAPとIFRSの考え方の違い全体は「USGAAPとIFRSの違い|10の論点と2027年に広がる差」で解説しています。
reserveを避けるべき理由
reserveは、かつてはreserve for bad
debts(貸倒引当金)やdepreciation
reserve(減価償却累計額)のように使われていましたが、現在の英文会計では推奨されません。
理由は、reserveが英語では第一義的に「純資産の積立金・準備金」を指すためです。
IFRSの財務諸表では、資本の部にretained
earnings(利益剰余金)と並んでrevaluation
reserve(再評価積立金)、translation
reserve(為替換算調整勘定)といった項目が並びます。
負債や資産の控除項目にreserveを使うと、資本の項目と読み違えられる危険があります。
日本の会社法の英訳では利益準備金をlegal
reserve、任意積立金をvoluntary
reserveと訳すため、日本人ほどこの語を引当金に転用しがちです。
筆者の経験では、この語の誤用は米国側のレビュアーが最も敏感に反応する箇所でした。
引当金の種類別に英語は何と言う?日本基準との対応表
引当金は種類ごとに定訳がある。貸倒引当金=allowance for credit
losses、賞与引当金=accrued bonuses、退職給付引当金=net pension
liability(accrued pension cost)、製品保証引当金=warranty
liability(accrual)、訴訟引当金=accrued litigation
liability、ポイント引当金=contract liability(ASC
606)。一方、修繕引当金・特別修繕引当金はUS
GAAPでは現在の債務がないため計上できず、英訳する前に「そもそも米国基準では載らない」と伝える必要がある。
日本基準の科目名を起点に、英語と根拠をまとめます。
| 日本基準の科目 | US GAAPでの英語 | IFRSでの英語 | B/Sの区分 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 貸倒引当金 | allowance for credit losses(ASC 326) | loss allowance(IFRS 9) | 資産の控除 | 旧表記はallowance for doubtful accounts |
| 賞与引当金 | accrued bonuses / accrued compensation | provision for bonuses、accrued bonuses | 負債(流動) | 支給がほぼ確定なら「引当」でなく未払費用の性格 |
| 役員賞与引当金 | accrued directors’ bonuses | 同左 | 負債(流動) | 開示上は報酬全体に含めることが多い |
| 退職給付引当金 | net pension liability / accrued pension cost(ASC 715) | net defined benefit liability(IAS 19) | 負債(固定) | 制度資産と債務の差額。reserve for retirement benefitsは誤り |
| 製品保証引当金 | warranty liability / warranty accrual(ASC 460) | warranty provision(IAS 37) | 負債 | P/Lの繰入額はwarranty expense |
| 訴訟損失引当金 | accrued litigation liability(ASC 450) | provision for legal claims(IAS 37) | 負債 | US GAAPでは開示のみで計上しない場合が多い |
| 返品調整引当金 | refund liability(ASC 606) | refund liability(IFRS 15) | 負債 | 収益認識基準の適用で引当金ではなくなった |
| ポイント引当金 | contract liability / deferred revenue(ASC 606) | contract liability(IFRS 15) | 負債 | 同上。customer loyalty programの対価配分 |
| 工事損失引当金 | provision for loss on contracts | onerous contract provision(IAS 37) | 負債 | IFRSは不利な契約(onerous contract)として整理 |
| 修繕引当金・特別修繕引当金 | 計上不可 | 計上不可 | − | 過去の事象による現在の債務がないため。将来の支出は発生時に費用 |
| 評価性引当額(繰延税金資産) | valuation allowance(ASC 740) | 認識規準に組み込み(別勘定なし) | 資産の控除 | IFRSは「回収可能な範囲で認識」なので別勘定を置かない |
この表で最も実務に効くのは、最後から2行目の「修繕引当金は英訳できない」という点です。
日本基準では計上している引当金が米国基準では認められないケースがあり、翻訳の問題ではなく組替(GAAP差異調整)の問題になります。
筆者が監査で見た限り、日本の子会社が英文パッケージを作るときに最初につまずくのがここでした。
引当金の会計処理そのものは、USCPAのFARで「Contingencies」「Employee
benefits」の論点として出題されます。詳しくは「USCPA FAR頻出論点10|連結・リース・政府会計の優先順位」を参照してください。
のれんは英語でGoodwill|一緒に覚える周辺の英単語は?
のれんの英語はGoodwillの一語で、英文の財務諸表でも”Goodwill”あるいは”Goodwill
and intangible
assets”として無形固定資産と並べて表示される。実務で必要なのはGoodwill単体ではなく、その周辺語である。取得原価の配分=purchase
price allocation(PPA)、負ののれん=bargain purchase
gain、減損の判定単位=reporting unit(US GAAP)/cash-generating
unit(IFRS)、減損損失=goodwill impairment
charge(loss)の4組を一緒に覚えると、英文の注記が読めるようになる。
のれんそのものは迷いませんが、周辺語で止まる人が多い領域です。
| 英語 | 日本語 | 使う場面 |
|---|---|---|
| Goodwill | のれん | B/Sの無形資産。海外ではintangible assetsと別建て表示が一般的 |
| Excess of cost over net assets acquired | のれん(古い表現) | 古い文献や契約書。定義的な言い換え |
| Purchase price allocation (PPA) | 取得原価の配分 | 買収後、識別可能資産・負債に時価を割り当て、残りがのれん |
| Identifiable intangible assets | 識別可能無形資産 | 商標・顧客関係・技術。のれんから切り出す対象 |
| Bargain purchase gain | 負ののれん発生益 | 取得原価が時価純資産を下回った場合。US GAAP・IFRSとも即時利益 |
| Negative goodwill | 負ののれん | 一般的な会話や日本語文献の直訳。基準書ではbargain purchaseを使う |
| Reporting unit | 報告単位 | US GAAPののれん減損テストの単位(ASC 350) |
| Cash-generating unit (CGU) | 資金生成単位 | IFRSののれん減損テストの単位(IAS 36) |
| Goodwill impairment charge / loss | のれん減損損失 | P/Lの計上額。「charge」は費用計上を表す実務語 |
| Amortization of goodwill | のれん償却 | 日本基準・US GAAPの非公開企業の選択適用でのみ発生 |
| Carrying amount | 帳簿価額 | 減損テストで公正価値と比較する対象 |
| Non-controlling interests (NCI) | 非支配持分 | のれんの計算方法(全部/部分)を分ける論点 |
Goodwillは「善意」ではなく「超過収益力」を表す会計用語として定着していますが、英語の一般語としての「好意・信用」の意味も残っています。
そのため、契約書などでgoodwillが出てきた場合は、会計用語か一般語かを文脈で判断する必要があります。
のれんの会計処理は3基準でどう違う?
のれんの英語表現を使う前提として、日本基準・US
GAAP・IFRSで処理が違うことを押さえておく必要があります。
| 項目 | 日本基準 | US GAAP | IFRS |
|---|---|---|---|
| 償却 | 20年以内で規則的に償却 | 原則として償却しない(非公開企業等は10年以内の償却を選択可、ASU 2014-02) |
償却しない |
| 減損テストの頻度 | 減損の兆候があるとき | 年1回+兆候があるとき | 年1回+兆候があるとき |
| 判定単位 | 資産グループ・のれんを含むより大きな単位 | reporting unit | cash-generating unit(またはCGUグループ) |
| 減損の測定 | 割引前将来CFで判定→回収可能価額まで減額 | 報告単位の公正価値と帳簿価額を比較し、差額を損失計上(ASU 2017-04でStep 2廃止、のれん残高が上限) |
回収可能価額(使用価値と処分費用控除後の公正価値の高い方)と帳簿価額を比較 |
| 戻入 | 認められない | 認められない | のれんについては認められない |
| 負ののれん | 負ののれん発生益(特別利益) | bargain purchase gain(当期利益) | gain on bargain purchase(当期利益) |
出典:FASB ASC 350-20(Intangibles—Goodwill and Other)、ASU
2017-04「Simplifying the Test for Goodwill Impairment」、ASU
2014-02、IAS 36、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」。ASU
2017-04は公開企業では2019年12月15日より後に開始する事業年度から、非SEC登録企業では2022年12月15日より後に開始する事業年度から適用されています。
「日本基準だけがのれんを償却する」という差は、英文の決算説明でほぼ必ず質問されます。
筆者がコンサルで海外投資家向けの資料を見る際も、日本企業ののれん償却費(amortization
of
goodwill)が営業利益を押し下げている点は、必ず調整項目として説明されていました。
のれんが発生する連結の仕組みそのものは「連結会計をわかりやすく|仕組みと5つの連結修正仕訳の型」と「USCPA FAR連結会計の攻略|相殺消去5仕訳と非支配持分」で解説しています。
英文の決算書やメールでどう書く?動詞とフレーズの型
引当金・のれんは名詞だけ覚えても文が書けない。計上する=record
/ recognize / book / accrue、繰り入れる=provide for / charge to
expense、戻し入れる=reverse / release、積み増す=increase / top
up、取り崩す=utilize / draw down、減損する=write down /
impairの6組の動詞をセットで覚えると、注記もメールも書ける。
実務で頻出する型を並べます。
| 日本語 | 英語の型 | 例文 |
|---|---|---|
| 引当金を計上する | record / recognize a provision、accrue 〜 | The Company recorded a provision for restructuring costs of $2.5 million. |
| 引当金を繰り入れる | provide for 〜 | The Company provided for credit losses of $1.2 million during the year. |
| 引当金を戻し入れる | reverse / release a provision | A portion of the provision was reversed as the claim was settled. |
| 引当金を取り崩す | utilize the provision | The provision was utilized to settle the warranty claims. |
| 引当金を積み増す | increase / top up the allowance | We increased the allowance for credit losses by $0.8 million. |
| 引当金の増減表 | roll-forward schedule / movement table | Please provide the roll-forward schedule of the allowance. |
| のれんを減損する | write down / impair goodwill、record an impairment charge | The Company recorded a goodwill impairment charge of $15 million. |
| 減損テストを行う | perform / conduct an impairment test | We performed the annual goodwill impairment test as of December 31. |
| のれんを配分する | allocate goodwill to reporting units | Goodwill was allocated to two reporting units. |
| 見積りを見直す | revise / update the estimate | The estimate was revised based on the latest claims data. |
監査法人や海外子会社とのやり取りで最も頻繁に使うのは、roll-forward
scheduleという言葉です。
期首残高・繰入・取崩・戻入・期末残高を並べた増減表のことで、「引当金の内訳を出してください」という依頼はほぼこの語で来ます。
監査の現場で使う言い回し全般は「監査の英語表現|BIG4の現場で実際に使う用語と型」でまとめています。
筆者が監査法人で直された表現は?英文パッケージの実例3つ
筆者はBIG4監査法人で3年間、米国・欧州の親会社に提出する英文レポーティングパッケージを日本の子会社が作る場面を見てきた。そこで実際に指摘された誤りは、①reserve
for bonusという表記、②Provision for income
taxesをB/S項目だと思い込んだ組替、③修繕引当金をprovision for
repairsと英訳して提出、の3つが典型だった。いずれも辞書は正しいが、基準の文脈で誤りになる例である。
ここからは筆者の実体験です。
①reserve for bonus → accrued
bonuses
3月決算の製造業の子会社を担当したとき、賞与引当金をreserve
for bonusと表記した英文B/Sが提出されました。
米国親会社のコントローラーからの指摘は「reserveは資本の項目に見えるので、accrued
bonusesに変えてほしい」というものでした。
日本語の勘定科目名を1語ずつ辞書で置き換えた結果で、訳としては誤りではないが、読む側の連想が違うという典型例です。
その後、この会社は勘定科目対応表(mapping
table)を作り、日本語の科目名・英語の科目名・親会社の勘定コードを3列で持つ運用に変えました。
| 日本語の科目 | 当初の英訳 | 修正後 | 修正理由 |
|---|---|---|---|
| 賞与引当金 | reserve for bonus | accrued bonuses | reserveは純資産の積立金を連想させる |
| 貸倒引当金 | reserve for bad debts | allowance for credit losses | 現行のASC 326の表記に統一 |
| 退職給付引当金 | reserve for retirement benefits | accrued pension cost | ASC 715の用語に合わせる |
②Provision for income
taxesの読み違い
別の子会社で、英文P/LのProvision for income
taxesを見た経理担当者が「引当金なのになぜP/Lにあるのか」と質問してきたことがありました。
これはUS
GAAPの慣用で、日本語の「法人税、住民税及び事業税」に相当する費用項目です。
Provisionという語を「引当金」と一対一で覚えていると、この行の意味が取れません。
同じ会社の連結パッケージには、貸倒に関して次の2つの行が別々に存在していました。
| 表示場所 | 英語 | 日本語 | 性格 |
|---|---|---|---|
| B/S(資産の控除) | Allowance for credit losses | 貸倒引当金(期末残高) | ストック |
| P/L(費用) | Provision for credit losses | 貸倒引当金繰入額 | フロー |
「B/Sはallowance、P/Lはprovision」という対応を最初に説明したところ、以降この会社での質問はなくなりました。
③修繕引当金をprovision
for repairsと英訳した
3年目に担当した会社では、日本基準で計上していた修繕引当金をそのまま英訳して親会社に提出していました。
親会社の会計方針ではこの引当金は認められないため、組替仕訳(GAAP
adjustment)で取り消す必要がありました。
このときの学びは、英文会計で本当に難しいのは単語ではなく、「その科目が相手の基準で存在するか」を先に確認する作業だということです。
| 場面 | 起きたこと | 対処 |
|---|---|---|
| 修繕引当金 | 日本基準で計上、US GAAPでは認識不可 | GAAP調整表で取り消し、注記で説明 |
| 特別修繕引当金 | 同上 | 同上 |
| 返品調整引当金 | 収益認識基準の適用で refund liability に整理 | 科目名を変更し、対応表を更新 |
筆者が監査法人で英語をどの程度使っていたかは「監査法人で英語は使う?USCPAが3年で担当した英語業務の実態」で詳しく書いています。
英文会計の用語をどう身につける?体系的に学ぶ3ステップ
用語は単語帳ではなく、①財務諸表の科目名を英日対応表で持つ、②基準の原文で定義文を1つ読む、③自社または実在企業の英文決算書で用例を確認する、の3ステップで身につく。特に③は無料でできる。米国企業の10-KはSEC
EDGARで、日本企業の英文決算短信は各社のIRサイトで公開されている。
具体的な進め方を示します。
| ステップ | やること | 所要時間の目安 | 使う教材 |
|---|---|---|---|
| ①対応表を持つ | B/S・P/Lの科目名を英日で並べた表を自作または入手する | 2〜3時間 | 予備校の用語集、当サイトの英単語記事 |
| ②定義文を読む | IAS 37のprovisionの定義、ASC 350ののれんの記述を1段落ずつ読む | 各30分 | IFRS Foundation・FASBの公開文書 |
| ③用例を見る | 実在企業の10-Kや英文決算短信で、Goodwill・Allowanceの注記を読む | 1社1時間 | SEC EDGAR、各社IRサイト |
このうち②の「定義文を1つ読む」を飛ばす人が多いのですが、ここを飛ばすと語の使い分けが最後まで曖昧なままになります。
筆者もUSCPAの学習中、provisionとallowanceの違いを問題演習で覚えようとして失敗し、IAS
37の定義を読んで初めて腹落ちしました。
体系的に学ぶなら、USCPAのFAR(財務会計)がそのまま英文会計の教材になります。
USCPAの講座は各校で用語集の作り込みが違うため、教材の中身を比較してから選ぶことをおすすめします。比較の観点は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」に整理しました。
受講前に教材の実物を見たい場合は、アビタスの無料説明会(アビタスの無料説明会で最新情報を確認する)でテキストと用語集のサンプルを確認できます。学習に必要な英語力の目安は「USCPAの英語力|TOEIC何点から?600点台でも受かる理由」を参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q1.
引当金は結局、provisionとallowanceのどちらを使えばよいですか?
計上する場所で決めます。売掛金や繰延税金資産など、資産の帳簿価額を減らす形で計上するものはallowance(貸倒引当金=allowance
for credit losses、評価性引当額=valuation
allowance)です。負債として計上するものは、IFRSではprovision、US
GAAPではaccrued 〜や〜 liabilityを使うのが標準です。US
GAAPのprovisionはP/Lの繰入額を指す使い方が中心なので、B/Sの負債名としては避けてください。迷ったときは「B/Sの資産側=allowance、B/Sの負債側=accrued、P/Lの繰入額=provision」と覚えると、ほとんどの場面で外しません。
Q2. Provision for income
taxesは「法人税等引当金」ですか?
違います。US GAAPの損益計算書に出るProvision for income
taxesは、日本の「法人税、住民税及び事業税」および「法人税等調整額」を合わせた当期の税金費用を指します(ASC
740)。B/Sの引当金ではありません。IFRSではIncome tax
expenseという表記が一般的です。なお、B/Sの未払法人税等はincome taxes
payable、繰延税金負債はdeferred tax
liabilitiesと、別の語が使われます。この行を引当金だと誤解すると、税効果の注記全体が読めなくなるため、最初に整理しておく価値があります。
Q3. reserveは絶対に使ってはいけないのですか?
禁止されているわけではありませんが、英文会計では避けるのが無難です。reserveは英語では純資産の積立金・準備金を第一に連想させ、IFRSの財務諸表でもrevaluation
reserve(再評価積立金)やtranslation
reserve(為替換算調整勘定)として資本の部に並びます。引当金にreserveを使うと資本項目と読み違えられる恐れがあります。例外は、日本の会社法上の準備金(利益準備金=legal
reserve)や、保険業の責任準備金(policy
reserve)など、法令や業界慣行で定訳がある場合です。
Q4.
のれんは英語でGoodwill以外の言い方がありますか?
現行の基準書ではGoodwillで統一されています。古い文献や契約書ではexcess
of cost over net assets
acquired(取得原価が取得純資産を超える額)という説明的な表現が見られますが、財務諸表では使いません。負ののれんは、日常的な会話ではnegative
goodwillと言うものの、US GAAP(ASC 805)・IFRS(IFRS 3)とも基準上はbargain
purchase gain(gain on bargain
purchase)という語を使い、発生した期の利益として計上します。
Q5.
のれんの減損を英語で説明するとき、どの語を使いますか?
計上額はgoodwill impairment charge、またはgoodwill impairment
lossです。会話ではchargeの方が実務的で、“We recorded a goodwill
impairment charge of $15 million in the fourth
quarter.”のように使います。テストの手続はimpairment test、判定の単位はUS
GAAPでreporting unit、IFRSでcash-generating
unit(CGU)です。判定に使う金額は、帳簿価額がcarrying
amount、公正価値がfair value、IFRSの回収可能価額がrecoverable
amountです。
Q6. USCPAの試験では、この使い分けは問われますか?
用語そのものを問う出題はありませんが、問題文と選択肢がすべて英語なので、語の区別ができないと解けません。FARではContingencies(ASC
450)、Employee benefits(ASC 715)、Business combinations(ASC
805)、Intangibles(ASC
350)の各論点で、allowance・accrual・provisionが自然に混在して出てきます。特にvaluation
allowance(繰延税金資産の評価性引当額)は税効果の計算問題で頻出で、これを引当金の一種と誤解すると計算そのものを間違えます。
Q7.
日本語の勘定科目を英訳する仕事を任されました。何から始めればよいですか?
最初にやるべきは、単語の翻訳ではなく「相手の基準でその科目が存在するか」の確認です。修繕引当金・特別修繕引当金のように、日本基準では計上できてもUS
GAAP・IFRSでは認識できない科目があります。存在しない科目を英訳して提出すると、後で組替が必要になります。次に、日本語の科目名・英語の科目名・親会社の勘定コードを並べた対応表(mapping
table)を作り、部署内で1つに固定してください。担当者ごとに訳語が違うと、翌期の比較ができなくなります。
まとめ
のれんと引当金の英語表現について、要点を整理します。
- のれんはGoodwillの一語で確定。周辺語のPPA・bargain
purchase gain・reporting unit・impairment chargeをセットで覚える - 引当金は4語に分かれる。資産の控除=allowance、IFRSの負債=provision、US
GAAPの負債=accrued 〜/〜 liability、P/Lの繰入額=provision - US GAAPのProvision for income
taxesはP/Lの税金費用で、引当金ではない。Provision for credit
losses(P/L)とAllowance for credit losses(B/S)の対応も同じ構造 - reserveは英文会計では避ける。純資産の積立金と読み違えられるため。例外は法令上の定訳がある準備金
- 修繕引当金・特別修繕引当金はUS
GAAP・IFRSでは計上できない。翻訳ではなく組替の問題として扱う - のれんの償却は日本基準のみ(20年以内)。US
GAAPは非公開企業の選択適用を除き非償却、IFRSも非償却。US GAAPの減損はASU
2017-04で1ステップに簡素化された - 動詞はrecord / provide for / reverse / utilize / write
downの5つと、増減表を指すroll-forward
scheduleを覚えると文が書ける
引当金の英語が難しいのは、日本語の「引当金」が英語では複数の語に分かれているからです。
単語帳で1対1に覚えようとするほど混乱するので、「財務諸表のどこに載るか」を軸に整理し直してみてください。
まずは手元にある英文の決算書で、AllowanceとProvisionがそれぞれどこに出てくるかを確認するところから始めると、この記事の内容が一気に定着します。
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CPA会計学院
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