この記事でわかること
- 「監査法人を辞めたい」と感じる人がどれくらいいるか(離職率のデータ)と、辞めたい理由の6分類
- 辞めたい理由を「一時的」「配属で変わる」「構造的」に仕分けて、辞めるべきか残るべきかを判断する方法
- 辞める前に試せる3つの選択肢(チーム変更・部門異動・働き方の変更)と、それでも辞めるべきサイン
- 辞めるタイミングを年次別に比較した表と、繁忙期・監査報告書・賞与を踏まえた退職時期の決め方
- 2年目の冬に「辞めたい」と思ってから3年目の12月末に退職するまでの、筆者の意思決定プロセスを月単位で公開
- 次のキャリアを整理する5ステップと、辞めると決めた後の伝え方・引き継ぎ
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月29日
「監査法人を辞めたいが、この気持ちが一時的なものか分からない」「辞めたい理由はあるが、次に何をしたいかが決まらない」と悩んでいる方に向けた記事です。
結論から言うと、「監査法人を辞めたい」という気持ちは、理由を「一時的なもの」「配属やチームで変わるもの」「監査法人の構造に由来するもの」の3つに仕分けると、辞めるべきかどうかが判断できます。構造的な理由が2つ以上あり、それが繁忙期の前後で変わらず、5年後の姿が監査法人の外にあるなら、辞める判断は正しい可能性が高いです。
筆者はBIG4監査法人の2年目の冬に初めて「辞めたい」と思い、そこから1年かけて理由を仕分け、辞めない条件を試し、求人票で市場価値を確かめたうえで、3年目の9月末に退職を申告し12月末に退職しました。
この記事では、離職率のデータと転職エージェントの分析を一次情報にしつつ、筆者が実際に使った判断の手順を月単位で公開し、「辞めるか残るか」と「辞めた後どこへ行くか」を分けて整理します。
辞めた後の転職先の比較は「監査法人からの転職先7選|3年で辞めた私の選択と判断軸」で扱っているので、本記事は「辞めるべきかの判断」と「次のキャリアの整理」に絞ります。
「監査法人を辞めたい」と思うのは普通?離職率と辞めたい理由の6分類
監査法人の離職率は年7%前後で、入所5年で約4割が離職しており、「辞めたい」と感じること自体は珍しくない。辞めたい理由は①繁忙期の長時間労働
②単調な作業の繰り返し ③監査以外の経験ができない ④昇格・パートナーの構造
⑤上司・チームとの相性
⑥やりたいことが外にできた、の6つに分類できる。
まず、「辞めたい」と思っているのが自分だけではないことをデータで確認します。
| データ | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 監査法人の年間離職率 | 7%前後(法人・年度で5〜10%) | 各法人の統合報告書・転職エージェント各社の分析 |
| 入所5年後の在籍率 | 約6割(約4割が離職) | 転職エージェント各社の分析、筆者の同期の在籍状況 |
| 辞める時期のピーク | 入所3〜5年目(シニア昇格前後) | マイナビ会計士・USCPAどこのブログ |
| 筆者の同期(USCPA・公認会計士含む) | 3年目の時点で約3割が退職、5年目の時点で約半数 | 筆者の把握している範囲 |
数値は目安で、法人・年度で変わります。
筆者の同期も、3年目の時点で約3割が辞めており、5年目には半数近くが監査法人の外にいました。
次に、辞めたい理由を6つに分類します。
| 分類 | 具体的な症状 | 多い年次 |
|---|---|---|
| ①繁忙期の長時間労働 | 1〜3月・5月の月60〜80時間の残業、土日出勤、体調の崩れ | 1〜3年目 |
| ②単調な作業の繰り返し | 突合・確認状・調書作成のルーティンで達成感がない | 1〜2年目 |
| ③監査以外の経験ができない | 事業を「作る」側に回れない、監査しか知らない自分への不安 | 2〜4年目 |
| ④昇格・パートナーの構造 | USCPAは業務執行社員になれない、マネージャー昇格の競争、年次序列 | 3〜6年目 |
| ⑤上司・チームとの相性 | 特定の上司・インチャージとの関係、チームの雰囲気 | 全年次 |
| ⑥やりたいことが外にできた | 事業会社・起業・海外・専門領域への興味 | 2〜5年目 |
出典:マイナビ転職会計士(2026年3月)、会計求人プラス(2026年1月)、USCPAどこのブログ(2026年3月)の分析と筆者の経験をもとに分類
筆者が2年目の冬に感じていたのは、①③④の3つでした。
この6分類のどれに当てはまるかを先に確認すると、次の見出しの「仕分け」ができます。
繁忙期の実態は「監査法人は激務?繁忙期の実態と年間の残業時間を実体験で解説」で、USCPAの昇格の構造は「監査法人の年収カーブ|スタッフ〜パートナーの職階別相場と実体験」で解説しています。
辞めるか残るかを考え始めた段階でも、MS-Japanに登録して求人票を並べておくと、「今の自分がどこで、いくらで評価されるか」が見え、判断の材料が1つ増えます。
辞めたい理由を仕分けると答えが出る?一時的・配属・構造の3区分
辞めたい理由は「一時的なもの(繁忙期・特定の案件)」「配属やチームで変わるもの(上司・クライアント・部門)」「監査法人の構造に由来するもの(監査という仕事の性質・昇格構造・監査以外の経験)」に仕分けられる。一時的・配属の理由なら残って条件を変える価値があり、構造的な理由が2つ以上あるなら辞める判断が合理的である。
6分類の理由を、3つの区分に仕分けます。
| 区分 | 該当する理由 | 見分け方 | 対処 |
|---|---|---|---|
| 一時的 | ①繁忙期の長時間労働、特定の難しい案件 | 繁忙期が明けると気持ちが軽くなる。案件が変わると消える | 残って様子を見る。ただし毎年同じ強度で来るなら「構造的」に格上げ |
| 配属で変わる | ⑤上司・チームとの相性、②単調な作業(担当科目による) | 別のチームの同期は同じ不満を持っていない | チーム変更・部門異動を申請する |
| 構造的 | ③監査以外の経験ができない、④昇格・パートナーの構造、②単調な作業(監査そのものへの違和感)、⑥やりたいことが外にできた | どの法人・どのチームでも変わらない。繁忙期の前後で気持ちが変わらない | 辞める判断が合理的。次のキャリアを整理する |
仕分けのコツは、「同じ法人の別のチームに移ったら、この不満は消えるか」と自分に問うことです。
消えるなら配属の問題、消えないなら構造の問題です。
そして、繁忙期の真っ最中に辞めるかどうかを決めないことも重要です。
繁忙期は①の一時的な理由が全体を覆い、構造的な理由まで一時的に見えたり、逆に一時的な理由を構造的だと誤認したりします。
筆者は「繁忙期が明けた4〜6月に、同じ気持ちが残っているか」を判断の条件にしました。
USCPA特有の「構造的な理由」
USCPAが監査法人で感じる構造的な理由には、日本の公認会計士にはないものがあります。
| USCPA特有の理由 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| パートナーになれない | 業務執行社員は公認会計士に限られ、監査法人での最終到達点が公認会計士と違う | 制度上の制約で、法人を変えても同じ |
| 英語案件への固定 | 外資系・海外子会社案件に配属されやすく、日本基準の大型案件を経験しにくい | 配属で変えられる場合もある |
| 日本基準の知識で追いつく負担 | 公認会計士の同期が論文式で鍛えた企業法・日本基準を実務で補う必要がある | 1〜2年で解消することが多い |
| 「監査法人にいる意味」の問い | USCPAは監査以外の選択肢が広く、「監査法人で長く働く」ルートが公認会計士ほど整っていない | 辞めやすい反面、辞める理由が曖昧になりやすい |
USCPAどこのブログは、USCPAが監査法人を辞めるタイミングに「万人共通の正解はない」としたうえで、公認会計士は3〜5年目でシニア昇格・インチャージ経験後に辞める王道ルートがあるが、USCPAは「みんなが同じルートを歩む資格ではない」と指摘しています。
筆者もこの点は同じ意見で、USCPAは「何年目で辞めるか」より「何を持って辞めるか」を先に決める方が判断しやすくなります。
USCPAと公認会計士の監査法人での違いは「USCPAと日本の公認会計士の違い|どっちを取るべき?」で解説しています。
辞める前に試せることは?チーム変更・部門異動・働き方の3つ
辞める前に試せるのは、①チーム・クライアントの変更を申請する
②アドバイザリー部門や別部門への異動を申請する
③時短・非常勤・休職で働き方を変える、の3つで、いずれも「配属で変わる理由」には効く。逆にこの3つを試しても気持ちが変わらないなら、理由は構造的であり、辞める判断の裏付けになる。
辞める前に試す価値がある選択肢を整理します。
| 選択肢 | やること | 効く理由 | 効かない理由 | 所要期間 |
|---|---|---|---|---|
| ①チーム・クライアントの変更 | カウンセラー(評価者)に配属希望を伝える。年度替わりの配属で調整される | ⑤上司との相性、②担当科目の単調さ | ③④⑥の構造的な理由 | 半年〜1年(年度替わり待ち) |
| ②部門異動(アドバイザリー・IPO支援・FASなど) | 社内公募や上司経由で異動を申請 | ③監査以外の経験、②単調さ | ④昇格構造(USCPAの制約は同じ)、①繁忙期(部門によっては同様に忙しい) | 半年〜1年 |
| ③働き方の変更(時短・非常勤・休職) | 人事制度を確認し申請 | ①繁忙期の負荷、体調 | ③④⑥ | 1〜3ヵ月 |
BIG4には、監査から会計アドバイザリーやIPO支援への社内異動の枠があり、筆者の同僚にも監査からアドバイザリーへ移って残った人がいます。
「監査以外の経験がしたい」が理由なら、辞める前に社内で監査以外の仕事ができないかを確認する価値があります。
一方で、この3つを試しても同じ気持ちが残るなら、理由は構造的だと確認できたことになります。
筆者は①を試し(2年目から海外子会社案件を希望して配属)、②は検討しましたが、「会計×システム×英語」を組み合わせて市場価値を上げる道は監査法人のアドバイザリー部門より外部のコンサルの方が近いと判断し、辞める選択をしました。
「辞めるべきサイン」と「まだ残るべきサイン」
3つを試した後の判断の目安です。
| 辞めるべきサイン | まだ残るべきサイン |
|---|---|
| 構造的な理由が2つ以上ある | 理由が一時的・配属の区分に集中している |
| 繁忙期の前後で気持ちが変わらない | 繁忙期が明けると辞めたい気持ちが薄れる |
| 5年後にやっていたい仕事が監査法人の外にある | 5年後の姿が描けていない(=辞めても行き先が決まらない) |
| 求人票で自分の市場価値を確認し、行きたい求人がある | 「辞めたい」だけで「行きたい」がない |
| 体調・睡眠に影響が出ている(この場合は構造か一時的かに関係なく環境を変える) | 現在のチーム・案件を変えれば解決しそう |
「辞めたい」だけで「行きたい」がない状態で辞めると、転職先で同じ不満を繰り返すのが最も多い失敗です。
「行きたい」を作るのが、後述する「次のキャリアの整理」です。
辞めるタイミングはいつがいい?年次別の比較と退職時期の決め方
辞めるタイミングは、転職先の広さと監査経験の売りやすさから3〜5年目が最も有利で、1〜2年目は第二新卒扱いで監査経験が評価されにくく、マネージャー以降は転職先が絞られる代わりに年収の上振れが大きい。退職時期は繁忙期を避け、担当する監査報告書の提出後・賞与支給後に設定するのが一般的である。
年次ごとの辞めるメリット・デメリットを比較します。
| 年次 | 転職先の広さ | 監査経験の評価 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 1〜2年目 | 第二新卒枠が中心 | 「監査を一通り経験した」とは見られにくい | 若さで未経験職種にも挑戦できる | 監査経験が武器にならず、USCPAの資格頼みになる |
| 3〜5年目 | 最も広い(FAS・コンサル・事業会社・外資・内部監査) | 担当科目・インチャージ補佐・英語案件の経験が売れる | 経験と若さの両方がある。年収も1〜2割上がる転職が多い | 主査経験がない場合は「一通り」の証明が必要 |
| 6〜8年目(シニア〜マネージャー手前) | 広いが専門性を問われる | 主査経験・業種の専門性が売れる | 年収の上振れが大きい。管理職候補として迎えられる | 未経験職種への転換は難しくなる |
| マネージャー以降 | 絞られる(CFO候補・FASの管理職・大手事業会社の経理部長候補) | 管理経験が売れる | 高年収 | 求人数が少なく、選考も長い |
筆者は3年目を選び、転職で年収は1〜2割上がりました。
タイミングごとの詳細は「監査法人からの転職先7選|3年で辞めた私の選択と判断軸」で扱っているので、ここでは「何月に辞めるか」の決め方を整理します。
| 退職時期の判断要素 | 考え方 |
|---|---|
| 繁忙期を避ける | 1〜3月・5月の期末監査中の退職はチームへの負荷が大きく、円満退職が難しい。6〜9月または10〜12月の退職が一般的 |
| 担当する監査報告書の後 | 3月決算なら5〜6月の監査報告書提出後、四半期レビューなら8月・11月の後が区切り |
| 賞与の支給後 | 6月・12月の賞与支給を受けてから退職日を設定する人が多い |
| 申告から退職までの期間 | 就業規則の1ヵ月前より早く、2〜3ヵ月前に申告すると引き継ぎと配属調整が円滑 |
| 転職先の入社時期 | 転職先が「翌年1月入社」「4月入社」なら、逆算して退職日を決める |
筆者は9月末に申告し、12月末退職・翌1月入社としました。
第2四半期のレビュー(8月)を終え、12月の賞与を受け、年内に引き継ぎを完了する日程で、上司からも「区切りとしては最もきれい」と言われました。
筆者の意思決定プロセス|2年目の冬から3年目の12月末まで
筆者は2年目の1月に初めて「辞めたい」と思い、繁忙期の判断を避けて4月に理由を仕分け、5〜8月に「辞めない条件」を試し、9月に求人票で市場価値を確認したうえで9月末に退職を申告した。辞めたい理由4つのうち3つが構造的で、繁忙期の前後で変わらず、5年後の姿が監査法人の外にあったことが決め手だった。
筆者が実際にたどったプロセスを、月単位で公開します。
月ごとの動きと判断
| 時期 | 状況 | やったこと | 判断 |
|---|---|---|---|
| 2年目の1月 | 繁忙期の入口で初めて「辞めたい」と思う。月70時間の残業 | 何もしない。「繁忙期中は決めない」と決めた | 保留 |
| 2年目の4月 | 繁忙期が明けても気持ちが残っている | 辞めたい理由をノートに書き出し、4つに整理 | 仕分けに進む |
| 2年目の5月 | 理由を仕分け | ①繁忙期(一時的だが毎年)②監査以外の経験ができない(構造的)③USCPAの昇格構造(構造的)④監査という仕事への違和感(構造的) | 構造的が3つ。辞める方向に傾く |
| 2年目の6〜8月 | 「辞めない条件」を作る | 「海外子会社の往査を担当できたら、監査法人に残る価値があるか再評価する」と決め、配属希望を出して往査に参加 | 往査は充実したが、「5年後もこれをやっていたいか」への答えは変わらず |
| 2年目の10月 | 5年後の姿を書く | 「会計×システム×英語で、事業の仕組みを作る側にいる」と書き出す | 監査法人の中にはない仕事と確認 |
| 3年目の1〜3月 | 2度目の繁忙期 | 同じ気持ちが続くかを観察。続いた | 一時的ではないと確定 |
| 3年目の4〜6月 | 転職先の候補を整理 | FAS・事業会社経理・会計系コンサルの3つを比較 | コンサルが5年後の姿に最も近い |
| 3年目の7〜8月 | 求人票で市場価値を確認 | 特化型1社+総合型1社のエージェントに登録し、求人票を並べる | 年収1〜2割増の求人があると確認 |
| 3年目の9月 | 選考 | 書類6社・内定3社(コンサル中心、準大手監査法人は枠なし) | コンサル1社に決定 |
| 3年目の9月末 | 退職申告 | 上司に申告。3ヵ月後の12月末退職で合意 | ― |
| 3年目の10〜12月 | 引き継ぎ | 担当クライアントの調書・資料依頼リスト・海外チームの連絡先を後任に引き継ぎ | 12月末退職 |
「辞めたい」と思ってから退職まで、2年目の1月から3年目の12月末までの2年間をかけています。
決め手になった3つの確認
振り返ると、決め手は次の3つでした。
| 確認 | 内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 繁忙期の前後で気持ちが変わるか | 2年目と3年目の繁忙期の前後で観察 | 変わらなかった。一時的な理由ではないと確定 |
| 辞めない条件を満たしたら気持ちが変わるか | 「海外子会社の往査」を条件に設定し、実際に経験 | 往査は充実したが、5年後の姿への答えは変わらなかった |
| 5年後の姿が監査法人の中にあるか | 「会計×システム×英語で事業の仕組みを作る側」と書き出す | 監査法人のアドバイザリー部門も検討したが、外部のコンサルの方が近いと判断 |
特に2つ目の「辞めない条件」は、「辞めたい」を「本当に辞めたいのか」に変えるうえで効きました。
もし往査の経験で気持ちが変わっていたら、筆者は監査法人に残っていたと思います。
変わらなかったからこそ、「配属の問題ではなく構造の問題」と自信を持って言えました。
転職活動の中身は「USCPAでコンサルに転職|監査法人3年から移った筆者の体験談」で、転職後に想定外だったことは「監査法人からの転職先7選|3年で辞めた私の選択と判断軸」のFAQで書いています。
次のキャリアはどう整理する?5ステップの整理法
次のキャリアの整理は、①監査経験のどこを売るか(業種・科目・英語・IPO)を書き出す
②5年後にやっていたい仕事を1行で書く ③年収と働き方の優先順位を決める
④求人票を並べて市場価値を確認する
⑤戻れる余地を残す、の5ステップで進める。「辞めたい」を「行きたい」に変えるのがこの整理の目的である。
「辞めるべきか」の判断と並行して、「辞めた後どこへ行くか」を整理します。
| ステップ | やること | 筆者の記入例 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| ①監査経験のどこを売るか | 担当した業種・科目・役割・英語案件・IPOなどを書き出す | 製造業・外資系日本法人、売掛金・固定資産・海外子会社パッケージ、米国往査、インチャージ補佐 | 1時間 |
| ②5年後の姿を1行で書く | 「◯◯で△△をしている」の形で書く。書けなければまだ辞める時期ではない | 「会計×システム×英語で、事業の仕組みを作る側にいる」 | 1週間考える |
| ③年収と働き方の優先順位 | 年収・残業・リモート・出張・専門性の5つに順位をつける | 専門性>年収>出張>残業>リモート | 30分 |
| ④求人票で市場価値を確認 | エージェントに登録し、①②③に合う求人を10件並べる。年収レンジと必須要件を見る | 会計系コンサル・FAS・事業会社の求人を並べ、コンサルが年収1〜2割増で要件も合致 | 2週間 |
| ⑤戻れる余地を残す | 円満退職、アルムナイ制度の確認、非常勤での復帰可能性を把握 | 退職時に上司・チームとの関係を保ち、「戻れる」と分かった状態で転職 | 退職時 |
この5ステップで最も重要なのは②で、5年後の姿が書けないうちは、辞めるのではなく仕分けと「辞めない条件」の段階に戻る方が安全です。
④では、求人票を「応募するため」ではなく「自分の市場価値を測るため」に使います。
年収レンジと必須要件を見れば、今の経験でどこまで行けるか、あと何年残れば選択肢が広がるかが分かります。
会計人材に特化したMS-Japanに登録しておけば、監査法人出身者向けのFAS・コンサル・事業会社の求人を並べて、④の市場価値の確認ができます。
登録時に「まだ辞めると決めていないが、市場価値を知りたい」と伝えれば、担当者はその前提で求人を提示してくれます。
転職先の選択肢は「USCPAを活かせる転職先7選と転職のコツ|職種別の入り方を解説」で、エージェントの選び方は「USCPA向け転職エージェントおすすめ比較|失敗しない選び方」で解説しています。
辞めると決めたら何をする?伝え方・引き継ぎ・円満退職
辞めると決めたら、①転職先の内定を得てから申告する
②繁忙期を避け、監査報告書の後に退職日を設定する
③上司(カウンセラー)に直接、2〜3ヵ月前に伝える
④理由は「次にやりたいこと」で語り、不満は言わない
⑤調書・資料依頼リスト・クライアントと海外チームの連絡先を引き継ぐ、の5つで円満退職が実現する。
退職の実務を整理します。
| 項目 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 申告の順番 | 転職先の内定を得てから、上司(カウンセラー)に直接申告 | 内定前に申告すると、配属や評価が先に変わるリスクがある |
| 申告の時期 | 就業規則より早く、2〜3ヵ月前 | 繁忙期直前の申告は避ける |
| 理由の伝え方 | 「次に◯◯をやりたい」と前向きに。法人・上司への不満は言わない | 引き止めは「5年後の姿」を根拠に丁寧に断る |
| 退職日 | 監査報告書の後、賞与支給後、転職先の入社日から逆算 | 有給消化の扱いを人事に確認 |
| 引き継ぎ | 調書・資料依頼リスト・クライアント担当者と海外チームの連絡先・年間スケジュールを後任に | 海外チームには自分から後任を紹介するメールを送る |
| 関係の維持 | 送別の場で連絡先を交換、アルムナイ制度に登録 | 「戻れる余地」を残す |
筆者が引き継ぎで最も時間をかけたのは、海外子会社案件の海外監査チームとの連絡経路でした。
後任を自分からメールで紹介し、進行中の論点を英語のメモにまとめて渡したことで、退職後に問い合わせが来ることはありませんでした。
面接での退職理由の語り方は「監査法人の面接対策と志望動機の作り方|頻出質問15と例文」の逆の立場として参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q1.
1年目で辞めたいのですが、早すぎますか?
早い可能性が高いですが、理由によります。
1年目の「辞めたい」は、①繁忙期の長時間労働と②単調な作業に集中していることが多く、どちらも一時的・配属の区分に入ります。
2年目に担当科目が増え、チームが変わると消える不満が大半です。
一方で、体調・睡眠に影響が出ている場合は年次に関係なく環境を変えてください。
転職市場では1〜2年目は第二新卒扱いで、監査経験が武器になりにくい点も踏まえて、まずは仕分けと「辞めない条件」を試すことをすすめます。
Q2.
辞めたい理由が「なんとなく」でも辞めていいですか?
「なんとなく」のまま辞めるのはおすすめしません。
理由が言葉になっていないと、転職先で同じ不満を繰り返す確率が高いからです。
まず6分類のどれに近いかを書き出し、一時的・配属・構造的の3区分に仕分けてください。
書き出すと「なんとなく」の正体は、たいてい「監査以外の経験ができない」か「5年後の姿が描けない」のどちらかです。
それが分かれば、辞めるか残るかの判断に進めます。
Q3.
USCPAは監査法人を辞めやすいと聞きますが本当ですか?
本当です。
USCPAは監査以外の選択肢(FAS・コンサル・事業会社・外資系・海外)が広く、公認会計士のように「監査法人で長く働く王道ルート」が整っていないため、辞める判断のハードルは低くなります。
ただし辞めやすいことと、辞めるべきことは別です。
USCPAは「何年目で辞めるか」より「監査法人で何を持って出るか」を先に決めた方が、転職市場での評価が安定します。
筆者の場合は「海外子会社案件と英語での往査経験」を持って出ました。
Q4.
転職先が決まる前に辞めてもいいですか?
おすすめしません。
監査法人からの転職は在職中に活動する人が大半で、離職期間があると「なぜ辞めたのか」を説明する負担が増えます。
体調を崩している場合を除き、内定を得てから退職を申告する順番を守ってください。
内定から入社まで2〜3ヵ月の猶予を交渉できる転職先が多く、退職申告から退職までの期間として十分です。
Q5.
辞めたいと言ったら引き止められますか?
引き止められることが多いです。
監査法人は人手不足が続いており、「チーム変更で対応する」「アドバイザリーへの異動はどうか」といった提案が出ます。
この提案を受け入れる余地があるなら、申告の前に自分で試しておくべきです。
試したうえで申告しているなら、「配属ではなく、5年後にやりたい仕事が監査法人の外にある」と伝えれば、引き止めは長引きません。
Q6.
辞めた後に後悔しないか不安です
後悔する人はいます。
公認会計士の転職日誌の運営者が「4年半で辞めて後悔した4つのこと」を公開しているように、監査法人の恵まれた点(教育・人材の質・出戻りのしやすさ)は辞めた後に気づくことが多いです。
筆者の想定外は、転職1年目に会計以外のスキルを学び直す負荷が監査1年目より大きかったことでした。
後悔を減らすには、辞める理由を1つに絞り、求人票で市場価値を確認し、戻れる余地を残しておくことです。
Q7.
転職に失敗したら監査法人に戻れますか?
戻れる可能性は高いです。
監査法人は人手不足で、アルムナイ(出戻り)採用や非常勤での復帰は珍しくありません。
筆者の周囲にも、事業会社やベンチャーから1〜2年で監査法人に戻った人が複数います。
「戻れる」と分かっていると思い切った転職先を選びやすいので、退職時に円満な関係を残しておくことが保険になります。
非常勤での復帰は「監査法人の非常勤の時給と働き方|USCPAでも採用される条件」で扱っています。
まとめ:「辞めたい」は仕分けると判断できる、「行きたい」が作れたら辞めていい
この記事の要点を再掲します。
- 監査法人の離職率は年7%前後、5年で約4割が離職。「辞めたい」と感じること自体は珍しくない
- 辞めたい理由は6分類あり、「一時的」「配属で変わる」「構造的」の3区分に仕分ける。構造的な理由が2つ以上で、繁忙期の前後で変わらないなら辞める判断は合理的
- 繁忙期の真っ最中に決めない。繁忙期が明けた4〜6月に同じ気持ちが残るかで判断する
- 辞める前にチーム変更・部門異動・働き方の変更を試す。試しても変わらないなら構造的だと確認できる
- タイミングは3〜5年目が最も転職先が広い。退職日は繁忙期を避け、監査報告書と賞与の後に設定
- 筆者は2年目の1月に「辞めたい」→4月に仕分け→6〜8月に「辞めない条件(往査)」を試す→10月に5年後の姿を書く→3年目の繁忙期で再確認→求人票で市場価値確認→9月末申告・12月末退職。2年かけて判断した
- 次のキャリアは①何を売るか ②5年後の姿 ③年収と働き方の優先順位
④求人票で市場価値
⑤戻れる余地の5ステップで整理する。5年後の姿が書けないうちは辞めない
「辞めたい」は感情ですが、「行きたい」は設計です。
まず辞めたい理由をノートに書き出して3区分に仕分け、繁忙期が明けた後に同じ気持ちが残るかを確かめるところから始めてみてください。
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会計基礎解説 - 新設校ならではの最新設備と学習環境




