この記事でわかること
- TCP(税務コンプライアンスとプランニング)の4つのArea(個人の税務とパーソナルファイナンシャルプランニング/事業体の税務コンプライアンス/事業体のタックスプランニング/資産取引)の配点とスキルレベル
- Area別の頻出論点を「REGで学んだこと」「TCPで新しく足す論点」に分けた一覧表と、押さえる順番
- 事業体の選択(C法人・S法人・パートナーシップ)、パートナーシップの持分計算、非課税組織再編、ギフト・遺産税、退職プランなど、REGにない論点の整理表
- 2026年7月1日から試験範囲に入ったOBBBA(税制改正)で、TCPの頻出論点がどう変わったか
- 筆者がREG(約250時間)で固めた論点とTCPで足すべき論点の切り分け、税務部門に異動した同期がTCPに約180時間で合格した学習の中身
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月30日
「TCPはREGの延長と聞くけれど、具体的にどの論点が新しく増えるのか分からない」「合格率が高いから楽と思って始めたら、プランニングの問題が解けない」という方に向けて、TCPの頻出論点を配点と「REGとの差分」で整理した記事です。
結論から言うと、TCPの論点は「Area I
個人の税務とパーソナルファイナンシャルプランニング30〜40%」「Area II
事業体の税務コンプライアンス30〜40%」「Area III
事業体のタックスプランニング10〜20%」「Area IV
資産取引10〜20%」の4領域で、スキルレベルは適用55〜65%・分析25〜35%と6科目で最も「計算して提案する」比重が高く、REGの計算の型を土台に、事業体の選択・パートナーシップの持分・組織再編・退職と遺産のプランニングという「REGにない4つの論点群」を足せば合格圏に届きます。
筆者は旧制度でREGを4科目目に約250時間で合格し、TCPは未受験ですが、監査法人時代に税務部門と連携して法人税の引当(タックスプロビジョン)や組織再編の税務影響をレビューした経験があり、現在のコンサル業務でも事業体の選択に関わっています。
この記事では、AICPA(米国公認会計士協会)のTCPブループリント(2026年1月1日適用版、2026年7月1日からOBBBA反映)を一次情報に、Area別の頻出論点、REGとの差分、押さえる順番、同期の合格例を解説します。
TCPの科目全体の概要は「USCPAのTCPとは|出題範囲・合格率・勉強法を実例つきで解説」、選び方は「選択科目はどれ?BAR・ISC・TCPの選び方」で扱っているので、本記事は「頻出論点の中身とREGからの積み上げ方」に絞ります。
TCPの論点は何で構成されている?4つのAreaと配点・スキルレベル
TCPの論点は、Area
I「個人の税務コンプライアンス・プランニングとパーソナルファイナンシャルプランニング」(30〜40%)、Area
II「事業体の税務コンプライアンス」(30〜40%)、Area
III「事業体のタックスプランニング」(10〜20%)、Area
IV「資産取引(資産の処分)」(10〜20%)の4領域で構成される。スキルレベルは想起・理解5〜15%、適用55〜65%、分析25〜35%で、REGより「計算した結果をもとに選択肢を比較する」設問の比重が高い。
まず、TCPの出題構造を一次情報で確認します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Tax Compliance and Planning(税務コンプライアンスとプランニング) |
| 位置づけ | REG(税法と規制)の発展形の選択科目。個人と事業体の税務を「申告」から「提案」のレベルまで扱う |
| 出題形式 | MC(四択)68問+TBS(シミュレーション)7問、試験時間4時間 |
| 配点 | MC50%・TBS50% |
| Area I | 個人の税務コンプライアンス・プランニングとパーソナルファイナンシャルプランニング:30〜40% |
| Area II | 事業体の税務コンプライアンス:30〜40% |
| Area III | 事業体のタックスプランニング:10〜20% |
| Area IV | 資産取引(資産の処分):10〜20% |
| スキルレベル | 想起・理解5〜15%/適用55〜65%/分析25〜35%/評価0% |
| 合格率 | 2025年通年77.65%、2026年Q2累計79.53%(6科目で最高) |
| 税制改正の反映 | 2026年7月1日以降の試験から、OBBBAの2024・2025年発効分が出題対象 |
出典:AICPA「Uniform CPA Examination Blueprints」TCP
Section(2026年1月1日適用版)、AICPA「Learn more about CPA Exam scoring
and pass
rates」、AICPA試験委員会のOBBBA出題方針(2025年9月承認)。2026年8月30日確認。
この表から読み取れるTCPの特徴は3つあります。
1つ目は、Area IとArea
IIで60〜80%を占めることで、REGの個人税・事業体の税の延長線上にある論点が配点の中心です。
2つ目は、適用と分析で80〜100%という点で、ISCの想起・理解55〜65%とは対照的に、TCPは「知っているか」ではなく「計算して比べられるか」を問います。
3つ目は、合格率の高さは自己選択の結果で、AICPAも「選択科目の合格率の差は受験者の準備状況の違いを反映する」と説明しており、税務の下地がある人がTCPを選んでいるため高く見えます。
ブループリントの読み方は「USCPAブループリントの読み方と活用法|4階層と配点の使い方」、他科目とのスキル配分の違いは「USCPA勉強法|問題演習から入る学習の是非と正しい手順」で扱っています。
REGとTCPで同じ論点がどう深くなるか
TCPの論点を理解する近道は、「REGで解いた問題が、TCPではどう問われ方を変えるか」を知ることです。
| 論点 | REGでの問われ方 | TCPでの問われ方 |
|---|---|---|
| 個人の所得税 | 総所得・控除・税額を計算する | 複数年にまたがる所得のタイミングを調整し、税負担が最小になる案を選ぶ |
| 事業体の税 | C法人・S法人・パートナーシップそれぞれの課税所得を計算する | 同じ事業をどの事業体で行うと税負担が最小か、要件を満たすかを比較する |
| 資産取引 | 譲渡損益とBasis(税務上の取得価額)を計算する | 同種交換・分割払い・関連者取引を組み合わせて、認識のタイミングと金額を最適化する |
| 贈与・遺産 | 出題は限定的 | 生涯非課税枠・年次非課税枠・信託を使ったプランニングを提案する |
| 退職プラン | 出題は限定的 | 401(k)・IRA・Roth IRAの拠出上限・課税タイミングを比較し、個人に合う案を選ぶ |
REGは「正しい税額を出す科目」、TCPは「税額を比べて選ぶ科目」という違いを押さえると、問題文の読み方が変わります。
REGの個人税の型は「USCPA REG個人所得税の攻略|課税所得の計算式と頻出論点」で整理しています。
Area
I「個人の税務とパーソナルファイナンシャルプランニング」の頻出論点は?
Area Iの頻出論点は、①個人の所得のタイミングと申告区分の最適化
②AMT(代替ミニマム税)とキディタックス ③退職プラン(401(k)・IRA・Roth
IRA)の拠出と分配 ④贈与税・遺産税の非課税枠と信託
⑤教育資金と保険を含むパーソナルファイナンシャルプランニング
⑥OBBBAで新設・恒久化された控除の6つで、REGにない退職・贈与・遺産の3論点が「新しく足す」領域である。
Area Iは「A. 個人の税務コンプライアンスとプランニング」と「B.
パーソナルファイナンシャルプランニング」の2つに分かれます。
| 論点 | REGとの関係 | 出題されること | 押さえるべきキーワード |
|---|---|---|---|
| 所得のタイミングと申告区分 | REGの延長 | 所得・控除を年をまたいでどう配分すると税額が最小か | 収入の繰延、控除のまとめ取り(バンチング)、申告区分の変更、標準控除と項目別控除の選択 |
| AMT・キディタックス | REGの延長 | AMTの調整項目と、子の不労所得に親の税率が適用される条件 | AMT免除額、優先項目、キディタックスの適用年齢と不労所得の閾値 |
| 退職プラン | TCPで新規 | 拠出上限・所得制限・分配時の課税・早期引出のペナルティ | 401(k)、伝統的IRA、Roth IRA、キャッチアップ拠出、RMD(必要最低分配)、Rothコンバージョン |
| 贈与税・遺産税 | TCPで新規 | 年次非課税枠、生涯非課税枠、配偶者控除、信託の種類 | 年次贈与非課税枠、統合税額控除、配偶者間の無制限控除、Basisのステップアップ、信託(撤回可能・撤回不能) |
| パーソナルファイナンシャルプランニング | TCPで新規 | 教育資金・保険・投資の税務上の扱いと提案 | 529プラン、生命保険の課税、投資商品の税務(地方債利子の非課税等) |
| OBBBAの新控除 | 2026年7月以降 | 新設・恒久化された控除の適用条件 | SALT控除上限4万ドル、チップ・残業代の控除、高齢者の追加控除、児童税額控除2,200ドル |
出典:AICPA TCPブループリント Area I
の各Group・Topic。金額はOBBBAの2025課税年度の公表値で、物価調整される数値は原則として問題文で与えられます。
退職プランは「拠出時・運用時・分配時」の3列で覚える
Area
Iで日本の受験者が最も手を焼くのが退職プランで、口座の種類ごとに「いつ課税されるか」を対応させると混同しません。
| 口座 | 拠出時 | 運用時 | 分配時 | 典型的な出題 |
|---|---|---|---|---|
| 伝統的401(k) | 所得控除(税引前) | 非課税 | 全額課税 | 拠出上限を超えた場合の扱い、雇用主拠出の扱い |
| Roth 401(k) | 控除なし(税引後) | 非課税 | 非課税(要件を満たす場合) | 伝統的とRothの有利判定(現在と将来の税率の比較) |
| 伝統的IRA | 所得制限つきで控除 | 非課税 | 全額課税 | 雇用主プランに加入している人の控除の段階的縮小 |
| Roth IRA | 控除なし | 非課税 | 非課税(5年ルールと年齢要件) | 所得制限による拠出不可、Rothコンバージョンの課税 |
| 早期引出 | ― | ― | 10%の加算税(例外あり) | 例外(初回住宅購入、高等教育費、障害等)の適用可否 |
TCPで問われるのは制度の暗記ではなく、「今の税率が将来より高いなら伝統的、低いならRoth」という有利判定を、与えられた数値で計算して選ぶ設問です。
贈与税・遺産税は「非課税枠の3層」と「Basisの引き継ぎ」で整理する
贈与・遺産の論点も、REGではほとんど出ないため新しく積む必要があります。
| 論点 | 内容 | 出題のされ方 |
|---|---|---|
| 年次贈与非課税枠 | 受贈者1人あたり年間一定額(物価調整)まで贈与税の申告不要 | 「配偶者と分割して贈与した場合の非課税額」「複数の子への贈与の合計」 |
| 生涯非課税枠(統合税額控除) | 生涯の贈与と遺産の合計に対する非課税枠。OBBBAで引き上げ・恒久化 | 「過去の課税贈与を差し引いた残りの枠」 |
| 配偶者控除 | 配偶者(米国市民)への贈与・遺贈は無制限に控除 | 「配偶者と子に分けた場合の課税対象額」 |
| Basisの引き継ぎ | 贈与は贈与者のBasisを引き継ぐ(carryover)、相続は死亡時の時価にステップアップ | 「贈与と相続でどちらが受け取る側に有利か」(含み益の大きい資産は相続が有利) |
| 信託 | 撤回可能信託は遺産に含まれる、撤回不能信託は要件を満たせば除外 | 「遺産税を減らすために使える信託はどれか」 |
「含み益が大きい資産は生前贈与より相続の方が受け取る側のBasisが高くなる」という判断は、Area
IVの資産取引とも接続する頻出のプランニング論点です。
Area
II「事業体の税務コンプライアンス」の頻出論点は?配点30〜40%の中核
Area
IIの頻出論点は、①C法人の課税所得と法人税(控除の制限・繰越)
②S法人の要件・株主のBasis・分配の課税
③パートナーシップの持分Basis・損益配分・分配 ④連結納税と関連者取引
⑤国際税務の基礎(米国源泉・外国税額控除・GILTI等)
⑥非営利法人・信託の申告の6つで、REGで学んだ事業体の計算を「持分の増減」と「複数年」で追えるかが問われる。
Area IIはREGのArea V(事業体の税)を深めた領域で、配点はArea
Iと並んで最大です。
| 論点 | REGとの関係 | 出題されること | 押さえるべきキーワード |
|---|---|---|---|
| C法人 | REGの延長 | 課税所得の計算、控除の制限、繰越、支払配当の扱い | 慈善寄付の10%制限、繰越欠損金(NOL)の80%制限、受取配当控除(DRD)、みなし配当 |
| S法人 | REGの延長 | 選択の要件と失効、株主のBasisの増減、分配の課税、Built-in gains税 |
株主100人以下・1種類の株式、Basisの増減順序、AAA(累積調整勘定)、負債Basisは株主貸付のみ |
| パートナーシップ | REGの延長+深化 | 出資・損益配分・分配・脱退でのBasisの追跡、特別配分 | 外側Basisと内側Basis、負債の配分、§704(c)の含み損益配分、§754選択とBasis調整、ホットアセット |
| 連結納税・関連者 | TCPで深化 | 連結申告の要件と内部取引の消去、関連者間の損失否認 | 80%所有要件、内部取引の繰延、§267の関連者損失否認 |
| 国際税務 | TCPで新規に近い | 米国法人の海外所得、外国税額控除、米国内の外国人の課税 | 外国税額控除の限度額、GILTI・FDII(OBBBAでNCTI・FDDEIに改称)、源泉徴収、居住者・非居住者の判定 |
| 非営利法人・信託 | TCPで新規に近い | 非課税団体の申告と非関連事業所得、信託の課税所得の計算 | UBTI(非関連事業課税所得)、単純信託と複雑信託、DNI(分配可能純所得) |
出典:AICPA TCPブループリント Area II の各Group・Topic。
パートナーシップの持分Basisは「4場面の増減表」で追う
Area
IIで最も落としやすく、TBSで大問になりやすいのがパートナーシップの持分Basis(外側Basis)の追跡です。
| 場面 | Basisの増減 | 落とし穴 |
|---|---|---|
| 出資時 | 出資した現金+資産のBasis(時価ではない)+引き受けた負債の持分 | 資産の時価で計算してしまう |
| 期中 | +所得(非課税所得を含む)−損失−控除不能支出、+負債の持分の増加、−負債の持分の減少 | 非課税所得の加算を忘れる、負債の増減を見落とす |
| 分配時 | −現金の分配−分配資産のBasis(持分Basisを下限0として) | 現金分配がBasisを超えた分は譲渡益、資産の分配は原則非課税 |
| 脱退・持分の売却時 | 売却価額(引き受けてもらう負債を含む)−持分Basis=譲渡損益 | ホットアセット(未実現売掛金・棚卸資産)の部分は通常所得 |
REGでは「1つの場面の計算」で済みましたが、TCPでは設立から脱退までを1つの表で追い、途中で分配や特別配分が入る設問が出ます。
筆者もREGでこの論点に苦労し、「設立→期中→分配→脱退」の4場面の増減を1枚の図にしてから安定しました。
REGの学習記録は「USCPA REGの勉強時間と勉強法|250時間の学習ログ公開」で公開しています。
Area
III「事業体のタックスプランニング」の頻出論点は?配点は小さいがTCPらしさが凝縮
Area
IIIの頻出論点は、①事業体の選択(C法人・S法人・パートナーシップ・LLCの比較)
②非課税の組織再編(合併・株式交換・分割)の要件と課税の繰延
③清算・買収の税務(資産買収と株式買収の比較、§338選択)
④事業体の転換(C法人からS法人への転換等)の4つで、「複数の選択肢を並べて税負担を比較する」TCPの核心が集まった領域である。
Area
IIIは配点10〜20%と小さいですが、TBSで「あなたはこの顧客に何を提案するか」という形式で出るため、実質的な重みは配点以上です。
| 論点 | 出題されること | 押さえるべきキーワード |
|---|---|---|
| 事業体の選択 | 同じ利益をC法人・S法人・パートナーシップで得た場合の総税負担(法人税+株主・パートナーの税)を比較する | 二重課税、パススルー、QBI控除(§199A、OBBBAで恒久化)、自営業税、給与と分配の組み合わせ |
| 非課税組織再編 | A型(合併)・B型(株式交換)・C型(資産取得)・D型(分割)等の要件と、Basisの引き継ぎ | 事業目的、持分の継続、事業の継続、ブート(現金等)の受け取りによる課税 |
| 清算・買収 | 資産買収と株式買収でBasisがどう変わるか、清算時の法人と株主の課税 | §338選択、§338(h)(10)、清算分配の株主側の譲渡損益、法人側のみなし譲渡 |
| 事業体の転換 | C法人からS法人への転換時の制限、パートナーシップの法人化 | Built-in gains税(転換後5年)、LIFO積立金の取り込み、§351の非課税出資 |
出典:AICPA TCPブループリント Area III の各Group・Topic。
事業体の選択は「総税負担の比較表」を自分で作れるようにする
事業体の選択の設問は、次のような比較表を頭の中で組み立てられるかで決まります。
| 比較項目 | C法人 | S法人 | パートナーシップ・LLC |
|---|---|---|---|
| 事業体レベルの課税 | あり(法人税21%、OBBBAで維持) | なし(パススルー) | なし(パススルー) |
| 所有者レベルの課税 | 配当時に課税(二重課税) | 損益が持分に応じて課税。分配は原則非課税 | 損益が配分に応じて課税。分配は原則非課税 |
| 自営業税 | 給与にのみ社会保障税 | 合理的な給与にのみ社会保障税。分配部分は自営業税なし | ジェネラルパートナーの配分は自営業税の対象 |
| QBI控除(§199A) | 適用なし | 適用あり(上限あり) | 適用あり(上限あり) |
| 損失の使い方 | 法人内で繰越 | 株主のBasisと危険負担・受動的活動の制限内で控除 | パートナーのBasisと危険負担・受動的活動の制限内で控除 |
| 所有者の制限 | なし | 100人以下、米国居住者の個人等、1種類の株式 | なし |
「利益を再投資して当面配当しない事業ならC法人の21%が有利」「利益を毎年引き出す小規模事業ならパススルー+QBI控除が有利」という判断を、与えられた利益額と税率で実際に計算して選ぶのがTCPの設問です。
筆者は監査法人で、クライアントが米国子会社を設立する際に、税務部門がC法人とLLCの総税負担を比較したメモをレビューしたことがあり、この表の考え方はそのまま実務で使われています。
Area
IV「資産取引」の頻出論点は?REGのBasis計算をプランニングに広げる
Area IVの頻出論点は、①同種交換(§1031)とブートの課税
②分割払い売却(§453)による認識の繰延
③非自発的転換(§1033)と居住用住宅の売却益除外(§121)
④関連者間取引の損失否認とBasis
⑤減価償却の取戻し(§1245・§1250)と§1231の純額計算
⑥OBBBAで恒久化された100%ボーナス減価償却と§179の5つで、REGで学んだBasisの計算を「認識のタイミングを選べるか」に発展させた領域である。
Area IVはREGのArea
III(資産取引)と重なりが大きく、REGで固めた人には最も時間のかからない領域です。
| 論点 | REGとの関係 | 出題されること | 押さえるべきキーワード |
|---|---|---|---|
| 同種交換(§1031) | REGの延長 | 不動産の同種交換で認識される利益と、取得資産のBasis | ブート(現金・負債の減少)は認識、Basis=譲渡資産のBasis+認識利益−受取ブート |
| 分割払い売却(§453) | REGの延長 | 各年の回収額に応じた利益の認識 | 総利益率×各年の回収額、減価償却の取戻し部分は売却年に全額認識 |
| 非自発的転換・住宅売却 | REGの延長 | 収用・災害での再投資による繰延、主たる住宅の売却益除外 | §1033の再投資期間、§121の25万ドル(夫婦50万ドル)除外と所有・居住要件 |
| 関連者間取引 | TCPで深化 | 関連者への譲渡損失の否認と、その後の売却での損失の利用 | §267、否認された損失は買い手の将来の利益と相殺可能 |
| 減価償却の取戻し | REGの延長 | §1245(動産)は全額通常所得、§1250(不動産)は一部 | §1231の純額計算、5年間のルックバック |
| ボーナス減価償却・§179 | 2026年7月以降 | 取得年に全額償却する選択と、将来の取戻しへの影響 | 100%ボーナス償却の恒久化(2025年1月19日以降取得)、§179の上限引き上げ |
出典:AICPA TCPブループリント Area IV の各Group・Topic。
OBBBAでTCPの頻出論点はどう変わったか
2026年7月1日以降の試験では、2025年7月に成立したOBBBAの2024・2025年発効分が出題対象になりました。
| Area | 影響を受ける論点 | 変更の要点 |
|---|---|---|
| Area I | 個人の控除 | 税率と標準控除の恒久化、SALT控除上限4万ドル(高所得で縮小)、チップ・残業代・高齢者・自動車ローン利子の新控除(2025〜2028年の時限措置)、児童税額控除2,200ドル |
| Area I | 贈与・遺産 | 生涯非課税枠の引き上げと恒久化 |
| Area II・III | 事業体 | QBI控除(§199A)の恒久化、国際税務の名称変更(GILTI→NCTI、FDII→FDDEI) |
| Area IV | 減価償却 | 100%ボーナス減価償却の恒久化、§179上限の引き上げ |
※金額・適用年度は2026年8月時点の公表情報に基づく概要です。試験では物価調整される金額は原則として問題文で与えられるため、覚えるのは「新設・恒久化・時限措置のどれか」「誰に、どの条件で使えるか」の構造です。
2026年6月以前の教材で学習した人は、この表の論点だけ覚え直せば対応できます。
制度変更の最新情報は「USCPA試験の制度変更ニュースまとめ【2026年8月更新】」で追っています。
TCPの頻出論点はどの順番で押さえる?REGの直後に「差分」から積む学習順
TCPの頻出論点は、①REGの資産取引と事業体の計算の復習 ②Area
IVの資産取引 ③Area IIのパートナーシップとS法人のBasis ④Area
IIIの事業体の選択と組織再編 ⑤Area
Iの退職・贈与・遺産・パーソナルファイナンシャルプランニング ⑥Area
IIの国際税務・信託・非営利
⑦模試の順に押さえると、REGの記憶が残っているうちに重なる論点を固め、新規論点を後半に回せる。学習時間の目安は150〜250時間、REG直後なら150時間前後である。
TCPはREGの直後に受けるのが標準で、順番もREGとの重なりが大きい論点から入るのが効率的です。
| 順番 | 論点群 | 時間の目安(全体200時間の場合) | 理由 |
|---|---|---|---|
| ① | REGの資産取引・事業体の計算の復習 | 10〜15時間 | TCPの土台。REG直後なら5時間で済む |
| ② | Area IV:同種交換・分割払い・取戻し・ボーナス償却 | 20〜30時間 | REGと最も重なる。計算の型を早く仕上げる |
| ③ | Area II:パートナーシップとS法人のBasis追跡、C法人の制限 | 45〜55時間 | 配点最大。4場面の増減表をTBS形式で回す |
| ④ | Area III:事業体の選択・組織再編・清算と買収 | 30〜40時間 | TCPらしい「比較して選ぶ」設問に慣れる |
| ⑤ | Area I:退職プラン・贈与と遺産・パーソナルファイナンシャルプランニング |
40〜50時間 | REGにない新規論点。3列表・3層表を作って暗記 |
| ⑥ | Area II:国際税務・信託・非営利法人 | 20〜25時間 | 出題は限定的だが穴になりやすい。用語と計算式を押さえる |
| ⑦ | 模試・リリース問題・弱点の回転 | 20〜30時間 | MC68問を約100分、TBS7問を約140分で解く練習 |
TCPは選択科目のため受験できるのは1・4・7・10月に限られ、不合格時の再受験は翌四半期になります。
受験月から逆算した順番は「USCPA科目の受験順番|FARが最初の理由と選択科目別ルート」で、TCPを最後の科目にしない理由も解説しています。
「REGと同じ勉強法」で落ちるパターンと対処
合格率が高いTCPで不合格になる人には、共通した原因があります。
| 落ちるパターン | 何が起きているか | 対処 |
|---|---|---|
| 計算だけで満足する | REGの型で税額は出せるが、「どちらが有利か」の比較で止まる | 問題を解いたら「顧客に一言で何を提案するか」を書く |
| 退職・贈与・遺産を後回しにする | REGにない論点を「出題が少ない」と思い込む | Area Iの30〜40%にこの論点群が含まれる。表で先に暗記する |
| 持分Basisを1場面だけで解く | 出資→期中→分配→脱退の連続で追えない | 4場面の増減表をTBS形式で10回以上回す |
| 旧法の数値で覚える | 2026年6月以前の教材のSALT上限1万ドル等で解く | OBBBA対応の教材か版を確認し、変更点の表を覚え直す |
TBSの一般的な解き方は「USCPAのTBS対策|出題形式5種類・部分点の取り方・時間配分」、問題集の回し方は「USCPAの問題集は何周?3周で仕上げる回し方と復習サイクル」で解説しています。
筆者と同期の実例|REGで固めた論点と、税務部門に異動した同期のTCP約180時間
筆者は旧制度でREGを約250時間で合格したためTCPは未受験だが、監査法人で法人税の引当のレビューや米国子会社の事業体選択のメモの確認に関わり、Area
II・IIIの論点を実務で扱った。監査法人の同期Dは税務部門への異動を機にTCPを選び、REG合格から4ヵ月後に約180時間で合格。「Area
IVは1週間、Area
Iの退職と遺産に6週間かかった」と振り返っている。
筆者がREGで固めた論点と、TCPで足すべきだった論点
筆者のREG学習(約250時間)を振り返ると、TCPの論点との重なりは次のように整理できます。
| REGで固めた論点 | TCPでの位置づけ | 追加で必要な学習 |
|---|---|---|
| 個人の課税所得の7段階ワークシート | Area Iの土台 | 複数年のタイミング調整、退職・贈与・遺産の新規論点 |
| 事業体別の課税所得計算 | Area IIの土台 | 持分Basisの4場面の追跡、連結・国際税務 |
| Basisの取引タイプ別マトリックス | Area IVの土台 | ほぼそのまま使える。分割払いと関連者を追加 |
| 事業体の設立時の非課税出資(§351・§721) | Area IIIの入口 | 組織再編・清算・買収と、事業体の選択の比較 |
REGで作った「Basisのマトリックス表」と「パートナーシップの4場面図」は、そのままTCPのArea
II・IVに転用できるので、REG直後にTCPを受ける人は、REGの自作ノートを捨てずに拡張するのが最短です。
監査法人では、クライアントの法人税の引当(税効果会計)をレビューする際に、繰越欠損金の80%制限や受取配当控除の計算を税務部門と確認しましたが、これはArea
IIのC法人の論点そのもので、監査の実務でもTCPの知識は使う場面があります。
同期Dの実例|REG合格の4ヵ月後、約180時間でTCP合格
監査法人の同期D(入所3年目に税務部門へ異動)は、REGに合格した直後の四半期にTCPを受験し、約180時間で合格しました。
| Area | Dの学習時間 | Dの所感 |
|---|---|---|
| Area IV(資産取引) | 約15時間(1週間) | REGの直後だったのでほぼ復習。分割払いの取戻し部分だけ新しく覚えた |
| Area II(事業体の税務コンプライアンス) | 約55時間 | パートナーシップの持分Basisを設立から脱退まで追う練習に時間をかけた。§754選択のBasis調整は最後まで苦手だった |
| Area III(事業体のタックスプランニング) | 約35時間 | 「どの事業体が有利か」を計算して選ぶ問題は、税務部門の仕事そのものだった。組織再編のA〜D型の要件は暗記が必要 |
| Area I(個人とパーソナルファイナンシャルプランニング) | 約60時間(6週間) | 退職プランと贈与・遺産はREGにほぼなく、最も時間がかかった。「拠出時・運用時・分配時」の表を作ってから安定した |
| 模試・リリース問題 | 約15時間 | MCは1周目から8割弱。TBSで「提案を選ぶ」形式に慣れるまで3回分の模試が必要だった |
Dの言葉で印象に残っているのは、「REGは正解が1つある試験だったが、TCPは条件を変えると正解が変わる試験で、問題文の数字を自分で動かして比べる練習をした人から受かる」という一言です。
TCPを選ぶかどうかの判断は「選択科目はどれ?BAR・ISC・TCPの選び方」、税務キャリアとの関係は「USCPAのTCPとは|出題範囲・合格率・勉強法を実例つきで解説」で扱っています。
頻出論点を確認したら、REGの教材との接続と改正対応を確かめる
TCPはREGの延長で学ぶ科目なので、頻出論点の表ができたら、次は教材がREGと接続しているか、OBBBAに対応しているかを確認する段階です。
| 確認項目 | なぜ重要か |
|---|---|
| REGとTCPの教材の接続 | 同じ予備校でREG→TCPと進めば、Basisや事業体の用語・表記が揃い、差分だけ学べる |
| TBSの問題数と「提案を選ぶ」形式の有無 | TCPの配点50%はTBS。計算だけでなく比較・提案型のTBSがあるか |
| OBBBA対応の版 | 2026年7月以降の受験で旧法の数値を使うと誤答になる |
| 退職・贈与・遺産の教材の厚さ | REGにない論点が十分に扱われているか |
TCPの日本語教材はISCより揃っていますが、予備校によって選択科目の教材の厚さが違うので、講座選びの段階で確かめてください。
予備校ごとの選択科目の教材対応は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」で比較しています。
REGとTCPの教材の接続と改正対応を自分の目で確かめたい方は、アビタスの資料請求でサンプル教材と科目別の学習モデルプランを取り寄せ、本記事の「REGにない4つの論点群」がどの単元に対応するかを先に把握しておくと、REG直後の学習計画が立てやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1.
TCPで最も配点が大きい論点は何ですか?
Area I「個人の税務とパーソナルファイナンシャルプランニング」とArea
II「事業体の税務コンプライアンス」がそれぞれ30〜40%で、この2領域で60〜80%を占めます。
論点単位では、Area IIのパートナーシップとS法人の持分Basisの追跡、Area
Iの退職プランと贈与・遺産税のプランニングが中核です。
Area III(事業体のタックスプランニング)とArea
IV(資産取引)は各10〜20%ですが、Area
IIIは「提案を選ぶ」TBSで出やすく、配点以上の重みがあります。
Q2.
REGに合格していないとTCPは受けられませんか?
制度上は受験できますが、TCPはREGの知識を前提に設計されているため、REGの直後に受けるのが標準です。
標準ルートはFAR→REG→TCP→AUDで、REGの記憶が残っているうちにTCPを受けると、Area
IIとArea IVの学習時間を大幅に減らせます。
TCPを最後の科目にすると、不合格時の再受験が翌四半期になるため、最後はコア科目にしておくのが安全です。
Q3.
TCPで新しく覚える論点はどれくらいありますか?
REGにほぼ出ない論点は、退職プラン(401(k)・IRA・Roth
IRA)、贈与税・遺産税と信託、パーソナルファイナンシャルプランニング(529プラン・保険)、非課税組織再編、事業体の選択の総税負担比較、国際税務・非営利法人・信託の課税の6つです。
学習時間の目安200時間のうち、この新規論点に80〜100時間、REGと重なる論点の深化に60〜80時間、模試に20〜30時間が配分の目安です。
Q4.
TCPの合格率が高いのは簡単だからですか?
違います。
2026年Q2累計で79.53%と6科目で最高ですが、AICPAは選択科目の合格率の差を「受験者の準備状況の違い」と説明しており、税務の実務経験者やREGを得意とした人がTCPを選んでいる結果です。
適用と分析で80〜100%を占め、「計算して比べて選ぶ」設問が中心のため、REGの計算だけで臨むと不合格になります。
Q5.
2026年7月以降のTCPで、OBBBAはどこまで出題されますか?
2024年・2025年に発効した条項が2026年7月1日以降の試験で出題対象になり、それ以降に発効する条項は「発効日の6ヵ月後に始まる四半期」から順次対象になります。
TCPで影響が大きいのは、個人の新控除(SALT上限・チップ・残業代・高齢者)、QBI控除の恒久化、100%ボーナス減価償却の恒久化、生涯非課税枠の引き上げです。
金額は問題文で与えられるのが原則なので、「新設・恒久化・時限措置のどれか」と「適用条件」を覚えてください。
Q6.
TCPのTBSはどんな形式で出題されますか?
「複数の事業体で同じ事業を行った場合の総税負担を計算して有利な形態を選ぶ」「パートナーの持分Basisを設立から分配まで追跡する」「顧客の退職・相続の希望に合うプランを提案する」「同種交換で認識される利益と取得資産のBasisを計算する」といった形式が中心です。
TBSは7問で配点50%、1問あたり約20分が目安です。
REGのTBSより「条件を比較して選ぶ」設問が多いため、計算後に「顧客に何を提案するか」を一言で書く練習が有効です。
Q7.
税務の実務経験がなくてもTCPの論点は理解できますか?
理解できます。
同期Dは税務部門への異動直後でしたが、TCPの論点は「REGの計算+比較の視点」で構成されており、実務経験がなくても問題演習で身につきます。
ただし、実務経験がない人は「事業体の選択」や「退職プラン」の設問で判断の根拠が想像しにくいため、本記事の比較表を自分で再現できるまで書く練習を入れると、選択肢を絞りやすくなります。
暗記の進め方は「USCPAの暗記はAnkiで|覚える論点の選び方とカードの作り方」で解説しています。
まとめ:TCPの頻出論点はREGの型に「比較して選ぶ」4つの論点群を足す
この記事の要点を再掲します。
- TCPはArea
I(個人とパーソナルファイナンシャルプランニング)30〜40%、Area
II(事業体の税務コンプライアンス)30〜40%、Area
III(事業体のタックスプランニング)10〜20%、Area
IV(資産取引)10〜20%の4領域。適用55〜65%・分析25〜35%で「計算して比べて選ぶ」科目 - REGにない新規論点は退職プラン・贈与と遺産・事業体の選択と組織再編・国際税務と信託の4群。Area
Iの退職は「拠出時・運用時・分配時」、贈与と遺産は「非課税枠の3層+Basisの引き継ぎ」で覚える - Area
IIはパートナーシップの持分Basisを「設立→期中→分配→脱退」の4場面で追う練習がTBS対策の核。REGの自作ノートを拡張する - Area
IIIはC法人・S法人・パススルーの総税負担比較表を自分で作れるようにし、「顧客に何を提案するか」を一言で書く - 2026年7月以降はOBBBA(SALT上限4万ドル、新控除、QBI恒久化、100%ボーナス償却)が出題対象。旧法の数値で覚えた人は変更点の表で覚え直す
- 学習順はREG復習→Area IV→Area II→Area III→Area
I(新規)→国際・信託→模試。目安150〜250時間、同期Dは約180時間
TCPは「REGの続き」ではなく「REGの答えを使って選ぶ科目」です。
まずはREGで作ったBasisの表とパートナーシップの図を引っ張り出し、本記事の退職プランの3列表と事業体の比較表を書き足すところから始めてみてください。
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正統派学習スタイル - Becker問題集が使用可能で
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