この記事でわかること
- 理系・エンジニアがUSCPAを取る価値はどこにあるか(「会計×IT」人材の希少性と、資格がその証明になる理由)
- 2024年新設の選択科目ISC(情報システムと統制)の出題範囲・合格率67.8%・MC配点60%と、エンジニアがISCを選ぶメリット
- USCPA×ITで狙えるキャリア5つ(IT監査・SOC/内部統制・会計システム導入・経理DX・CFO/CIO候補)と年収の目安
- 会計単位ゼロの理系学部卒が受験資格を満たす方法と、理系が有利な科目・不利な科目
- コンサルで「会計が分かるエンジニア」の希少性を見てきた筆者の実感と、SIer出身の同僚がUSCPAでコンサルに転職した実例
著者情報:しわすゆう|USCPA(米国公認会計士)。大学在学時にアビタスのUSCPA講座を受講しUSCPAを取得。新卒でBIG4監査法人に就職し会計監査を3年経験。現在はコンサル会社に勤務。
最終更新日:2026年8月28日
「エンジニアの自分がUSCPAを取っても意味があるのか」「理系にはISCが有利と聞いたが本当か」と調べている方に向けた記事です。
結論から言うと、理系・エンジニアにとってUSCPAは「会計が分かるIT人材」という希少な組み合わせを証明する資格で、2024年に選択科目ISC(情報システムと統制)が新設されたことで、ITの素養をそのまま試験と実務の両方で活かせるようになりました。
筆者はコンサルで会計システム導入や内部統制の案件に関わっていますが、「会計が分かるエンジニア」と「システムが分かる会計士」はどちらも足りておらず、両方を持つ人は案件の要になります。
この記事では、AICPA(米国公認会計士協会)の公表データを一次情報として、ISCの中身と合格率、USCPA×ITのキャリアと年収、理系が受験資格を満たす方法を整理し、筆者がコンサルで見てきた実感とSIer出身の同僚の転職実例で解説します。
USCPAの全体像は「USCPAとは?試験・受験資格・費用・キャリアの全体像ガイド」で扱っているので、本記事は「理系・エンジニアにとっての価値」に絞ります。
理系・エンジニアにUSCPAは価値があるか?会計×IT人材が足りていない
理系・エンジニアにとってUSCPAの価値は、「ITが分かる会計人材」という組み合わせが監査法人・コンサル・事業会社のすべてで不足しており、USCPAがその組み合わせを客観的に証明できる資格である点にある。会計単独・IT単独の人材より、両方を持つ人材の方が案件と年収の幅が広い。
まず、なぜ「会計×IT」が求められるのかを整理します。
| 領域 | 何が起きているか | 会計×IT人材が必要な理由 |
|---|---|---|
| 会計監査 | 監査法人が全件データ分析・AIによる異常検知を導入 | データの取得・加工と会計上の意味づけを両方できる人が足りない |
| 内部統制(J-SOX・US-SOX) | 業務がシステム化し、IT全般統制(ITGC)・IT業務処理統制の評価が監査の中心に | システムの設計を読める会計士、統制の意味を分かるエンジニアが必要 |
| 会計システム導入 | ERP(SAP・Oracle・Workday等)の更新期。基幹システム刷新が全業種で進行 | 会計要件をシステム要件に翻訳できる人材が案件の要 |
| 経理DX・FP&A | 経理の自動化・BIによる管理会計の高度化 | 会計の理解とデータ処理の技術を1人で持つ人が少ない |
| SOC報告書・第三者保証 | クラウドサービスの利用拡大でSOC1/SOC2の需要増 | ITの統制を会計士の視点で評価する仕事 |
筆者が監査法人にいた3年間で、監査は「サンプルを抜いて紙を見る」仕事から「全件データを取り込んで異常を探す」仕事に変わりました。
その変化の中で、チームで最も重宝されたのは、データを自分で加工できて会計上の意味も分かる人でした。
エンジニアがUSCPAを取るということは、この「両方できる人」の側に回ることを意味します。
USCPAの活かし方の全体像は「USCPAの取得メリット7つと活かし方|デメリットも正直に解説」で解説しています。
自分のIT経験をどの領域で活かせるかを整理したい方は、アビタスの無料説明会で「エンジニア出身の合格者のキャリア事例」を聞いておくと、この記事の内容を自分のケースに置き換えやすくなります。
なぜ今追い風なのか?ISC新設で「ITの素養」が試験で活きる
2024年1月の試験制度改定(CPA
Evolution)で、選択科目にISC(Information Systems and
Controls:情報システムと統制)が新設された。ISCは情報システム・データ管理・セキュリティ・内部統制・SOC報告書を扱う科目で、2025年の合格率は67.8%と3つの選択科目の中でBAR(41.9%)を大きく上回り、MC(4択)の配点が60%と唯一暗記寄りの構造になっている。
理系・エンジニアにとっての最大の変化が、ISCの新設です。
ISCとは何を問う科目か
ISCは、旧試験のBEC(ビジネス環境)に含まれていたIT・内部統制の論点を独立させ、範囲を広げた科目です。
| 領域 | 配点(AICPAブループリント) | 主な内容 | エンジニアの経験が活きる度合い |
|---|---|---|---|
| 情報システムとデータ管理 | 35〜45% | システム開発ライフサイクル、データベース、ネットワーク、クラウド、ERP、データガバナンス | ◎ 日常業務そのもの |
| セキュリティ・機密性・プライバシー | 35〜45% | アクセス管理、暗号化、脅威と脆弱性、インシデント対応、NIST・GDPR等の枠組み | ◎ インフラ・セキュリティ経験者はそのまま |
| 統制の検討(SOC報告書) | 15〜25% | SOC1/SOC2報告書の構成、統制の設計・運用評価、監査人の責任 | △ 監査の視点は新規学習 |
出典:AICPA「Uniform CPA Examination
Blueprints」(2026年版)、2026年8月28日確認
ISCは「システムを作る技術」ではなく「システムを評価・統制する視点」を問う科目です。
プログラミングやサーバー構築の問題は出ませんが、システム開発の工程・アクセス権の設計・クラウドのリスク・データの整合性といった「エンジニアなら業務で触れている概念」が出題の中心なので、理系・エンジニアは学習の入口で大きなアドバンテージを持ちます。
選択科目3つの比較|エンジニアにはISCが自然な選択
| 選択科目 | 内容 | 2025年合格率 | 2026年上半期 | MC:TBS配点 | 向く人 |
|---|---|---|---|---|---|
| BAR(ビジネス分析と報告) | 財務会計の応用・管理会計・政府会計 | 41.9% | 約44% | 50:50 | 経理・監査・FP&A志向 |
| ISC(情報システムと統制) | 情報システム・セキュリティ・内部統制・SOC | 67.8% | 約67% | 60:40 | IT・エンジニア・IT監査志向 |
| TCP(税務コンプライアンスと計画) | 個人・法人税務の応用 | 77.7% | 約80% | 50:50 | 税務志向 |
出典:AICPA公表の四半期合格率(2025年通年・2026年Q2累計)、2026年8月28日確認
合格率だけならTCPが最も高いですが、TCPはREGの延長で税務実務者が多く受けるため合格率が高いとAICPAも説明しており、税務に縁のないエンジニアが選ぶ理由は薄いです。
ISCは「IT分野への抵抗がなければ純粋な試験難易度は最もやさしい」と国内の合格者ブログ(USCPAどこのブログ・KAIRO)も評価しており、エンジニアにとっては合格率と実務の両面で自然な選択です。
筆者は旧制度でBECを受験し、新制度ではBARに相当する科目を選びましたが、今エンジニアとして受けるなら迷わずISCを選びます。
選択科目の選び方は「USCPAの選択科目おすすめはどれ?BAR・ISC・TCP比較」、ISCの対策は「USCPAのISCとは|出題範囲・難易度・勉強法を実例つきで解説」で解説しています。
USCPA×ITで狙えるキャリア5つと年収の目安
理系・エンジニアがUSCPAを取って狙えるキャリアは、①IT監査・システム監査
②SOC/内部統制コンサル ③会計システム導入コンサル
④事業会社の経理DX・FP&A
⑤将来のCFO/CIO候補の5つ。年収は監査法人のIT監査で500〜900万円、コンサルで600〜1,200万円、事業会社の経理DX責任者で700〜1,200万円が目安である。
USCPAとIT経験の組み合わせで開くキャリアを整理します。
| キャリア | 仕事の内容 | 求められる組み合わせ | 年収の目安 | 入りやすさ(エンジニア出身) |
|---|---|---|---|---|
| ① IT監査・システム監査(監査法人) | 財務諸表監査の一部としてIT全般統制・業務処理統制を評価。データ分析で異常検知 | IT知識+監査・会計の基礎 | 500〜900万円(スタッフ〜マネージャー) | ◎ 中途で最も入りやすい |
| ② SOC/内部統制コンサル(BIG4アドバイザリー等) | SOC1/SOC2報告書の支援、J-SOX・US-SOXの統制構築・評価 | IT統制+会計・監査の視点 | 600〜1,100万円 | ○ |
| ③ 会計システム導入コンサル | ERP・会計パッケージの要件定義・設計・導入 | システム開発経験+会計知識 | 600〜1,200万円 | ◎ SIer出身は即戦力 |
| ④ 事業会社の経理DX・FP&A | 経理業務の自動化、BIによる管理会計、データ基盤の設計 | データ処理+会計・管理会計 | 600〜1,000万円(責任者クラスは1,200万円) | ○ |
| ⑤ CFO/CIO候補・情報システム管理職 | 財務とITの両方を統括する経営層 | 会計+IT+マネジメント | 1,000万円〜 | △ 長期的な到達点 |
※年収は転職情報サイトの公開求人・筆者の周囲の事例に基づく目安(2026年8月時点)。企業規模・地域・経験年数で幅があります。
①IT監査は「エンジニア出身USCPA」の最初の入口
エンジニア出身者が最も入りやすいのは、監査法人のIT監査(IT Audit /
ITリスク)部門です。
監査法人はIT監査の人材を慢性的に求めており、公開求人でも「システム開発・運用経験者歓迎、USCPA・CISA・CIAのいずれか」という条件が一般的です。
USCPAを持っていれば、会計監査チームとIT監査チームの両方の言葉が分かる人材として、配属の幅が広がります。
監査法人の採用要件は「USCPAで監査法人に入る方法|採用要件・4つの入り方・選考対策」で、IT監査に近い資格との比較は「USCPAとCISA比較|難易度・費用・年収とISCとの相性」で解説しています。
③会計システム導入は「両方の言葉を話せる人」が要になる
筆者が今いるコンサルの領域です。
会計システム導入の案件では、経理部門が「こういう仕訳を切りたい」と言い、エンジニアが「そのテーブル設計だと締め処理が回らない」と返す場面が毎日あります。
この2つを翻訳できる人が1人いるかどうかで、案件の進み方が変わります。
エンジニア出身でUSCPAを持つ人は、この翻訳役として最初から配置されるので、同じ年次のコンサルタントより早く案件の中心に入れます。
\エンジニア出身の合格者が、どの領域で・どんな年収で働いているかを直接聞ける/
理系・エンジニアの受験資格と勉強時間|会計単位ゼロからの道筋
理系学部卒は会計の単位がゼロのことが多いが、予備校の単位認定試験で会計15単位(アラスカ州)または会計24+ビジネス24単位(ワシントン州等)を取れば受験できる。勉強時間は会計初学者の目安1,200〜1,500時間で、理系は計算・論理(FAR・ISC)で有利、簿記の基礎と会計英語で不利になりやすい。
受験資格:理系学部卒は単位認定試験で補う
| 項目 | 理系・エンジニアの状況 | 対処 |
|---|---|---|
| 学士号 | 工学・理学・情報系の学士があればOK(学位の分野は問われない) | − |
| 会計単位 | ほぼゼロが一般的 | 予備校の単位認定試験で取得(アビタスの場合、提携大学の単位が受験州の要件に対応) |
| ビジネス単位 | 統計・数学・情報系の科目が「ビジネス系」に数えられる州がある | 大学の成績証明書で該当科目を確認 |
| 出願州 | 会計15単位で受験できるアラスカ州が、単位の少ない理系に向く | 「アラスカ州でUSCPA出願|受験資格・費用・ライセンスの注意点」参照 |
理系学部の「統計」「数学」「情報処理」の科目が、州によってはビジネス系単位に算入できる場合があります。
大学の成績証明書を予備校の単位診断に出すと、どの科目が使えるかをその場で判定してもらえます。
受験資格の全体像は「USCPAの受験資格|高卒・短大卒・在学中でも受けられる?」、単位の取り方は「単位認定試験の仕組みと取り方」で解説しています。
勉強時間:理系が有利な科目・不利な科目
| 科目 | 理系・エンジニアの有利・不利 | 理由 |
|---|---|---|
| FAR(財務会計) | △ 前半不利・後半有利 | 簿記の基礎(仕訳・財務諸表)がゼロだと序盤に時間がかかるが、計算・手順の理解は速い |
| AUD(監査) | △ | 監査の考え方(リスクアプローチ)は新規学習。内部統制・IT監査の論点は有利 |
| REG(税法・商法) | × 不利 | 暗記中心で、理系の素養が活きにくい |
| ISC(選択) | ◎ 有利 | 情報システム・セキュリティは業務知識でカバーできる。統制の視点だけ新規学習 |
| 会計英語 | △ | 技術文書の英語に慣れているエンジニアは読解は速いが、会計用語は新規 |
会計初学者の勉強時間の目安は1,200〜1,500時間(アビタス公表)で、理系でも大きくは変わりません。
ただし、ISCを選択科目にすると、選択科目の学習時間を100〜150時間程度に圧縮できる人が多く、その分をFARの簿記の基礎に回せます。
簿記の基礎は「簿記知識ゼロからUSCPAは無謀?」、社会人の学習設計は「社会人が働きながらUSCPAに合格する方法|時間術と18ヵ月計画」で解説しています。
コンサルで見た「会計が分かるエンジニア」の希少性と、SIer出身の同僚の実例
筆者はコンサルで会計システム導入と内部統制の案件に関わり、「会計が分かるエンジニア」が案件の要になる場面を繰り返し見てきた。SIer出身でUSCPAを取った同僚(33歳で転職)は、システム開発経験×USCPAで会計システム導入の翻訳役として入社1年目から案件の中心に入り、年収は転職前から約2割増だった。
筆者がコンサルで実感したこと
監査法人からコンサルに移った1年目、筆者が最も苦しんだのはシステムの知識の学び直しでした(この経緯は「USCPAでコンサルに転職|監査法人3年から移った筆者の体験談」で書いています)。
会計と内部統制は分かるのに、テーブル設計・API・バッチ処理の話になると、エンジニアの説明を理解するのに時間がかかりました。
その逆で、システムは分かるのに会計が分からないエンジニアも、案件には大勢います。
「なぜこの仕訳が必要なのか」「なぜ期末に締め処理が走るのか」が分からないと、要件の背景を理解できず、設計の判断を経理側に丸投げすることになります。
この2つの間に立てる人が、案件で最も重宝されます。
SIer出身の同僚C(33歳で転職)の実例
筆者の同僚に、SIerで基幹システム開発を8年経験した後にUSCPAを取り、33歳でコンサルに転職した人がいます(本人の了承を得て、特定されない範囲で記載しています)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 転職前 | SIerでERP(会計モジュール)の開発・保守を担当。会計の知識は「仕訳の入力画面を作った」程度 |
| USCPAを取った理由 | 「会計モジュールを作っているのに会計が分からない」ことに限界を感じた。IT監査・コンサルへの転職を視野に入れた |
| 学習 | 会計単位ゼロからアビタスの単位認定試験で単位を取得。約1,400時間・1年半で全科目合格。選択科目はISC(勉強時間は約120時間) |
| 転職活動 | 会計系コンサルとBIG4のIT監査部門から内定。「システム開発経験×USCPA」を評価され、会計系コンサルを選択 |
| 転職後 | 会計システム導入案件で、経理とエンジニアの翻訳役として1年目から要件定義に参加。年収は転職前から約2割増 |
| 本人の言葉 | 「エンジニアとしては中堅止まりだったが、会計が分かるエンジニアになった途端、案件で頼られる側に回った」 |
Cのケースで筆者が印象的だったのは、ISCの学習が「業務で知っていたことに名前が付く」感覚だったという点です。
アクセス権の設計・変更管理・バックアップの仕組みは、エンジニアなら当たり前に扱っている概念で、ISCはそれを「統制」として整理し直す科目です。
Cは「ISCは試験科目というより、自分の仕事を会計士の言葉で説明し直す練習だった」と話していました。
30代の転職事例は「30代からのUSCPA|遅くない理由3つと失敗しない注意点」でも扱っています。
理系・エンジニアがUSCPAを取るデメリットと向かない人
デメリットは、①会計単位ゼロからの学習で1,200〜1,500時間と100万円前後の投資が必要
②USCPAだけでは「エンジニアとしての市場価値」は上がらない
③会計×ITの仕事は開発そのものより上流・評価側に寄る、の3つ。「コードを書き続けたい人」「会計に興味がない人」には向かない。
正直に、向かない人も整理します。
| デメリット・向かない人 | 内容 |
|---|---|
| 投資が大きい | 会計単位ゼロからだと1,200〜1,500時間・予備校費用60〜80万円+受験費用約50万円。エンジニアの資格(AWS・情報処理技術者等)より重い |
| エンジニアの市場価値は上がらない | USCPAは「会計×IT」の証明で、開発スキルの証明ではない。開発職のまま年収を上げたい人には遠回り |
| 仕事が上流・評価側に寄る | IT監査・内部統制・システム導入コンサルは「作る」より「評価する・設計する」仕事。コードを書き続けたい人には合わない |
| 英語の学習が必要 | 試験は全編英語。技術英語に慣れていても会計英語は新規学習 |
| 向かない人 | 会計に興味がない人、開発の最前線に残りたい人、1年半以上の学習を続けられない人 |
一方、「30代で開発の限界を感じている」「上流工程や監査・コンサルに軸足を移したい」「会計システムの案件で経理側の話が分からず悔しい思いをした」という人には、USCPAは最も効率のよい選択肢の1つです。
適性の判断は「USCPAに向いてる人・向いていない人|7つの判断軸で自己診断」で、費用の全体像は「USCPAの費用総額|予備校・受験料・出願費の内訳と試算表」で解説しています。
会計×ITの希少性は、今が最も高い
理系・エンジニアにとってのUSCPAは、「会計が分かるIT人材」という希少な組み合わせを証明する資格です。
ISCの新設で、ITの素養が試験でそのまま活き、合格後はIT監査・内部統制・会計システム導入・経理DXと、会計単独・IT単独の人材より広いキャリアが開きます。
一方で、投資は大きく、開発の最前線に残りたい人には向きません。
これから検討する方は、まず自分のIT経験が「①IT監査 ②内部統制
③システム導入
④経理DX」のどこに最も近いかを決め、そこで求められる会計知識の深さから逆算して学習計画を立ててください。
予備校を比較してから決めたい方は「USCPA予備校おすすめ比較|費用・教材・サポートで選ぶ3校」を、エンジニア出身の合格者がどの領域でどう働いているかを直接聞きたい方はアビタスの無料説明会で「IT経験者のキャリア事例とISCの対策」を確認しておくと、受験資格の単位診断も同時に受けられます。
よくある質問(FAQ)
Q1.
エンジニアがUSCPAを取る意味はありますか?
あります。
「会計が分かるIT人材」は監査法人・コンサル・事業会社のすべてで不足しており、USCPAはその組み合わせを客観的に証明できる資格です。
IT監査・SOC/内部統制コンサル・会計システム導入・経理DXなど、IT単独の人材より広いキャリアが開き、年収も600〜1,200万円の水準が目安になります。
ただし、開発スキルの証明にはならないので、開発職として年収を上げたい人には遠回りです。
Q2.
ISCはエンジニアなら簡単ですか?
「簡単」とまでは言えませんが、3つの選択科目の中で最もIT経験が活きる科目です。
2025年の合格率は67.8%で、BAR(41.9%)を大きく上回り、MC(4択)の配点が60%と暗記寄りの構造です。
システム開発ライフサイクル・アクセス管理・クラウドのリスク・データガバナンスなど、エンジニアが業務で触れている概念が出題の中心なので、学習の入口で有利です。
一方、SOC報告書や統制の評価は監査の視点が必要で、AUDの学習と合わせて理解する必要があります。
Q3.
理系学部卒で会計の単位がゼロでも受験できますか?
できます。
予備校の単位認定試験で会計の単位を取れば受験資格を満たせます。
会計15単位で受験できるアラスカ州なら、単位認定試験5科目で出願できます。
理系学部の統計・数学・情報処理の科目は、州によってはビジネス系単位に算入できる場合があるので、大学の成績証明書を予備校の単位診断に出して確認してください。
Q4.
理系はどの科目で有利・不利になりますか?
ISCが最も有利で、FARの計算・手順の理解も速い傾向があります。
不利になりやすいのは、暗記中心のREG(税法・商法)と、簿記の基礎がゼロの場合のFAR序盤です。
会計英語は新規学習ですが、技術文書の英語に慣れているエンジニアは読解の立ち上がりが早いです。
ISCを選択すると選択科目の学習時間を100〜150時間程度に圧縮できる人が多く、その分をFARの基礎に回せます。
Q5.
IT監査とは何をする仕事ですか?
財務諸表監査の一部として、企業のITシステムの統制(IT全般統制・IT業務処理統制)が有効に機能しているかを評価する仕事です。
アクセス権の管理、変更管理、バックアップ、データの整合性などを確認し、会計データの信頼性を裏付けます。
監査法人はIT監査の人材を慢性的に求めており、「システム開発・運用経験者歓迎、USCPA・CISA・CIAのいずれか」という求人が一般的です。
エンジニア出身のUSCPAが最も入りやすい入口です。
Q6.
CISAとUSCPAはどちらを取るべきですか?
IT監査に特化するならCISA、会計を軸にキャリアの幅を広げるならUSCPAが目安です。
CISAはIT監査・情報セキュリティの資格で、学習時間はUSCPAの3分の1程度です。
USCPAは会計・監査・税務・ITを含む幅広い資格で、監査法人のIT監査だけでなく会計系コンサル・事業会社の経理DX・CFO候補まで道が開きます。
両方を持つ人も多く、先にUSCPAを取ってからCISAを追加する順番が一般的です。
Q7.
30代のエンジニアからでも遅くないですか?
遅くありません。
筆者の同僚はSIerで8年開発した後、33歳でUSCPAを取ってコンサルに転職し、年収は約2割増でした。
30代は「システム開発の実務経験×会計資格」の組み合わせが最も評価されやすい年代で、監査法人のIT監査や会計系コンサルの中途採用も30代の応募者が多いです。
学習は1年半程度を見込み、選択科目はISCにして学習時間を圧縮するのが現実的です。
まとめ:理系・エンジニアのUSCPAは「会計×IT」という希少性への投資
この記事の要点を再掲します。
- 理系・エンジニアにとってUSCPAの価値は、「会計が分かるIT人材」という希少な組み合わせを証明できること。監査のデータ分析化・内部統制のIT化・ERP刷新・経理DXのすべてで需要がある
- 2024年新設の選択科目ISCは情報システム・セキュリティ・統制・SOC報告書を扱い、2025年合格率67.8%・MC配点60%でエンジニアのIT経験がそのまま活きる
- 狙えるキャリアはIT監査・SOC/内部統制コンサル・会計システム導入・経理DX/FP&A・CFO/CIO候補の5つ。年収は600〜1,200万円が目安
- 会計単位ゼロの理系学部卒でも単位認定試験で受験資格を満たせる。理系はISC・FARの計算で有利、REG・簿記の基礎で不利になりやすい
- 筆者がコンサルで見た実感は「会計とシステムの間に立てる人が案件の要になる」。SIer出身の同僚は33歳でUSCPA×開発経験を武器にコンサルへ転職し、年収約2割増
- デメリットは投資の大きさと「開発スキルの証明にはならない」こと。コードを書き続けたい人には向かない
会計とITの両方が分かる人は、今どの現場でも足りていません。
エンジニアとしての経験に会計の言葉を足すことで、その空白を埋める側に回れます。
まず自分のIT経験が、IT監査・内部統制・システム導入・経理DXのどこに一番近いかを決めるところから始めてみてください。
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