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USCPAのInactive化で維持費節約|条件・手続き・戻し方

この記事でわかること

  • USCPAのInactive(非活動)ライセンスとは何か、Active・Retired・失効との違い
  • ワシントン州でInactiveにすると維持費が3年で約980ドルから約270ドルに下がる試算(CPE120時間→倫理4時間)
  • Inactiveにできる条件(更新期間のみ)と、できなくなること(実務・名刺表記)
  • Inactive化の手続き4ステップと、Activeに戻す要件(36ヵ月以内のCPE120時間・手数料なし)
  • Inactiveにすべき人・しない方がいい人の判断表と、Activeを維持している筆者の判断基準

著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。

最終更新日:2026年8月28日

「USCPAを実務で使っていないのに、CPE(継続教育)と更新料を払い続けるのはもったいない」と感じている方に向けた記事です。

結論から言うと、USCPAライセンスをInactiveにすると、ワシントン州の場合、3年サイクルの維持費は約980ドル(約15万円)から約270ドル(約4万円)に下がり、CPEは120時間から倫理講座4時間だけになります。

ただし、Inactiveにできるのは3年に1回の更新期間だけで、Inactiveの間は「CPA」とだけ名乗ることができず、Activeに戻すには申請前36ヵ月以内にCPE120時間を積み直す必要があります。

この記事では、ワシントン州会計委員会(Washington State Board of
Accountancy)の規定を一次情報として、Inactiveの定義、節約額の試算、条件と手続き、戻し方、そして「自分はInactiveにすべきか」の判断基準を、ワシントン州のActiveライセンスを維持している筆者の判断と合わせて解説します。

維持費そのものの内訳は「USCPAの維持費|ライセンス更新・CPE・年会費の実額を公開」で扱っているので、本記事は「Inactiveにするかどうか」に絞ります。

目次 閉じる

USCPAのInactiveとは?Active・Retired・失効との違い

USCPAのInactive(非活動)ライセンスとは、ライセンスの登録を保ったまま、会計業務の提供と「CPA」単独の名乗りを止める代わりに、CPE要件が倫理講座のみに軽減される状態である。ワシントン州では2024年7月1日から全ライセンス保有者が更新時に選べるようになった。

まず、ライセンスの4つの状態を整理します。

状態 意味 CPE要件(ワシントン州) 更新料 名乗り方 会計業務の提供
Active(活動) 通常のライセンス 3年で120時間(毎年20時間以上・倫理4時間含む) 230ドル/3年 CPA、USCPA 可
Inactive(非活動) 登録を保ったまま休止 3年で州認定の倫理講座4時間のみ 230ドル/3年(Activeと同額) CPA-Inactive等、Inactiveの併記が必須 不可
Retired(引退) 引退登録 更新不要 不要 CPA-Retired 不可。Activeへ戻す場合は再申請
Lapsed(失効) 更新せずに期限切れ − − CPA・CPA-Inactiveとも名乗れない 不可。復活には再申請と480ドル

出典:ワシントン州会計委員会「Renewal」「Convert Your CPA License in
an Inactive Status to an Active Status」「Reinstate CPA
License」「Retirement」(2026年8月28日確認)

ポイントは3つです。

  • Inactiveは「ライセンスを持っている」状態で、州の名簿(CPA
    Verify)にも登録が残る。失効とは違う
  • 更新料はActiveと同額で、下がるのはCPE費用と時間。「Inactiveなら維持費ゼロ」ではない
  • 戻すのが前提の制度で、Retiredや失効より復活が簡単

ワシントン州で2024年7月から何が変わったか

ワシントン州には以前「CPA-Inactive
Certificate(サティフィケート)」という別枠がありましたが、2022年3月成立の州法(Senate
Bill
5519)により2024年7月1日に廃止され、既存のサティフィケート保有者は「Inactiveステータスのライセンス」に自動変換されました。

同時に、2025年の更新期間から、すべてのライセンス保有者がActiveかInactiveかを更新時に選べるようになっています。

それ以前は「Inactiveといえばグアム」で、日本の受験生がInactiveにしたければグアムでライセンスを取るのが定番でした。

現在は、ワシントン州でActiveライセンスを取った後にInactiveへ切り替える道が開いています。

USCPAのライセンス制度の基本は「USCPAライセンス取得の要件と流れ|合格後にやること」を、ワシントン州の要件は「ワシントン州のUSCPA|受験資格とライセンス要件・更新まで解説」を参照してください。

Inactiveにすると維持費はいくら下がる?3年サイクルの試算

ワシントン州のInactiveの維持費は、更新料230ドル+州認定の倫理講座4時間(30〜60ドル程度)で3年約260〜290ドル(約4万〜4.6万円)。Activeの約980ドル(約15万円)と比べて3年で約700ドル(約11万円)、年間で約3.7万円の節約になる。

金額を、筆者の実額(Active)と並べて試算します。

項目 Active(筆者の実額) Inactive(試算) 差額
更新料(3年に1回) 230ドル 230ドル 0
CPE費用 約750ドル(年間定額サービス約250ドル×3年で120時間) 約30〜60ドル(倫理4時間のみ。定額サービス不要) 約700ドル
CPEに使う時間 120時間/3年 4時間/3年 116時間
3年合計 約980ドル(約15.4万円) 約260〜290ドル(約4.1万〜4.6万円) 約700ドル(約11万円)
年間換算 約5.1万円 約1.4〜1.5万円 約3.7万円

※1ドル157円、2026年8月時点で換算。CPE費用は筆者が利用しているオンラインの年間定額サービスの実額で、倫理講座単体の価格は提供者により異なります(要確認)。

節約できるのは「お金」より「時間」の方が大きい、というのが筆者の見方です。

年間3.7万円は小さくない額ですが、CPE120時間は「週1時間を3年間」に相当し、実務で使わない人が英語の会計講座に116時間を割くのは負担です。

10年単位で見た差額

Inactiveを長く続けるほど差は積み上がります。

期間 Activeの維持費 Inactiveの維持費 差額
3年(1サイクル) 約15.4万円 約4.3万円 約11万円
9年(3サイクル) 約46万円 約13万円 約33万円
15年(5サイクル) 約77万円 約22万円 約55万円

※各サイクルで為替・料金が同じと仮定した概算。

ただし、後述のとおりActiveに戻すときにCPE120時間分の費用と時間が一括で必要になるため、「数年後に戻す」予定なら差額の大半は戻す時点で相殺されます。

Inactiveの節約額は、「戻す予定の有無」とセットで考える必要があります。

CPE費用を抑える方法は「USCPAとIFRS検定|どっちが実務で使える?」で紹介しています。

Inactiveにできるのは誰?条件と「できなくなること」

ワシントン州でInactiveを選べるのは、Activeライセンスを持つ人が3年に1回の更新期間(更新年の1月1日〜4月30日)に更新申請するときだけである。Inactiveの間は会計業務の提供と「CPA」単独の名乗りができず、名刺・履歴書には「CPA-Inactive」等の併記が必要になる。

Inactiveには、選べるタイミングと、選んだ後の制約があります。

条件:更新期間にしか選べない

条件 内容
前提 ワシントン州のライセンス(Active)を保有していること。初回申請時にInactiveは選べない
タイミング 3年に1回の更新期間のみ(更新年の1月1日〜4月30日。6月30日までは遅延料100ドルで可)
必要なCPE 直前の3年間(CPE報告期間)にワシントン州認定の倫理講座4時間を完了し、CPE
Trackerに記録
手続き オンライン(SecureAccess
Washington)で更新申請し、Inactiveを選択。更新料230ドルを支払う

出典:ワシントン州会計委員会「Renewal」(2026年8月28日確認)

見落としやすいのが「初回申請時にInactiveは選べない」点です。

ワシントン州では、まずActiveでライセンスを取得(実務経験の証明が必要)し、次の更新から初めてInactiveを選べます。

つまり、「実務経験がないから最初からInactiveで取りたい」という人の選択肢はワシントン州にはなく、その場合はグアムになります(後述)。

もう1つは、Inactiveにするサイクルでも倫理講座4時間は必要という点です。

「Inactiveにするから何もしなくていい」と考えて倫理講座を受けていないと、更新申請ができません。

できなくなること

できなくなること 内容
会計業務の提供(public accounting) 監査・レビュー・コンピレーション等の業務を提供できない。ワシントン州外でも同様
「CPA」単独の名乗り 名刺・履歴書・SNS・会社のプロフィールで「CPA」「USCPA」とだけ書くことは不可。「CPA-Inactive」「USCPA(Inactive)」等の併記が必要
実務経験の証明者(Verifying CPA)になること 後輩のライセンス申請で実務経験を証明する役割は、Activeのライセンス保有者に限られる(州の様式で要確認)

出典:ワシントン州会計委員会「CPA-Inactive Legislation
Passed」(2023年12月4日)

日本国内では、USCPAの独占業務(監査報告書への署名)を行う場面がほとんどないため、「業務ができなくなる」影響は実務上小さいです。

一方で、「名刺に(Inactive)と書く」影響は、転職活動や社外向けの肩書で意外と効きます。

日本でUSCPAができること・できないことは「USCPAの独占業務とは|日本でできること・できないこと」で、名刺の書き方は「USCPAの正式名称・読み方|名刺・履歴書での正しい書き方」で整理しています。

Inactive化の手続きと、Activeに戻す方法

Inactive化は、更新期間に①倫理講座4時間を完了→②CPE
Trackerに記録→③オンラインで更新申請しInactiveを選択→④更新料230ドルを支払う、の4ステップで完了する。Activeに戻すのはいつでも可能で、申請前36ヵ月以内にCPE120時間(倫理4時間は直近6ヵ月以内)を完了して転換申請すれば、手数料はかからない。

手続きは、Inactiveにするときより、戻すときの方が重いです。

Inactiveにする4ステップ

ステップ やること 時期
① 倫理講座を受ける ワシントン州会計委員会が認定した倫理・規則講座(4時間)を受講し、修了証を保存 更新年の前年12月31日まで
② CPE Trackerに記録 オンラインサービス(SecureAccess Washington)のCPE
Trackerに講座を登録し、修了証をアップロード
受講後すぐ
③ 更新申請でInactiveを選択 更新申請画面で「Inactive status」を選んで申請 更新年の1月1日〜4月30日
④ 更新料を支払う 230ドル(Activeと同額)をオンラインで支払う 申請と同時

Activeで更新するときとの違いは、③で「Inactive」を選ぶことと、120時間のCPEが不要になることだけです。

なお、ワシントン州の倫理講座は認定講座の一覧が州のサイトに掲載されており、オンラインで4時間の講座を受けて修了証を得る形式が一般的です。

Activeに戻す方法(転換申請)

Inactiveからの復帰は、更新期間を待たずいつでも申請できます。

要件 内容
CPE 申請日から遡って36ヵ月以内に120時間を完了。うちワシントン州認定の倫理講座4時間は申請日から遡って6ヵ月以内に完了
記録 120時間分をCPE Trackerに登録し、修了証をアップロード
申請 オンラインで転換(conversion)申請。手数料なし
実務経験 過去にワシントン州のActiveライセンスを持っていた人は、実務経験証明書(Experience
Affidavit)の再提出は不要
注意 転換に使ったCPEは、次の更新のCPE(120時間)に重複して数えられない
名乗り 州の承認が下り、名簿(licensee search / CPA
Verify)の状態がActiveに変わるまで「CPA」とは名乗れない

出典:ワシントン州会計委員会「Convert Your CPA License in an Inactive
Status to an Active Status」(2026年8月28日確認)

戻すには「CPE120時間を一括で積む」必要があるので、戻す予定の1年前には受講を始めておく必要があります。

年間定額のオンラインCPEサービスなら、1年で120時間を受講することは可能ですが、仕事をしながらだと週2〜3時間のペースになります。

戻した後、次の更新までに必要なCPE

Activeに戻した後、次の更新までに必要なCPEは、戻した年がCPE報告期間の何年目かで変わります(WAC
4-30-134)。

Activeに戻した時期 次の更新までに必要なCPE
CPE報告期間の1年目 80時間(非技術科目は40時間まで、倫理4時間含む)
CPE報告期間の2年目 40時間(非技術科目は20時間まで、倫理4時間含む)
CPE報告期間の3年目 倫理4時間のみ

出典:WAC 4-30-134(ワシントン州行政規則、2026年8月28日確認)

転換に使った120時間は次回更新に数えられないため、戻した年によっては「転換用120時間+次回更新用80時間」を短期間に受けることになります。

戻すなら、CPE報告期間の3年目に戻すのが最も負担が軽い計算です。

失効(Lapsed)との比較

「面倒だから更新しない」と失効させるのは、Inactiveより高くつきます。

項目 Inactiveで維持 失効させる
3年ごとの費用 230ドル+倫理講座 0ドル
名乗り CPA-Inactive CPA・CPA-Inactiveともに不可
復活の手続き 転換申請(手数料なし) 再申請(Reinstatement)
復活の費用 CPE120時間分のみ 再申請手数料480ドル+CPE120時間分
復活のCPE 36ヵ月以内に120時間(倫理は6ヵ月以内) 同左
名簿(CPA Verify) 登録が残る 登録が消える

出典:ワシントン州会計委員会「Reinstate CPA
License」(2026年8月28日確認)

失効の節約額は3年で230ドル+倫理講座代のみで、復活時に480ドルかかるため、一度でも戻す可能性があるならInactiveの方が安いです。

更新期限と失効の流れは「USCPAとIFRS検定|どっちが実務で使える?」で解説しています。

Inactiveにすべき人・しない方がいい人

Inactiveが向くのは、会計業務から5年以上離れる見込みがあり、肩書に「Inactive」が付いても支障がない人。向かないのは、3年以内に転職・海外赴任・監査法人復帰の可能性がある人と、名刺・履歴書の「USCPA」表記を営業や採用で使う人である。

判断は「戻す可能性」と「肩書の使い方」の2軸で決まります。

状況別の判断表

あなたの状況 おすすめ 理由
監査法人・会計事務所で働いている Active 業務上ライセンスが前提。Inactiveでは監査業務に関われない
事業会社の経理・財務で、US GAAP・IFRSを扱う Active CPEが実務の勉強を兼ねる。勤務先の研修をCPEに使える場合が多い
事業会社の経理だが、転職の予定がなく肩書も使わない Inactive検討 実務上の支障はない。ただし転職時にInactive表記になる点は要考慮
会計以外の職種(営業・企画・ITなど)に移り、当面戻らない Inactive 維持費と116時間の時間を節約できる。戻す判断は後でできる
育休・介護・海外帯同などで実務から2〜5年離れる Inactive 離れる期間のCPEを免除できる。復職1年前からCPEを積んで戻す
コンサル・FASで、名刺の「USCPA」を営業に使っている Active 名刺に(Inactive)が付くと肩書の価値が下がる
3年以内に転職・海外赴任・監査法人復帰の可能性がある Active 戻すのに120時間が必要。3年以内に戻すなら節約額より手間が上回る
定年後で、今後実務に戻る予定がない InactiveまたはRetired 社外役員等で肩書を使うならInactive。完全に引退するならRetired

「戻す可能性が3年以内にある人はActiveのまま」が、費用と手間を計算したときの分かれ目です。

Inactive化で後悔しやすい3つのケース

Inactiveにした後に困る例を、監査法人時代の同僚や後輩から聞いた実例をもとに整理します。

ケース 何が起きたか 防ぎ方
転職活動で「Inactive」を聞かれる 事業会社からFASへの転職面接で「なぜInactiveなのか」「戻す予定はあるか」を毎回聞かれた 転職の可能性があるならActiveを維持するか、応募前にActiveへ戻す
戻すのに1年かかった 監査法人への復帰が決まったが、CPE120時間を積むのに約1年かかり、入所時点ではInactiveのままだった 戻す可能性が出た時点でCPEを始める。年間定額サービスなら1年で120時間は可能
倫理講座を受け忘れて更新できなかった 「Inactiveなら何もしなくていい」と思い込み、更新年に倫理4時間が未完了で延長申請になった Inactiveでも3年に1回の倫理講座は必要。更新年の前年中に受ける

筆者がActiveを維持している理由と、Inactiveを検討した時期

筆者は監査法人3年目にワシントン州のActiveライセンスを取得し、コンサルに転職した後も、直近の更新でActiveを選んでいます。

Inactiveを一度真剣に検討したのは、監査法人からコンサルへの転職が決まった時期です。

転職先はUS
GAAP・IFRSを扱う会計・業務系コンサルでしたが、監査法人と違って法人内の研修がCPEに算入できるか不明で、「外部サービスで年間120時間分を自費で積むのか」と迷いました。

そのときに計算したのが、この記事の試算表と同じ内容です。

検討項目 当時の判断
3年の維持費の差 約700ドル(約11万円)。年間3.7万円
戻す可能性 「会計×英語」で仕事をする以上、監査法人やFASへ戻る可能性をゼロにできない
名刺の使い方 コンサルの提案書とプロフィールに「USCPA」を載せて営業していた
CPEの使い道 ASC 606・ASC
842・IFRSの改正講座は実務の勉強になり、負担ではなかった

結論として、「年間3.7万円と週1時間の勉強で、肩書と戻す自由を保てる」ならActiveの方が得だと判断しました。

一方、監査法人の同期で、事業会社の経営企画に移った1人は、直近の更新でInactiveを選んでいます。

彼の判断基準は「5年以上は会計実務に戻らない」「社内で肩書を使う場面がない」の2点で、これは上の判断表そのままです。

Inactiveにするかどうかは、資格の価値の問題ではなく「今後3年で戻す可能性があるか」の問題です。

筆者が3年目にライセンスを取った経緯は「USCPAライセンス取得の要件と流れ|合格後にやること」の体験談で、実務経験の証明の頼み方は「USCPAライセンスの実務経験要件とサインの依頼方法」で書いています。

グアムのInactiveとの違い|最初からInactiveで取れるのはグアム

グアムは実務経験なしで最初からInactiveライセンスを取得でき、ワシントン州はActiveで取得した後の更新時にしかInactiveを選べない。「実務経験がなく、まず肩書がほしい」ならグアム、「実務経験があり、将来の節約手段としてInactiveを持っておきたい」ならワシントン州が向く。

日本で「USCPAのInactive」と言うと、2つの別の話が混ざりがちです。

項目 グアムのInactive ワシントン州のInactive
取得時にInactiveを選べるか 選べる(実務経験不要) 選べない(Activeで取得後、更新時のみ)
主な使われ方 実務経験がない学生・未経験者が「肩書」として取る 実務から離れた人が維持費を下げるために切り替える
Activeへの転換 実務経験の証明とCPEが必要 36ヵ月以内のCPE120時間で転換(手数料なし)
更新 年次更新(更新料の金額は要確認) 3年ごと230ドル
CPE Inactiveの間は不要 3年に倫理4時間のみ

出典:グアム会計委員会・プロアクティブ(グアム大学日本事務局)の公開情報、ワシントン州会計委員会(2026年8月28日確認)。グアムの更新料と手続きは申請時に公式で確認してください。

「実務経験がないので、まず肩書として取っておきたい」という人は、グアムのInactiveが選択肢です。

ただし、グアムで取った後にActiveへ転換するには実務経験の証明が必要で、Inactiveの肩書を持ち続けることになる人も少なくありません。

一方、監査法人や事業会社で1年以上の会計実務がある人は、ワシントン州でActiveを取得してから、必要な時期にInactiveへ切り替える方が、後の選択肢が広いです。

グアムの詳細は「USCPAグアム出願のメリット・デメリット|見込み受験と注意点」、州の比較は「USCPA出願州の選び方|結局どこがいい?学歴・目的別に即答」を参照してください。

ライセンスの設計は受験前から決めておく

Inactiveの節約額は3年で約11万円、時間にして116時間です。

その一方で、Inactiveにできるかどうか、戻すのにどれだけ手間がかかるかは、受験前に選ぶ出願州とライセンス州で決まってしまいます。

これからUSCPAを目指す方は、「合格後にどの州でライセンスを取り、実務から離れたときにInactiveにできるか」まで含めて、州選びと受講プランを決めてください。

予備校を比較してから決めたい方は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」を、ライセンスまでの設計を相談したい方はアビタスの無料説明会で「合格後の州選びとInactiveの扱い」を聞いておくと、受講中に取るべき単位数と実務経験の計画が明確になります。

すでにライセンスを持っている方は、次の更新年の前年までに、この記事の判断表で「今後3年で戻す可能性」を確認しておいてください。

よくある質問(FAQ)

Q1.
USCPAのInactiveとは何ですか?

ライセンスの登録を保ったまま、会計業務の提供と「CPA」単独の名乗りを止める代わりに、CPE要件が軽減される状態です。

ワシントン州では2024年7月1日から全ライセンス保有者が更新時に選べるようになり、CPEは3年で120時間から倫理講座4時間だけになります。

更新料230ドルはActiveと同じで、名刺や履歴書には「CPA-Inactive」等の併記が必要です。

失効(Lapsed)とは違い、州の名簿に登録が残り、いつでもActiveに戻せます。

Q2.
Inactiveにすると維持費はいくらになりますか?

ワシントン州の場合、3年で更新料230ドル+倫理講座4時間分(30〜60ドル程度)の約260〜290ドル(約4万〜4.6万円)です。

Activeの約980ドル(約15万円、筆者の実額)と比べて、3年で約700ドル(約11万円)、年間約3.7万円の節約になります。

ただし、Activeに戻すときにCPE120時間分の費用と時間が一括で必要になるため、数年で戻す予定なら節約額の大半は相殺されます。

Q3.
いつでもInactiveにできますか?

できません。

ワシントン州でInactiveを選べるのは、3年に1回の更新期間(更新年の1月1日〜4月30日)に更新申請するときだけです。

また、初回のライセンス申請時にInactiveは選べず、まずActiveで取得する必要があります。

逆に、InactiveからActiveへ戻すのは、更新期間を待たずにいつでも申請できます。

Q4.
Inactiveでも名刺に「USCPA」と書けますか?

「USCPA」単独では書けません。

Inactiveの間は「CPA-Inactive」「USCPA(Inactive)」のように、Inactiveであることを併記する必要があります。

名刺・履歴書・SNS・会社のWebサイトのプロフィールなど、肩書として示すすべての場面が対象です。

日本国内で業務上の支障はほぼありませんが、転職活動や営業で肩書を使う人は、Inactiveの表記が相手にどう見えるかを考えたうえで判断してください。

Q5.
Activeに戻すには何が必要ですか?

申請日から遡って36ヵ月以内にCPE120時間を完了し、うちワシントン州認定の倫理講座4時間は直近6ヵ月以内に受講したうえで、オンラインで転換申請します。

手数料はかかりません。

過去にワシントン州のActiveライセンスを持っていた人は、実務経験証明書の再提出も不要です。

ただし、転換に使ったCPEは次の更新に数えられず、戻した年によって次の更新までにさらに80時間または40時間のCPEが必要になります(WAC
4-30-134)。

Q6.
Inactiveと失効(更新しない)はどちらが得ですか?

一度でもActiveに戻す可能性があるなら、Inactiveの方が得です。

失効させると3年で230ドル+倫理講座代を節約できますが、復活には再申請手数料480ドルとCPE120時間が必要で、州の名簿からも登録が消えます。

Inactiveなら復活に手数料はかからず、CPE120時間だけで戻せます。

完全に引退して二度と使わない場合はRetired(引退登録)という選択肢もありますが、それでも更新料を払わずに失効させるよりは、Inactiveで登録を残す方が後の自由度が高いです。

Q7.
グアムのInactiveとワシントン州のInactiveは何が違いますか?

グアムは実務経験なしで最初からInactiveライセンスを取得できるのに対し、ワシントン州はActiveで取得した後の更新時にしかInactiveを選べません。

「実務経験がなく、まず肩書がほしい」ならグアム、「実務経験があり、将来の節約手段としてInactiveを持っておきたい」ならワシントン州が向きます。

グアムはInactiveからActiveへ転換する際に実務経験の証明が必要で、更新は年次です(更新料は申請時に要確認)。

州選びの段階でどちらの道を取るかを決めておくと、合格後の手続きで迷いません。

まとめ:Inactiveは「戻す可能性が3年以内にないか」で決める

この記事の要点を再掲します。

  • USCPAのInactiveとは、ライセンスの登録を保ったまま会計業務と「CPA」単独の名乗りを止め、CPEを倫理講座4時間に軽減する状態。ワシントン州では2024年7月1日から全員が更新時に選べる
  • 維持費は3年で約980ドル→約260〜290ドル(約11万円の節約)、CPEは120時間→4時間。更新料230ドルはActiveと同額なので「維持費ゼロ」にはならない
  • Inactiveにできるのは3年に1回の更新期間のみ。初回申請時には選べず、Inactiveのサイクルでも倫理講座4時間は必要
  • Activeへ戻すのはいつでも可能で手数料なし。ただし36ヵ月以内にCPE120時間(倫理4時間は6ヵ月以内)が必要で、戻した年によって次の更新までにさらに80時間または40時間かかる
  • 失効(再申請480ドル)よりInactiveの方が安く、名簿に登録も残る
  • 向くのは「会計実務から5年以上離れ、肩書を使わない人」、向かないのは「3年以内に転職・復帰の可能性がある人」と「名刺のUSCPAを営業や採用で使う人」
  • 筆者はコンサル転職時に検討し、「年3.7万円と週1時間で肩書と戻す自由を保てる」と判断してActiveを維持している

Inactiveは、ライセンスを捨てる制度ではなく、実務から離れる期間の負担を下げて「戻す自由」を残す制度です。

次の更新年の前年までに、今後3年で会計実務に戻る可能性があるかを自分に問い、答えに合わせてActiveかInactiveかを選んでください。

USCPAおすすめスクール
ランキングTOP3

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