この記事でわかること
- BAR(Business Analysis and
Reporting)とは何か。選択科目3つの中での位置づけと、旧BECからどの内容が移ってきたか - 出題範囲(Area I ビジネス分析40〜50%・Area II 技術的会計35〜45%・Area
III 州・地方政府会計10〜20%)と、出題形式・試験時間 - 合格率(2026年上半期は40%台で選択科目の中で最難)と、難しい理由・向いている人
- 必要勉強時間(FAR合格後で200〜250時間)と、Areaごとの勉強法・FARとの連続受験が効く理由
- BARを選んで合格した筆者の学習記録(何に時間を使い、どこで詰まり、本番で何が出たか)
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月29日
「選択科目はBARが王道と聞くけれど、実際に何が出て、どれくらい難しくて、FARとどう違うのか」と、名前だけ知っていて中身が見えないままになっていませんか。
結論から言うと、BARとは、USCPAの選択科目の1つで、財務分析・管理会計・予測などの「ビジネス分析」と、収益認識・リース・企業結合などの「技術的会計」、そして州・地方政府会計を扱う科目です。
FARの発展科目という位置づけで、FARの知識をそのまま使える一方、選択科目3つの中では合格率が最も低く(2026年上半期で40%台)、計算量の多さと範囲の広さが難しさの理由です。
筆者は選択科目にBARを選び、FARの直後に受験して合格しました。
この記事では、BARの位置づけ、出題範囲と形式、合格率と難易度、勉強時間と勉強法、筆者の学習記録を整理します。
BARとは?選択科目3つの中での位置づけ
BAR(Business Analysis and
Reporting|ビジネス分析と報告)とは、2024年のCPA
Evolutionで新設された選択科目の1つで、FARで学ぶ財務会計を「分析する・応用する・より難しい論点を処理する」方向に発展させた科目である。旧BECの管理会計・財務管理の内容と、旧FARから移された難易度の高い会計論点、州・地方政府会計を組み合わせて構成され、経営企画・FP&A・財務分析を志向する人向けの科目とされる。
まず選択科目3つの中での位置を表で確認します。
| 項目 | BAR | ISC | TCP |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | Business Analysis and Reporting | Information Systems and Controls | Tax Compliance and Planning |
| 発展元のコア科目 | FAR | AUD | REG |
| 主な内容 | 財務分析・管理会計・技術的会計・政府会計 | IT統制・セキュリティ・SOC業務 | 個人・法人の税務プランニング |
| 旧制度から移った内容 | 旧BECの管理会計・財務管理、旧FARの難論点と政府会計の一部 | 旧BECのIT、旧AUDのIT統制 | 旧REGの発展 |
| 2026年上半期の合格率(目安) | 40%台半ば | 60%台後半 | 70〜80% |
| 向いている人 | 経営企画・FP&A・財務分析、FARが得意な人 | IT監査・システム監査、IT知識がある人 | 税務・会計事務所、REGが得意な人 |
BARは「FARの知識をそのまま使える」ことが最大の利点で、FARの直後に受ければ学習の重なりを活かせます。
一方で「FARより難しい論点」と「旧BECの計算問題」が両方入るため、選択科目3つの中では最も学習量が多い科目です。
選択科目の選び方全体は「選択科目はどれ?BAR・ISC・TCPの選び方」、試験制度の全体像は「USCPA試験制度の全体像|CPA Evolution対応版」で解説しています。
選択科目をBARにするかどうかは、FARの学習の手応えで判断するのが一般的なので、アビタスの無料説明会で「FARの進み具合からBARを選ぶ目安」を聞いておくと、この記事の出題範囲を自分の得意・不得意に当てはめやすくなります。
BARの出題範囲は?3つのAreaと配点
BARの出題範囲は、Area I ビジネス分析(40〜50%)・Area II
技術的会計と報告(35〜45%)・Area III
州・地方政府会計(10〜20%)の3つで、Area
Iは財務諸表分析・非財務指標・管理会計(原価・差異分析・予算・予測)、Area
IIは収益認識・リース・企業結合・デリバティブ・株式報酬など、Area
IIIは政府会計の基金会計と財務報告を扱う(2026年版ブループリント、要最新確認)。
Area別の出題範囲表
| Area | 配点 | 主な論点 | FARとの関係 |
|---|---|---|---|
| I. Business Analysis(ビジネス分析) | 40〜50% | 財務諸表分析(比率分析・トレンド)、非財務指標(KPI・バランストスコアカード)、管理会計(原価計算・CVP分析・差異分析)、予算と予測、資本予算(NPV・IRR)、資本コスト、データ分析の基礎 | 旧BECの内容。FARにはない |
| II. Technical Accounting and Reporting(技術的会計と報告) | 35〜45% | 収益認識の応用、リース(貸手側・セールアンドリースバック)、企業結合と連結の応用、デリバティブとヘッジ会計、株式報酬、研究開発費・ソフトウェア原価、外貨換算、セグメント報告、EPS、SEC報告 | FARの発展。FARで学ぶ基礎を前提に難論点を問う |
| III. State and Local Governments(州・地方政府会計) | 10〜20% | 基金会計(一般基金・特別収入基金等)、政府全体の財務報告、修正発生主義、予算会計 | 旧FARの政府会計の一部が移った |
出題形式と試験時間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 4時間 |
| MC(4択問題) | 50問(うち採点対象外のプレテスト6問程度) |
| TBS(総合問題) | 7問(うちプレテスト1問程度) |
| 配点 | MC50%・TBS50% |
| スキルレベル | Remembering & Understanding 10〜20%、Application 45〜55%、Analysis 30〜40% |
| 受験できる時期 | 各四半期の最初の1ヵ月(1月・4月・7月・10月) |
Application(計算・処理)とAnalysis(分析)で8割を超えるため、BARは「覚える科目」ではなく「計算して分析する科目」です。
ブループリントの読み方は「USCPAブループリントの読み方と活用法|4階層と配点の使い方」、FARの範囲は「USCPAのFARとは|出題範囲・形式・難易度を1回合格者が解説」で扱っています。
BARの難易度は?合格率が低い3つの理由
BARの合格率は2026年上半期で40%台半ばと、選択科目3つの中で最も低く、FAR・AUDと同じ水準である。難しい理由は、①旧BECの管理会計・財務管理とFARの難論点を1科目で問うため範囲が広い、②MC50問・TBS7問に計算問題が多く4時間の時間配分が厳しい、③政府会計という日本人に馴染みのない分野が10〜20%を占める、の3つである。
| 難しい理由 | 内容 | 対策の方向 |
|---|---|---|
| ①範囲の広さ | 管理会計(旧BEC)+技術的会計(FARの発展)+政府会計の3分野を1科目で問う | Areaの配点で時間を配分し、Area Iを最優先にする |
| ②計算量と時間配分 | MCの多くが計算問題。TBSは資料から分析・計算する形式で1問15〜25分かかる | MC1問1.5分・TBS1問20分を模試で固定する |
| ③政府会計 | 基金会計・修正発生主義は日本の会計にない概念。FARで学んだ人も忘れている | 10〜20%と割り切り、型を覚える学習に絞る |
| (補足)受験者層 | FARが得意で自信のある人が選ぶため、母集団の実力が高い。合格率の低さは科目の難しさだけを表さない | — |
「合格率が低いから避ける」のではなく、「FARが得意ならBARが最も学習効率がよい」というのが筆者と予備校の講師の見方です。
合格率の推移は「USCPA合格率の推移|科目別10年データと日本人の実態を解説」、合格点の意味は「USCPA合格点75点の意味と採点の仕組み|74点で落ちる理由」で扱っています。
BARの勉強時間と勉強法は?
BARの必要勉強時間は、FAR合格直後なら200〜250時間、FARから半年以上空いた場合は250〜300時間が目安である。勉強法はArea
Iの管理会計・財務分析を最初に固め(全体の45%)、Area
IIはFARの復習と難論点の上積み(35%)、Area
IIIは基金会計の型を覚える(10%)、残り10%を模試とTBS演習に充てる。FARの直後に受けることが最大の時短になる。
Areaごとの勉強法と時間配分(250時間の場合)
| Area | 時間の目安 | 勉強法 |
|---|---|---|
| I. ビジネス分析 | 110時間(45%) | 原価計算・CVP・差異分析・予算・NPV/IRRを「公式を覚える→MCで計算→TBSで資料から数値を出す」の順で。財務比率は定義と意味をセットで暗記 |
| II. 技術的会計 | 90時間(35%) | FARのテキストの該当章(収益認識・リース・連結・デリバティブ・株式報酬・外貨)を復習してから、BAR教材の応用問題へ。FARで飛ばした「貸手側のリース」「ヘッジ会計」を重点的に |
| III. 政府会計 | 25時間(10%) | 基金の種類と会計基準(修正発生主義・発生主義)を表で整理し、仕訳の型を覚える。深追いしない |
| 模試・TBS演習 | 25時間(10%) | 本番形式の模試を2〜3回。TBSは「資料を読んで計算する」形式に慣れる |
BARの勉強法で押さえる4点
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ①FARの直後に受ける | Area IIはFARの知識が前提。FAR合格から3ヵ月以内に受ければ復習時間を50時間以上減らせる |
| ②管理会計は「型」で覚える | 差異分析・CVP・予算は公式のパターンが決まっている。MCで反復し、数値を変えても解ける状態にする |
| ③TBSは資料の読み方を練習する | BARのTBSは財務諸表や予算資料から分析・計算する形式。何を問われているかを先に確認してから資料を読む |
| ④政府会計は型に絞る | 10〜20%の配点で、Remembering中心。基金の一覧と修正発生主義の仕訳を覚えれば取れる |
受験順の考え方は「USCPA科目の受験順番|FARが最初の理由と選択科目別ルート」、FARの学習は「FARの勉強法と必要勉強時間」、政府会計は「USCPA FAR政府会計・NPO会計の攻略|苦手論点の最短対策」、頻出論点は「USCPA BAR頻出論点まとめ|3エリア別の出題傾向と型」で扱っています。
筆者がBARを選んで合格するまでの学習記録
筆者はFAR合格の直後にBARを受験し、合格しています。
学習のタイムライン
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| FAR合格のスコアリリース | 翌日からBARの学習を開始。選択科目はFARの学習中に「FARが得意ならBAR」と決めていた |
| 1〜4週目 | Area Iの管理会計。原価計算・CVP・差異分析はFARにない内容で、公式の暗記とMCの反復に時間を使った |
| 5〜7週目 | Area Iの財務分析・予算・NPV。比率の定義を表にして暗記。NPV・IRRは計算機の操作に慣れるまで反復 |
| 8〜10週目 | Area II。FARのテキストの該当章を読み直してから、BARの応用問題へ。貸手側のリースとヘッジ会計で詰まった |
| 11週目 | Area III。基金の一覧と修正発生主義の仕訳を表で整理。FARで学んだ内容が残っていたため25時間で切り上げた |
| 12〜13週目 | 模試2回とTBS演習。1回目の模試で時間切れ、2回目でぎりぎり時間内に収めた |
| 14週目 | 受験(四半期の受験月の前半)。学習時間は合計約230時間 |
| 受験から約2ヵ月後 | 合格(70点台後半) |
詰まった論点と乗り越え方
| 詰まった論点 | 何が起きたか | 乗り越え方 |
|---|---|---|
| 差異分析 | 価格差異・数量差異・能率差異の公式が混ざり、MCの正答率が5割を下回った | 差異の体系図を1枚に書き、「実際・標準・予算」の3つの数値の差として整理し直した |
| ヘッジ会計 | 公正価値ヘッジとキャッシュフローヘッジの処理の違いが理解できなかった | 「どこに損益を計上するか」だけに絞って表にし、仕訳の型を覚えた |
| TBSの時間配分 | 1回目の模試で最後のTBSが半分未回答 | TBSの冒頭で設問を先に読み、資料のどこを見るか決めてから計算する順番に変えた |
本番で出たこと(記憶の範囲で)
- MCは管理会計の計算問題が半数近くを占め、Area
Iの重要性を実感した - TBSは財務諸表の資料から比率や差異を計算する形式が中心で、「読んで計算する」練習が直接効いた
- 政府会計はMCで数問とTBSで部分的に出た程度で、型を覚えた分で対応できた
- 時間は最後のTBSで足りなくなり半分ほど未回答。それでも埋めた設問の部分点で合格ラインに届き、「白紙を作らず解ける設問から埋める」ことの重要性を実感した
筆者の実感は「BARはFARの続きとして受ければ最も効率がよい選択科目」で、逆にFARから時間が空くとArea
IIの復習に時間を取られます。
FARの学習記録は「FARの勉強法と必要勉強時間」、時間配分は「USCPA FARの時間配分と解答戦略|計算で時間を失わない型」で扱っています。
BARを選ぶか決めてから学習を始めるには
BARは、FARが得意で経営企画・財務分析の仕事を志向する人にとって、学習の重なりを最も活かせる選択科目です。
FARの学習で「計算問題が苦にならない」「連結・リースが理解できた」と感じているなら、BARを選んでFARの直後に受ける計画を立ててみてください。
逆に、FARで計算に苦労した人やIT・税務の実務がある人は、ISC・TCPの方が学習効率がよい場合があります。
予備校ごとのBAR講座の有無・教材の充実度・模試の回数は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」で比べてください。
「自分のFARの手応えや職種で、BARが合っているか」を個別に相談したい方は、アビタスの無料説明会で選択科目の選び方ごと聞けます。
よくある質問(FAQ)
Q1. BARとは何ですか?
USCPAの選択科目の1つで、Business Analysis and
Reporting(ビジネス分析と報告)の略です。
財務諸表分析・管理会計・予算などの「ビジネス分析」、収益認識・リース・企業結合などの「技術的会計」、州・地方政府会計の3分野で構成されます。
FARで学ぶ財務会計を分析・応用する方向に発展させた科目で、旧BECの管理会計と旧FARの難論点が移ってきました。
経営企画・FP&A・財務分析を志向する人向けの科目とされます。
Q2. BARの出題範囲と配点は?
3つのAreaに分かれます。
Area I
ビジネス分析(40〜50%)は財務分析・管理会計・予算・資本予算、Area II
技術的会計(35〜45%)は収益認識・リース・企業結合・デリバティブ・株式報酬など、Area
III 州・地方政府会計(10〜20%)は基金会計と政府の財務報告です。
MC50問とTBS7問で配点は各50%、試験時間は4時間です。
配点は2026年版ブループリントに基づくため、受験前に最新版を確認してください。
Q3. BARの合格率と難易度は?
2026年上半期の合格率は40%台半ばで、選択科目3つの中では最も低く、FAR・AUDと同水準です。
難しい理由は、管理会計・技術的会計・政府会計の3分野を1科目で問う範囲の広さ、計算問題の多さによる時間配分の厳しさ、政府会計の馴染みのなさの3つです。
ただしFARが得意な人が選ぶため母集団の実力が高く、合格率の低さは科目の難しさだけを表しません。
FARが得意なら、学習の重なりで最も効率よく合格できる科目です。
Q4.
BARの勉強時間はどれくらいですか?
FAR合格直後なら200〜250時間、FARから半年以上空いた場合は250〜300時間が目安です。
Area Iの管理会計・財務分析に45%、Area
IIのFARの復習と難論点に35%、Area
IIIの政府会計に10%、模試とTBS演習に10%の配分です。
筆者はFAR合格の翌日から学習を始め、約230時間・14週間で受験して合格しました。
FARの直後に受けることが最大の時短になります。
Q5. BARとFARはどう違いますか?
FARは財務会計の基礎を広く問う科目で、BARはその知識を分析・応用する科目です。
BARのArea
IIはFARの難論点(貸手側のリース・ヘッジ会計・企業結合の応用)を深く問い、Area
Iは FARにない管理会計・財務分析を扱います。
政府会計はFARにも残っていますが、BARでは基金会計と財務報告に絞って10〜20%出ます。
FARで基礎が固まっていることが前提の科目です。
Q6. BARはいつ受験できますか?
各四半期の最初の1ヵ月(1月・4月・7月・10月)だけです。
選択科目はコア科目と違って通年受験できず、不合格なら次の四半期まで3ヵ月待ちます。
FAR合格のスコアリリースから逆算して、3ヵ月以内の受験月に置くのが理想です。
受験月の前半に受けると、体調不良などで動かす余地が残ります。
Q7.
BARはどんな人に向いていますか?
FARが得意で、計算問題が苦にならない人です。
経営企画・FP&A・財務分析・事業会社の経理など、財務数値を分析する仕事を志向する人に内容が合います。
逆に、FARで計算に苦労した人はISC、税務の実務があるかREGが得意な人はTCPの方が学習効率がよい場合があります。
選択科目はどれを選んでも取得できる資格は同じUSCPAで、業務範囲の制限はありません。
まとめ:BARは「FARの続き」として受けるのが最短
この記事の要点を再掲します。
- BARとは、FARを分析・応用する方向に発展させた選択科目。旧BECの管理会計と旧FARの難論点、政府会計で構成
- 出題範囲はArea I ビジネス分析40〜50%・Area II
技術的会計35〜45%・Area III
政府会計10〜20%。MC50問・TBS7問・4時間 - 合格率は2026年上半期で40%台半ばと選択科目で最難。理由は範囲の広さ・計算量・政府会計。ただし母集団の実力が高い
- 勉強時間はFAR直後で200〜250時間。Area Iに45%、Area
IIはFARの復習から、Area IIIは型に絞る - 筆者はFAR合格の翌日から約230時間・14週間で合格。差異分析・ヘッジ会計・TBSの時間配分で詰まり、体系図・仕訳の型・設問先読みで乗り越えた
- 向いているのはFARが得意で財務分析を志向する人。FARから3ヵ月以内に受けるのが最大の時短
BARは合格率だけ見ると避けたくなる科目ですが、FARの知識が残っているうちに受ければ、選択科目の中で最も学習の重なりを活かせます。
まずFARの学習で計算問題の手応えを確かめて、得意だと感じたらFAR合格直後の受験月をBARに充てる計画を立ててみてください。
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