この記事でわかること
- USCPA(米国公認会計士)と日商簿記1級の違いを、資格の性質・試験範囲・合格率・勉強時間・費用・市場価値の10項目で比較した一覧表
- 「簿記1級のほうが計算は難しく、USCPAのほうが範囲は広い」という難易度の構造と、合格率(簿記1級10〜20%・USCPA科目別42〜78%)の読み方
- 監査法人・事業会社経理・外資系・会計事務所の4つの就職先で、どちらが評価されるかの比較表
- 簿記2級からUSCPAに直行した筆者が、監査法人で簿記1級保有者の同僚と働いて感じた「差がつく場面」
- 簿記2級保有者・経理経験者・大学生・外資志向の4タイプ別に、どちらを取るべきかの判断表と「両方取る順番」
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月28日
「簿記1級とUSCPAはどっちが難しい?」「簿記2級の次は1級とUSCPAどっち?」「転職で評価されるのはどっち?」と検索している方に向けて、簿記2級からUSCPAに進み、監査法人で簿記1級保有者と働いてきた筆者の経験をもとに整理します。
結論から言うと、簿記1級は「日本基準の会計計算を極める検定」、USCPAは「英語で会計・監査・税法・ビジネスを学んだ証明になる国家資格(米国)」で、レベルの高さより用途が違います。経理・会計事務所で日本基準の実務を深めるなら簿記1級、監査法人・外資・海外に進むならUSCPAが合理的で、簿記2級の次に迷うならUSCPAに直行するほうが時間対効果は高いです。
筆者は大学1年で簿記2級を取り、簿記1級は受けずにUSCPAに進みました。新卒で入ったBIG4監査法人には簿記1級を持つ同僚が多く、3年間で両者の強みの差を見てきました。
この記事では、日本商工会議所とAICPAの公表データを一次情報に、10項目の比較表、難易度の構造、就職先別の評価表、筆者の体験、タイプ別の判断表と両方取る場合の順番まで解説します。
なお、簿記2級から始める場合の戦略は「簿記2級の次はUSCPA?ステップアップ戦略」、公認会計士との比較は「USCPAと日本の公認会計士の違い|どっちを取るべき?」で扱っています。
USCPAと簿記1級の違いとは?10項目の比較表で全体像を把握
USCPAと簿記1級の最大の違いは「資格の性質」です。簿記1級は日本商工会議所の検定試験で会計計算の到達度を測り、USCPAは米国各州の公認会計士資格で会計・監査・税法・ビジネスの専門性を証明します。
日商簿記1級とは、日本商工会議所が実施する簿記検定の最上位で、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目を同時に受験し、「税理士・公認会計士への登竜門」と位置づけられる検定です。
USCPA(U.S. Certified Public
Accountant)とは、米国各州の会計委員会が認定する公認会計士資格で、FAR(財務会計)・AUD(監査)・REG(税法・商法)+選択科目を英語で受験します。
両者を10項目で比較します。
| 項目 | 日商簿記1級 | USCPA(米国公認会計士) |
|---|---|---|
| 資格の性質 | 検定試験(日本商工会議所) | 公認会計士資格(米国各州) |
| 独占業務 | なし | 日本ではなし(米国州ライセンスで監査署名可) |
| 試験の言語 | 日本語 | 英語 |
| 試験範囲 | 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算(日本基準の会計計算に特化) | 財務会計・監査・税法・商法・ビジネス(会計以外に監査・法律を含む) |
| 受験方式 | 年2回(6月・11月)、4科目一括、統一試験(ペーパー)のみ | 通年、1科目ずつCBT受験 |
| 合格基準 | 70点以上かつ各科目10点以上(足切りあり) | 各科目75点(スケールスコア) |
| 受験資格 | なし | 学位+会計・ビジネス単位(州により異なる) |
| 合格率 | 10〜20%(直近10回平均13.6%) | 科目別42〜78%(2025年) |
| 勉強時間の目安 | 500〜1,000時間(2級保有者) | 1,200〜1,500時間(2級保有者なら1,000〜1,200時間) |
| 費用の目安 | 受験料8,800円+教材・講座5〜20万円 | 総額約100万円(予備校+受験・出願・単位取得) |
費用は10倍近く違いますが、それは「検定」と「国家資格レベルの専門資格」の差です。
簿記1級は税理士試験の受験資格になり、公認会計士試験の短答式の一部免除には直結しませんが、会計の基礎が完成した証明として国内で広く通用します。
USCPAは監査法人・外資系・海外で「英語で会計ができる」証明になり、就職・転職の入口を開く資格です。
簿記1級は「会計の深さ」、USCPAは「会計の広さと英語」を示す資格と理解すると、以降の比較が整理しやすくなります。
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難易度の違い|どっちが難しい?合格率と勉強時間で比較
合格率は簿記1級10〜20%、USCPA科目別42〜78%で、数字上は簿記1級が難しいです。ただし簿記1級は「計算の深さと足切り」、USCPAは「範囲の広さと英語」で難しさの性質が違い、簿記1級合格者がUSCPAの計算を「簡単」と感じる一方、範囲の広さで時間がかかります。
合格率の比較
| 資格 | 指標 | 数値 | 出典・時点 |
|---|---|---|---|
| 簿記1級 | 第171回(2025年11月) | 15.2% | 日本商工会議所 |
| 簿記1級 | 第173回(2026年6月) | 21.1%(近年では高め) | 同上 |
| 簿記1級 | 直近10回の平均 | 13.6% | 同上(第167回は10.5%) |
| USCPA | FAR(財務会計) | 42.12% | AICPA、2025年通年 |
| USCPA | AUD(監査) | 48.21% | 同上 |
| USCPA | REG(税法・商法) | 63.12% | 同上 |
| USCPA | BAR/ISC/TCP(選択科目) | 41.94%/67.79%/77.65% | 同上 |
| USCPA | 2026年上半期 | FAR約43%・AUD約49%・REG約67% | AICPA、2026年Q2累計 |
簿記1級は受験者約1万人前後(統一試験のみ、ネット試験は未実施)で、回によって合格率が10%台から20%超まで変動します。
USCPAの科目別合格率は受験回数ベースで、4科目すべてに1回で合格する人は2割程度です。「合格率50%だから簡単」ではなく、「1科目ずつなら合格の見通しが立つ」が正しい表現です。
難しさの「性質」の違い
| 観点 | 簿記1級 | USCPA |
|---|---|---|
| 計算の深さ | 深い(連結・税効果・企業結合・原価計算の複雑な総合問題) | 浅い(現在価値・連結の基本計算が中心。電卓貸与) |
| 範囲の広さ | 狭い(会計計算に特化) | 広い(監査・税法・商法・IT・ビジネスまで) |
| 言語 | 日本語 | 英語(問題文・解答すべて英語) |
| 一発勝負か | 4科目一括、足切りあり(1科目10点未満で不合格) | 1科目ずつ、落とした科目だけ再受験 |
| 試験機会 | 年2回 | 通年 |
| 勉強時間(2級保有者) | 500〜1,000時間 | 1,000〜1,200時間 |
簿記1級合格後にUSCPAを受けた人の多くが「FARの計算問題は簿記1級より簡単」と口を揃えます。一方で、AUD(監査)とREG(米国税法)は簿記1級では触れない領域で、ここに英語が乗るため、範囲の広さで時間がかかります。
「1問の難しさ」は簿記1級、「合格に必要な学習の総量」はUSCPAというのが、両者を知る人の共通した評価です。
簿記1級とUSCPAの範囲の重なり
| USCPAの科目 | 簿記1級との重なり | 簿記1級保有者の短縮効果 |
|---|---|---|
| FAR(財務会計) | 商業簿記・会計学と7割程度重なる(日本基準とUS GAAPの差異あり) |
大(400〜500時間→250〜350時間の目安) |
| BAR(選択科目・財務分析) | 原価計算・管理会計と一部重なる | 中 |
| AUD(監査) | 重ならない | なし |
| REG(税法・商法) | 重ならない | なし |
簿記1級を持っていると、USCPAの学習時間は全体で200〜300時間ほど短縮できるのが目安です。
簿記保有者の短縮効果は「簿記2級・1級保有者のUSCPA勉強時間|短縮効果を科目別に解説」で詳しく試算しています。USCPA単体の難易度は「USCPAの難易度|合格率・偏差値・他資格比較で見る本当の位置」を参照してください。
市場価値の違い|就職・転職で評価されるのはどっち?
監査法人・外資系・海外ではUSCPA、会計事務所・日系企業の経理で日本基準の実務を深める場面では簿記1級が評価されます。求人票で「応募要件」に書かれるのはUSCPAが多く、簿記1級は「歓迎要件」に書かれることが多いのが実態です。
就職先別の評価
| 就職・転職先 | 簿記1級の評価 | USCPAの評価 | 理由 |
|---|---|---|---|
| BIG4監査法人(監査職) | △(応募要件を満たさない) | ◎(全科目合格が応募要件) | 監査職は会計士資格が前提 |
| 中堅・準大手監査法人 | △〜○(アシスタント職で歓迎) | ◎ | 同上 |
| 日系大企業の経理 | ○〜◎(日本基準の決算・連結で即戦力の証明) | ○(連結・IFRS・海外子会社で評価) | 国内決算は日本基準 |
| 外資系企業の経理・FP&A | △(海外の採用担当に伝わりにくい) | ◎(英語で会計ができる証明) | 英語と US GAAP・IFRS |
| 会計事務所・税理士法人 | ◎(税理士試験の受験資格。科目合格と並ぶ評価) | △〜○(国際税務部門のみ) | 税務は日本基準 |
| FAS・コンサル | ○ | ◎ | 会計×英語×ビジネス |
| 海外駐在・海外就職 | △ | ○ | 国際的な知名度 |
| 新卒就活(一般企業) | ○(学習の継続力の証明) | ◎(希少性で差別化) | 大学生で1級は少ない、USCPAはさらに少ない |
簿記1級は「日本基準の会計を極めた」証明として日系企業で強く、USCPAは「英語で会計ができる」証明として監査法人・外資・海外で強い、という住み分けです。
年収レンジの比較
| キャリア | 簿記1級 | USCPA |
|---|---|---|
| 事業会社の経理(20〜30代) | 400〜700万円 | 450〜800万円 |
| 経理管理職 | 700〜1,000万円 | 700〜1,100万円 |
| 監査法人 | (監査職は原則不可) | 450〜550万円(1年目)〜800万円(シニア) |
| 外資系企業の経理・FP&A | 500〜800万円 | 600〜1,200万円 |
| 会計事務所 | 350〜600万円 | (税務では評価されにくい) |
年収は転職エージェント各社の公開求人と筆者の周囲の実例をもとにした目安で、法人・企業・地域で変わります。
同じ経理職なら資格による年収差は小さく、差が出るのは「監査法人・外資系という年収水準の高い入口に入れるか」です。USCPAはその入口を開ける資格で、簿記1級は経理の中で評価を積み上げる資格です。
USCPAの年収の実態は「USCPAの年収はいくら?日本・米国の相場と筆者の推移を公開」、転職市場での評価は「USCPAの転職市場価値|評価される業界・されない業界の実態」で解説しています。
筆者の体験|簿記2級からUSCPAに直行し、監査法人で簿記1級保有者と働いて分かったこと
筆者は簿記2級の後に簿記1級を飛ばしてUSCPAに進み、大学在学中に全科目合格しました。監査法人では簿記1級保有者の同僚のほうが日本基準の総合問題に強く、筆者は英語案件と海外子会社の検討で頼られる、という明確な分業がありました。
簿記1級を飛ばした理由
大学1年で簿記2級を取ったあと、簿記1級とUSCPAのどちらに進むか迷いました。
決め手は「1級を取っても監査法人の監査職には応募できない」という事実です。
監査法人に新卒で入るには、日本の公認会計士試験かUSCPAの全科目合格が必要で、簿記1級は経由地にしかなりません。
1級に500〜1,000時間を使うより、USCPAに1,200時間を使うほうが就職の入口に直結すると判断し、大学2年の冬にアビタスの説明会で受験資格を確認して受講を始めました。
結果として、大学3年秋にFARを受け、在学中に4科目を終えてBIG4に新卒入所しています。
監査法人で感じた「簿記1級保有者の強み」
入所後、簿記1級を持つ同僚(公認会計士試験の合格者に多い)との差を感じた場面があります。
| 場面 | 簿記1級保有者の同僚 | USCPA(筆者) |
|---|---|---|
| 連結精算表・税効果の総合的な検討 | 総合問題で鍛えた「数字のつながり」の把握が速い | 個別論点は分かるが、日本基準の総合的な組み立てに慣れるのに時間がかかった |
| 原価計算・製造業の棚卸資産の監査 | 工業簿記・原価計算の知識で即戦力 | 標準原価差異の分析は入所後に学び直した |
| 海外子会社の連結パッケージの検討 | 英文の会計方針の読み解きに時間がかかる | 英語とUS GAAPの知識で2年目から担当 |
| 米国子会社への往査・現地チームとのやり取り | 英語ができる人に限られる | 資格が「英語で会計ができる」証明になりアサインされた |
筆者が入所1年目に苦労したのは、製造業クライアントの原価計算でした。簿記1級の工業簿記・原価計算を通った同僚は最初から議論についてこられ、筆者は法人内研修と実務で追いつきました。
一方で、2年目に米国子会社の往査に加わり、現地の監査チームとの調整を英語で担当したのは、USCPAだから任された仕事です。
日本基準の計算の深さで簿記1級、英語と範囲の広さでUSCPAという違いは、試験だけでなく実務でもそのまま表れました。
監査法人でのUSCPAのリアルは「USCPAで監査法人に入る方法|採用要件・4つの入り方・選考対策」で詳しく書いています。
どっちを取るべき?タイプ別の判断表
進む先が監査法人・外資・海外ならUSCPA、会計事務所・日系企業で日本基準の実務を深めるなら簿記1級が基本です。簿記2級の次に迷っている人は、USCPAに直行したほうが時間対効果は高いことが多いです。
判断の軸は3つ
- 監査法人・外資系・海外に進みたいか →
YesならUSCPA(簿記1級では入口が開かない) - 会計事務所・税理士を視野に入れているか →
Yesなら簿記1級(税理士試験の受験資格になる) - 英語に抵抗があるか →
強い抵抗があるなら簿記1級から。抵抗がなければUSCPAに直行
タイプ別の判断表
| タイプ | 状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|---|
| 簿記2級保有の大学生 | 監査法人・外資・大手を目指す | USCPA | 在学中に4科目を終えられる。簿記1級では監査職に応募できない |
| 簿記2級保有の大学生 | 会計事務所・税理士を目指す | 簿記1級 | 税理士試験の税法科目の受験資格になる |
| 事業会社の経理(日系) | 決算・連結の実務を深めたい | 簿記1級→必要ならUSCPA | 日本基準の総合力が即戦力。海外子会社を担当するならUSCPAを追加 |
| 事業会社の経理 | 外資系・海外子会社管理に移りたい | USCPA | 「英語で会計ができる」証明。簿記1級は海外に伝わりにくい |
| 会計事務所勤務 | 税理士を目指す | 簿記1級 | 簿記論・財務諸表論と範囲が重なる |
| 未経験から経理に転職したい | 会計の知識ゼロ〜2級 | 簿記2級→USCPA or 1級 | 未経験なら2級+実務が先。次は進む先で決める |
| 英語が苦手 | 会計を深めたいが英語は避けたい | 簿記1級 | USCPAは全科目英語。1級後にUSCPAに進む人も多い |
| 公認会計士試験を検討中 | 会計士を目指すか迷っている | 簿記1級 | 会計士試験の会計学の下地になる。USCPAは別ルート |
この表で「USCPA」に当たる人でも、学位・単位要件を満たしているかは個別に確認が必要です。
受験資格と学習計画を先に確認したい人へ:アビタスの無料説明会では、学歴・単位から受験可能な州と不足単位、簿記2級・1級保有者の学習時間の目安を個別に確認できます。→
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英語が苦手な人の攻略法は「USCPAは英語できないと無理?7つの型で読解を突破する攻略法」、簿記知識がない場合は「簿記知識ゼロからUSCPAは無謀?」を参照してください。
両方取るなら順番は?簿記1級→USCPAとUSCPA→簿記1級の比較
両方取るなら「簿記1級→USCPA」が一般的で、FARの学習時間を短縮できます。ただし監査法人・外資に早く進みたいなら「USCPA→必要になったら簿記1級」の順で問題なく、実際には両方持つ必要がある人は多くありません。
| 順番 | 向いている人 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 簿記1級→USCPA | 日系経理・会計事務所で働きながら、後から外資・海外を目指す人 | FARを250〜350時間に短縮。日本基準とUS GAAPの差異が整理できる | 1級に500〜1,000時間かかり、USCPAの開始が1〜2年遅れる |
| USCPA→簿記1級 | 監査法人・外資に早く入りたい人。日本基準の総合力を後で補いたい人 | 就職・転職の入口が早く開く。1級はFARの知識で会計学が短縮できる | 工業簿記・原価計算はゼロから。監査法人勤務で1級を追加する人は少ない |
| USCPAのみ | 監査法人・外資・海外に進む人 | 最短で入口が開く | 日本基準の総合問題の訓練は実務で補う必要がある |
| 簿記1級のみ | 会計事務所・税理士・日系経理で完結する人 | 費用が10分の1。日本基準の即戦力 | 監査法人・外資の入口は開かない |
筆者はUSCPAのみで、簿記1級は取っていません。監査法人3年とコンサルで、日本基準の総合力は実務で補えました。
一方で、筆者の同僚で簿記1級→公認会計士→USCPAと積み上げた人は、日本基準・US
GAAP・英語のすべてで頼られる存在になっています。両方持つ価値は、「国内の深さ」と「海外の広さ」の両方が必要な仕事に就く場合に限って高いです。
迷っているなら「USCPAが受験できるか」を先に確認する
簿記1級とUSCPAで迷っている人が最初にやるべきことは、自分の学歴でUSCPAの受験資格を満たすかの確認です。簿記1級は誰でも受けられますが、USCPAは学位と単位要件があり、受験できるかで選択肢が変わります。
簿記1級に受験資格はなく、テキストと過去問で今日から始められます。
一方でUSCPAは、学位と会計・ビジネス単位の要件が州ごとに異なり、不足単位があれば取得に数ヵ月〜半年と数万〜20万円がかかります。
アビタスの無料説明会では、受験資格の判定、州選び、簿記2級・1級保有者の学習時間の目安、教育訓練給付制度の対象コースを個別に確認できます。
筆者は大学2年の冬に説明会で「今の単位で受験できる州」と「簿記2級からの学習時間の目安」を確認してから、簿記1級ではなくUSCPAに進むと決めました。
予備校ごとの費用・教材・サポートの比較は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」を参照してください。
よくある質問(FAQ)
Q1.
USCPAと簿記1級はどっちが難しいですか?
難しさの性質が違います。
合格率は簿記1級10〜20%(直近10回平均13.6%)、USCPA科目別42〜78%(2025年)で、数字上は簿記1級が難しいです。
ただし簿記1級は「1問の計算の深さと4科目一括・足切り」、USCPAは「監査・税法・商法を含む範囲の広さと英語」が難しさの中身です。
簿記1級合格者はUSCPAの計算を簡単と感じる一方、勉強時間の総量はUSCPAのほうが多く(1,000〜1,500時間)、どちらが難しいかは人によって逆転します。
Q2.
簿記1級を持っていないとUSCPAは受からないですか?
受かります。
USCPAのFARは簿記2級程度の知識があれば学習を始められ、予備校のカリキュラムも簿記2級レベルを前提に組まれています。
筆者は簿記2級からUSCPAに進み、簿記1級は受けずに在学中に全科目合格しました。
簿記1級があればFARの学習時間を200〜300時間短縮できますが、そのために1級に500〜1,000時間を使うのは遠回りです。
Q3.
簿記1級とUSCPA、転職で有利なのはどっちですか?
転職先によります。
監査法人・外資系・FAS・海外ではUSCPAが有利で、BIG4監査法人はUSCPA全科目合格を監査職の応募要件に明記しています。
会計事務所・税理士法人・日系企業で日本基準の決算を深める場面では簿記1級が評価され、税理士試験の受験資格にもなります。
同じ経理職なら資格による年収差は小さく、差が出るのは「監査法人・外資系という年収の高い入口に入れるか」です。
Q4.
簿記1級の合格率が低いのはなぜですか?
4科目一括・足切りありの一発勝負だからです。
商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を同じ日に受け、合計70点以上に加えて各科目10点以上が必要で、1科目でも崩れると不合格になります。
回によって合格率が10%台から20%超まで動くのは、総合問題の難易度が年で変わるためです。
USCPAは1科目ずつ受けて落とした科目だけ再受験できるので、同じ学力でも合格までの到達しやすさが違います。
Q5.
大学生は簿記1級とUSCPAどっちを取るべきですか?
進む先で決めます。
監査法人・外資系・大手企業を目指すならUSCPAで、在学中に4科目を終えられれば新卒就活で大きく差別化できます。筆者はこのルートでBIG4に入りました。
会計事務所・税理士を目指すなら簿記1級で、税理士試験の税法科目の受験資格になります。
公認会計士試験を検討しているなら、簿記1級は会計学の下地になるので先に取っておく価値があります。
Q6.
簿記1級とUSCPAの年収はどれくらい違いますか?
同じ職種なら大きな差はありません。
事業会社の経理では簿記1級400〜700万円、USCPA450〜800万円が目安で、資格より経験年数と担当業務で決まります。
差が出るのは、USCPAで監査法人(1年目450〜550万円)や外資系のFP&A(600〜1,200万円)に入る場合で、簿記1級ではこれらの入口が原則開きません。
年収を上げたいなら「どの資格か」より「どの入口に入るか」で考えてください。
Q7.
簿記1級はUSCPAの受験資格になりますか?
なりません。
USCPAの受験資格は学位(学士)と会計・ビジネス単位で決まり、簿記の級は関係ありません。
簿記1級は税理士試験の税法科目の受験資格にはなりますが、USCPAの単位要件は大学の履修科目で判定されます。
不足単位がある場合は、予備校提携の米国大学の単位取得で補うのが一般的です。
Q8. 両方取る意味はありますか?
「国内の深さ」と「海外の広さ」の両方が必要な仕事なら意味があります。
日系大企業の連結決算で日本基準とUS
GAAP・IFRSの両方を扱う人、日本子会社と海外本社の橋渡しをする外資系の経理には、両方が効きます。
順番は簿記1級→USCPAが一般的で、FARの学習時間を短縮できます。
監査法人・外資に早く進みたいならUSCPAだけで問題なく、実務で日本基準の総合力を補えます。
まとめ:簿記1級は「日本基準の深さ」、USCPAは「英語と範囲の広さ」で選ぶ
この記事の要点を再掲します。
- 簿記1級は日本商工会議所の検定で日本基準の会計計算に特化、USCPAは米国の公認会計士資格で会計・監査・税法・ビジネスを英語で問う。レベルの高低ではなく用途が違う
- 合格率は簿記1級10〜20%(直近10回平均13.6%)、USCPA科目別42〜78%(2025年)。簿記1級は「計算の深さ+4科目一括+足切り」、USCPAは「範囲の広さ+英語」が難しさの中身
- FARは簿記1級と7割程度重なり、1級保有者はUSCPAの学習を200〜300時間短縮できる。AUD・REGは重ならない
- 市場価値は監査法人・外資・海外でUSCPA、会計事務所・日系経理で簿記1級。BIG4の監査職はUSCPA全科目合格が応募要件で、簿記1級では入口が開かない
- 同じ経理職なら年収差は小さく、差が出るのは年収水準の高い入口(監査法人・外資)に入れるか
- 筆者は簿記2級からUSCPAに直行して在学中に合格。監査法人では日本基準の総合力で簿記1級保有者、英語案件でUSCPAという分業だった
- 選び方は「監査法人・外資・海外→USCPA」「会計事務所・税理士・日系経理の深さ→簿記1級」。簿記2級の次に迷うならUSCPAに直行するほうが時間対効果は高い
どちらの資格も、進む先を決めてから選べば無駄になりません。
自分の学歴でUSCPAを受験できるか、簿記2級からなら何時間で4科目を終えられるかを確かめるところから始めてみてください。
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