この記事でわかること
- 連結会計とは何か、なぜ親会社の個別財務諸表だけでは足りないのかを、数値例でわかりやすく整理
- 連結財務諸表ができるまでの流れ(単純合算→連結修正仕訳)と、5つの修正仕訳の型
- 投資と資本の相殺消去・のれん・非支配株主持分・内部取引の消去・未実現利益の消去を、P社がS社の80%を取得した1つの数値例で通して確認
- 日本基準・US
GAAP・IFRSの違い(支配の判定、のれんの償却、非支配株主持分の測定)と、英語の用語対応表 - 筆者が監査法人で連結の監査を担当して分かった「実務でずれる箇所」と、USCPAのFARで連結を学ぶときの順番
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月30日
「連結会計をわかりやすく知りたい」「連結修正仕訳が何をしているのか分からない」「USCPAの学習に入る前に日本語で連結を理解しておきたい」という方に向けて、連結会計の仕組みを整理した記事です。
結論から言うと、連結会計とは、法律上は別会社である親会社と子会社を「1つの会社」とみなして財務諸表を作り直す手続です。作業は、①個別財務諸表を単純合算し、②グループ内部の取引と資本関係を消す(連結修正仕訳)、の2段階しかありません。修正仕訳の型は5つで、この5つを覚えれば入門としては十分です。
連結会計が難しく感じられるのは、仕訳の数が多いからではなく、「誰の視点で見ているか」が途中で切り替わるためです。
グループ全体の視点(連結)と、親会社株主の視点(親会社株主に帰属する当期純利益)を行き来する点さえ押さえれば、個々の仕訳は単純な引き算です。
筆者はBIG4監査法人で3年間、連結財務諸表の監査を担当しました。USCPAのFAR(財務会計)でも連結は最重要論点の一つで、筆者自身は本番のTBS(記述式問題)で連結に30分を使った経験があります。
この記事では、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」、FASB
ASC 810・ASC 805、IFRS
10を土台に、仕組み、5つの型、基準差、英語の用語を解説します。
英文会計の全体像は「英文会計入門|USCPAの前に押さえる5つの土台と学習順序」、のれんの英語は「のれん・引当金の英語表現|Provisionとの使い分け」で扱っているので、本記事は「連結の仕組み」に絞ります。
連結会計とは何か?なぜ必要なのかをわかりやすく
連結会計とは、支配従属関係にある親会社と子会社を1つの企業集団とみなし、企業集団全体の財政状態と経営成績を表す財務諸表(連結財務諸表)を作成する会計手続である。必要とされる理由は単純で、親会社の個別財務諸表だけでは、子会社に利益や損失を移すことでグループの実態を隠せてしまうため。連結すると、グループ内部の取引がすべて消えるので、「外部と本当に取引した分」だけが残る。
個別財務諸表だけでは何が見えないか
具体例で考えます。
親会社P社が、原価60の商品を子会社S社に100で販売し、S社がそれを外部に売らずに在庫として持っているとします。
| 会社 | 売上 | 売上原価 | 利益 |
|---|---|---|---|
| P社(個別) | 100 | 60 | 40 |
| S社(個別) | 0 | 0 | 0 |
| 単純合算 | 100 | 60 | 40 |
| 連結(正しい姿) | 0 | 0 | 0 |
グループの外から見れば、商品はまだ倉庫にあるだけで、1円も売れていません。
それにもかかわらず、P社の個別財務諸表には利益40が計上されます。
この「グループ内部で作った利益」を消すのが、連結会計の中心的な役割です。
連結の対象になるのはどこまでか
| 関係 | 議決権の目安 | 会計処理 | 英語 |
|---|---|---|---|
| 子会社 | 50%超(実質支配も含む) | 連結 | Subsidiary / Consolidation |
| 関連会社 | 20%以上50%以下 | 持分法 | Associate / Equity method |
| その他 | 20%未満 | 時価評価等 | Investment |
議決権の割合は目安で、実際は「支配しているかどうか」で判断します。
50%以下でも、役員の過半数を送り込んでいる、重要な財務・営業方針を決定できる契約があるといった事実があれば、子会社に該当します(支配力基準)。
持分法(equity
method)は、投資の金額を相手の純資産の増減に応じて動かす簡便な方法で、「一行連結(one-line
consolidation)」とも呼ばれます。
USCPAの学習では、この判定が最初の関門になります。教材の比較は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」に整理しました。アビタスの無料説明会(アビタスの無料説明会で最新情報を確認する)では、FARのテキストで連結がどう説明されているかも確認できます。
連結財務諸表はどう作る?単純合算と連結修正仕訳の2段階
連結財務諸表の作成は、①親会社と子会社の個別財務諸表を科目ごとに単純合算する、②グループ内部の重複を消す連結修正仕訳を入れる、の2段階で完了する。重要なのは、連結修正仕訳は帳簿には記入されず、連結精算表(consolidation
worksheet)の上だけで毎期入れ直すこと。子会社の帳簿は個別のまま残るため、過去の修正仕訳も毎期やり直す(開始仕訳)。
作成の流れを整理します。
| ステップ | 作業 | 英語 |
|---|---|---|
| ① | 子会社の資産・負債を支配獲得日の時価で評価する | Fair value adjustment |
| ② | 親会社と子会社の個別財務諸表を単純合算する | Combine line by line |
| ③ | 投資と資本を相殺し、のれんと非支配株主持分を出す | Eliminate investment in subsidiary |
| ④ | グループ内部の債権債務・取引を相殺する | Intercompany eliminations |
| ⑤ | 未実現利益を消去する | Eliminate unrealized profit |
| ⑥ | 子会社の当期純利益を非支配株主に按分する | Allocate income to NCI |
「帳簿に記入しない」という点が、連結を分かりにくくしている最大の要因です。
個別会計の仕訳は帳簿に残り翌期に繰り越されますが、連結修正仕訳は毎期ゼロから入れ直します。
そのため、前期までの修正の累積効果を当期首時点で再現する「開始仕訳」という作業が必要になります。
| 用語 | 意味 | 英語 |
|---|---|---|
| 連結精算表 | 合算と修正を並べた作業表 | Consolidation worksheet |
| 開始仕訳 | 前期までの修正を当期首に再現する仕訳 | (US GAAPでは毎期worksheet上で再作成) |
| 連結修正仕訳 | 合算後に入れる修正 | Consolidating (elimination) entries |
連結修正仕訳の5つの型とは?数値例で通して確認
連結修正仕訳の型は5つ。①投資と資本の相殺消去(のれんと非支配株主持分が生まれる)②のれんの償却(日本基準のみ)③子会社の当期純利益の按分④内部取引・債権債務の相殺⑤未実現利益の消去。この5つで、簿記2級レベルの連結問題はすべて解ける。
以下、P社が×1年3月末にS社の発行済株式の80%を800で取得し、S社の純資産(資本金600・利益剰余金300)が900だった、という前提で通します。
①投資と資本の相殺消去
親会社が持つ「S社株式」と、子会社の「純資産」は、グループ内部の資本関係なので相殺します。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| S社の純資産 | 900 | 資本金600+利益剰余金300 |
| うち親会社持分(80%) | 720 | 900 × 80% |
| うち非支配株主持分(20%) | 180 | 900 × 20% |
| 投資額 | 800 | |
| のれん | 80 | 800 − 720 |
仕訳は次のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 600 | S社株式 | 800 |
| 利益剰余金 | 300 | 非支配株主持分 | 180 |
| のれん | 80 |
のれんは「純資産の持分より高く買った差額」、非支配株主持分は「子会社の純資産のうち親会社以外のもの」です。
のれんの英語と会計処理の基準差は「のれん・引当金の英語表現|Provisionとの使い分け」で詳しく整理しています。
②のれんの償却(日本基準のみ)
日本基準では、のれんを20年以内の期間で規則的に償却します。
10年で償却する場合、毎期8(=80÷10)を費用計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| のれん償却額 | 8 | のれん | 8 |
US
GAAP・IFRSではのれんを償却しないため、この仕訳は存在しません。
代わりに毎年減損テストを行います。この差が、日本企業と海外企業の営業利益を比較しにくくしている一因です。
③子会社の当期純利益の按分
S社の当期純利益が100だったとします。
グループ全体の利益には100が含まれますが、そのうち20%は非支配株主のものです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 非支配株主に帰属する当期純利益 | 20 | 非支配株主持分 | 20 |
連結損益計算書では、当期純利益を「親会社株主に帰属する当期純利益」と「非支配株主に帰属する当期純利益」に分けて表示します。
配当があった場合は、親会社が受け取った分の受取配当金を消し、非支配株主に支払った分だけ非支配株主持分を減らします。
④内部取引・債権債務の相殺
グループ内部の売買、貸借、利息のやり取りは、外部との取引ではないためすべて消します。
| 消す対象 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 内部売上 | 売上高 | 売上原価 |
| 内部の債権債務 | 買掛金 | 売掛金 |
| 内部の貸借 | 借入金 | 貸付金 |
| 内部の利息 | 受取利息 | 支払利息 |
この相殺は損益にも純資産にも影響しません。
売上と売上原価が同額消えるだけなので、利益は変わりません。
⑤未実現利益の消去
5つの型のうち、最も間違えやすいのがこれです。
冒頭の例のように、P社がS社に原価60の商品を100で売り、S社が期末にまだ在庫として持っている場合、利益40はグループ外部に実現していません。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上原価 | 40 | 商品(棚卸資産) | 40 |
消すのは「期末に残っている在庫に含まれる利益」だけです。
S社が半分をすでに外部に売っていれば、残る在庫は50なので、消す未実現利益は20になります。
| 方向 | 呼び方 | 非支配株主持分への影響 |
|---|---|---|
| 親会社→子会社 | ダウンストリーム(downstream) | 影響しない(全額を親会社が負担) |
| 子会社→親会社 | アップストリーム(upstream) | 持分割合に応じて按分する |
アップストリームの場合に非支配株主持分を調整する点は、日本基準・US
GAAP・IFRSで共通の考え方です。
USCPAのFARでの連結の解き方は「USCPA FAR連結会計の攻略|相殺消去5仕訳と非支配持分」で詳しく扱っています。
日本基準・US
GAAP・IFRSで連結は何が違う?
違いは主に3点。①支配の判定(日本基準は支配力基準、US
GAAPは議決権モデルに加えVIE(変動持分事業体)モデルがある、IFRSは「力・変動リターン・力とリターンの結びつき」の3要素)②のれん(日本基準は20年以内の償却、US
GAAP・IFRSは非償却+減損)③非支配株主持分の測定(US
GAAPは全部のれん方式のみ、IFRSは全部と部分の選択、日本基準は部分のれん方式)。USCPAの学習では②と③が計算問題として直接出る。
3基準を並べます。
| 項目 | 日本基準 | US GAAP | IFRS |
|---|---|---|---|
| 支配の判定 | 支配力基準(議決権+実質判断) | 議決権モデル(ASC 810)+VIEモデル(損失を吸収する義務・活動を指図する力) |
IFRS 10の3要素(power / variable returns / link) |
| のれんの償却 | 20年以内で規則的に償却 | 償却しない(非公開企業の選択適用を除く) | 償却しない |
| のれんの減損 | 兆候があるとき | 年1回+兆候。ASU 2017-04で1ステップ | 年1回+兆候(IAS 36) |
| 非支配株主持分の測定 | 子会社の純資産×持分割合(部分のれん) | 全部のれん方式のみ(NCIも公正価値) | 全部のれんと部分のれんの選択 |
| 負ののれん | 負ののれん発生益(特別利益) | Bargain purchase gain(当期利益) | Gain on bargain purchase(当期利益) |
| 表示 | 非支配株主持分は純資産の部 | 同左(equity内) | 同左 |
| 持分法 | 適用 | 適用(ASC 323) | 適用(IAS 28) |
出典:企業会計基準第21号・第22号、FASB ASC 805・ASC 810・ASC 323、IFRS
3・IFRS 10、IAS 28、IAS 36。
US GAAPで特徴的なのがVIE(Variable Interest
Entity)モデルです。
議決権を持っていなくても、その会社の損失を主に負担し、業績に最も影響する活動を指図する力を持つ場合は連結する、という考え方で、SPC(特別目的会社)を使ったオフバランス化を防ぐために導入されました。
日本の実務では「支配力基準」で似た結論になることが多いものの、判定の道筋が違うため、USCPAの学習では別物として覚える必要があります。
USGAAPとIFRSの差異全体は「USGAAPとIFRSの違い|10の論点と2027年に広がる差」で整理しています。
連結の英語は?用語対応表で押さえる
連結の英語は、consolidation(連結)、parent
company(親会社)、subsidiary(子会社)、non-controlling
interests(NCI、非支配株主持分)、intercompany
transactions(内部取引)、unrealized profit(未実現利益)、elimination
entries(消去仕訳)の7語が中心。旧称のminority
interests(少数株主持分)は現在使われず、NCIに統一されている。
| 日本語 | 英語 | 補足 |
|---|---|---|
| 連結 | Consolidation | 動詞はconsolidate |
| 連結財務諸表 | Consolidated financial statements | |
| 親会社 | Parent (company) | |
| 子会社 | Subsidiary | 複数形はsubsidiaries |
| 関連会社 | Associate / Equity-method investee | |
| 支配 | Control | 判定の中心概念 |
| 支配獲得日 | Acquisition date | |
| 企業結合 | Business combination | ASC 805 / IFRS 3 |
| 取得法 | Acquisition method | |
| 取得原価の配分 | Purchase price allocation (PPA) | |
| のれん | Goodwill | |
| 非支配株主持分 | Non-controlling interests (NCI) | 旧称minority interests |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | Net income attributable to the parent | |
| 非支配株主に帰属する当期純利益 | Net income attributable to NCI | |
| 内部取引 | Intercompany transactions | 略してintercoとも |
| 相殺消去 | Elimination | 仕訳はelimination entries |
| 未実現利益 | Unrealized profit / Intercompany profit | |
| ダウンストリーム | Downstream | 親→子 |
| アップストリーム | Upstream | 子→親 |
| 連結精算表 | Consolidation worksheet | |
| 持分法 | Equity method | |
| 変動持分事業体 | Variable interest entity (VIE) | US GAAP固有 |
intercompanyは実務で「インターコ」と略され、“Have you
reconciled the interco balances?”のように使われます。
グループ内の債権債務が親子で一致しない「インターコの差異」は、連結決算で最も時間を取られる作業の一つです。
監査の現場で使う英語は「監査の英語表現|BIG4の現場で実際に使う用語と型」でまとめています。
筆者が監査法人で見た「実務でずれる箇所」は?
筆者はBIG4監査法人で3年間、連結財務諸表の監査を担当した。教科書どおりに進まない箇所は3つあった。①インターコの残高が親子で一致しない(為替・計上時期のずれ)②未実現利益の消去範囲を「売上全額」と誤解している③子会社の会計方針が親会社と揃っていない。いずれも仕訳の理解ではなく、データの作り方の問題である。
ここからは筆者の実体験です。
①インターコの残高が一致しない
連結決算で最初に確認するのが、グループ内の債権債務が親子で一致しているかです。
理論上は必ず一致しますが、実務ではほぼ毎回ずれます。
| ずれる原因 | 具体例 | 対処 |
|---|---|---|
| 計上時期のずれ | 3月30日出荷、子会社は4月1日に検収 | 未達取引として調整 |
| 為替レートの違い | 親会社は期中平均、子会社は取引日レート | レートの統一ルールを決める |
| 計上科目の違い | 一方は売掛金、他方は未払金 | 科目の対応表を作る |
| 消費税・付加価値税 | 税込と税抜の違い | 税抜で突合する |
筆者が担当した会社では、毎月末にグループ内の残高照合表(interco
reconciliation)を回す運用にしてから、決算時の調整作業が半分以下になりました。
②未実現利益の範囲を誤解している
「グループ内の売上に含まれる利益を全部消す」と誤解しているケースが複数ありました。
正しくは、消すのは期末に在庫として残っている分に含まれる利益だけです。
外部に売れた分は、グループとして利益が実現しているため消しません。
| 状況 | 内部売上 | 期末在庫 | 消去する未実現利益 |
|---|---|---|---|
| 全量が期末在庫 | 100(原価60) | 100 | 40 |
| 半分が外部へ販売済み | 100(原価60) | 50 | 20 |
| 全量が外部へ販売済み | 100(原価60) | 0 | 0 |
この誤解は、USCPAの受験生にも同じくらい多く見られます。
筆者自身、FARの学習中に「利益率×期末在庫」という計算の型を作るまで、毎回考え直していました。
③子会社の会計方針が揃っていない
海外子会社を持つグループでは、子会社が現地基準で決算を組み、親会社側で日本基準またはUS
GAAPに組み替えます。
| 項目 | よくあるずれ | 対応 |
|---|---|---|
| 棚卸資産の評価 | 現地でLIFO、親会社は先入先出法 | 組替仕訳 |
| 減価償却の耐用年数 | 現地の税法基準 | グループ統一の耐用年数に修正 |
| 引当金 | 現地基準では計上不可の引当金 | 取り消し |
| 収益認識 | 検収基準と出荷基準の違い | 基準を統一 |
連結の実務は、仕訳を切る作業より前に「同じルールで作られた数字を集める」作業が本体です。
この感覚は、教科書の連結問題を解いているだけでは身につきませんでした。
USCPA学習の下地として何を押さえるか?学習の順番
日本語で連結を理解してからUSCPAのFARに入ると、学習時間を大きく短縮できる。押さえる順番は、①支配の判定(control)②投資と資本の相殺・のれん・NCI③内部取引と未実現利益④持分法⑤VIE。①〜③が日本の簿記2級の連結とほぼ同じ内容なので、英語の用語を当てるだけで済む。新規に学ぶのは④の細部と⑤のVIEだけである。
学習の順番を整理します。
| 順番 | 論点 | 日本の簿記との重なり | 学習の重点 |
|---|---|---|---|
| ① | 支配の判定(control) | ○ 支配力基準と近い | 英語の判定要件を読む |
| ② | 投資と資本の相殺・のれん・NCI | ◎ ほぼ同じ | NCIが全部のれん方式である点 |
| ③ | 内部取引・未実現利益 | ◎ ほぼ同じ | ダウン/アップストリームの英語 |
| ④ | 持分法(equity method) | ○ 構造は同じ | 取得時の差額の処理 |
| ⑤ | VIE(変動持分事業体) | × 新規 | 損失吸収+活動の指図という2要件 |
②のNCIの測定方法の違いは、計算問題として直接出るため最優先です。
日本基準では非支配株主持分を「子会社の純資産×持分割合」で計算しますが、US
GAAPではNCIも公正価値で測定し、のれんも全部のれん方式(親会社持分と非支配株主持分の両方に対応するのれん)で計上します。
筆者は簿記2級の連結を学んでからFARに入りましたが、それでも本番のTBSで連結に30分を使いました。理由は仕訳ではなく、英語の問題文から「どの取引がダウンストリームか」を読み取るのに時間がかかったためです。
日本語で仕組みを理解しておき、英語では「用語と問題文の読み方」に集中するのが効率的です。
FARの論点別の優先順位は「USCPA FAR頻出論点10|連結・リース・政府会計の優先順位」、簿記からのステップアップは「簿記2級の次はUSCPA?ステップアップ戦略」で解説しています。
英語で会計を学ぶ環境を整えたい方は、予備校の教材を比較してから決めることをおすすめします。観点は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」に整理しました。テキストの実物を見たい場合は、アビタスの無料説明会(アビタスの無料説明会で最新情報を確認する)で確認できます。必要な英語力の目安は「USCPAの英語力|TOEIC何点から?600点台でも受かる理由」を参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 連結会計は簿記何級で学びますか?
日商簿記2級の商業簿記に、連結会計の基礎(投資と資本の相殺、のれん、非支配株主持分、内部取引の相殺、未実現利益の消去)が含まれています。2017年度の出題区分改定で2級に導入されました。1級ではさらに、段階取得、持分の追加取得・一部売却、連結キャッシュ・フロー計算書、在外子会社の換算など、応用論点を扱います。USCPAのFARで問われるレベルは、おおむね簿記2級の連結+1級の一部に相当します。日本語で2級レベルを理解しておくと、FARの連結は英語の用語を覚える作業が中心になります。
Q2. 連結修正仕訳を毎期入れ直すのはなぜですか?
連結修正仕訳は、どの会社の帳簿にも記入されないためです。親会社も子会社も、個別の帳簿は個別会計のまま翌期に繰り越されます。連結財務諸表は連結精算表という作業表の上だけで作られるので、前期に入れた修正の効果は当期首時点では存在しません。そのため、前期までの修正の累積効果を当期首に再現する「開始仕訳」を入れてから、当期分の修正を行います。この構造を理解しないまま仕訳を暗記すると、2期目以降の問題で必ず詰まります。
Q3. 未実現利益はどこまで消しますか?
期末時点でグループ内に残っている資産に含まれる利益だけを消します。内部売上の全額ではありません。たとえば親会社が原価60の商品を子会社へ100で売り、子会社が期末に半分だけ在庫として保有している場合、消去する未実現利益は40の半分の20です。残り半分は外部へ販売済みで、グループとして利益が実現しているため消しません。実務では「内部利益率×期末在庫の内部仕入額」で計算します。また、子会社から親会社への販売(アップストリーム)の場合は、消去した利益を持分割合に応じて非支配株主持分にも配分します。
Q4. 非支配株主持分は英語で何と言いますか?
Non-controlling interests(NCI)です。かつてはminority
interests(少数株主持分)と呼ばれ、日本語も「少数株主持分」でしたが、US
GAAP・IFRSとも「過半数を持たなくても支配することがある」という考え方に合わせて名称を変更し、日本基準も2015年に「非支配株主持分」へ改称しました。古い教材や英文資料にはminority
interestsという表記が残っているため、同じものを指すと知っておくと混乱しません。連結損益計算書では、Net
income attributable to non-controlling
interestsとして区分表示されます。
Q5. 日本基準とUS
GAAPで、のれんの金額自体が変わることはありますか?
あります。非支配株主持分の測定方法が違うためです。日本基準は「子会社の純資産×親会社持分」との差額でのれんを計算する部分のれん方式ですが、US
GAAPは非支配株主持分も公正価値で測定する全部のれん方式のみを認めています。全部のれん方式では、非支配株主持分に対応するのれんも計上されるため、のれんの金額は日本基準より大きくなります。IFRSは両方式の選択を認めています。USCPAのFARでは、この違いを踏まえた計算問題が出題されます。
Q6.
VIEとは何ですか?日本にも同じ制度がありますか?
VIE(Variable Interest
Entity、変動持分事業体)は、議決権による支配がなくても連結対象とするUS
GAAP固有の枠組みです(ASC
810)。判定は、①その事業体の業績に最も重要な影響を与える活動を指図する力を持つか、②損失を吸収する義務または利益を享受する権利を持つか、の2点で行います。特別目的会社を使ったオフバランス化を防ぐために導入されました。日本には同名の制度はありませんが、支配力基準と、特別目的会社に関する個別の取扱いが同様の役割を果たしています。判定の道筋が違うため、USCPAでは独立した論点として学習が必要です。
Q7.
USCPAの学習前に、日本語で連結を勉強しておくべきですか?
時間があるなら、しておく価値があります。連結はFARの中でも学習コストが高い論点で、日本語で仕組みを理解していれば、英語での学習は用語の置き換えが中心になります。目安として、簿記2級の連結の範囲を一通り解ける状態にしておけば十分です。ただし、これのみを目的に簿記2級を受験する必要はありません。市販のテキストの連結の章だけを読むか、本記事の5つの型を理解しておくだけでも、FARの学習速度は変わります。逆に、日本語での理解を飛ばして英語から入ると、会計の理解と英語の理解が同時に必要になり、負荷が高くなります。
まとめ
連結会計の仕組みについて、要点を整理します。
- 連結会計とは、親会社と子会社を1つの会社とみなして財務諸表を作り直す手続。グループ内部で作った利益を消すのが中心的な役割
- 作業は単純合算→連結修正仕訳の2段階。修正仕訳は帳簿に残らないため、毎期入れ直す(開始仕訳)
- 修正仕訳の型は5つ。①投資と資本の相殺
②のれんの償却(日本基準のみ) ③子会社利益のNCIへの按分 ④内部取引の相殺
⑤未実現利益の消去 - 未実現利益は「期末に残っている在庫分」だけを消す。内部売上の全額ではない
- 3基準の違いは支配の判定・のれんの償却・NCIの測定。US
GAAPはVIEモデルと全部のれん方式が特徴 - 英語の中心語はconsolidation / subsidiary / NCI /
intercompany / unrealized profit / eliminationの6語。minority
interestsは旧称 - 実務でずれるのは仕訳ではなくインターコの残高、未実現利益の範囲、子会社の会計方針
連結会計は仕訳が多くて難しいと言われますが、型は5つしかありません。
難しく感じるのは、「グループ全体の視点」と「親会社株主の視点」を行き来する点で、ここを意識すると個々の仕訳の意味が見えてきます。
まずはこの記事の数値例を、紙に自分で書き写して1周してみてください。5つの型が手で書けるようになれば、USCPAのFARの連結は用語を覚える作業だけになります。
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