この記事でわかること
- FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)とは何か、M&Aアドバイザリー・財務デューデリジェンス・バリュエーション・事業再生・フォレンジックの5領域とBIG4系・独立系の違い
- USCPAがFASで評価される3つの点と評価されない点、日本の公認会計士との評価の差
- 財務デューデリジェンスを中心にしたFASの仕事内容と、案件の流れ
- FASの職位別年収(アソシエイト600〜700万円、マネージャー1,000〜1,200万円、ディレクター1,500万円以上)と監査法人との比較
- 監査経験あり・事業会社経理・未経験の3パターン別に、USCPAがFASに入れる条件
- 3年目の転職活動でFAS2社を受けて1社内定し、最終的にコンサルを選んだ筆者の実例と、FASに転職した先輩の話
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月29日
「USCPAを取ったらFASに転職できるのか」「監査法人からFASに移ると何が変わるのか」「FASでUSCPAはどう評価されるのか」と調べている方に向けた記事です。
結論から言うと、USCPAはFASで「会計知識」「英語力」「US
GAAP・IFRSへの理解」の3点で評価され、クロスボーダー案件が多いBIG4系FASでは日本の公認会計士とほぼ同等に扱われます。ただし評価の中心は資格より「監査経験があるか」で、監査経験3年前後のUSCPAは財務デューデリジェンスの即戦力候補として最も入りやすく、監査未経験の場合は英語力と経理経験を組み合わせて入る道になります。
筆者はBIG4監査法人の3年目に転職活動をし、FAS2社・会計系コンサル3社・事業会社1社に応募して、FAS1社を含む3社から内定を得ました。最終的にコンサルを選びましたが、FASの選考で聞かれたこと、提示された条件、選ばなかった理由は今も判断の参考になると思っています。
この記事では、転職エージェントの公開データを一次情報に、FASの仕事内容・年収・USCPAの評価を整理し、筆者の選考の実例とFASに転職した先輩の話から「USCPAがFASに入る条件」を具体化します。
監査法人からの転職先全体の比較は「監査法人からの転職先7選|3年で辞めた私の選択と判断軸」で扱っているので、本記事はFASに絞ります。
FASとは?5つの業務領域とBIG4系・独立系の違い
FAS(Financial Advisory
Service)とは、M&Aや事業再生など企業の財務に関わる意思決定を専門的に支援するサービスで、①M&Aアドバイザリー
②財務デューデリジェンス ③バリュエーション(企業価値評価) ④事業再生
⑤フォレンジック(不正調査)の5領域に分かれる。BIG4監査法人のグループ会社であるBIG4系FASと、監査法人に属さない独立系FASがあり、USCPAの求人はBIG4系が中心である。
まず、FASの5領域と、USCPAがどこで働くことが多いかを整理します。
| 領域 | 仕事内容 | 主なアウトプット | USCPAの配属の多さ |
|---|---|---|---|
| ①M&Aアドバイザリー(FA) | 買収・売却の相手探し、交渉、スキーム設計、クロージングまでの実行支援 | 案件全体の進行管理 | 中(財務DDやバリュエーションを経てから) |
| ②財務デューデリジェンス(財務DD) | 買収対象企業の財務内容を調査し、リスクと正常収益力を報告する | DDレポート(数十〜百ページ超) | 高(監査経験者の入口) |
| ③バリュエーション | DCF法・マルチプル法などで企業・事業・無形資産の価値を算定する | バリュエーションレポート、PPA(取得原価の配分) | 中〜高 |
| ④事業再生 | 業績不振企業の資金繰り分析、再生計画策定、金融機関との調整 | 再生計画、資金繰り表 | 中 |
| ⑤フォレンジック | 不正・不祥事の調査、第三者委員会の支援、データ分析 | 調査報告書 | 低〜中(監査経験と英語で入る例あり) |
出典:マイナビ転職会計士「未経験からでもUSCPA資格がFASに活かせる理由は?」(2026年3月更新)、ムービン、JAC
Recruitment(2026年6月)の分類を参考に整理
USCPAが最初に配属されることが多いのは②財務デューデリジェンスで、監査で身につけた「財務諸表を読んで異常を見つける」力がそのまま使えるからです。
次に、FASを提供する組織の違いです。
| 種類 | 代表例 | 特徴 | USCPAの採用 |
|---|---|---|---|
| BIG4系FAS | デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)、PwCアドバイザリー、KPMG FAS、EYストラテジー・アンド・トランザクション(EY SaT) |
大型・クロスボーダー案件が多い。業務が領域ごとに分かれる | 多い。通年で募集 |
| 独立系FAS | 中堅・小規模のM&Aアドバイザリー・DD専門ファーム | 中小企業のM&Aが中心。1人が財務DD・バリュエーション・FAを幅広く担当 | あり。監査経験者を優遇 |
| 監査法人内のアドバイザリー部門 | 各BIG4の会計アドバイザリー部門 | 監査法人に所属したままIPO支援・会計アドバイザリーを行う。FASと隣接 | 多い |
| 総合コンサル・戦略コンサルのM&A部門 | アクセンチュア、ベイン、BCGなどのM&A・PMIチーム | 戦略・PMIが中心で、財務DDは外部に出すことが多い | 少ない(会計系コンサル経由が多い) |
USCPAがFASを目指すなら、BIG4系FASの財務DDチームが最も現実的な入口です。
BIG4の各法人グループの違いは「BIG4監査法人の違いを比較|規模・年収・働き方・USCPA採用」で整理しています。
FASの求人は「監査経験3年以上」「英語力」「USCPA/公認会計士」といった要件が求人票に具体的に書かれているため、MS-Japanに登録して求人票を並べておくと、この後の「自分が入れる条件」の判断が具体的になります。
USCPAはFASでどう評価される?評価される3点と評価されない点
USCPAがFASで評価されるのは、①財務DD・バリュエーションに直結する会計知識
②クロスボーダー案件で使える英語力 ③US
GAAP・IFRSへの理解の3点である。一方で、資格そのものより「監査経験の有無」が採用の分かれ目で、監査経験のないUSCPAは「会計知識のある未経験者」として扱われる。日本の公認会計士との差は、クロスボーダー案件が多いBIG4系FASではほぼなく、国内中小M&Aが中心の独立系では公認会計士がやや優位である。
評価される点と、その根拠を整理します。
| 評価される点 | FASでどう使われるか | 具体的な場面 |
|---|---|---|
| ①会計知識 | 財務DDで対象企業の財務諸表を読み、正常収益力(EBITDA調整)・純有利子負債・運転資本を分析する | 「一時的な利益・費用を除いた実力値はいくらか」を数値で示す |
| ②英語力 | クロスボーダー案件で英文の財務資料・契約書を読み、海外チームやクライアントと英語で報告する | 海外企業の買収DDで、現地の会計士事務所とやり取りする |
| ③US GAAP・IFRSへの理解 | 対象企業と買収側の会計基準の差を分析し、買収後の影響を示す | 日本企業が米国企業を買収する際の基準差異の整理 |
| ④セルフマネジメント | 難関資格を働きながら取得した実績が、長時間の案件でも自走できる証明になる | 面接での評価 |
ムービンは、FAS系の経験がなくてもUSCPAで財務知識を評価されてオファーに至った例を紹介しており、マイナビ転職会計士も「USCPAは有利なスタートラインに立てる強みだが、FASでの成功には追加の準備が必要」と書いています。
次に、評価されない点、つまりUSCPAだけでは足りない点です。
| USCPAだけでは足りない点 | 理由 | 補い方 |
|---|---|---|
| 監査経験 | 財務DDは「財務諸表から異常を見つける」仕事で、監査での実証手続の経験が直接効く | 監査法人で2〜3年の経験を積んでからFASへ |
| 財務モデリング | DCF法・LBOモデルなどのExcelモデリングは試験範囲にない | 入社前に財務モデリングの基礎を学ぶ |
| M&Aの実務知識 | スキーム、契約(SPA)、PMIといったM&Aの流れは試験で扱わない | 書籍・研修で基礎を押さえる |
| 日本の税務・会社法 | 国内案件ではストラクチャーの税務、会社法の手続が絡む | 公認会計士・税理士との協業で補う |
日本の公認会計士との評価の差
FASでUSCPAと公認会計士がどう扱われるかは、案件の種類で変わります。
| 比較項目 | BIG4系FAS(クロスボーダー案件が多い) | 独立系FAS(国内中小M&Aが中心) |
|---|---|---|
| 採用時の評価 | 監査経験と英語力が同じなら、USCPAと公認会計士の差はほぼない | 公認会計士がやや優位(税務・会社法の知識と国内クライアントからの信頼) |
| 配属 | USCPAはクロスボーダー案件・外資系クライアント案件に寄せられやすい | 領域を問わず幅広く担当 |
| 昇進 | 差はない(パートナーも資格要件なし) | 差はない |
| 年収 | 差はない(職位と評価で決まる) | 差はない |
FASは監査法人と違って、業務執行社員(パートナー)に公認会計士の資格要件がないため、USCPAでもパートナーまで昇進できます。
これは監査法人にいるUSCPAがFASを選ぶ理由の1つです。
USCPAと公認会計士の全般的な違いは「USCPAと日本の公認会計士の違い|どっちを取るべき?」で解説しています。
FASの仕事内容は?財務デューデリジェンスの流れと1日
FASの仕事は案件単位で動き、財務DDなら1案件2〜6週間で、キックオフ→資料依頼→データルームでの資料分析→マネジメントインタビュー→レポート作成→クライアント報告の流れをたどる。監査と似ているのは「財務諸表を読んで異常を見つける」点で、違うのは「意見表明ではなく買収判断の材料を出す」点と「期限が案件ごとに固定される」点である。
財務DDの流れを、監査との違いと合わせて整理します。
| 工程 | やること | 監査との違い |
|---|---|---|
| キックオフ(1〜2日目) | クライアント(買収側)と案件の目的・範囲・期限を確認。チーム編成 | 監査は年間計画、DDは案件ごとに2〜6週間 |
| 資料依頼リストの作成・送付(2〜3日目) | 対象企業に財務資料・契約書・管理資料のリストを送る | 監査の資料依頼と似ているが、対象企業は「売られる側」で協力度が低いことがある |
| データルームでの分析(1〜3週目) | 対象企業が開示した資料を分析し、正常収益力・純有利子負債・運転資本・偶発債務を検討 | 監査の実証手続に近いが、証憑突合より「調整項目の発見」が主眼 |
| マネジメントインタビュー(2〜3週目) | 対象企業の経営陣・経理責任者に質問 | 監査より短時間で、聞ける回数が限られる |
| レポート作成(3〜5週目) | 発見事項をレポートにまとめる。数十〜百ページ超 | 監査調書は内部文書、DDレポートはクライアントが買収判断と価格交渉に使う |
| クライアント報告(最終週) | 経営陣・M&A担当・投資委員会に報告 | 「意見」ではなく「買収価格・契約条件に影響する事実」を示す |
監査法人出身者がFASで最初に戸惑うのは、期限の固定と、資料が揃わない中で結論を出すことです。
監査は「資料が来るまで待つ」ことができますが、DDは入札の期限が決まっており、資料が不足していても「不足しているというリスク」を含めてレポートを出します。
先輩(後述)は「監査の癖で資料を待っていたら、マネージャーに『待つ時間はない、分からないことを分からないと書け』と言われた」と話していました。
FASの1日と繁忙期
| 時間 | 財務DDの案件中の1日(スタッフ〜シニア) |
|---|---|
| 9:30 | チームの進捗確認。担当領域(売上・原価・運転資本など)の分析状況を共有 |
| 10:00〜13:00 | データルームの資料分析。Excelで月次推移・調整項目を整理 |
| 14:00〜16:00 | 対象企業へのQ&Aリスト作成、前日の回答の反映 |
| 16:00〜18:00 | マネージャーとの論点整理、レポートのドラフト |
| 18:00〜21:00 | レポート作成の続き。案件終盤は22時を超える |
FASは監査法人のような季節性の繁忙期が薄く、案件が重なった時期が繁忙期になります。
案件の終盤2週間は残業が集中し、月60〜80時間の残業になることも珍しくない一方、案件の合間は比較的落ち着きます。
FASの年収はいくら?職位別の相場と監査法人との比較
FASの年収は、アソシエイト(20代後半〜30代前半)で600〜700万円、マネージャー(30代後半)で1,000〜1,200万円、ディレクターで1,500万円以上が目安で、同じ職位の監査法人より1〜2割高い。転職時は監査法人からの横滑りでも年収が上がる例が多く、昇進すると差が広がる。
マイナビ転職会計士の公開データをもとに、監査法人と並べます。
| 職位 | FASの年収 | 監査法人の同等職位の年収 | 差 |
|---|---|---|---|
| アソシエイト・スタッフ(20代後半〜30代前半) | 600〜700万円 | 450〜600万円 | +100〜150万円 |
| シニアアソシエイト・シニア | 700〜900万円 | 600〜800万円 | +100万円前後 |
| マネージャー(30代後半) | 1,000〜1,200万円 | 800〜1,000万円 | +200万円前後 |
| シニアマネージャー | 1,200〜1,500万円 | 1,000〜1,200万円 | +200〜300万円 |
| ディレクター・パートナー | 1,500万円以上 | パートナー2,000万円以上(USCPAは不可) | USCPAにとってはFASの方が上限が高い |
出典:マイナビ転職会計士(2026年3月更新)のFAS年収データ、転職エージェント各社の公開求人、筆者が転職活動で提示された条件をもとに整理。年収はファーム・評価・残業で変わります。
筆者がBIG4系FASから提示された条件は、監査法人3年目の年収から約2割増でした。
コンサルの内定も同程度だったため、年収では差がつかず、最終的には仕事内容で決めました。
FASの年収の特徴は、賞与の比率が高く、案件の稼働率と評価で変動が大きいことです。
監査法人の年収カーブは「監査法人の年収カーブ|スタッフ〜パートナーの職階別相場と実体験」で、USCPAで年収1,000万円を目指す道は「USCPAで年収1000万円は可能?到達ルート4つと必要年数」で解説しています。
未経験からFASに入れる?監査経験・経理経験・完全未経験の3パターン
USCPAがFASに入れる条件は、①監査経験2〜3年以上なら財務DDの即戦力候補として最も入りやすい
②事業会社の経理・財務経験があれば、英語力と組み合わせてBIG4系FASの一部や独立系に入れる
③完全未経験なら20代で英語力が高い場合に限られ、まず監査法人か経理で経験を積む方が近道である。
3パターンの入りやすさを整理します。
| パターン | 入りやすさ | 入れるファーム | 求められるもの | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| ①監査法人で2〜3年以上 | 高い | BIG4系FAS、独立系FAS | 実証手続の経験、担当した業種、英語力 | 財務DDの即戦力候補。3〜5年目が最も求人が多い |
| ②事業会社の経理・財務3年以上 | 中 | BIG4系FASの一部(事業会社出身者を採用するチーム)、独立系 | 決算・連結・予算の経験、英語力、USCPA | 「対象企業側の視点」が評価される。M&A・PMIの経験があればさらに有利 |
| ③完全未経験(20代) | 低〜中 | BIG4系FASのポテンシャル採用(枠は少ない) | 高い英語力、論理性、USCPA | 採用例はあるが枠が少ない。まず監査法人で2〜3年積む方が確実 |
| ④完全未経験(30代以上) | 低 | ― | ― | 監査法人・経理を経由する |
CPASSキャリアは「監査経験が必須とされる仕事もあるが、監査未経験でも英語力を活かして入社後に育成してもらえる会社もある」としています。
ただし筆者の周囲を見る限り、FASに入ったUSCPAの大半は監査法人経由で、完全未経験から直接入った人は英語がネイティブ級の20代に限られます。
USCPAを取ってFASに行きたい人の最短ルートは、「USCPA→監査法人で2〜3年→FAS」です。
監査法人への入り方は「USCPAで監査法人に入る方法|採用要件・4つの入り方・選考対策」で、監査法人を出るタイミングは「監査法人を辞めたい|3年で辞めたUSCPAの意思決定プロセス」で解説しています。
筆者の実例|3年目にFAS2社を受けて1社内定、選ばなかった理由
筆者は監査法人3年目の転職活動でBIG4系FAS1社と独立系FAS1社に応募し、BIG4系FASの財務DDチームから内定を得たが、最終的に会計系コンサルを選んだ。FASの面接では「担当科目で見つけた異常」「英語案件の経験」「最近のM&A案件の感想」を聞かれ、内定の条件は年収約2割増だった。選ばなかった理由は、5年後の姿が「M&Aの財務調査」より「会計×システムで仕組みを作る側」だったことである。
FASの選考で聞かれたこと
| 選考段階 | 聞かれたこと | 筆者の答え方 |
|---|---|---|
| 書類 | 担当した業種・科目・英語案件、USCPA取得時期 | 製造業・外資系日本法人、売掛金・固定資産・海外子会社パッケージ、米国往査を具体的に記載 |
| 1次面接(マネージャー) | 「監査で見つけた異常とその対処」「売掛金の実証手続で何を見るか」「英語でのやり取りの経験」 | 往査で見つけた売掛金の滞留と、現地担当者との英語でのやり取りを説明 |
| 1次面接(続き) | 「なぜ監査ではなくFASか」「財務DDと監査の違いをどう理解しているか」 | 「意見表明ではなく買収判断の材料を出す仕事」と答え、資料が揃わない中で結論を出す難しさに触れた |
| 2次面接(パートナー) | 「最近興味を持ったM&A案件と、財務面で気になった点」「案件終盤の長時間労働に耐えられるか」 | 直近のクロスボーダー買収案件を挙げ、のれんの規模と減損リスクを話した |
| オファー面談 | 年収、配属チーム、入社時期 | 財務DDチーム、年収は監査法人比で約2割増、3ヵ月後入社 |
マイナビ転職会計士も「最近興味を持ったM&A案件は?」が面接で多い質問と書いており、筆者の経験と一致します。
FASの面接は「監査経験の中身」と「M&Aへの関心」の2つを見ていると感じました。
USCPAの資格自体について聞かれたのは、取得時期と英語力の確認だけでした。
選ばなかった理由とFASに転職した先輩の話
| 比較項目 | BIG4系FAS(内定) | 会計系コンサル(選択) |
|---|---|---|
| 年収 | 約2割増 | 約2割増 |
| 仕事内容 | 財務DD中心。2〜6週間の案件を回す | 会計×システム導入・業務改善のプロジェクト。数ヵ月〜1年 |
| 英語の使用 | クロスボーダー案件で多い | 外資系クライアントで中程度 |
| 5年後の姿 | M&Aの財務調査の専門家。FA・PE・事業会社M&A部門へ | 事業の仕組みを作る側。CFO候補・事業会社の経営企画へ |
| 決め手 | ― | 「会計×システム×英語」という掛け算が、自分の5年後の姿に近かった |
筆者と同じチームにいた2年上の先輩Uは、シニア2年目でBIG4系FASの財務DDチームに転職しました。
先輩Uから聞いたFASの実態を整理します。
| 先輩Uの話 | 内容 |
|---|---|
| 転職1年目に苦労したこと | 「資料が揃わないまま結論を出す」感覚。監査の癖で待っていたら「待つ時間はない」と言われた |
| 監査経験が活きたこと | 売掛金・棚卸資産・引当金の分析。異常を見つける目は監査で鍛えられていた |
| USCPAが活きたこと | クロスボーダー案件でUS GAAPの対象企業を担当。現地の会計士事務所とのやり取り |
| 年収の変化 | 転職時に約15%増、3年後にマネージャー昇格で1,000万円超 |
| 働き方 | 案件終盤2週間は22時超が続くが、案件の合間は18時退社 |
| 監査法人との最大の違い | 「クライアントが買収判断に使う」ので、レポートの1行が価格交渉に影響する緊張感 |
先輩Uは「監査法人で3年やってからFASに来て正解だった。1年目から来ていたら、何が異常かの感覚がなくて苦しかったと思う」と話していました。
コンサルを選んだ筆者の転職の経緯は「USCPAでコンサルに転職|監査法人3年から移った筆者の体験談」で書いています。
FASに転職するための準備は?5ステップ
FASに転職するための準備は、①監査経験(または経理経験)を「異常を見つけた事例」の形で棚卸しする
②財務DDの基礎(正常収益力・純有利子負債・運転資本)と財務モデリングの基礎を学ぶ
③最近のM&A案件を財務面から語れるようにする
④英語力を証明する(TOEIC・英語案件の経験)
⑤求人票でファームごとの要件を確認し、エージェント経由で応募する、の5つである。
準備の順番と内容を整理します。
| ステップ | やること | 目安の期間 |
|---|---|---|
| ①経験の棚卸し | 担当科目ごとに「何を見て、何を見つけ、どう対処したか」を3つ書き出す。英語案件の経験を具体化 | 1週間 |
| ②財務DD・モデリングの基礎 | 正常収益力(EBITDA調整)、純有利子負債(ネットデット)、運転資本の考え方を書籍で学ぶ。DCF法の簡単なモデルをExcelで作る | 1〜2ヵ月 |
| ③M&A案件の研究 | 直近1年の大型案件・クロスボーダー案件を3つ選び、買収価格・のれん・シナジーの説明を財務面から整理 | 2週間 |
| ④英語力の証明 | TOEICスコア(800点以上が目安)、英語案件の経験を職務経歴書に記載 | 既存のスコアで可 |
| ⑤求人確認と応募 | エージェントに登録し、BIG4系FAS・独立系FASの求人票で「必須要件」「歓迎要件」を確認して応募 | 1〜2ヵ月 |
FASの求人票は「監査経験3年以上」「財務DD経験者歓迎」「ビジネスレベルの英語」のように要件が具体的で、自分が①②③のどのパターンに当たるかで応募先が変わります。
会計人材に特化したMS-Japanに登録しておけば、BIG4系FAS・独立系FASの財務DD・バリュエーション・事業再生の求人を並べて、自分の経験で応募できるファームを担当者と絞り込めます。
登録時に「監査経験◯年、英語案件の経験あり、FASの財務DDを希望」と具体的に伝えると、該当する求人が早く出てきます。
職務経歴書の書き方は「USCPAの履歴書・職務経歴書の書き方|資格欄の正式表記と例文」で、エージェントの選び方は「USCPA向け転職エージェントおすすめ比較|失敗しない選び方」で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1.
USCPAだけで、監査経験なしでFASに入れますか?
入れる例はありますが、少ないです。
BIG4系FASのポテンシャル採用は20代で英語力が高い人に限られ、枠も少数です。
筆者の周囲でFASにいるUSCPAの大半は監査法人経由で、完全未経験から直接入った人は英語がネイティブ級の20代だけでした。
確実なのは「USCPA→監査法人で2〜3年→FAS」のルートで、財務DDの即戦力候補として最も求人が多い3〜5年目に動くのが現実的です。
Q2.
FASでUSCPAと公認会計士に評価の差はありますか?
クロスボーダー案件が多いBIG4系FASでは、監査経験と英語力が同じなら差はほぼありません。
国内中小M&Aが中心の独立系FASでは、税務・会社法の知識と国内クライアントからの信頼で公認会計士がやや優位です。
FASは監査法人と違ってパートナーに公認会計士の資格要件がないため、USCPAでも昇進の上限はありません。
Q3.
FASの年収は監査法人よりどのくらい高いですか?
同じ職位で1〜2割高いのが目安です。
アソシエイトで600〜700万円、マネージャーで1,000〜1,200万円、ディレクターで1,500万円以上で、筆者がBIG4系FASから提示された条件は監査法人3年目の年収から約2割増でした。
賞与の比率が高く、案件の稼働率と評価で変動が大きい点は監査法人と違います。
Q4.
FASは監査法人より激務ですか?
案件の終盤は監査法人の繁忙期と同程度に忙しく、案件の合間は落ち着く、という波の形が違います。
財務DDは2〜6週間で期限が固定されるため、終盤2週間は22時を超える日が続きます。
一方で監査法人のような1〜3月の長い繁忙期はなく、先輩Uは「案件の合間は18時退社」と話していました。
複数案件が重なる時期が事実上の繁忙期になります。
Q5.
財務DD以外の領域に最初から入れますか?
バリュエーションは監査経験者でも入れますが、M&Aアドバイザリー(FA)は財務DDやバリュエーションを経てから移るのが一般的です。
事業再生は金融機関出身者や公認会計士が多く、フォレンジックは監査経験と英語で入る例があります。
USCPAの入口として最も広いのは財務DDで、そこから1〜2年で他の領域に移る人が多いです。
Q6.
FASの後のキャリアはどうなりますか?
同業のFAS、投資銀行・M&Aブティック、PEファンド、事業会社のM&A推進部門・経営企画、戦略コンサルが主な行き先です。
財務DDとバリュエーションの経験は「買う側の財務を見る力」として、事業会社のM&A担当やCFO候補で高く評価されます。
投資銀行・PEへの道は「USCPAで投資銀行・PEファンドに行ける?入り方・年収・現実」で、CFOへの道は「USCPAでCFOになるには|4つのルートと年収・必要な経験」で解説しています。
Q7.
FASと会計系コンサルはどちらがUSCPAに向いていますか?
M&Aの財務調査に専門性を持ちたいならFAS、会計とシステム・業務改善を組み合わせて事業の仕組みを作る側に回りたいなら会計系コンサルです。
年収は同程度で、筆者の場合はどちらも約2割増の提示でした。
筆者は5年後の姿が「仕組みを作る側」だったためコンサルを選びましたが、先輩UはM&Aの専門家になりたくてFASを選び、3年でマネージャーに昇格しています。
どちらが正解というより、5年後にどの仕事をしていたいかで決めてください。
まとめ:USCPAはFASで評価される、ただし入口は「監査経験3年」
この記事の要点を再掲します。
- FASはM&Aアドバイザリー・財務DD・バリュエーション・事業再生・フォレンジックの5領域。USCPAの入口はBIG4系FASの財務DDチーム
- USCPAは会計知識・英語力・US
GAAP/IFRSの理解の3点で評価され、BIG4系FASでは公認会計士とほぼ同等。パートナーに資格要件がないため昇進の上限もない - ただし資格より監査経験の有無が採用の分かれ目。財務モデリングとM&Aの実務知識は入社前後に補う
- 年収はアソシエイト600〜700万円、マネージャー1,000〜1,200万円、ディレクター1,500万円以上で、監査法人より1〜2割高い
- 入りやすさは監査経験2〜3年以上>事業会社経理+英語>完全未経験(20代・高い英語力のみ)。最短ルートは「USCPA→監査法人2〜3年→FAS」
- 筆者は3年目にBIG4系FASから年収約2割増で内定を得たが、5年後の姿が「仕組みを作る側」だったためコンサルを選択。面接で見られたのは「監査経験の中身」と「M&Aへの関心」
- 先輩Uは監査3年→FASで3年後にマネージャー。「監査で異常を見つける目を鍛えてから来て正解だった」
USCPAはFASへの切符になりますが、切符を使えるのは監査経験が乗ってからです。
まず自分が監査経験あり・経理経験あり・未経験のどのパターンかを確かめ、求人票の必須要件と照らすところから始めてみてください。
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総合評価

| 受講料 | 396,000円 |
| 教材特徴 | オリジナルテキスト+U World問題集、BARのみ対応 |
| 講義形式 | 日本語講義(会計知識前提) |
| サポート期間 | 2年間(延長可能) |
| 合格祝い金 | 10万円 |
| 単位取得 | やや困難 |
ポイント
- 受講料が比較的安価で費用を抑えて
学習開始可能 - 合格お祝い金10万円でコスト負担を軽減
- リスキリング補助金対象講座で
受講料大幅軽減 - 日本の公認会計士試験指導実績を活かした
会計基礎解説 - 新設校ならではの最新設備と学習環境




